3、買い物の錬金術師
前回のあらすじ。
・前回を読んでね。
「服を買いに行こう。」
決闘イベントから大よそ二週間後。
来るべき使い魔品評会に向けて、ジャグリングの練習をしている俺を横目にルカが口を開く。
「確かこの学校って制服着用だろ?」
三着あれば十分だし、まさかサイズが会わなくなったのか?
俺的には女性の服はぴっちりしてた方が良いんだが。
「違うよ。
買うのはリューノスケ、君の服だ。」
…ああ、そういえばここに来てから一度も着替えてないな。
毎日錬金術仕様の高速洗濯術で洗ってるから目立った汚れはないはずだけど、流石に衛生上問題ありか。
「そんな訳で明日は虚無の曜日だからトリスタニアまで遠出しよう。
序でに作った鉱石何かを売りたいし。」
その言葉にふとルカの隣に置いてある大きな袋が目に入る。
曰く、ルカは貴族とは名ばかりの貧乏男爵家の次女であり、家は学費を出すのが誠意いっぱいな為、得意の錬金で作った鉱石を売って小遣いにしているのだとか。
現実的すぎて涙が出てくる。
ちなみにこの鉱石に関して俺は錬金術を使っていない。
何度も錬金しているルカなら微妙な鉱石の違いに気付くだろうし、正直言うと造形や速度はともかく、純度に関してはルカの方が俺より上手だ。
ちゃうねん、真理(笑)じゃなくて俺の修行不足が問題なんや。
まあ材料のレンガ運びは手伝ってるし良いじゃないか。
ルカが操る馬に乗って数時間。
ケツの痛さを覚えつつ、帰りも同じ手段なのかと顔を歪めることになったが、無事に王都トリスタニアに到着した。
「じゃあ先ずはこれ、売却所まで持って行こうか。」
「俺が持ってくよ。」
そこまで重くないとは言え、年下の女の子に荷物を持たせるのは気が引ける。
俺って現状ただのヒモだし。
「分かったよ。
でもスリが多いから盗られない様に気をつけてね。」
り、了解。
左の小脇に抱え、右腕で支え、背を屈ませて走り抜けると言う、まるでフットボールでもしてるかのような移動方法のお陰か、無事に盗まれる事なく鉱石を売却し終えた俺たちは、服を見繕うために服屋まで来ていた。
しかしルカって凄いな。
まだ16歳なのに、純度にケチを付けて来た業者のおっさんを完全論破して元値で買わせてたぞ。
あの年でどんだけ社会の荒波に揉まれてるんだよ。
最初の泣き顔は何処へ行ったのかと。
そのとき俺はと言うとコッソリ作ってたダイアモンドの装飾品なんかを売っていた。
そこそこの値段で売れて財布が潤いました。
ところで『荒波に揉まれる』ってなんかエロいな。
そんな訳で服屋の中。
ルカの見繕ってきた服を俺が試着するスタイルで買い物中。
「うーん…。
リューノスケってびっくりするほど白い服が似合わないね。」
うるせーよ。
こちとら小学生の頃から服は真っ黒一択なんじゃい。
オタクファッションとか言ったやつ表出ろ。
賢者の石の材料にしてやる。
結局、普段着ている服に似た服を二着、俺のポケットマネーで白い手袋を購入。
発火布じゃないよ。
そんな素敵アイテム服屋に売ってないから。
「まあ元冒険者なんだし、お金を持ってることに特に驚きはしないけど…。
なんで手袋?」
焔の大佐のコスプレがしたかっただけです。
そう言えば時系列的にピンク髪もといルイズとパーカー青年もといサイトがデルフリンガーを買いにトリスタニアにくる筈だよな?
ボチボチ面識持ちたいし武器屋に行ってみよう。
口実はそうだな…。
「ルカ、剣を買いに行きたい。」
「えっ? 何を唐突に。
確か拳銃だっけ?
自衛手段ならあれで十分過ぎると思うけど?」
「実は俺、剣も使えるんだよ。
銃は元々隠し玉だから牽制様に剣を買いたい。
金は俺が出すから。」
そう説得してみると、ルカはため息をついてから俺を見た。
「余り私を無礼るなよリューノスケ。
私の過失で君をこんな事態に招いているんだ。
身を守るために必要というのなら剣の一本くらい買ってやるさ。」
「お、おう…。
ごめんなさい。」
なにこの子、すげーかっこいいんだけど。
この空気で『いや、ほぼ100%俺のせいだからただの勘違いな上に、剣がいると言うのも嘘です。』なんて口が裂けても言えない。
「フーン…。
シュペー卿が錬金した鉄でも斬れる剣、ねぇ…。」
「へ、へぇ…。
その通りでございます貴族様。」
「リューノスケはどう見る?」
「刀身は金24.7g、銅11240.1g、その他不純物って 所か。
装飾品としては中々だがこりゃあ人を斬る剣じゃないな。」
原作知識と真理知識でそんなもんだろうと適当に言ってみる。
でも店主の表情的に図星なのだろう。
「純金製ですらないのか。
装飾用の剣に用はないし別のを探そう。」
店主に金ぴかの大剣を下げさせ、俺の体格に見合う剣を身つくろわせる。
その間に俺は店の周りに目をやり、ルイズとサイトの2人組がいないか見回す。
居ない、まだ来てないのか?
だけどもう午後の4時だぞ?
アニメだとあの時まだお昼時って感じだったんだが…。
あの剣がまだあるって事はキュルケとタバサ組も来てないって事だよな?
「ど、どうでしょう、このサーベルなんて軽くて使いやすいですぜ?」
「大総統のサーベルは大総統が使うからカッコいいんだろうが。
そして青銅製の武器とかいい加減にしろよ店主。」
弥生時代の祭具じゃねえんだぞ。
「す、済みませんでしたぁ!」
急いで別の剣を持って来ようとする店主を引き止める。
「所で店主、今日この店にピンク髪の貴族と青年の2人組が来なかったか?」
「へ? た、確か今日は貴方方以外は来ていませんが…。」
???
どう言うことだ?
確か使い魔品評会が来週の虚無の曜日だから最低でも今日の午前中にデルフリンガーを入手してなきゃおかしい。
しかし金の剣があると言うことは今日この時点まで少なくともキュルケとタバサ組はここに来ていない事になる…。
「ど、どうかしましたか?」
「…なあ店主、もう一つ聞くがこの店に『デルフリンガー』と言うインテリジェンスソードはまだあるか?」
俺がそう尋ねるとほぼ同時、
店の端からカチャカチャと言う金属音が聞こえてくる。
『おでれーた!
まさかお前さんオレッちの噂を聞き付けて、こんな辺鄙な武器屋まで訪ねてきたのかよ!?』
いきなり背後から聞こえた声にルカは少しだけビクッとなる。
俺は『どうしてこうなった』と言わんばかりに頭を抱える。
「えっ、まさかインテリジェンスソードか…?」
ええー、なんでデル公まだここにあるの?
じゃあサイトは未だに丸腰なのか?
あー…、考えるの面倒臭くなってきた。
元々俺は頭脳労働苦手なんだよ。
取り敢えず、俺がここで何とか修正しないとアルビオン編でバッドエンド待った無しだよな?
「店主、あれは幾らだ?」
「…へ?
そ、そうですねぇ。
新金貨100枚と言ったところでしょうか。」
「それはさっきの大剣の正当価格だろ?」
値切りをする時は怒らず焦らず笑顔を保てってばっちゃが言ってた。
その後、無事帰宅。
もう二度と馬には乗りたくない。
「と言う訳で宜しくなデルフリンガー(50ドニエ)。」
『あの…。
オレッち一応魔剣なんですけど…?」
「大根一本分の魔剣とは何とも頼りない…。
思わず店主に同情してしまったぞ。」
さてと、問題はどうやってデル公を渡すかだよな。
いきなり渡すのもなんか妙だし。
そして何でルイズは剣を買ってやらなかったんだろうか?
厨房内の噂ではギーシュには勝ったって聞いたけど…。
ま、明日にでも会って聞いてみればいいか。
かしわもち。