でも空中戦だけは勘弁な。   作:ぜんざい

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ぴらふ。


奪還の錬金術師

 

 

 

6、奪還の錬金術師

 

前回のあらすじ。

・でもあれって魔道書ないからデモンペインですらないですよね?

 

 

使い魔品評会の最中に起きた破壊の杖窃盗事件。

大半を破壊された棟を再建する為に土メイジたちが必死こいてる最中、犯行目撃者の俺、ルカ、デル公、ルイズ、サイト、そしてタバサは学院の教師陣に事情聴取を受けていた。

何故か居るキュルケはタバサの付き添い兼代弁訳だろう。

「はい、声の高さからして犯人は恐らく女性です。

もう一体のゴーレムのことは私は見ていないので分かりません。」

「ミスヴァリエールはその時広場に?」

「はい、あのゴーレムが現れる直前、確かにくぐもった男の声が聞こえました。」

あぶねー。

うっかり正体バレないようにアルの兜被っといて良かった。

 

「確か、『汝、無垢なる刃! デモンベイン!!』ってのが聞こえたな。

そんでもって盗賊のゴーレムを一方的に叩きのめした後、山の方へ行っちまった。」

「…、あの後、ゴーレムが向かった山へ行ったけど、後には金属類の山しかなかった…。」

と言うかあの場にタバサ居たんだな。

ゴーレムとのスーパーロボット大戦に夢中で全く気付かなかった。

 

「ふーん、じゃあそのデモンベインってゴーレムは差し詰め、フーケをぶっ飛ばした正義のヒーローって所ね。」

「ふむ…。

そのゴーレムも気になるが、先ずは『破壊の杖』を盗んだ土くれのフーケの捜索及び討伐からじゃな。」

「そう言えばリューノスケ。

私を会場に連れて行った後、デルフを預けて何処かへ走って行ったけど。

あの後何してたの?」

「確か、そのお陰で事件が起きたことが直ぐに分かったのよね。

やるじゃない使い魔さん。」

 

「そりゃどーも。

でも俺はあの後、敷地内に別の泥棒が居ないか確認しに行っただけだぞ?

複数犯なら一人が騒ぎを起こして、他が本命を盗むなんて良くあることだし。

まあそれも杞憂だったんだけど。」

「そうだったのか。

お主、なかなか頭が回るのぅ。」

「生憎、何の力もないただの平民なんでね。

責めて主人の代わりに頭を回して役に立たないとな。」

最近、嘘が自然にベラベラと出てくる自分が怖くなる。

脳筋設定とはなんだったのか。

 

「その通りね。

バカ犬、あんたも少しはあの忠誠心を見習いなさい。」

「へいへい…。

俺が庇ってなきゃ今頃ペシャンコの癖に。」

「何か言った?」

「いえ、何でもないですゴシュジンサマ。」

おっとラブコメは他所でやってくれないか。

アニメならともかく、実写のお前らがその掛け合いしてるとこ見るだけで俺は死にたくなってくるんだ。

 

 

土くれのフーケもといミスロングビルが部屋に入り、フーケの居場所を摑んだ旨を報告した後、学院長が破壊の杖奪還の有志を募る。

 

そんでもってルイズたちが志願した辺り。

 

「ホーエンハイム、貴女は不参加なの?」

「錬金しか使えないんだから居ても邪魔になるだけだろ?

…、リューノスケ、まさか志願したりしないよね?」

手をあげる直前に、ルカが言葉で制してくる。

「ああ。

大丈夫、戦闘には加わらないから。」

「そう、まあ止めないよ。

義理はあっても権利がないからね。」

「そうかい。

ありがとよ。」

 

改めて学院長の爺さんを見る。

「これ、破壊の杖奪還に成功したら何か報酬貰えるんですよね学院長?」

「うむ、盗まれたのは学院の宝物。

それを取り返したとあらば、学院と王宮よりそれなりの報酬が出るじゃろう。」

「なら志願します。」

 

「まさか報酬目当てで志願するつもり?

呆れた! 使い魔と言ってもやっぱり平民ね!」

「その通りだから言い訳はしない。」

「っ! 学院長!

こんな平民が居ても邪魔になるだけです!」

「お、おいルイズ、熱くなるなって。」

「何よ! 本当のことじゃない!

それに金で動く奴なんて信用できないわ!」

「…、犯人の使ったゴーレムは軽度に固めた土のみで構成された低コスト型。

よって修復が容易な為、斬撃による攻撃はあまり意味がなく、一撃で完全に破壊する必要がある。

反面、俺でも逃げ切れるほど動きが鈍く、攻撃時に硬化する一部以外は脆いため、広範囲の攻撃魔法や大砲などには弱い。

そして、主な構成物質はただの土なので、泥化させる水魔法が最大の弱点。

えっと…。

この情報は役に立たないか?

それに信用できないなら手でも縛れば良い。」

武器屋の時同様、アニメ知識と真理知識に加え、実体験から適当に言ってみる。

 

んでもってミスロングビルの方をチラッと見て真偽確認。

うん、当たってるっぽい。

まあ落ち着けよ。

下手すりゃ顔でバレるぞ。

 

 

破壊の杖奪還のメンバー。

ルイズ、サイト、キュルケ、タバサ、御者役のミスロングビル、そして両手が自由な俺は屋根のない馬車に乗って、フーケが潜伏しているという場所まで移動していた。

 

それにしてもサイトよ。

各属性持ちの美少女三人に囲まれてよく正気を保てるな。

流石はガンダールヴと褒めてやりたいところだ。

褒めないけど。

 

「ねえそこの平民。」

ルイズがしかめっ面で口を開く。

すげー嫌われてるな俺。

「俺はソコノ=ヘイミンでもナワナイ=ステタでもない。

せめてアオカワって呼んでくれ。」

「あんたなんて平民で十分よ。」

ヘイミン=デ=ジュウブンは流石に無理があるか。

 

次にサイトが尋ねてくる。

「なあ柳之介、なんで一目見ただけであんなに色々分かったんだ?」

「俺はルカの使い魔だぞ?

毎日の様に錬金を見てれば、ゴーレムの一体や二体、何で構成されてるかなんて一目でわかる。

ゴーレムの特性に関してはこの三週間で理解した魔法の知識、原理を材料にお前らの証言を合わせて推理した。」

まあ嘘だけど。

「…、すっごーい…。」

「フ、フフッ。

アオカワ君は、そこらの生徒よりも真面目に授業を受けていると、ミスタコルベールが絶賛していましたよ。」

そんな苦虫を噛み潰した様な顔で言われると照れるぜ。

 

「…、あの白いゴーレムは?」

「見てないから知らん。」

「…、 そう。」

 

 

その後、何もなくフーケの隠れ家に到着。

 

 

「それで、どうするの?」

「……。」

「どうする柳之介?」

「どうしましょうかアオカワ君?」

「何か案はあるかしら平民?」

「…、えっ。」

何この空気。

まるで俺が作戦出さなきゃいけないみたいじゃないか。

まあ戦闘する気無いって言った手前、作戦立てる位しかやることないんだけどさ。

いままで誤魔化し誤魔化しやってたけど、俺の前世は軍師じゃなくてただの学生だぞ?

 

「…、じゃあサイト以外は周囲の警戒してて。

サイトは俺と小屋の中に入って探索だ。」

「えっ、危なくないか?」

「考えてもみろよ。

あんな狭い小屋で馬鹿でかいゴーレム出せるわけないだろ?

それ以外の魔法が使えるにしても、詠唱する前に杖を取り上げるなり、気絶させるなりすれば関係ない。」

「詠唱を終えて待ち伏せしてたら如何するのよ?

考えが甘いわよ。」

「俺が土メイジなら、そんな余裕があったら、あんな圧倒的不利な場所、この前みたいに地面掘って逃げるなり、此処へゴーレムけしかけたりなりするけどな。

周囲を警戒してくれって言ったのはそう言う理由もある。」

本当はミスロングビルに対する警戒だけど。

因みにミスロングビルは非戦闘員扱いなので人質に取られないよう、周囲を警戒している三人の中心に居る。

一人足りないインペリアルクロスだと考えると一番危ない位置だけど。

 

「そんな訳で時間ねえからさっさと行くぞサイト。」

「あっ、おい待てって!」

 

 

数分後、埃に悪戦苦闘しながらも、『破壊の杖』が入ったでかい箱を見つけて外に出てくる。

「よっと。

破壊の杖ってこれだろ?

俺は破壊の杖の見た目知らないから多分だけど。」

そう言ってミスロングビルに中身のロケットランチャーを見せる。

「え、ええ。

確かに目録通りですね。

破壊の杖で間違いないようです。」

「えっ、これってロケットランチャーじゃねえの?」

「ハハッワロス。

どう見たってただの鉄塊だろ。

十中八九、フーケも盗んだは良いが、説明書が無いから使い方が分からなくてここに捨てたんじゃねえの?」

「お、おう…。

で、破壊の杖は取り戻した訳だけど、フーケはどうするんだ?」

「…、学院に戻る。」

「そうね。

リューノスケの言ってることが当たってるならもうここに居ないだろうし。」

「…、捕まえる気だったのに、なんだか釈然としないわね。」

現実なんてそんなもんだ。

 

 

あとミスロングビル。

顔がフーケの時になってます。

盗んだ罰として学院長に尻でも撫でられろ。

 




えびふらい。
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