私は帰還用目印防衛手段並び防衛力統括種、固体名は「氷室美久」といいます。
私の使命は私たちを創造なされた創造主様が再び帰還されるための目印とされたこの大木の防衛です。この大木には創造主様が手を加えられ周囲に漂う魔力や地脈を流れる魔力がこの大木に流れるようになされました。その結果たった数百年でこの大木はその規模を数十倍にまで大きくしました。
私たちはこの大木の防衛手段であり管理もかねています。なので大きくなったこの大木の手入れもしています。大木が生長するのに邪魔になる周囲の木や岩を突撃級や戦車級を使い切り開き大きく育ったこの大木に隅々まで光が入るように兵士級を使い枝の剪定させたりとなかなかに大変でした。
その様な生活をしていた中たまに何かに導かれたかのように人が紛れ込んでくる事がありました。初めて紛れ込んできた人間は兵士級や戦車級、突撃級を見て恐れおののきこの大木の根元まで逃げてきました。私たちは創造主様に「自衛手段以外の戦闘を極力しない」と命令されたいましたのでこの人間を攻撃するわけにも行かずとりあえず追い掛け回し疲労させた所を気絶させ人里近くに放り出そうとしたのですがこれまた何かに導かれるかのように大木の根元までたどり着いてしまいました。
こうなっては仕方が無いと私が出てこの人間を気絶させようとしたのですが私を見たこの人間は見た瞬間すぐさま私に跪きました。そして「ご神木の女神様」といいました。正直何を言っているんだこの人間はと思いましたがこの人間が跪き動かないので私は近寄り頭を撫でる振りをして頭部を掴みこの人間の首がもげないように手加減をしながら振り回しました。
結果、この人間は脳震盪を起こし気絶しました。気絶したこの人間を兵士級に運ばせて人里近くに捨てさせました。……それにしても私に「ご神木の女神様」といいましたか。私はただの防衛手段に過ぎないと言うのに。
この人間が来てから何故か定期的に人間が来て私と出会い私に気絶される、という事が起こるようになりました。まあ私に課せられた使命に反していないのでそのままにしていましたが何故ただの人間がこの大木までこれるのでしょうか?この大木があるところは山中深くにあり熊などの野生動物が沢山いると言うのに……。
後にわかった事ですがこの大木一定量の魔力を秘めている者が見るとこの大木の持つ魔力量に気おされそれこそ神にでもあったような錯覚を覚えるようです。そしてそんな中大木の中から女性である私が出てきた所を見て私を女神と思ってしまったようです。ちなみに最初に私とであった人間は後に神武天皇と名乗りその後あわられる人間達も綏靖天皇や安寧天皇、懿德天皇と名乗ったそうです。
人間達が定期的にくるようになって私は情報を集める事にしました。創造主様から課せられた「いかなる手段を講じてもこの木を守る」を実行するには情報が必要だと感じたからです。何れ人間達の総数が増えてきたらこの大木の事を狙ってくるかもしれません。
なので私は私以外の兵種の大きさを変えてこの付近一帯に広げました。私達が存在するのに必要な魔力はこの大木から供給され続けるのでとりあえず少ない数の10の16乗の数(単位で言うと京)だけ作りました。それと兵種達の姿も様々な姿に変えて送り込みました。これによって私が放ったという事に気がつくものはいなくなるでしょう。
この行動が後に日本中に伝わる妖怪伝説の始まりになりその結果人間達の恐怖から妖怪という種族が生まれ後々私がその妖怪の面倒を見る事となるのを私は知らなかった。
初めての人間が来るようになってから数百年が経過しました。数百年経過してもなお定期的に人が来て私に気絶されると言うのはすでに私の中の恒例行事となっていました。ただここ最近この大木に邪な思いを持って来ようとする人間達が増えてきました。この国中に放った兵種からの情報によるとその者たちは呪術師と呼ばれるこの国独自の魔法を使うもの達らしい。とは言っても最初の人間達以外ではこの大木の元までこれたものは一人もいなかった。なぜならこの大木の魔力を使用した人払いと認識変換の魔法を使用しているのでこれる事は一切無いのだ。それにこの大木の近くで破壊活動を使用ものなら即座に殲滅するようにしているので問題は無かった。そう無かったのですが……。
「そなたがこのご神木に宿る女神、でよろしいだろうか」
「……私がそう名乗った事は有りませんがここに来る人間はそう言いますね」
「それはそれは……。ですがそなたを見たものが女神と見間違えるのも無理は無い。そなたはそれだけ美しいのだから」
「貴方はわざわざそれだけを言いに人払いと認識変換の魔法を突破してきたのかしら」
「いやいや、私にもちゃんとした理由があって来たのだよ」
「理由?」
そういうとこの男は頭を深く下げてこういった。
「私にこのご神木の枝を分けてもらえないか」と。
その言葉を聞いた瞬間この男の周囲に私以外の全ての兵種が実体化しこの男の周りを取り囲んだ。それも周りの木々が見えなくなるほどびっしりと。
「……訳を聞かせてもらおうかしら」
周囲を完全に取り囲まれているにも拘らずこの男は動じる事もなく訳を話し始めた。
「私はこの国の都で陰陽師として使えているのだが、私が普段使っている呪術用の道具が私の力量に耐える事ができず良くて数回悪いと一回使っただけで壊れてしまうのだ。これでは私は陰陽師として仕事が出来ない」
「……」
「如何した物かと考えていた時、一つの噂話を聞いたのだ」
「噂話?」
「この国の歴代天皇は即位する際たった一人で深い深い山中に入りその際奥にそびえる巨大なご神木に宿る女神に出会う事が即位する条件、という噂話だ。その話を聞いた私は歴代天皇が見てきたご神木に興味が沸くのと同時にそのご神木を材料とした道具ならば私の力量にも耐える事のできる道具が出来るのではないかと考えた。そして国中を探し回りやっとの思いで見つけたのだ」
そこまで話して男は頭を上げる。
「だからどうか私に少しだけでいいのだ。このご神木の枝を分けてもらえないだろうか」
私はこの男の話を聞いて考えた。正直な所枝自体は1000年近く剪定している物が有るから渡す事自体は難しくない。だがこの男にこの大木の枝を与えた後が問題なのです。すでにこの大木に宿る魔力は膨大なものとなっています。そして枝にも同じことが言えるのです。枝一本だけでもかなりの利用価値が有ると言うのにその枝が1000年分、そしてその大木ともなれば確実に大木を狙ってくるものが現れるでしょう。すでに少ない数とは言えこの付近をうろつく物がいるのですから。
「正直な所、貴方に枝を渡す事事態は問題は有りません」
「なら「しかし」!」
「私が貴方に枝を渡す事に何の意味があるのですか?私は私を創造された創造主様から「いかなる手段を講じてもこの木を守る」と命じられています。仮に貴方に枝を渡した場合貴方の死後枝をめぐって争いが起こるでしょう。そしてめぐりめぐってこの大木を狙ってくるものが現れるでしょう。その様にさせないと貴方はいいきれるのですか?」
男は私の言葉に一瞬だけ怯みましたがすぐさま私に跪きこういいました。
「ならばこの私、安倍 晴明この名とこの魂、そして私が持てる全てを使い今後このご神木に群がるものを止めて見せましょう」
結局の所私は彼、晴明に枝を渡す事にしました。なぜならあの晴明と言う男この国の中心部においてかなり高い地位にいるようなのです。ですから私は使命にのっとり彼を利用してこの大木を守らせることにしました。まず彼の地位とこの国の天皇の発言力を利用しこの大木を中心とした半径数十キロ内をこの国の聖地にするよう仕向け、許可無くこの場所に入る事はこの国そのものを敵に回すようにしました。
さらに晴明以外の呪術師や陰陽師にはこの聖地を守る事が最上の誇りとなるようにも仕向けました。これでこの大木を守ることに無駄な労力を出さなくてもよくなりました。まあ、この大木の魔力を使用すれば質に目をつぶれば10の24乗ほどの兵力を用意できるので問題は無いのですが使命にのっとり使えるものは使いましょう。
こうして私はこの大木を守るのにこの国の人間を利用し守りを固める事に成功しました。これで創造主様の期待に応えられるといいのですが……。
次回、魔法使い襲来!