一部は捏造しております
レーティア率いるドクツ第三帝国の面々は緊張した表情で母艦のハッチ前に集まっていた。
つい先ほど会話していた、鈴木アキラと名乗る謎の人物に誘導されて、彼が率いる複数の巨大コロニー群のうちの一つに入港する事となったのだが、レーティアは入港したドッグの性能の高さに内心では興奮が止まらなかった。
(すごい、すごいぞここは!!見たことも無い設備があちらこちらにある!!それにこのドッグも一見シンプルな配置だが、機能性が見て取れるデザインなのは素晴らしい。ここだけでこれだけのものなんだ。中は一体どれだけの物があるというんだ!!)
部下から見ればこれから行われる会話に凜とした表情で向かわれると思われているが内心では新しく見たことも無い技術ハァハァなんて考えているのである。
そんな内心を見透かしたのは長年の付合いがあるゲッペルスのみであった。
「レーティア、本当に行くのね?」
「ッ、あ、ああ。もちろんだ。あちらの代表と話すのだからドクツの代表である私が話さなければ失礼だろう」
「それは、そうだけど……」
心配そうな表情を浮かべるゲッペルス。そんなゲッペルスを他所に、レーティアはフンス、と鼻息荒く自身有り気な表情であった。
「そんなに心配しなくても大丈夫だろう。見た感じ、裏があるような男には見えなかったからな」
「見えなかったからって、レーティア「それに」?」
ゲッペルスの言葉に言葉を被せるレーティア。
「危なくなったら皆が守ってくれるんだろ?」
笑顔と共に振り向くレーティアに敬礼と共に声を出す部下達。そんな姿を見てゲッペルスはため息を一つ。
「負けたわレーティア……ただ、危ないことはしないでよ」
「分かっているさ」
一度言い出したらやり遂げるまでは頑固なレーティアを知っているゲッペルスを他所にレーティアはハッチをあけた。
開かれたハッチから最初に目に入ってきたのは……。
「……え?」
大きな長方形の布にでかでかと「ドクツ第三帝国 大・歓・迎!!」の幕を掲げる四角い箱と紙吹雪を撒き散らす同じ四角い箱達であった。
「……ここ、は」
四角い箱達の歓迎を受けたレーティア達は箱の誘導に従いドッグを離れて歩き出す。そして着いた場所は巨大なリフト乗り場であった。
レーティアはここまでに来る間にさりげなく周囲を見て回っていたがどれもこれも天才である彼女の頭を刺激する物ばかりであった。内心興奮しているレーティアとそれを見てため息をつくゲッペルス達。
そんな彼女達が全員リフトに乗った事を確認した箱達のリーダーと思わしき赤く角付きの機体がリフト端末を操作する。ゆっくりとリフトが斜め上に上りだす。
数十人の人間が余裕で乗れるほどの大きさなのに機械音がまったくしないリフトに乗って付いた先で見た光景は、見渡す限りの草原とその先にある巨大な湖とその中心に聳え立つ西洋風の城であった。
「……」
この光景を見た誰もが声を上げれなかった。
ここは、宇宙空間にあるコロニーの中であるはずなのにそれを忘れてしまいそうな場所であった。頬を撫でる風は微かに草の匂いを含み見上げる空はどこまでも澄み渡る快晴である。
レーティア達が知っているコロニーとは何もかもが違い、そして何もかもが桁違いであった。
そんな中、レーティア達に近づく物があった。
「あれは、馬、なのか?」
ゆっくりと近づいてくる物の正体は、二頭の馬に引かれる馬車の集団であった。
「ほ、本物の馬なのか、これは!?」
近づいてくる馬を見て目をキラキラさせるレーティア。この世界では自然動物と言うのは限りなく希少な存在である。科学技術が発展した事により人類は宇宙へ進出していったが、それと引き換えに人類が住む惑星は汚れていった。
すべての惑星がそうではないが少なくとも本物の自然動物を目に見る機会はほぼ無い世界である。レーティアもそれは同じであった。
本物の自然動物に興奮するレーティアを馬車に載せてドクツ軍の一行は湖の中心に聳え立つ城に向かっていった。
馬車が近づくにつれて城の姿が鮮明になり、その姿にレーティア達は圧巻されていた。城の壁は汚れ一つない純白でありデザインも工夫が凝らされた物であった。
巨大な城に似合った巨大な門をくぐり城内に入る。城内にはよく手入れされたバラ園がありバラの香りが微かに漂っていた。そして馬車から降りた後赤い角付きの箱に案内されるがままに城の中を進んでいく。城の中はとてもシンプルな形であったが気品があふれている形であった。
案内されるがままに進んでいきそして一際目立つ装飾が施された扉の前まで案内された。
「ここに、彼がいるのか」
ゴクリ、と誰かが息を呑む。通信では気のよさそうな青年のように見えたがここまでの施設を複数持っているとなってはただの青年では無い。むしろ気のよさそうな青年と言うのはカモフラージュであるのだろう。
一度深呼吸をして扉を開く。
開かれた扉の向こうに見えたのは、長い長いテーブルの上座に座る青年そ姿が。
「……改めてはじめまして。ドクツ第三帝国の皆様方」
椅子から立ち上がり挨拶をする青年。
これが青年、鈴木アキラとドクツ第三帝国総統、レーティア・アドルフの出会いであり、この出会いがドクツの未来を大きく変える切欠となったのだった。