突然現れた俺に驚いたもののすぐに気を持ち直すプレシアさん。そして場所を移して二人で話すことに。
「……それで、今日はどういった理由でここに来たの」
「そうですね。まずはこれを返しますね」
「これって……私のデバイス!?どうして貴方が?」
「いやこの前うっかり持ったまま転移してしまいまして……すみませんね」
「気がつかなかった私も悪いけど気がついたならすぐに返しに来なさいよ」
「すみません。そのデバイスの中に入っていた術式やらなにやらいろいろと見て弄っていたら遅くなってしまいまして……」
「術式を弄ったって何をしたのよ!!」
自身のデバイスが帰ってきた事にホッとしたが俺が言った言葉に恐れをなすプレシアさん。
「いやね、その中に入っていた術式なんですけど所々に無駄な所や改善できる所があったのでそこら辺を弄ってたんですよ。そうしたら弄る前と弄った後では消費する魔力は約10分の1ほどになりつつも威力や射程、連射性などが約5倍ほどに上がったんですよ」
「は?」
「さらにデバイス自体も外部部品や内部部品を勝手ながらにも変えさせてもらいました。外部部品は見た目を変えずにGZに作らせた特殊装甲を使用した物に変えさせてもらいました。この装甲は約10万度の熱でも変形する事は無くそれゆえに大規模術式を連続使用した負荷にも耐える事ができつつも重さは1キロ程度しかない優れものです」
「え?」
「内部部品も今まで使われていたコアを元にGZが作り上げたコアを使用しました。これは元となったコアの約100倍近い容量とそれに似合った処理能力を持たせているので術者であるプレシアさんには殆ど負荷が掛からないようになってます。あと改善した術式を全て入れても99.5%も容量が残っていたのでプレシアさんが言っていたリンカーコアのデータを元に作った外部魔力収集増幅型魔力炉「八卦炉」を俺が知っている量子化技術を利用して空いた容量の中に入れておきました。それでもまだ40%ぐらい容量が残ってますけど……」
「ま、魔力炉って……」
「外部魔力収集増幅型魔力炉「八卦炉」。これは名前の通り外部に存在する魔力を収集し、内部で爆発的に増加、増幅させる特殊な魔力炉です。計算上では外部魔力を1収集した場合約500ほどにまで増やす事が出来ます。ちなみに以前プレシアさんが最後に放った電撃の使用魔力を10と仮定すると50回は余裕で放てますね。あ、でも術式を改善したので使用魔力は大体1ぐらいなので500回は撃てますね。まあこれは外部魔力を1と仮定した場なので実際はもっと撃てますよ。1万回とか」
「……」
頭を抱えるプレシアさん。どうしたんだろう?ちょっとデバイスを弄っただけなのになんで頭が痛そうにしているんだ?
「どうしたんですか?頭が痛いんですか?治療は完璧だったはずですが……」
「……その、このデバイス、私に使えるのかしら」
「え、ええ。と言うかプレシアさん専用にカスタマイズしたのでプレシアさん以外では使用できませんよ」
「……そう、なの」
さらに深刻そうに頭を抱えるプレシアさん。
「あの、本当に大丈夫ですか?何ならもう一度治療を……」
「大丈夫だから。ちょっっっっと私の中の常識や理論がおかしくなっただけだから」
「そう、何ですか?」
しばらくの間、俺はプレシアさんが落ち着くまで待つことにした。
「あの、もう大丈夫ですか」
「ええ何とかね。もうそういう物だと割り切ることにしたから……」
そう言ったプレシアさんの表情は何所か儚い雰囲気だった。
「私が長年改良して完成させたはずの術式だったのに無駄があるからって改善したら、消費魔力が10分の1になって威力が5倍になるって何なのよ……それにあの魔力炉って私が失敗した魔力炉よりも高性能じゃない。それをデバイス内に収めるとかどういう事なの……」
なにやら小声でぶつぶつと喋っている。
「その~次の話に入っても良いですか?」
「次!?まだあるの!!」
「え、ええ……フェイト・テスタロッサと言う女の子の事なのですが」
「っ!!」
俺が言った言葉に反応するプレシアさん。
「その、子がどうしたって言うのかしら」
「……今日のお昼ごろ俺はその子に会いました」
「……それで」
「その子は10歳程度にも拘らず学校にも行かずにジュエルシードと言う高密度エネルギー結晶体を探していました」
「……」
「扱い一つで町一つを簡単に消し飛ばせるような危険物を一人で探していたようなんです」
俺の話を無表情で聞くプレシアさん。
「そしてそれを指示していたのは母親らしいのです……その母親の名前はプレシア・テスタロッサ、つまり貴方の事ですね」
「それを知って貴方はどうするの?」
「……
「何ですって」
「俺は近い内にこの
「……」
理由を聞いてプレシアさんは無表情で黙り込んでしまった。でも話したくないのはしょうがないか。俺が言った理由なんてただのわがままだからな。
それからしばらくの間無言の時間が流れた。そして俺が話せないで良いならいいです、と言おうとした時、プレシアさんが話し始めた。
「……ふぅ」
ため息を一つ。
「……貴方になら、話してもいいかしら、ね」
「プレシアさん……」
そうしてポツリポツリと話を始めるプレシアさん。
事の始まりは十年以上も前に遡る。当時プレシアさんはとても優秀な学者でありとある新型の魔力炉の開発に携わっていた。朝早くそして夜遅くまで研究をしていたらしい。そんなプレシアさんにはアリシアと言う一人娘がいた。まだ幼い一人娘を家に一人にさせている事に罪悪感を感じていたプレシアさんはこの新型の魔力炉の開発が終ったら学者を辞めて子育てに専念する気でいたが、それはかなわぬ夢となってしまった。
新型魔力炉の稼動実験が予定されていたその日、悲劇は起こった。
新型魔力炉が暴走、爆発し研究施設は火に包まれた。火災自体は研究施設の防火システムと迅速な消火活動ですぐさま収まった。だがプレシアさんに起こった悲劇はここからが始まりだった。
この日、研究施設には一人娘のアリシアが来ていたのだ。普段会えない母親に喜んでもらおうと少ないお小遣いを溜めて買ったクッキーを持ちそして母親を驚かそうと秘密にして来ていたのだ。だがその思いが通じる事は無かった。
研究施設が火に包まれた時、研究施設の防火システムにより防壁が降ろされたのだがその時アリシアは防壁と防壁の間の通路に閉じ込められてしまったのだ。そこは避難通路ではなかったのだが普段来る事のないアリシアが分かるはずも無く、そして火災が起きたとき周りに研究施設の職員がたまたまいなかったのが災いし研究施設内で迷ってしまい閉じ込められてしまったのだ。
そして研究施設の防火システムはプログラムに従い隔壁が降りた区域に二酸化炭素を放出した。これは火が二酸化炭素内では燃えることができない事を利用した防火システムだったのだがそれによってアリシアは呼吸が出来なくなり酸欠によって死んでしまった。
研究所の火災が収まってからアリシアがこの日研究所に来ていると知ったプレシアが見たものは苦悶の表情で息絶えたアリシアの亡骸だった。
絶望が、プレシアの体を包み込む。だが更なる絶望が彼女を襲う。
新型魔力炉の暴走は研究者の一人であったプレシアのせいにされたのだ。それはプレシアの才能に嫉妬した複数の人間がそう仕立て上げたのだった。さらにこの事を切欠に他の人間がしてきた悪事を背負わされ、ありもしない噂を流されてプレシアは心身共に追い込まれていった。
そうして表の世界から追放されたプレシアは自身から全てを奪っていった世界に絶望し、憎悪し、精神を病んでいった。
そしてプレシアは遂に禁忌に手を出してしまう。人造人間の製造。詰まる所クローン体の研究である。自身から全てを奪っていた世界から全てを奪い返すためにプレシアはその研究に手を染めていった。
その結果、生まれたのがアリシアのクローン体であるフェイトである。
プレシアは歓喜した。これで世界から奪われた物を取り返せたと、こんなはずではなかった未来を手に入れられたと。だがその喜びはすぐさま消え去ることとなった。
クローン体であるフェイトは元となったアリシアと同じ体を持ちながら、聞き手が違いふと見せる癖が違いそしてアリシアには無かったリンカーコアを宿していた。
最初こそどうにかしてフェイトをアリシアとして見ようとしたもののアリシアとして見ようとすればするほど違いがはっきりと見えてしまい、プレシアにはフェイトがアリシアではない別の者に見えてしまった。
そして完全にフェイトをアリシアと見ることが出来なくなってしまったプレシアはフェイトに暴力を振るうようになった。
きつく暴力を振るっても苦痛に耐えながらも自身を母親と慕ってくるフェイト。その姿を見てますます別の者に見えてしまい暴力を酷くするプレシア。
そんな中プレシアは偶然、本当に偶然にもジュエルシードという人の願いをかなえる事ができると言うロストロギアが発見されたと言う情報を手に入れた。そしてそのロストロギアに最後の希望を見出した。
“人の願いをかなえられるならば私のアリシアを蘇らせれるのでは……”
そのロストロギアに最後の希望を見出し手に入れようとしたが自身の事を省みなかった生活がたたりすでに自身では手に入れることが出来ないほどに体が弱っていてしまい止むをえずにフェイトにロストロギアを回収させる事にさせたのだった。
そしてフェイトを回収させにいった数日後に、プレシアは俺と出会ったのであった。
「……これが私がの過去よ。貴方は私の事軽蔑するわよね。一人娘の死を受け入れられずに娘のクローンを作りそして勝手な理由で暴力を振るう私の事なんて」
「……」
「フェイトに集めさせているロストロギアだって本当は必要なんかじゃなかった。心のどこかでこんな人生なんてもう疲れてしまってただ投げやりに回収を命じただけ。クローンであるフェイトを見てアリシアの変わりなんて作れないんだって理解してしまったから。でもその事に納得してしまったら私は本当に全てを失ってしまうと思ったの。だから出来るかどうかもわからない不確定要素だらけな今回の事を起こしたの」
上を見上げて何所か遠い所を見詰めるプレシアさん。
「これで貴方も心残りな事はなくなったでしょう。だから早くこの世界から出て行きなさい。そしてさっさと私の事なんて忘れてしまいなさい。私のような狂ってしまった人間の事なんて……」
そう俺に言うプレシアさんは目を潤ませながらも何所か儚くも優しい母親としての表情で微笑んでいた。
「プレシアさん。確かに話を聞く前の俺の心残りは無くなりました」
「なら早く……」
「そして新たに心残りな事が出来てしまいました」
「え?」
「プレシアさんの願い、俺が叶えて見せます!!」
俺は身を乗り出しプレシアさんの両手を持ち真面目な、真剣な表情でそう言い放った。
この作品でチートなのはアキラとGZ様だけだと思っていたらプレシアさんもチートになってしまった。
たぶん原作で第三期のフェイトが放つ最強の魔法をほぼ負担無しで連射かつ5倍以上の威力で放てるプレシアさん。
魔力消費はほぼ無く回りに魔力があればほぼ無尽蔵に魔力を作れ、AMF?高火力+連射でぶち抜きますが何か?を地でいけるプレシアさん。
リリなのの世界観でマジチート乙。