俺とGZの異世界旅行記   作:マーシィー

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GZ様のご登場である!!



マブラブ無双 後編

 年が変わろうとしている12月某日。この日、佐渡島ハイヴ攻略のため帝国軍と極東国連軍の総戦力の半数を投入した最大規模の対BETA作戦が開始されようとしていた。

 その過去最大規模になるだろう作戦を前に香月副指令は自身の研究室で苛立っていた。

 

「……遅い」

 

 彼女が発した言葉に苛立ちの全ての理由が込められていた。

 

「もう作戦が始るのに未だに連絡の一つも無いってどういう事なのよ」

 

 椅子から立ちあがりウロウロと苛立ちながら歩き回る。

 

「“準備が終り次第連絡しますから”って言ってもう何日立ったと思ってるのよ!?遅いにも程があるわよ!!」

 

 彼女がアキラと会話してから1週間ほどの時間が経過していた。アキラは彼女と会話してから伊隅大尉たちを横浜基地に戦術機と共に送った後準備をしてくると言い残しコロニー群に帰っていった。

 

「私ができる範囲で作戦に参加できるように手配したのに当の本人が居なかったら意味が無いじゃない」

 

 ゲシゲシと机の角を蹴る彼女。どうやら余程イラついているようだ。

 

「もう、時間的に、今こられても、作戦開始には、間に合わないって言うのに!!」

 

 言葉を区切りながらどんどん机を蹴る勢いが強くなっていく。そうして何とかイラついた精神を落ち着かせた時狙ったかのごとく通信が入った。

 

「すみません、遅くな「遅いじゃないわよ!!どれだけ時間かけてるのよ!!もう作戦開始時間には間に合わないわよ!!」……」

 

 やっと通信を送ってきたアキラに対して烈火のごとく怒鳴り散らす彼女。

 

「いったいこの一週間何してたってのよ!?」

 

「すみません。月と火星にある全ハイヴのマップ作るのに思いの他時間が掛かってしまいまして」

 

「……は?マップ?」

 

「詳しいデータは後で送りますね。俺はこのまま戦場に行きますので」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!?」

 

 アキラは制止の声を無視して通信を切ってしまった。

 

「月と火星の全ハイヴのマップって……いったいどうやって作ったのよ」

 

 ありえない事を聞いて呆然とする彼女。

 

「あ、そうそう香月さん」

 

「な、何よ。戦場に行ったんじゃないの」

 

 通信を切って戦場に向かったと思っていたアキラが再び通信を寄こす。

 

「俺のコロニーにあまってる物資を送りますんで有効に使ってくださいね。では」

 

 再び通信が切れる。と同時に香月副指令の部屋に人が慌てて入ってくる。

 

「こ、香月副指令!!た、大変です!!基地の真上に!!」

 

「何よBETAが合体変形したとでも……」

 

「基地の真上に“巨大な戦艦”が現れました!!」

 

「ハァ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただいま佐渡島ハイヴの上空で隠れながら戦場を観測しているアキラです。香月さんは気に入ってくれたかな?直径1キロぐらいの補給戦艦にありったけの物資を積み込んでから横浜基地の上空に送り込んだけど、まあ物資は余り物だし補給戦艦も型落ちした古いのだからあのまま渡しても問題ないよね。

 さて作戦が始ったばっかなので死人は出ていないようですがすでに人類側が押されています。BETAの数は10万程にたいして人類側は戦闘要員意外も含めても1万に届かないのだから仕方が無い。

 そう思いながら何時介入しようか考えていたらとある場所で孤立している部隊を見つけた。無線を傍受してみたらなんとこの前伊隅大尉と一緒にいた新人達だった。……決めた。介入は彼女達の救出を切欠にしよう。

 でははじめようかな。グレートゼオライマーの蹂躙劇を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女達は全員ここで死ぬ事を覚悟していた。全員の戦術機は損傷は少ない物の弾薬が尽き掛け増援も期待できない状態だった。

 

 死を覚悟しているものの彼女達に悲壮感は無かった。なぜなら彼女達は本当ならこの作戦に参加するどころか生きてすらいなかったのだ。一週間程前に受けたBETAの突然の襲撃。その時に本来なら死んでいてもおかしくは無かったのだ。だが彼女達は彼に助けられた。さらに今の時勢では食べる事などできない本物の食材で作られた料理をお腹一杯に食べる事ができたのだ。ゆえに彼女達は最後の最後まであがき続ける。もう思い残す事無いといわんばかりに。

 だがそのあがきにも限界が来る。一人の戦術機の弾薬が無くなるのを切欠にギリギリ持ちこたえていた状況が崩れBETAの群れがに襲われる。誰もが死を覚悟した。だが彼女達はまたも死の運命から逃れられた。

 彼女達を死の運命から助け出したのは“彼”の声だった。

 

「デェッド・ロン・フゥゥゥーーン」

 

 全員が死を覚悟したその時聞こえた声。それと同時に周囲を包囲し止めを刺そうとしていたBETAを巻き込むように突如吹き荒れた巨大な竜巻。それはまるで生きているかのようにBETA“だけ”を巻き込んで彼女達の周囲で暴れまわった。

 巨大な竜巻にも拘らず彼女達が乗っている戦術機には一切の影響は無くただBETAだけを巻き込み吹き荒れていた。

 死を覚悟していた彼女達はこの光景についていけなかった。数tはあろう突撃級ですら巻き上げるほどの巨大な竜巻が目の前で吹き荒れているのに彼女達が乗っている戦術機には一切影響が無い。

 頭の処理能力を超える現実に少しの隙が死に繋がるBETAとの戦闘最中にも関わらず棒たちになってしまう。

 そんな彼女達に通信が入る。通信の相手はこの作戦の前にも一度助けてもらったアキラからだった。

 

「どうも、先日振りですね。大丈夫ですか?」

 

 まるで街中で会ったかのような調子で話しかけてくるアキラに上手く答えられない彼女達。

 

「……大丈夫のようですね。この竜巻はBETA“だけ”巻き込む要になってるので今の内に後ろの部隊と合流してくださいね。俺はまだここに用があるので」

 

 そう言って離れていくアキラに彼女達の一人が話しかける。

 

「ど、何所に行くんですか」

 

 その声にアキラは近くのコンビニにでも行くかのように軽く答えた。

 

「ちょっとここのハイヴを潰しに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝国軍の前線総司令部である、旗艦『最上』の艦長である小沢提督は戦況を見ながら額に深い皺を作っていた。

 

(……BETAの物量の前では我々人類は太刀打ちする事はできないのか?)

 

 この作戦は可能な限りの人員を集め過去に無い大規模な作戦だったにも関わらずBETAの大群の前に苦戦を強いられていた。

 

(すでに全体の一割近くが戦闘不可能になってしまっている。この状態でハイヴ攻略が可能なのか?)

 

 指揮官として表情には出さないものの内面では悲壮感が漂っていた。だがその悲壮感はこの後無くなるどころか吹き飛ばされてしまう事になる。

 

「て、提督!!モニターを!!」

 

「どうした、の……だ…」

 

 部下の一人に言われて戦況を映し出すモニターを見た小沢提督の目に映ったのは“雲に届くほどの竜巻がBETAを巻き込んでいる”映像だった。

 

「……」

 

「……」

 

 それを見た小沢提督と部下達は何も言え無かった。それもそうである。誰が想像できるだろうか、巨大な竜巻がBETAだけを狙ったかのごとく動き回りBETAを巻き込み突き進んでいる姿を。

 

「……あ、要塞級が巻き込まれた」

 

 部下の一人の呟きが司令室に響き渡った。

 

「……ハッ!じょ、状況報告!!」

 

「え、あ、はい。突如発生した竜巻はBETAを巻き込みながら……これは佐渡島ハイヴに向かっています!!」

 

「ハイヴにだと!?間違いないのか」

 

「間違いありません。このままなら後10分ほどでハイヴにぶつかります」

 

 部下からの報告に一瞬考え即座に指示を出す。

 

「あの竜巻がどのように発生したのかは今はおいておけ。今はこれに乗じて戦線を押し上げる。各部隊に通達!竜巻から逃れたBETAを駆逐しつつハイヴに……」

 

 小沢提督が各部隊に指示を出したその時、戦場に響き渡る程の大きな声が聞こえた。

 

「オメガ・プロトン・サンダァァーーー」

 

 その声と共に視界が真っ白になるほどの光が溢れた。

 

「……っく!?な、何が起こったというんだ」

 

 目を押さえ起き上がる小沢提督。

 

「な、そんな!?計器の故障か」

 

 そんな中部下の一人が声を上げる。

 

「どうした、何が起きた」

 

「B、BETAが、各戦線上にいたBETAの反応が消滅しました」

 

「バカな!!五万以上は居たのだぞ!!それが消滅したというのか」

 

 部下からの信じられない報告を裏打ちさせるかのごとく各部隊から報告が入り込む。

 

「提督、各部隊から正面のBETAが消滅した、との報告が」

 

「各部隊の戦術機の機器に異常なし。BETAの反応ありません」

 

「ハイヴ周辺以外のBETAの消滅を確認」

 

 部下から次々と寄せられる報告はどれもBETAが消滅した事を示す事ばかりだった。

 

「あのほんの一瞬で五万以上のBETAが跡形も無く消滅したというのか……」

 

 部下からの報告を半ば呆然としながら聞く小沢提督。其処に新たな報告が入り込む。

 

「て、提督!!大変です!!」

 

「今度はなんだ。BETAが空でも飛んだのか」

 

「い、いえ。BETAではなく戦術機らしきものが空に浮かんでいます」

 

「何だと!?」

 

 

 

 

 

 

 俺が今さっき放った攻撃の名前は周囲の物質を微粒子化する“オメガプロトンサンダー”。本来なら無差別攻撃の兵装なのにGZはBETAのみを対象として攻撃し、戦術機などの味方には一切被害を出さなかったのである。さすがGZやってくれるぜ。

 そんな風にGZのすごさを改めて実感していたら、なにやら通信が入ってきた。出所は……どうやらこの作戦の指揮官が居る戦艦からのようだ。

 

「聞こえているだろうか私は戦艦『最上』の艦長小沢である。聞こえているのならば応答を願う」

 

 どうやら彼がこの作戦の指揮官らしい。

 

「聞こえてますよ。こちらはグレートゼオライマーのパイロット、鈴木アキラです」

 

「グレートゼオライマー……いやそれよりも貴殿はいったい……」

 

 小沢さんが聞いて来る。それに俺はこう応えた。

 

「俺はBETAの敵ですよ」

 

 まあ敵って言うよりも八つ当たりの対象だけどな!!

 

「BETAの敵……」

 

「そうです。ですからこれよりこの先にある佐渡島ハイヴのモニュメントを先ほどのBETAと同じく消し飛ばしますのでその後の反応路確保にご協力お願いいただけますか」

 

「……」

 

 小沢さんは俺が言った事を理解できないようだ。

 

「まあ、口で言っただけじゃ信用できませんよね。だからお見せいたしますねモニュメントを消し飛ばす所を」

 

 そう言って通信を切る。切る瞬間なにやら言われたような気がしたが気にしない。さて消し飛ばすのはいいけどどれで消し飛ばそうかな……よし“月”にしよう。アレならこの場所からでも狙えるし見た目も結構派手だしインパクトは十分だろう。よ~し殺っちゃうぞ!!

 

「グレートゼオライマー!!Jカイザー発射準備!!」

 

 俺の掛け声と共にGZの背中に搭載されている砲台が分離し上空に舞い上がる。それと同時に両腰についているアタッチメントを前方に取り出し、分離した砲台と合体させる。

 そしていざ発射しようとした直後俺は多方向から光に包まれた。が、太陽内部にも侵入できるほどの防御力を持つGZの前には無意味だった。

 

「無駄!!無駄!!無駄ァァ!!GZの前では光線種の攻撃など無意味よ!!」

 

 そして未だに照射されている中俺は気にもせず攻撃を放った。

 

「BETA諸共吹き飛べ!!Jカイザー!!ファイヤァァーーー」

 

 光線種のレーザーとは比べ物にもならない程の大きさの光の柱がBETAをモニュメントを飲み込んでいく。そして光が収まった時BETAもモニュメントも跡形も無く消え去っていた。

 

 

 

 

 

 

 この日この時、佐渡島ハイヴ攻略作戦に参加していた全ての兵士達は目撃した。人類の町を国を陸をそして星をも食い荒らさんとする憎きBETAが住まうモニュメントが遥か上空より放たれた眩い光の柱によって元よりその場所に存在などしていなかったように消し飛んだのを。

 その光景を目にした者達は少しの静寂の後、心の底から腹の底から雄叫びを上げた。それはまぎれも無い歓喜の雄叫びであった。

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