GZの空間転移で俺が作ったコロニーの一つに移動した俺と伊隅みちる大尉以下新人パイロット達。とりあえず付近にいたキューブ君に命令して彼女達をコクピットから降りてもらいその後彼女達の機体を修理、復元してもらう事に。
キューブ君を見た彼女達は驚いていたが俺が説明するとなんともいえない表情になっていた。降りてもらった彼女達にはとりあえずメディカルルームに移動して検査を受けてもらう事に。見た感じ酷い怪我をしている様子はなかったが見ただけではなんともいえないからな。それにしても彼女達のパイロットスーツ……なんであんなタイツ姿みたいなんだ?
彼女達がメディカルルームで検査を受けている間俺は食糧生産用コロニーから持ってきた食材で料理を作る事に。戦闘後という事で油物は控えてさっぱりした物を中心に作る事にした。ちなみに食材の品質は全てが特級品である。何せ管理しているのが疲れ知らずのキューブ君だから24時間365日、常に状態を監視しながら生産しているのだから品質は高くなる一方である。
あらかた作り終わった頃検査結果が来た。彼女達全員軽い打撲などがあった程度で重傷者は一人もいなかったようだ。ただ伊隅さんは全身を強く打っていた様なので使い捨ての治療ナノマシンを注射しておいた。これですぐによくなるだろう。
そんな風に考えていたら彼女達がキューブ君にひきつられて俺がいる食堂にやってきた。
「お帰りなさい。酷い怪我もなくてよかったですね。簡単ですけど食事を用意しましたから一緒に食べませんか?」
「あ、ああ……」
「どうしました?」
「いや、その……」
「まあ話は後でしましょう。でないとせっかくの料理が冷めてしまいますよ」
なにやら戸惑っていた伊隅さんですが気にせずに彼女達全員席に着いてもらい食事を始める事に。
「ウソッ!!このご飯本物なの……」
「このサラダの歯ごたえ、凄くおいしい」
「お肉が……おいしいよぅ……」
食事を始めたのだが何故か彼女達は一口食べる事に驚いている。中には泣きながらも口いっぱいにほお張る人も。はて?食材は特級品だが料理自体は普通のはずなんだが……
「あの、伊隅さん」
「……もぐもぐ」
「伊隅さん?」
「!!な、なんだ」
「彼女達はなんでこんなに驚いてるんですかね?」
「驚くのは決まっているだろう。ここにある全ての料理が合成食材ではなく本物の食材なのだから」
「合成食材?なにそれ不味そう」
どうやら俺と彼女達とでは食糧事情が異なるようだ。
「まあ、その話も食べ終わってからで」
「う、うむ」
「皆さんまだ料理はありますけどおかわり、いりますか?」
「「「「いります!!」」」」
その後彼女達は一人当たり3人前近く食べてなお食後のデザートまで平らげていた。デザートは別腹なんですね、分かります。(伊隅さんは5人前近く食べていた)
「お腹一杯……もう思い残す事なんてない……」
「デザート……お持ち帰りできないかな」
「……眠いよぅ」
彼女達がとても緩んだ表情で思い思いの事を口に出す。そんな中伊隅さんが姿勢を正して俺と向き合う。
「コホン……では話を始めようか。鈴木殿」
彼女の一言に緩んでいた表情だった部下?の表情が引き締まる。
「そうですね。とりあえずお互いにいくつか質問しあってその後に詳しく話をしましょうか。お互いに分からないことだらけですからね」
「分かった。では此方から質問しても?」
「どうぞ」
「ではまずここは一体何所なんだ?」
「ここは俺が作ったコロニー群の一つ工業生産用コロニー内です」
「コロニー、群?何処かの基地ではなく?」
「ええ、そうです」
「……」
「……?」
なにやら眉間に皺を寄せ始める伊隅さん。
「で、ではどうやってここまで来たんだ」
「どうやってって空間転移ですけど」
「空間転移?」
「簡単に言ったらワープですね。テレポートでもいいですけど」
「………」
「……?」
眉間の皺を手でほぐし始める伊隅さん。
「……では鈴木殿が乗っていたあの機体は」
「あの機体名はグレートゼオライマーっていいます」
「グレートゼオライマー……」
「性能としては単機で大気圏の離脱、突入が可能で太陽内部まで侵入しても揺るがないほどのエネルギーシールドを持ち装甲は核弾頭の直撃にも傷一つ付かなくてエネルギーも特殊なシステムのおかげでほぼ無尽蔵に使用ができ攻撃手段も伊隅さんも見たエネルギー波と次元連結砲--あの小さい生ものを吹き飛ばした奴ですね--を最弱兵装として装備してます。これでもまだごく一部の機能だけどね」
「…………」
「……?」
遂に頭を抱える伊隅さん。
「……それは本気で言ってるのか」
「本気も何も事実ですよ」
「……そうか、事実か」
何所か遠い所を見る伊隅さん。言っておいてなんだが流石GZパネェ。
「今度は此方から質問しても」
「あ、ああどうぞ」
「ではまず、あの生ものって何ですか?」
「生もの……BETAの事か」
「BETA?」
「BETAとは我々人類の天敵であり倒さなければ、いや殲滅しなければいけない敵だ」
「殲滅、ねぇ……じゃあ貴方達が乗っていたあのロボットは何なんですか」
「アレは戦術機と言ってBETAに対する切り札である人型機動兵器だ」
「切り札のわりにはやられてましたよね」
「……言うな」
「すみません」
その後もいろいろと質問したりされたりして分かった事は、この地球は俺がいた地球ではなくさらにBETAという地球外生命体によって絶滅の恐れに瀕している、という事だった。
空間転移をしたと思ったら平行世界に転移していた。GZマジでパネェ。
「っと、今貴方達の機体を修理していたキューブ君から報告が来ました。どうやら修理が終ったようです」
「修理が終ったってまだ半日と経っていないんだぞ。そう簡単に終るのか」
「なら見に行きましょうか」
食堂から移動して戦術機が修理された場所に向かう。其処で彼女達が見たものはスクラップ当然だった戦術機が新品同様になって並んでいる姿だった。
「なっ!!本当に修理されている……」
「破損が酷いのは一から作ったみたいですけどね」
「一から作っただと!!たった半日でか!?」
「この戦術機なら工場フルに使えば一日で千単位で作れますよ」
「せ!?」
「ああでも工業生産用のコロニーは後3基あるから実際は数千単位ですね」
「……」
絶句、という表情がよく似合う顔をしている。
「だ、だが資材が足りないし、人も格納スペースも無いだろう」
「資材はえっと……この戦術機ぐらいなら生産数を落せば十年分ぐらいは余裕でありますね。作るのはこのキューブ君なので24時間フルで製作が可能です。格納スペースはこのコロニー自体が全長で100キロあるので千や二千は軽く格納できますよ」
キューブ君の情報を見ながら応えたのだが伊隅さんは頭を抱えていた。
「…戦術機一体を作るのにどれだけの時間と資材がいると思っているんだ。それを千単位で作れる?生産数を落せばむこう十年は作れるだって?……私は夢でも見ているのか?それとも私はすでに死んでいてこれは幻だというのか……」
なにやら現実逃避していた。でもこの全長が100キロクラスのコロニーがまだ7基は有るって知ったらどうなるんだろう。
「そういえば伊隅さん。伊隅さん?」
「……ブツブツ」
「伊隅さん!!」
「な、なんだ!?」
「こっちに来てから結構な時間がたつんですけど所属先に連絡って入れた方がいいんですかね?俺何も連絡とか考えずにつれてきちゃったんですけど」
「……」
「伊隅さん?」
「し」
「し?」
「しまったあああぁぁぁぁぁぁ!!」
急に大声を上げる取り乱す伊隅さん。
「香月副指令に救援信号を出したままだったああぁぁぁ!!」
「ピアティフ、捜索部隊から連絡はないの?」
「……未だありません」
「そう」
香月夕呼は何度目か分からない捜索部隊からの連絡の確認を聞き沈み込む。
「……運がなかったのかしらね」
夕呼は今回起きた事に対して考えていた。“偶然”夕呼が渡したい物がある人物が“偶然”補給に来ていた新人パイロットが乗った戦術機の向かう先におり“偶然”手が空いていた伊隅大尉に護衛と称してそれを渡してもらうために付いて行かせた。
その結果が伊隅大尉を含む新人戦術機乗り全員の行方不明である。彼女達の進路上に突如として現れた千近いBETAの群れ。伊隅大尉から救援の信号を受けてから最速でA-01の隊員を向かわせるも其処にあったのはBETAの死骸とちぎり取れた複数の戦術機の手足だけだった。
現場に到着した隊員たちに周辺を捜索させ始めてすでにかなりの時間が経過していた。
「誰だったかしら、“この世に偶然は無くあるのは必然だけ”なんて言ったのは……これも必然って言うの?」
自身の気持ちを切り替え、未だ捜索をしている隊員たちに捜索を中止させようとしたその時、副官であるイリーナ・ピアティフ中尉から連絡が入る。
「香月副指令!!い、伊隅大尉から連絡が!!」
「すぐにこっちに回して」
「了解」
モニターに写ったのは紛れも無く伊隅みちる大尉本人だった。
「伊隅大尉、無事だったのね」
「ご心配をおかけしました。この通り五体満足であり、新人達も全員無事であります」
「そう……」
一瞬微笑んだが次の瞬間には真剣な表情に変わり姿勢を正して伊隅大尉に問いかける。
「では伊隅大尉、今まで何所にいて何故連絡が遅れたのか教えてくれる」
「その事なのですが私よりも彼からお話を聞いた方がよろしいかと」
「彼?」
「鈴木殿どうぞ」
そう言ってモニターから離れ次に写ったのは一人の男性だった。
「えっとはじめまして。伊隅さんたちを保護した鈴木アキラっていいます」
「貴方が彼女たちを助けたと」
「そうなりますね」
「そう。なら先に言わせて貰うわ。彼女達を助けてくれてありがとう」
「いえいえ。目に付いたから助けただけですから」
「それでも彼女達を助けてもらったのは変わらないわ。ならお礼ぐらい言うわよ」
お礼を言い終わった後気持ちを切り替えて本題に入る。
「では鈴木さん、でいいかしら。私は香月と呼んでいただければ結構です」
「分かりました。俺の事も鈴木で結構です」
「ではどういう経緯で彼女達を助けたのか教えてもらえるから」
「分かりました。俺が8年ほどかけて冥王星付近で作ったコロニー群を引き連れ空間転移で地球に戻った所、8年前と比べて赤茶けた地球になっている事に驚愕して地球表面を観測している最中に彼女たちが襲われているのを発見し、俺自身の専用機で彼女達を救助し俺が所持しているコロニー内に空間転移で移動させて治療を受けてもらいました」
「……」
「あ、ちなみに大破寸前だった戦術機は此方で整備、修理させて頂きましたので」
彼が言った事を理解できなかったのかまたは理解したくないのか眉間の皺をほぐす夕呼。
「……すみませんが伊隅大尉と変わってもらえるかしら」
「?分かりました」
言われた通り伊隅大尉に変わる。
「伊隅大尉。私は行方不明になった事は不問にするから本当の事を教えてくれないかしら」
「……その気持ちはよく分かりますが彼が言っている事は事実です」
「……」
「……」
お互いに嫌な空気が流れる。
「あの~香月さん。信じられないなら証拠、お見せしましょうか」
「え、ええ。見せれるものならね」
「では遠慮なく」
その言葉と共にモニターから消え去るアキラ。
「証拠って一体何する気なのよ」
「実際に会ってみるとかどうですかね?」
「あの男の話が本当なら今宇宙空間にいるのよ。どうやってこっち、に……」
夕呼は後ろから聞こえてくる声に気がつき恐る恐る振り返ると
「どうも」
今さっきまでモニター越しに話していたアキラがいた。
アレから混乱状態になった夕呼が落ち着くのを待ってから本格的に話し合うことになった。
「つまりあんたはこの世界とは別の冥王星から帰ってくる時にどういうわけか私達の地球に来てしまったと」
「そうなりますね。ホントビックリですよ8年ぶりに帰ったと思ったら並行世界に来てるんですから」
ハハハ、と軽く笑うアキラ。
「笑い事じゃないでしょうに」
アキラの態度に顔を顰める夕呼。
「まあ、俺の事は置いておいて。BETAの事なんですが」
「BETAが何よ。あんたの超技術で一掃してくれるとでも」
鼻で笑った夕呼だったのだが
「よく分かりましたね。俺が思ってたこと」
「……本気で言ってるの」
「本気ですよ。いや~8年以上一人で作業してるのってかなりストレスが溜まるんですよね~だからここはBETAを一掃してストレス発散しようかと」
「な、何がストレス発散よ!!BETAの数は千や二千じゃ無いのよ!?この地球だけで一千万以上いると言われるのよ!!たかだか一人でどうにかなるとでも「できますよ。俺とGZならね」なっ」
俺の言葉に驚愕するもすぐさま冷静さを取り戻す夕呼。少しの間だけ考えるようなそぶりを見せた後こう切り出した
「……あんたが言った事が嘘でも事実でもいいわ。其処まで言うなら見せてもらおうじゃないあんたの力とやらを」
挑発するように言ってくる夕呼に対して俺は
「望む所です」
そう返した。こうして俺はBETAを駆逐する事になった。さて8年もの間溜め込んだストレスの的になってもらうぞBETAども!!