新・ムゲン団(カロス)   作:産業革命

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最近忙しいのと、イベントの考察で時間が掛かりました。
シナリオは大抵思いつきです。


第九話

 世界には様々な英雄譚が存在するが、大抵の英雄譚は世界に平穏を齎したと語られ、歴史書には其の英雄の名と功績が記されている。

 勿論此のカロス地方にもとある王の英雄譚が遺されており、其の物語が記された石版には古代語でこう書かれている。

 

 『今は昔、カロスは戦乱が絶えない土地であった。』

 

 『此の地の王達はカロスを支配しようと数百年にも渡り相争い、其の為に数多の人々とポケモン達が犠牲となった。』

 

 『美麗な都市や森があった大地は戦火によって焼かれ、穏やかで豊かだった大海は荒れ狂う波と死の嵐で溢れ、光が優しく照らしていた大空は灰を振り撒く乱雲によって閉じ込められた。』

 

 『だが、ある一人の王によってカロスは統一され、人々とポケモン達は平和を取り戻したのだった。』

 

 『人々とポケモンは其の王を『大帝』と敬い、其の名と功績は永遠と語り継がれるであろう…。』

 

 カロス地方で育った人ならば誰もが聞いた事のある物語の一説だが、此の英雄譚で語られる『大帝』の名前は一切記されていない。

 残されている歴史書には『大帝』と書かれているだけで、其の人物の功績は記されているが、其の名はまるで禁忌であるかの様に空白となっている。

 

 しかし『大帝』の弟が記録し、其の子孫が所有していた書物には彼の『大帝』の名が記されていたらしいが、其の子孫と共に行方不明となってしまい、『大帝』の真名は不明のままだ。

 

 因みに其の『大帝』は、海の向こうに存在しているホウエン地方のある街に苗木を贈った、と記録に残されている。

 

 そして其他にも『大帝』絡みの気になる物語は存在するが、其れは何れ語るとしよう…。

 

 

 

 

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 〜十番道路〜 石柱群

 

 此処は古代の石柱群で有名であり、其れを目当てとした観光も盛んな程だ。

 そんな謎に包まれていた石柱群だが、現在ではある程度であるが石柱群の正体が判明している。

 嘗ての石柱はあの『最終兵器』の動力端末である事が、フレア団から押収された研究資料によって判明したからだ。

 あの石柱群はセキタイタウンに存在する『最終兵器』を中心として、まるで螺旋を描くかの配置されており、石柱にポケモンを貼付けると、其のポケモンの生命力が『最終兵器』のエネルギーとして送られるという危険な代物であった。

 だが、リーグ側の判断により一部の関係者のみに詳細が伝えられ、一般市民には其の情報は伏せられた。

 

 そんな石柱群がある十番道路に、少年はシャラシティを目指して自転車を漕いで進んで行た。

 ショウヨウシティを出立する前に自転車屋の店主から受け取った此の自転車は大変高性能で、聞けば店一番の上物との事だった。

 自転車屋の店主に感謝しつつ、少年は此処十番道路の風景を眺めていた。

 古代から聳え立つ見渡す限りの巨石の群れは圧巻の一言であり、少年が余り関心の無かった歴史についても少しだけ興味が湧いてくる。

 

 少年が道路脇に延々と並ぶ石柱を眺めながら走っていると、何処からか揉めている声が聞こえてくる。

 其の声が聞こえる場所に少年が来てみると、研究者らしい白衣を纏っている女性とムゲン団のTシャツを身に着けた男性が言い争っていた。

 少年を見付けた女性が少年に助けを求めると、男性は睨みつける様に少年と女性に目を向け、発掘した石版を渡せ、と女性に怒鳴る。

 身を竦ませた女性を庇う様に前に出た少年を見て、男性は面倒臭そうな表情をしながらポケモンを繰り出す。

 背後に庇った女性が不安そうに少年を見ると、少年は女性に安心させる様な笑みを浮かべて、男性に応じてモンスターボールに手に持つ。

 何かと少年に因縁があるムゲン団らしき人とのバトルが、また始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 少年が男性とのバトルにバトルに勝利すると、男性は悲鳴を上げて慌てながら去って行った。

 男性が去った事に少年が庵著していると、女性は少年に感謝の言葉を述べながら何度も頭を下げる。

 感謝もそこそこに、少年は女性に、何をしていたのか、と質問すると、依頼を受けて此処を調査していた、と女性は答える。

 聞けば、ポケモンリーグからの依頼で石柱群の調査をしていたら偶然にも物珍しげな石版を発見したらしく、持ち帰って調べようとしたら其の石版に目に付けた男性に追われ、其の男性に遂に追い付かれた所だった、と言う。

 其の言葉に、少年は女性が持つ石版に目を向けると、女性は其の石版を大事そうに抱え込み、少年にセキタイタウン迄護衛して欲しいと話す。

 どうやら先程の様な事を考えいるらしく、少年が其の要望に対して頷くと、女性は道中の暇潰しとして少年に此の地の考察を語り始める。

 女性の其の考察に、少年は古代の神秘に対する好奇心に溢れた眼差しをして、女性の話に時々相槌を打ちながら聞き浸る。

 

 

 

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 〜セキタイタウン〜 十番道路口付近

 

 夕暮れ時に少年と女性がセキタイタウンに辿り着くと、女性の事を探していたのか、女性と同様に白衣を纏った男性が声を上げて此方に駆け寄って来る。

 一瞬何事かと思った少年だが、少年の隣で手を振って返事している女性の様子から、どうやら女性の知り合いらしき人だという事が分かる。

 少年達の前で立ち止まった男性は、女性からの話で状況を把握したのか、少年に改めて感謝の言葉を述べた。

 そして、男性は御礼としてポケットから一枚のチケットを取り出すと、少年に其れを差し出す。

 男性によると、其のチケットはセキタイタウンに存在する資料館の入場券だそうで、女性が発見した石版も其処で展示される予定らしい。

 石版を守ってくれた御礼だと話す男性に、女性は強く頷く。

 そんな二人の気持ちに答え、少年は御礼をしながら其のチケットを受取る。

 少年がチケットを受け取った事を確かめた二人は、笑顔を浮かべて少年に別れの挨拶をすると、石版について楽しげに話しながら去って行く。

 研究者達が見えなくなると、少年は受け取ったチケットを大切に鞄にしまい、道中で体力を消耗したポケモン達を回復させる為にポケモンセンターに向かった。

 

 

 

 

 

 次の日、自転車の御蔭でそれ程溜まっていない疲れを癒した少年は、御礼の品であるチケットの資料館に訪れてみる事にした。

 資料館へと向かう途中、町の中心部に大きなドームが建っていたのが気になった少年が近所の住民に尋ねると、遺跡跡の大穴の保存施設兼研究所だ、と話す。

 其の住民の話によると、どうやら二十五年前に遺跡が陥没して出来た大穴の調査と研究がポケモンリーグ本部主導でされているそうで、一般人は立入禁止の区域となっているらしい。

 大穴というのを見たがる少年だが、立入禁止と聞いて素直に諦める。

 其後、時計を見て時間の経過に驚く少年は、話をしてくれた住民に御礼の言葉をして資料館に走って行った。

 そんな少年を手を振って見送った住民は家に戻り、壁に飾られている当時のセキタイタウンの写真に写る昔の実家に郷愁を感じていた。

 

 

 

 

 

 ドームについて話を聞いた少年は「セキタイタウン資料館」と記された建物に着いた。

 少年が受付にチケットを渡して入場すると、中には数多くの写真と解説文が書かれたボードが並んでいた。

 内容に関しては、セキタイタウンを取り巻く様に存在する石柱に関しての資料と写真が大半だったが、古代に使われたとされる武具や装身具、食器や壺等の陶磁器も展示されている。

 少年が其れ等の展示品を見ていると、昨日の女性が発見したらしい石版が既に展示されていた。

 研究者達が徹夜で古代語を解読したのか、其の石版の文章の意味が翻訳された解説板が置かれている。

 其の解説板によると、石版にはこう書かれているらしい。

 

 『此のカロスに平和を齎した『大帝』は、彼の愛するポケモンと穏やかな時を過ごした。』

 

 『人々とポケモンは共に助け合い、『大帝』の治世の下に平和を謳歌した。』

 

 『然し、其の平穏は長くは続かず、カロスは再び戦の嵐が吹き荒れた。』

 

 『戦乱により数多の人々とポケモンが死に、遂には『大帝』の愛するポケモン迄もが戦で亡くなった。』

 

 『愛するポケモンを失い悲嘆に暮れた『大帝』は禁忌を犯し、『命を与える機械』を創り出した。』

 

 『機械によって蘇ったポケモンは『大帝』の犯した過ちに悲しみ、『大帝』の前から姿を眩ませた。』

 

 『愛するポケモンから見限られた『大帝』は狂乱し、『命を与える機械』を『最終兵器』に改造して、此の世界を滅ぼした。』

 

 『彼の『大帝』は『破壊神』と成り、最早人では無く怪物へと成り果てた。』

 

 『今後、彼の人物の名は忌むべき物として、全ての記録に書き記す事を禁ずる。』

 

 どうやら此の石版は、カロスでは有名な『大帝』の英雄譚の其後を記した物であったらしい。

 続く解説文には「此の石版は大変貴重であり、是迄の『大帝』に対する常識を覆す歴史的な遺品だ。」と締め括られている。

 幼い頃に見聞きした御伽話の英雄の悲しい結末に少年は感傷的な気持ちになるが、自身が守った品の価値に対する驚愕の気持ちの方が大きかった。

 

 其後、資料館を一通り巡った少年はポケモンセンターに戻る事にした。

 少年が外に出る頃には日が暮れており、夕焼けに照らされた巨石の数々が更に大きく見えた。

 そんな石柱群を見た時、何故か少年は哀しい気持ちがした気がした。

 

 

 

 

 

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 〜セキタイタウン〜 郊外 遺跡跡

 

 二十五年前、此処セキタイタウンの地下にはフレア団の秘密基地が存在した。

 結果として『最終兵器』の暴発によって其の基地が崩落した事で、彼等の研究と目的は地下に埋もれてしまい、彼等の研究成果は殆ど分かっていない。

 そして秘密基地には複数の出入り口があり、フレア団にしか知られていない場所という物が存在する。

 

 そんな地元の住民ですら寄り付かない場所に存在する出入り口に、一人の少女が訪れていた。

 今は夜であり、通常ならば警官に呼び止められる様な時間だが、こんな辺鄙な場所を見回る様な警官はいなかった。

 夜空から月光が照らす中、遺跡に見える様に巧妙に偽装された出入り口の鍵を開け、少女は中に入って行く。

 『最終兵器』の爆発と二十五年の歳月を重ねた内部は大分崩壊していたが、少女はニ体のポケモンを出して、片方には灯りを灯させ、もう片方には障害物の掃除をさせると、奥に向けて歩き出す。

 

 軈て少女はとある部屋の前に辿り着き、既に動かない扉を壊して入ると、其処には一つの結晶が保管されていた。

 其の結晶は仄かな光を放ちながら、空中で静かに佇んでいる。

 少女は其の結晶を丁寧に鞄の中に仕舞うと、直ぐに其の場を立ち去って行く。

 

 

 

 

 

 

 少女が去った部屋には、『遺伝子結晶について』と題名が書かれている資料だけが、無惨に床に遺されていた。

 

 




感想・評価・お気に入りお待ちしております。

誰か書いてくれてもいいんですよ。本当、真剣で…。

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