「久しぶり。なのは」
「……久しぶり。たっくん」
「どうしたの? 元気ないな?」
久しぶりになのはに会ったら落ち込んでいるというか、何か上の空というかそんな感じになっている。
「大丈夫だよ。あれ? たっくん! その手! ジュエルシードが!?」
「それは!?」
なのはとユーノが俺の右手を見て驚きの声を上げた。
「ああ、これ?」
右手を上げて言う。そこにはジュエルシードが埋め込まれていた。
「この前、偶然見つけて願ったらいつの間にか埋まっちゃっててさ! まいったぜ。ははは!」
「はははじゃないよ!? 埋まっちゃったんだよ!? 危険なロストロギアが! しかも、願ったって!? 危険だって言ったじゃないか!」
ユーノがキツイ口調で捲し立ててくる。
「いや、確かにそうなんだけどさ、緊急事態だったんだよ」
「緊急事態って?」
なのはが聞いてくる。
俺は佇まいを直す。
「なのは達には言っておいた方が良いな。この前、怪物に襲われた。灰色の体をした怪物だ」
「「えっ!?」」
オルフェノクの事を伝えると、なのは達が驚いた声を上げる。
「そ、それって木みたいな人のこと!?」
「へっ!?」
なのは達もオルフェノクに会ってたのか!?
「い、いや、その人じゃないけど……」
「そ、そっか~良かった~」
なのはがホッとする。
「というか、なのはもオルフェノクに会ってたの!?」
「「オルフェノク?」」
「オルフェノクっていうのは……身体全体が灰色の人型生物だ。身体能力は人より遥かに高い。知能は人と同じ。人に化けられる能力がある。そして、種族全体の意思じゃなく、個人や、組織の思想によって人を襲う事がある」
「ひ、人を襲う!?」
なのはにオルフェノクが人から生まれ変わって生まれる事を伏せて言う。
「驚いているって事は、なのは達が会ったのは、危険な奴じゃなかったみたいだな」
運が良いのか悪いのか。
「俺は3回会って、3回とも襲われたよ」
「そ、そんな事が……あれ? そのオルフェノクは人間より身体能力が高いんだよね? どうやって逃げられたの?」
ユーノが俺に聞いてくる。
「2度はある人達に助けられた。あと1回は……この姿で戦った」
「「えっ!?」」
俺がオルフェノクの姿に変身するとなのは達が驚いた。
「たっくんて……」
「オ、オルフェノクだったの!?」
「まぁ、そう思うのは当然だよな。違うよ。俺がこの姿になれるのはこの、ジュエルシードのおかげだ」
俺は驚くなのは達にジュエルシードを見せて言う。
「ジュエルシードで?」
「ああ。運が良かったのか。それとも死に瀕した俺の心が、邪念無しにジュエルシードに祈った結果か。ジュエルシードは、俺に力を貸してくれた。その後も、俺に力を貸しつづげてくれている」
「そう言えば、すずかちゃんの家の子猫も、大きくなりたいって願って大きくなっちゃったし、そういう事もあるのかな?」
そういえば、そんな事も会ったな。あの猫はどうして大きくなったんだ? まぁ、理由はどうでもいいけどさ。
「そうだ! 私もたっくんに言わなきゃいけない事があったの!」
なのはが不意に声を上げた。
「なに?」
「私もこの前から私とは違う魔法使いの女の子と会ったんだ。長くて綺麗な金色の髪の毛に」
「ジュエルシードを狙う魔法使いか。大変な事になってるな。……あれ? それって俺、狙われちゃわない!?」
「うん。あの子はこの前、ジュエルシードを手に入れるためになのはに攻撃してきたからね。あの助けてくれたオルフェノクがいなくちゃジュエルシードをあの子に一つ、取られていたかもしれない」
「そっか……」
オルフェノクがわざわざ力を使って助けるか? 助けられたって他の人に言っても、夢か幻覚と思われるだろうけど、それでも人前に姿を現さない方が遥かに安全だ。なにせ、人間に攻撃される可能性だってあるからな。
「なのは。そのオルフェノクは何をやったんだ?」
「え? フェイトちゃんに負けそうになった所を助けて貰っただけだよ?」
なのはがそう言うけど俺が聞きたいのはもう少し詳しい事だ。
「どういう攻撃をしたとか、どういう武器を持ってたとか、何か変な行動とかをしなかった?」
「う~ん。そんなこと言われても……動きは速すぎて見えなかったし……武器は、大きなナイフを使ってたよ。あとは……私とユーノ君を撫でていってくれた」
「え? どういうことだ?」
撫でられた? どういう状況だ?
「えっとね……フェイトちゃん達が帰った後に、私達にでこピンをして、その後、撫でてくれたの」
でこピンね。意味無くやる行動じゃないな。何のためになのは達にでこピンをしたんだ? でこピンだから別に攻撃したかったって訳じゃないだろうし。普通でこピンなんてのは知り合い以上の関係の人にしか使わな……いや、待て。そのオルフェノクの事を、なのはは何て言った? 速すぎて見えなかった? 大きなナイフを使ってた? ……まさか。
俺は血の気が引くような思いを感じた
いる。このリリカルなのはに、なのはの知り合い以上の関係で、死に掛ける程の傷を負っていて、かつ、弾丸すら避ける速度で動けて、大きなナイフ。いや、小太刀を使っている人物が。
「まさかね。とりあえず、そのオルフェノクは敵じゃないと思うよ。俺は問答無用で襲われたからそんな類の奴じゃないみたいだし」
「そっかぁ」
なのははほっとして胸をなでおろした。
その後、なのはとジュエルシードを探索したけど見つからずに、解散となり、なのはと分かれて家に帰ることになった。
「ん?」
その帰り道。服がすれるような音が頭上から聞こえて俺は空を見上げる。
「なんじゃこりゃ?」
そこには黒いレオタードみたいな服、同じく黒いマントを着た、長い金色の髪をツインテールにした女の子が浮かんでいた。
「あなたの持っているその宝石をください」
うん。フェイト・テスタロッサだ。フェイトは開口一番にそう言ってきた。
「なるほど、君がなのはの言っていたもう一人の魔法使いか。使い魔はどうした? いないのか?」
俺がそう言うとフェイトは俺をきつく睨みつけてくる。
「あの子の協力者。……ジュエルシードを渡して」
そう言って、フェイトは俺にバルディッシュを向けてくる。
「嫌だ。って言ったら……どうなるんだ?」
「あの子から聞いてると思うけど、渡して貰えないなら無理にでも奪います!」
そう言ってフェイトが切りかかってくる。
「おわっ!?」
俺は何とかそれを避ける。フェイトはまた俺に向かってくる。俺は避け続ける。フェイトは右、左、上、後ろ。ありとあらゆる方向から攻撃を繰り出してくる。俺は何とか攻撃を避けるが徐々に追い詰められる。そろそろまずい……
「待て!」
「っ!」
フェイトは俺の言葉に素直に止まってくれた。
「お前がその気ならこっちも最強の奥義を食らわすしかないな。名付けて……シャイニングソニックボム! 音速で飛ぶ光の爆弾! これを受ければお前は木っ端微塵だ!」
そう言って俺は両手の中に光球を作り、徐々に大きくする。ジュエルシードのおかげか最近魔力をうまく操れるようになったおかげだ。
「っ!」
フェイトが少し驚いて怯む。今だ! 俺はすぐに振り返って逃げ出した。後ろに向かって全速前進だ!
「なっ! 待って!」
フェイトが俺を追ってくる。
「はっはっはっ! これが俺のシャイニングソニックボム! 光のような判断で音の速度で爆発的に逃げるんだよーー! 追いつけるもんなら追いついてみろ!」
「くっ!」
一瞬、驚いてスタートが遅れたが、俺とフェイトの移動速度の差は圧倒的だ。ジュエルシードの力でオルフェノクに変身しなければ10秒もしない内に捕らえられてしまうだろう。だが!俺はその場で振り向き魔力を両手に集める。
「なっ!?」
フェイトが驚くがもう遅い!
「食らえ! これが本当の! シャイニングソニックボムだ!」
俺が目を瞑り魔法を発動する。次の瞬間。辺りは爆発的な光と音に包み込まれた!
目を開ける。すると俺の目の前にはフェイトが気絶していた。
「どうよ! これが俺のシャイニングソニックボム。本当は光と音波の爆弾。つまり、フラッシュグレネードの事だったんだよ!」
俺は技を解説するが誰の反応も返ってこない。
「まぁ、そりゃあ気絶してれば返事は無いか。それじゃあ、本当に逃げるぜ。あばよ! とっつぁ~ん!」
そうして俺は何とかフェイトから逃げる事に成功した。このままじゃあ、済まされないだろう。次に会うときはフェイトもこの技の対策をしてくるはず。2度は通じない技だって事は俺が一番知っている。次に会うまでに力をつけておかないと……
そうして、俺とフェイトの初めての邂逅は終わった。
open your eyes the next 555
俺の名前は不知火拓人。あんたの名前は?
盗った!
させるか!
お前らの雇い主に伝えろ、オルフェノクって言う死んでから蘇った人間の化け物がいる事を!
オルフェノク?