INFINITE STRATOS ~The Fourth Knight of Death~   作:とんこつラーメン

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待っていた人がどれだけいるかは不明ですが、ようやく出来ました。

共通しているのは機体だけで、それ以外は全くの別物です。

可能な限りシリアスで通していきたいと思っています。










ドイツ編① ~Girl called a weapon~
Slaughtered Miseria


 心の底からの絶望を味わうと、人間とは涙すら出ずに虚無となる。

 その事を私が知ったのは、まだ7歳の頃だった。

 

「こりゃ…ひでぇ……!」

「なんてこった……」

「なんでこんな……」

 

 その場に膝を付いて呆然自失となっている私の目の前にあるのは、粉々になって真っ黒になって燃え尽きた自分の暮らしていた家。

 黄色いテープが張られ、残骸の中では警察の人達が何かを探っていた。

 

「仏さんは……」

「ここに……」

「……!?」

 

 コートを着た警察の人が足元を見て苦しそうな顔になる。

 その視線を追っていくと、そこには真っ黒になった人の形をしたナニかが半分だけ瓦礫の中から出ていた。

 その指に光る物が填められていたのを見た瞬間、それがお母さんの成れの果てであることを理解した。

 お母さんのお腹の中には、私の妹になる予定だった赤ちゃんがいた。

 妹は、生まれる前に消し炭となってしまった。

 

「警部! こっちにも遺体が!」

「どこだ!?」

「こちらです! 恐らくは父親ではないかと……」

「どんな感じだ?」

「…………………」

「……そうか」

 

 お父さんも見つかったようだ。

 だが、あの様子からすると、お父さんもお母さんと同じようになっているんだろう。

 頭が真っ白になる。どうして、こんな事になった?

 

「放火か?」

「その線は無いかと。周辺住民の話では、この家に向かって何かが凄い速度で落ちてきたらしく……」

「まさか、例のミサイルの破片とかか?」

「まだ断定は出来ませんが、その可能性が濃厚かと……」

 

 大きなお腹を優しく擦りながら、私にいつも語りかけてくれていたお母さん。

 家事をすることが難しくなったお母さんの代わりに、頑張って料理や洗濯をしてくれていたお父さん。

 私の世界一大好きな家族。けど、もうどこにもいない。

 友達と一緒に公園に遊びに行っていた間に、私は自分の命以外の全てを失った。

 

「生存者はいないのか?」

「7歳になる一人娘がいたそうです。近所の公園で遊んでいる姿が目撃されています」

「不幸中の幸い…か。いや…違うな。そんなのは他人である俺達の勝手な言い分だ」

「そうですね…。その子にとっては、何もかもを失ったに等しいんですから…」

 

 何も聞こえない。聞きたくない。見たくない。

 死にたい…死にたい…死にたい…死にたい…シニタイ…シニタイ…シニタイ…。

 

「大丈夫かい?」

 

 ふと、ポンポンと肩を叩かれる。

 反射的に見上げると、そこには一人の男性がいた。

 全く知らないおじさん。だけど、その顔は優しく微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

『コード80。任務を復唱せよ』

 

 真っ暗な輸送機の中で、少女は静かに顔を上げる。

 通信機越しに聞こえてきた声に向かって、無機質に返事をした。

 

「女性権利団体アメリカ、テキサス支部の壊滅。関係者は残らず殲滅」

『その通りだ。お前に限って心配は無いとは思うが、奴らに対して手加減は不要だ。その名の通り、身の程知らずの女共に死を運んで来い』

「任務了解」

 

 小窓から上空の景色が見えるが、少女はそれを一切見る事は無く、ただ真っ直ぐに前だけを見つめ続けていた。

 

『もうすぐ目標降下地点に到達する。ISの展開準備に取り掛かれ』

「了解」

 

 気休め程度に着ていたボロボロの外套を脱ぎ去ると、その下からは彼女専用に宛がわれた漆黒のISスーツが出てきた。

 年頃の少女ならば、少しぐらいは羞恥心を持ったりするものだが、彼女の場合はそんな事は無く、眉一つとして動かさない。

 

 ハッチの方へと向かい、自分の胸にそっと手を当ててから目を瞑り、心の中で『ナニか』に語りかける。

 

『コード80。用意はいいか?』

「はい」

 

 ハッチを開けると、彼女の小柄な体程度なんか軽く吹き飛ばすほどの風が吹き荒れるが、少女は全く微動だにしない。

 下を見ると、洋上に浮かぶ孤島に建築された巨大な施設があった。

 

『ふん…小生意気にも、用心の為に陸から離れた支部にしたってか。あれを建築するために使った金も、一体どこから奪って手に入れたのやら』

 

 通信士の憎しみの籠った言葉にも全く反応を示さない。

 そのような些事に一々反応するように作られていないから。

 

『分かっているとは思うが、脱出の際は拡張領域内に収納してあるステルス装置を使用しろ。お前の為に人員を割く余裕なんて全く無いんだ。こうやって現場まで運んでやっただけでも感謝するんだな』

「はい。ありがとうございます」

『…まぁいい。降下タイミングはそっちに任せる。お前が離れた瞬間、輸送機も緊急離脱する。後は好きに暴れろ。手段は問わん』

「…了解」

 

 右足を前に出して、それから体全体を空中に放り出す。

 パラシュート無しの状態からのスカイダイビングをしながら、その目は目標だけを見据えていた。

 

「……ペイルライダー」

 

 そう呟いた途端、彼女の身体が青白い光に包まれた。

 足元から順番に鋼鉄の装甲に包まれていき、あっという間に少女の全身がライトブルーのISと化した。

 俗に言う『全身装甲(フル・スキン)』と呼称されるタイプのISだ。

 まるでロボットのような姿になっているが、頭部バイザーの奥から覗くツインアイタイプのカメラから覗く目が、辛うじてそれがISであることを示している。

 

「…任務開始」

 

 PICを起動させてから空中で静止した後、拡張領域内からハイパー・バズーカを展開、装備した後に最上階である五階の窓ガラスに狙いを定めて引き金を引く。

 自分達が襲われる事なんて全く想定していないのか、弾は僅かにぶれながらも目標へと命中、爆発する。

 そうしてからようやく、施設内で緊急アラートが激しく鳴り響き、中にいた女達が慌て始める。

 

「ファーストフェイズ…クリア。これよりセカンドフェイズに移行する」

 

 バズーカの直撃によって大きく口を開けた場所から堂々と侵入しながら、装備をバズーカからブルパップ・マシンガンへと変更。

 マシンガンは両手に持ち、安全装置を解除してから施設内を進み始めた。

 

「ア…ISっ!? なんでここにっ!?」

「し…知らないわよ! それよりも、早く格納庫に行くわよ! あそこには私達のISがある! あれさえあれば、こんな奴なんて簡単に……」

 

 それが女の最後の言葉だった。

 目の前でベラベラと喋っている間に、少女はマシンガンの照準を合わせていて、一瞬の躊躇も無く引き金を引いた。

 女は一秒も経たずに上半身が跡形も無く消し飛び、挽肉となった。

 

「イヤァァァァァァァァァァァァッ!? た…助けてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 目の前で起きた惨劇に顎が外れんばかりに大叫びをし、綺麗に磨かれている床に小便を漏らした。

 年甲斐も無く漏らした事なんて気にする暇も無く、連れの女は震える足を必死に動かそうとするが、そんな隙を少女が見逃すはずがない。

 

「助け……だずげ……」

 

 グシャ

 

 連れの女は頭をペイルライダーの足に踏み潰され、後には血と共に脳漿がぶちまけられた哀れな死体だけだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 最上階から下に降りるようにしながら少女…コード80は進んでいった。

 勿論、その途中で何回も遭遇する女性権利団体の女達を容赦なく皆殺しにしながら。

 

「ISはまだなのっ!? 早く来なさいよぉぉぉぉぉっ!!」

「来るな! 来るな! 来ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「まだ死にたくない! 死にたくないぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

 怒号と悲鳴。

 それらが入り混じりながら、女達は一人、また一人と確実に殺されていく。

 青い衣を纏いし死を運ぶ騎士によって。

 

 一人はマシンガンで粉々に、一人はスパイク・シールドで貫かれ、また一人はビーム・サーベルにて焼かれながら真っ二つにされた。

 

 次々と死体の山が築かれていく中、コード80は一階にあるISの格納庫へと到達する。

 そこにはどこからか非合法な方法で手に入れたと思われる量産型のIS『ラファール・リヴァイヴ』が三機並んでいて、辛うじてここまで逃げ延びる事に成功した女達がラファールに搭乗しようと試みていた。

 

「あはははははは! これよ! これさえあれば、あんなISなんて…」

 

 嬉々とした声を出しながらラファールに手を伸ばそうとした女は、一瞬で背後に追いついたペイルライダーのビームサーベルの一閃にて首から上が消し飛び、切断面が焼け焦げる匂いと共に死体が崩れ落ちた。

 

「第二世代型量産型IS『ラファール・リヴァイヴ』を確認。回収の必要ありと判断」

「ま…まさか、ここへの襲撃はISを奪う事が目的ッ!? そうはさせるもんですk…」

 

 叫んでいる暇があれば一刻も早く搭乗すればよかったのだが、叫んだ女はペイルライダーの両腕部に内蔵してあるビーム・ガンにて蜂の巣となる。

 格納庫に残されたのはもう一人だけ。

 だが、ここで残された一人は目の前で二人も殺されたことで恐慌状態になってしまい、その場に腰を抜かして座り込んでしまった。

 

「ひ…ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!? こ…殺さないでぇぇぇぇっ! 助けて! だずげでぇぇぇぇぇぇぇっ! おがあざぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」

 

 涙を鼻水、涎や小便も出しながら、この場にいない母親に助けを請う。

 だが、そんな物があるわけも無く、泣き叫ぶ女はその大きく開けた口にハンドグレネードを無理矢理に噛まされ、その体を軽々と持ち上げられた後に格納庫の出入り口に向かって全力で投げられる。

 

 ISのフルパワーで何も装備していない生身の人間を投擲なんてしたらどうなるか。

 体はその衝撃に耐えられずに、障害物に叩きつけられた瞬間に全身の骨が粉々になりつつ、砕けた肋骨が全ては胃へと突き刺さり、更には衝撃によってハンドグレネードが爆発、その肉体は木端微塵になる。

 そこで、コード80にとって望外の幸運があった。

 

 どうやら、先程の女達と同じように格納庫へと集まっていた他の連中が入り口付近にいたようで、そいつらが纏めて爆発に巻き込まれる形で死亡した。

 これで一気に数を減らせたコード80は、施設内の生体反応を捜索する。

 

「……屋上?」

 

 残った反応はたった一つだけ。

 それは屋上にあり、何かに乗り込もうとしているようだった。

 

(…成る程、ヘリポートか。ならば)

 

 マシンガンを収納し、その代わりに一丁のライフルを取り出した。

 検知した生体反応を確認しつつ、サブグリップを展開してライフルを両手で構えた。

 その際、ちゃんと出力を最大にしておくことも忘れない。

 

「ターゲット確認。ビーム・ライフル…発射」

 

 引き金を引くと、一筋の閃光が各階の天井を次々と撃ち貫き、簡単に屋上にまで到達。

 緊急脱出用の一人用ヘリに乗り込もうとした支部長の身体を貫通し、即死させた。

 

「殲滅完了。後は……」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 施設上空。

 コード80はその手にスイッチのような物を握りしめ、親指を押し込む。

 すると、巨大な爆発と共に施設は破壊された。

 

「任務完了。ラファール三機を回収。ステルス発動の後に帰還する」

 

 爆発音を背にしながら、ペイルライダーは青い閃光を残して消えていった。

 

 死を司る第四の騎士は止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は原作キャラを登場させる…かも?

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