統一宇宙暦0年。人類はワープゲートを発見した。
そのワープゲートの研究によりワープによる超長距離の移動が可能となりその結果、数多の星域と星域がつながれる事となった。
これが後の大航海時代の幕開けとなる。
時はすぎ統一宇宙暦938年ドクツ第三帝国領域近辺。後に「第二次宇宙大戦」とも「千年王国始まりの日」とも言われる戦争の始まりはこの場所から始った。
「……ふぅ。これで今日の分の書類は終ったな」
吐き気を催すような書類の山を顔色一つ変えずに処理する少女。少女の名前はレーティア・アドルフ。ドクツ第三帝国の若き総統である。
「お疲れ様。レーティア」
「ん。ありがとうゲッべルス」
そんな彼女に温かい飲み物を渡したのは彼女を無名の少女から支持率100%を誇る総統にまでプロデュースした宣伝相グレイシア・ゲッベルズである。
「……ついにここまできたのね私たち」
「ああ……。やっとここまできたんだ」
二人は窓の外に広がる宇宙空間を眺めながら呟く。
レーティアが生まれ育った時代、ドクツは最底辺に有った。大勢の失業者に高まる税率。人一人が生きてくのがやっとという過酷な時代だった。
そんな時代に生まれたレーティアだったが彼女は他の人間とは違った。彼女は天才だったのだ。それこそ宇宙に名を残すほどの大天才であった。
だが彼女一人ではここまでの偉業をなす事は出来なかったであろう。彼女の影には彼女を支え励まし道を示してきた人物がいた。
その人物こそ無名のレーティアを発掘、コーディネイトし最終的に支持率100%を達成させた宣伝相グレイシア・ゲッベルスである。
「1年だ。あと1年後に私は、ドクツ第三帝国は世界に宣戦布告をする。そして世界を統一し、千年王国を作ってみせる」
「そうよレーティア。貴方なら出来るわ。なんたって私が磨き上げたんですから」
「ははは、確かにゲッベルスが私を磨き上げてくれなかったら今の私は居ないな」
「ふふふ、そうでしょそうでしょ。だからレーティア、次のコンサートにはこの衣装を「それは断る」……レーティアつめたーい」
二人が笑い合っていると突如船内にアラームが鳴り響いた。
「ッ何事だ!!ブリッジ報告しろ!!」
「そ、総統大変です!!艦の前方に巨大なエネルギー反応が」
「何だと!?」
「類似パターン反応!?そんな総統!!この反応はワープアウトの反応です」
「馬鹿な!!ここにはワープゲートは無いはずだ」
「転移反応増大!!ワープアウト、来ます」
「っく、各員衝撃に備えろ」
その言葉と同時に衝撃が訪れる。
「うわぁぁぁ」
「レーティア!!」
船内が激しく揺れ、処理した書類や家具が激しく動き回る。だがその激しい揺れはすぐに収まった。
「い、たたたた。ゲッベルス、大丈夫か?」
「わ、私は大丈夫よレーティア」
「そうか、それはよかっ……た……」
激しい揺れに襲われた直後ゲッベルスに抱きかかえられるように守られたレーティアが起き上がり最初に見たものはゲッベルスの服を捲くり上げそのその豊満な胸を鷲掴みにしている自分だった。
「レーティア、安心して私はどんな性癖の貴方でも受け入れるから」
頬を赤らめ息を荒くしながら呟くゲッベルス。
「い、いやいや違うだろゲッベルス!?これは事故だから!!」
「いいのよレーティア。最初は皆そう言うんだから」
「だ・か・ら!!違うって言ってるだろーー!!」
緊急事態なのにトチ狂った事を言うゲッベルスをシバキ倒して乱れた服装を整えてブリッジに急ぐレーティア。その顔には動揺の表情は一切なくドクツ第三帝国を統べる総統の顔だった。
「……ゲッベルス」
「なに?レーティア」
「その、ありがとう」
「フフ。どういたしまして」
ゲッベルスがトチ狂った事を言った理由。それはレーティアに冷静さを取り戻すためであったのだ。突発的な事に弱いレーティアを落ち着かせるためにゲッベルスはあえてトチ狂ったようなことを言ってレーティアをからかい少しパニックになった頭を普段の冷静な状態に戻したのだ。
……決して、ゲッベルスの心のうちにある欲望が溢れたせいではない。
「状況はどうなっている!!」
「総統!!」
ブリッジにたどり着くとオペレーター達が慌しくさまざまな計器を使い事態の把握に専念していた。
「ワープアウトの反応からして我が艦隊の前方に何かか転移してきたと思われますが転移時の衝撃のせいか計器が正常に機能せず今だに何が転移してきたかは分かっておりません」
「分かった。そのまま観測を続けてくれ。望遠カメラからの映像はどうなっている」
「映像のほうもまだ復帰しておりま「総統!!カメラが復帰しました!!画像出ます!!」」
タイミングよく復帰したカメラの画像がレーティアの正面に映し出される。
「なん、だ……これは……」
レーティア達の目に映ったもの。それはレーティア達が搭乗している戦艦を遥かに上回る大きさのコロニーらしき人工物であった。しかもそれが七基以上も存在していたのである。
「コロニー……か?いやだが転移可能なコロニーなんて聞いたことなんて……」
突如として現れた巨大なコロニーと思わしき建造物。レーティアが今まで見てきたコロニーを遥かに上回るその巨大さに圧倒されるも、すぐさま頭を切り替えて指示を出す。
「全艦隊に伝達!!こちらから手を出す事は禁じる!!いいかこちらからは絶対に手をだすな!!」
未知の存在にうかつに手を出すことを禁じさせるレーティア。彼女の頭はすでに常人では考えられないほどの速度で思考していた。これからどうするか、あれは一体どこから来たのか、研究してみたい、転移技術を手に入れたい、アイドル衣装はもっと地味なほうがいいな……、と一部雑念が混じっているものの彼女はいかにして部下と艦隊を無事に逃がすことを考えていたが。が、その思考が中断される。
「総統!!あの建造物から、通信です!!」
「何だと!?……通信開け」
謎の建造物からの通信。それはあの建造物には人がいるという事であった。
「通信開きます」
ブリッジにいる全員が息を呑む。そして通信が始まり画像が映る。そこに映ったものは……。
「次は何時会えるかって?ちょっと分からないです……。え?後ろの声は何だって?え、あ!!ちょっと、ちょっっっと待てくださいね、プレシアには関係の無い事ですから。何、浮気じゃないかって?いやいやいや、浮気なんてできるわけ無いじゃないですか……。だから落ち付いて、ちょ、ま……ぎゃああああああああ!!」
耳に端末を当ててなにやら弁解をしている男が電撃をくらっている姿だった。
「えぇ……」
こんな感じで始った大帝国の世界でのお話。
ぶっちゃけ、この世界のレーティアを協力者にするためのお話です。
なぜかと言うと今後のお話の展開の都合2割と、作者の趣味8割です(オイ