プレシアさんの願いを叶えて見せると言った俺は早速行動に……と思ったらプレシアさんに引き止められた。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!私の願いを叶えるって、私の願いがどういう事か分かってるの!?」
「分かってますよ。一人娘であるアリシア嬢を生き返らす事ですよね?」
「なら分かるでしょう?死んだ人間は生き返らないのよ!!」
真剣な表情で俺を引き止めるプレシアさん。
「確かに一度死んだ者は生き返ることはありません」
「なら……」
「だからそこで逆の発想をするんです。“死んだ人間を生き返らす”事は出来なくても“死ぬ前と入れ替える”事は出来ると!!」
「は?……いや何を言って」
「GZ単体では並行世界の転移は出来ても時間軸の跳躍は流石に不可能でしたが幸いにもプレシアさんが教えてくれたジュエルシードと言う願いを叶えてくれると言う道具があるみたいじゃないですか。これを上手く使えばアリシア嬢が死ぬ直前の時間軸に跳躍する事が可能となるはずです。そうなれば現状で死んでいるアリシア嬢と死ぬ直前のアリシア嬢を入れ替えればプレシアさんは生きたアリシア嬢と再会できるじゃないですか!!」
「……いや、待って。お願いだからこれ以上私の常識を壊さないで欲しいのだけど」
俺の発想を聞いて引き攣った表情をするプレシアさん。
「大丈夫ですよプレシアさん。ジュエルシードは複数あれば事足りますから」
「いや、そうじゃなくてね」
「ちゃちゃっと行ってぱぱっと取り替えてくるだけですからすぐに終りますよ」
「だから、あのね私の話を」
「ジュエルシードならすでに捜索完了しましたからすぐに回収にいけますよ。やったねプレシアさん。これでアリシア嬢とまた生活できるよ。と言うわけで回収しに行ってきます」
「な、ちょっとまちなさ!?」
ヒャッハァァァーーー!!ジュエルシード狩りじゃーーー!!
プレシアさんの住居から転移して早速俺はジュエルシードを集めだした。とは言ってもすでに海鳴市の何所にあるかは捜索終了しているので1時間と掛からずに回収できた。その数15個。全部で21個あるらしいのだが残りの反応は出てなかったのできっとフェイトちゃんが見つけているのだろう。
見つけたジュエルシードを使って早速時間移動しようとGZに調べさせた所、このジュエルシード、生き物(・・・)が使用するとほぼ必ず失敗するようにできていた。
何故必ず失敗するかと言うとこのジュエルシード、使用者の願いを全て一度に(・・・)叶えてしまうからである。
どういう事かと言うとジュエルシードは使用者の願いを叶える時使用者の思考を読み取るのだが、この時使用者の無意識までも読み取ってしまうのが問題なのである。
生き物、とりわけ理性がある生き物は無意識の内に必ず何かを考えている物である。たとえ一つの思いに集中していたとしても心のどこかでは別の事を考えている物である。でジュエルシードはその無意識の思考も読み取ってしまいそれがノイズとなり本来の願いの邪魔となってしまい結果、願い事が歪んだ結果で叶ってしまうのだ。
ゆえに理性ある生き物ではこのジュエルシードで願い事を叶えることは難しいのだ。だがそれもGZ越しに願いを言えば問題は無い。GZが俺の願い事のみを抽出してくれるので無意識によるノイズは起きる事は無く安全かつ確実にジュエルシードを使うことができるのだ。
「と言うわけで、アリシア嬢をお借りしたいのですが」
「勝手に出て行ったと思ったら今度はアリシアを借りたいですって?ふざけてるのかしら?」
手に持った魔改造デバイスからバチバチと紫電を走らせにこやかに微笑むプレシアさん。目は笑ってなかったが。
「ふ、ふざけてなんかいないですよ。真面目に俺はアリシア嬢を……」
「なら聞くけど、どうして貴方はそこまでしてくれるのよ」
真剣な表情で問いただしてくるプレシアさん。
「私の体を治してくれた事やデバイスの改造、それにアリシアともう一度会えるかもしれない可能性を見つけてくれた事には感謝してる。ええ、これ以上ないってくらいに……でもね、そうする事に貴方にいったい何のメリットがあるって言うの!!これだけの事を何の見返りもなしにしてくれるなんて信じられないのよ」
確かに普通に考えればそうである。不治の病を治し既存の技術を超えた技術を見せ、死者を取り戻す。これらを無償で、見返りもなしにしてもらうなんて都合のいい話は無い。
「それに私はこんなにも優しくしてもらえるほどできた人間じゃないのよ。禁忌であるクローン技術に始まり様々な違法手段を使ってきてもう私の体は罪で汚れてるのよ。それなのに、それなのにこんな幸せな目に会うなんて許されないのよ!!」
そう叫ぶプレシアさんは目に涙を溜め震えていた。それを見た俺はプレシアさんを抱きしめた。
「な、にを……」
「プレシアさん。貴女はそんな事気にしなくて良いんです。どれもこれも俺がしたいからするんです。見返りなんて求めていないんです」
「でも、でも……」
「どうしてもと言うなら、プレシアさん。貴女の笑顔を見せてください」
「笑顔を?」
「俺は貴女の心からの笑顔を見たいから今までの事をしてきた。それなら良いでしょう?」
「アキラ、貴方って人は……」
プレシアさんの顔は涙がこぼれているもののとても綺麗な笑顔だった。
「プレシアさん、貴女は笑顔の方が素敵ですよ」
「……バカ」
しばらくの間抱き合いプレシアさんが落ち着いた頃、俺は時間転移の準備を始めた。
「ではプレシアさん、アリシア嬢を」
「ええ」
俺はプレシアさんから死んだ当時の服装をしたアリシア嬢を受け取った。
「では行ってきます」
「……」
「プレシアさん?」
「アキラ!!」
アリシア嬢を抱えた俺を後ろから抱きしめるプレシアさん。
「……無事に帰ってきて、お願い」
「……大丈夫ですよ。次に会う時はアリシア嬢と一緒ですから」
そして俺はGZに命令を出す。
「グレートゼオライマー!!ジュエルシードの力を使い俺をアリシア嬢が死んだ時間に飛ばせ!!」
回収したジュエルシードから眩い光が放たれる。光が消えた後そこには誰もいなかった。
「……アリシア」