INFINITE STRATOS ~The Fourth Knight of Death~   作:とんこつラーメン

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ホワイトライダー&ブラックライダー公開&キット化決定。

後はレッドライダーを待つのみ。








New jockey wings

 デュノア家に泊まった次の日。

 葉月は今日もまたアルベールと一緒にデュノア社ビルにある地下開発室へと向かう。

 アルベールが専用パスコードを入力し、防衛用の分厚い扉が開かれた途端、もう既に中にいた研究員たちが目の下に隈を作りながら二人を歓迎してくれた。

 

「おはようございます! 社長! ハヅキちゃん!」

「ハヅキちゃんの事を待ってたよ!」

「君に見せたい物があってさ! ほらほら、こっちに来てくれ!」

 

 朝っぱらから元気いっぱいの彼らを見て、アルベールも葉月も目が点になり呆けてしまう。

 どうして彼らこんなにもテンションが高いのだろうか?

 

「お前ら…まさか、昨日は寝てないのか?」

「「「当然!」」」

 

 なんでそこで『当然』なのか。

 

「他国の機密満載のISを触れるなんて滅多にないのに、その修理と強化まで出来るんですよッ!?」

「これで興奮しない技術者はいないですって!」

「昨日、二人が帰ってからずっと俺達はペイルライダーの修復&強化プランを考えてたんですから!」

「そ…そうですか。けど、余り無理はなさらないでくださいね?」

 

 流石に、自分の機体のせいで他国の大企業の技術者が倒れたとあっては、ドイツの威信にも関わるし、なにより罪悪感が半端じゃない。

 そんな葉月の心境を知ってか知らずか、無精髭を生やし白衣を着た研究員たちは涙を流して喜んだ。

 

「うぅぅ…女の子から心配して貰えた……」

「俺達の事を本気で案してくれてる女の子なんて、シャルロットちゃんぐらいだったしな……」

「彼女も今となっては代表候補生になって忙しくなって、滅多に会えなくなったし……」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ! すっごいやるき出たぁぁぁぁぁっ!!」

「はぁ……」

 

 無理をするなと言った矢先にやる気を出されては意味が無い。

 もう自分の言葉は届かないと思った葉月は、大人しく諦める事にした。

 

「というわけで、早速で悪いけど、君のペイルライダーの話をさせて貰ってもいいかな?」

「あ…はい。お願いします」

 

 急に仕事モードに切り替わった彼らに少し驚きつつ、葉月は彼らの傍にあるモニターに目をやる事に。

 そこには、昨日調べたペイルライダーの現在の状況が表示してあった。

 

「昨日も説明をしたと思うけど、君のペイルライダーはかなり酷い状態だった。通常なら即座に全身をオーバーホールしなくちゃいけないレベルでね」

「けど、ペイルライダーの場合は現場での応急修理などを最初から想定している構造になっているのか、全体のパーツの殆どに統合整備計画で使用されているユニバーサル規格のパーツ群が使われていた」

「そのお蔭で、こっちでも十分な修理が可能になった訳だ」

「流石に、ドイツに戻ってから改めてオーバーホールをした方がいいけどね」

 

 モニターを何回も切り換えながら細かい説明がされていく。

 葉月はそれを一字一句漏らさずに聞き入れ、詳細に記憶する。

 自分の愛機にして分身とも言える存在の事に付いてなのだ。

 聞き流すような事だけは絶対にしてはいけない。

 

「だから、修理自体はそこまで苦労せずにやれる。そこは安心してくれ」

「はい。ありがとうございます」

「…で。本題はここからなんだけど……」

 

 『本題』の話にはいると、途端に彼らの顔がワクワクし始める。

 強化プランを考えていたと言っていたが、一体どんな事をする気なのだろうか?

 技術者ではない、一介のパイロットでしかない葉月には全く想像が出来なかった。

 

「これが、俺達の考え付いた強化プランだ」

「といっても、そこまで派手にする訳じゃないけどな」

「やり過ぎは却ってISの性能を落とす事に繋がりかねない」

「だから、ペイルライダーの短所を補うような形で強化することにしたんだ」

 

 そういってモニターが切り替わると、そこには僅かではあるが姿の変わったペイルライダーの強化後を想定した姿が3Dで描かれていた。

 

「まず、他の部位と比べても僅かに薄いと感じた肩部に増加装甲を追加して、重量増加による機動性低下を防ぐ為に装甲背部にスラスターを設置した。計算上では、これによってペイルライダーの機動性と運動性は元のスペックよりも約1.25倍増えるとされている」

「おぉ……」

 

 肩部の防御力が低い事は葉月も常日頃から密かに懸念していた。

 他の部位とは違い、ペイルライダーの肩部にはこれといったギミックは存在しておらず、それ故に他よりも装甲が薄くなっていた。

 だが、その脆弱な部分を補えるばかりか、機動性と運動性まで上げてくれるとは。

 至れり尽くせりとはまさにこの事か。

 

「これだけじゃないぜ。今度はバックパックの方に注目だ」

 

 モニター付近にあるコンソールを操作して、画面内にあるペイルライダーが後ろを向く。

 そこには、以前までには存在しなかったパーツが装着されていた。

 

「ペイルライダーってアレだろ? 俗に言う『強襲型』ってカテゴリのISだろ?」

「そうですね。なので、本来ならばバックパックに装着されて常にエネルギーをチャージし続ける筈のビーム・サーベルも、最初から柄の部分にあるエネルギーCAPに予め必要なだけのエネルギーを溜めこむような形になっていますし」

「やっぱりな。じゃないと、サーベルの柄を腰部に設置するなんて真似はしないだろ」

 

 伊達に大会社の技術者をやってはいないということか。

 まさか、実際の動いている姿を見なくてもペイルライダーの特徴の一部を見抜いて見せるとは思わなかった。

 

「強襲型って事は、継戦能力がお世辞にも高くは無いって事だろ?」

「はい。ペイルライダーはその機動性による強襲によって速やかに目標を制圧、もしくは殲滅し、その後に戦線離脱をすることが基本コンセプトになっていますから」

「けど、毎回毎回そう上手くいくとは限らない。時には長期戦を強いられることがあるかもしれない。そんな時の為に、この二基のプロペラントタンクを取り付けたのさ」

 

 それは、バックパックの下部に装着されている二基のエネルギータンクユニット。

 葉月もこれと同型のタンク自体は見たことがある。

 あれ一本で量産機のISのエネルギーの約半分を補えるぐらいの量が入っている筈だ。

 それが二本もあるという事は実質的に総SEが倍になったに等しい。

 

「これで、ペイルライダーは長期戦にも十分に対応できるようになった筈だ。強力なビーム兵器だってバンバン使えるぞ」

「それは非常に有り難いです。一応、ビーム・ライフルなども有りはしますが、その威力故にエネルギーの消費量は中々ですからね。頻繁に使えずに、基本的にはバズーカやミサイル、マシンガンなどを併用して節約を図っていました」

「実弾兵器には実弾兵器の良さもあるけど、強力な一撃を余裕を持って使えるに越したことはないしな」

 

 パッと見は簡素な強化に見えるかもしれないが、実際に操縦する葉月からすれば非常に有り難い事ばかり。

 しかも、これでペイルライダーの各部にある装備用のアタッチメントは全く損なわれていないのだから恐ろしい。

 長所はそのままに、短所を見事に補う強化。

 もう感嘆の声しか出なかった。

 

「フッ…流石はお前達だな。実に合理的な強化プランだ」

「どうも。最初は調子に乗って改造とかしまくろうとしてたんですけど、色々と話し合っている内にハヅキちゃんが使いやすい強化案にしようって事で話が纏まってきたんですよ。お蔭で、あっという間に一晩経ってました」

「それはいいが…もう一体のIS『イフリート・シュナイド』の解析の方はどうなっている?」

「そっちもちゃんとやってますよ。これを見てください」

 

 ペイルライダーの映像から切り替わり、今度はイフリート・シュナイドの全体図を写した画面に変わった。

 

「機体自体にはそこまで変わった特徴は見受けられませんでした。典型的な打鉄の改造機ですね」

「矢張りそうか……」

「武装の方も、実弾兵器のジャイアント・バズにショットガン。後は全身に装着されている小型のヒート・ダガーぐらいですね。射撃武器はあくまでおまけで、本命はこのヒート・ダガーっぽいですね。絵に描いたような超接近戦仕様のISですよ」

 

 説明して貰った事は、実際に搭乗した葉月も感じた事だった。

 だからこそ、ここで一つだけ付け加えられた。

 

「恐らくですが、あの刀身が短いヒート・ダガーは屋内での戦闘を想定した武装なのだと思います」

「屋内? それではまるで……」

「はい。イフリートを送ってきた相手は、あの日のあの時に私があの場所で戦う事を知っていた…という事になりますね」

「ふむ……」

 

 使用者である葉月の意見は何よりも説得力がある。

 だからこそ、彼らも一考する価値があると思うのだ。

 

「イフリートの中におかしな機構などは無かったのだな?」

「はい。念の為にコアの方も調べましたけど、ちゃんと登録してあるヤツでしたので……」

 

 どこからともなく未知の改造機を、あの場にピンポイントで送ってこられる相手。

 アルベールの頭の中には一瞬だけ『ISの開発者』の顔が過ったが、彼女が葉月を助ける理由が全く思いつかないので、すぐにその考えを振り払った。

 

「恐らく、イフリートに関してはこれ以上調べても何も出てこないと思いますよ?」

「そうだな……」

 

 危険が無いと分った以上、これ以上はイフリートに時間を割く訳にはいかない。

 今はともかく、ペイルライダーの修理を優先しなくてはいけないのだから。

 

「取り敢えず、イフリートはハヅキちゃんに返しておくよ」

「いいのですか?」

「いいもなにも、それは君に託されたISだろ? だったら、君がちゃんと持っておかなくちゃ」

「…了解しました」

 

 自分にはもう既にペイルライダーという専用機があるのだが、そこから更に二機目の専用機を持つなんて前代未聞だ。

 余りにも分不相応な事に申し訳ない気持ちになるが、今は自分以外に仕える人間がいないのもまた事実なので、仕方なく受取っておくことに。

 

「そう言えば、このイフリートは最初からセットアップされていたのか?」

「みたいですね。この機体の唯一おかしな部分がそれですよ。ハヅキちゃんのデータと思わしき物がインプットされていて、この子が使う事を前提にしてる感じでした。多分、他の人間が使うにはコアを初期化しないと無理でしょうね」

「ということは、事実上のハヅキくんの専用機…ということになるのか…」

 

 『マルコシアス』と書かれたキーホルダーを握りしめながら、自分の第二の専用機に付いて少し考える。

 今回のような万が一の場合には使えるかもしれないし、場合によってはペイルライダーの隠蔽にも利用できるかもしれない。

 使える物は何でも使う。それが自分の信条でもあり、同時に命令されている事を思い出した。

 

(いざという時には、あなたの力を使わせて貰いますよ…イフリート)

 

 その思いに反応するように、キーホルダーが光ったように見えた。

 気のせいか、それとも……。

 

「それじゃあハヅキちゃん。そろそろペイルライダーの修理に取り掛かろうか。ハンガーに機体を展開して立っててくれるかな?」

「分かりました。よろしくお願いします」

「任せてくれ。今回はこっちもマジで気合が入ってるからな」

 

 こうして、ペイルライダーの修理と強化を施す作業が開始されたのだった。

 

 

 

 




ペイルライダー(見た目だけ)空間戦闘仕様に。

まずは第一段階。

その後は勿論……?
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