新・ムゲン団(カロス)   作:産業革命

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頑張って書いてみました。


第二話

 当然の事だが、リーグに挑戦するにはルールがある。

 

 まず始めに、特定の道路を使用すること。

 これはトレーナーの安全保護のためだ。御隣の地方となるガラル地方のワイルドエリア程ではないが、野生ポケモンは危険であり、実力不足なトレーナーが被害にあう事は毎年のように起きている。その様な悲劇を起こさないように、という事だ。

 

 次に、チャンピオンリーグ開催期間までにジムバッジを八つ集めること。

 ポケモンジムは全部で八箇所在り、その全てを巡らなければならない。順番は決まっておらず、各々で一番近い場所を最初にする場合が多いが、稀に熱狂的なチャンピオンファンは、聖地巡りと呼ばれる巡り方をする。簡単に言えば、ハクダンシティからスタートし、エイセツシティを最後のジムとする事だ。

 

 最後に、他人に迷惑を掛けない事。

 極々偶にだが、他人に迷惑行為をはたらき失格になる人がいる。ポケモンや金品の強奪は犯罪であり、過激な迷惑行為も公共の福祉に反する。

 勿論、リーグは防止の為に監視員を配備しているが、未だに迷惑行為をする人がいる。例えば、反社会的勢力や人間至上主義者等だ。

 

 

 

 

 

 そして今、リーグはこの問題に直面していた。

 

 

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 〜カロスリーグ〜 チャンピオン執務室

 

 貴方が想像するチャンピオンとは、一体誰だろうか?

 

 地方や時代によって異なるだろうが、此のカロス地方では、少年の父親である一人の事を指す。

 そのチャンピオンは就任以来無敗を誇り、而もカロスの英雄の一人である事も重なり、爆発的な人気は留まるところを知らない。

 

 

 

 そんな少年の父親は今、ムゲン団本部の代表者を務める四天王から、とある報告を受けていた。

 

 「『ムゲン団を名乗る集団による事件が多発し、被害届が多数出ているが、偽装集団による可能性大』か…。これは本当か?」

 

 「はい、チャンピオン。ムゲン団の複数の団員から聞き取り調査を行い、エスパーポケモンでの調査でも同様の結論が出ています。また、監視カメラ映像による顔認証でも、団員に一致した者はおりませんでした。」

 

 「そうか…。市民には注意喚起を行い、リーグから監視員を増やすしかないな。それと、各ジムリーダーには、追加情報があれば、直ぐ此方に通達するようにと伝えてくれ。」

 

 「了解致しました。それと…別件ですが、トレーナーが所有するメガストーンの強奪事件が、度々発生しているようです。」

 

 「またか…。分かった、この件は僕の方で処理しよう。犯人は相当な手練だと予想される以上、誰かに任せる訳にはいかない。」

 

 彼はそう答えると、直ぐに部屋を出て行く。

 そして部屋には女性だけが残り、此処にはいない元部屋の主のことを思い、今は亡きあの方のことを想い、そして彼女達の悲願について考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

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 〜二番道路〜

 

 あの運命の出会いから数刻後、少年は少女の教えによって、初めて野生のポケモンであるヤヤコマを捕まえる事が出来た。

 

 この時既に少年は、少女の事が気になり始めていた。          

 簡単に言えば一目惚れというやつだ。

 少女の何処か悲しげで儚げな雰囲気の中に、時々魅せる笑顔が、とても好みだったのだ。

 

 その様な夢現な少年に、少女は「貴方は何処に行くの」と聞く。

 少年が「ハクダンジムに。」と答えると、少女は何処か遠い目をしながら、何かを呟いた。

 少年は聞こえなかったのか、不思議に思った様な顔したが、直ぐに気にするのをやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、もしその呟きが聞こえていたら、未来は少々違った物になっていただろう。

 『あの始まりの日は…もう二十五年前なのね…。』という…。

 

 

 

 

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 少女は表の地位を捨て、裏から目的を達成する事にした。

 少女の表の立場で目的を達成するには、あまりにも難しいと思ったからだ。

 

 あの最終兵器はポケモンリーグ本部の管轄に置かれ、常に監視の目がついている。

 起動させようにも、電力とエネルギーが確保出来ずに失敗する事が目に見えている。

 少女の立場では、入ることは出来ても起動することが出来ない。

 あの事件は、リーグからの邪魔が無く、且つフレア団というカロス地方を牛耳っていた組織だからこそ出来たのだ。

 

 

 

 

 

 そこで、少女はある事を考え、実行した。

 

 まず少女は、自分が失踪を装った理由と目的を炎タイプの四天王である彼女に告げた。

 過去に戻り、あの方の最後の理想を実現しようと話した。

 そして彼女には、表の顔としてムゲン団の代表になってもらい、その立場を利用してとあるエネルギーを研究してもらうことにした。

 

 次に少女は、悠久の時を過ごした王に協力を頼んだ。

 王が創造したあの機械について詳しく知り、この体質を治したいと語った。

 彼には真の目的を告げずに表向きのメインプランとして体質の研究、サブプラン(という名の真のメインプラン)としてこの体質を無くす為という目的で、体質操作の方法と過去転移への機械の制作をしてもらうことにした。

 

 その次に少女は、既に弟子達に研究所を譲ると決めていた博士の家を訪ねた。

 博士の後悔である彼を止められなかった事に付け入って、過去に戻り正しい選択をしようと唆した。そして彼には、エスパーポケモンの研究で特定の時間に転移する方法を探してもらうことにした。

 

 最後に、彼女は自分の同士を探すことにした。

 世界に絶望し、破滅を望む者。

 取り返しのつかない失敗をし、やり直しを望む者。

 未来を不安視し、過去という不変を望む者。

 社会から弾き出され、暗い道しか歩めない者。

 

 このような者達を集め、少女は彼等を裏のムゲン団とする事にした。

 

 彼等の協力もあり、遂に過去転移計画はあと一歩という所まできていた。

 

 

 

 

 

 組織での活動に余裕ができ、少女はメイスイタウンに来ていた。自然溢れるこの街で、少し休憩しようとしていた。

 

 そんなカフェのテラス席に座る喪服の様な服を着た少女に、周囲の人々はチラチラと好奇の眼差しを向けたが、少女は気にしていなかった。

 何故なら、少女の視線の先に、見覚えのある服を着た少年が見えたからだ。

 まるで、あの頃の好敵手の生き写しの様な少年は、橋を渡り二番道路に走って行ってしまった。

 その様子を呆然として眺めていた少女は、急いで代金を支払うと二番道路に向かって行った。

 

 

 

 それが運命の悪戯か何かなのかどうかは、当人達しか知らない。

 

 

 

 

 

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 ハクダンの森と三番道路を抜け、少年と少女はハクダンシティに辿り着いた。

 此処で二人は別れ、少年はハクダンジムに向かう事になる。

 

 そんな別れ際に、少年は少女に問い掛ける。「また会うことは出来ないか?」と。

 少年としては、気になる女子の前だということで、結構緊張し勇気を振り絞ったのだが、そんな様子が少女には可笑しく思えた。

 クスッと笑うと、少女は微笑んで「えぇ、勿論。」と答える。

 

 そして少女は、一つのタマゴを少年に手渡す。

 少年は驚き、本当にいいのかと少女に問い掛ける。

 その質問に対し、少女はこう答えた。

 

 「コレが生まれた時、また会いましょう。」

 

 そんな言葉を残し、少女は少年と別れていった。

 少年は少女の後ろ姿を眺め、名残惜しそうにしながら、タマゴを抱えてポケモンセンターに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

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 〜ミアレシティ〜 ミアレタワー ムゲン団本部

 

 ハクダンシティで少年と別れた少女は、ムゲン団本部で団員から報告を受けていた。

 

 「そう、『愚者』が裏切ったのね。」

 

 「申し訳ありません、総帥。我々の真の目的を知り、それならば協力出来ないと言って転移装置を破壊しようとした為、戦闘となり逃げられました。現在は捜索中です。幸い、転移装置は無傷であり、計画に支障はございません。」

 

 「ならいいわ。それで、他に報告は?」

 

 「はい。『博士』による転移時間の設定に関する問題は解決致しました。しかし、主要エネルギーである無限大エナジーの収集と、予備エネルギーとして使用するメガストーンの収集が捗っておりません。」

 

 「そう…。なら『炎獅子』に研究を急がせて、他の幹部団員はメガストーンの収集を急がせなさい。」

 

 「了解致しました。それでは、失礼します。」

 

 団員が部屋から去り、少女は溜息を吐く。

 そして椅子から立ち上がり、街頭等で煌めく夜景を眺めながら立ち尽くす。

 

 考えると頭に思い浮かぶのは、あの少年。

 

 少女は、ハクダンシティで昼間に別れた時に、自身の相棒であるケロマツのタマゴを少年に渡した。

 今でも何故渡したのか、不思議でしょうがない。而も、再会の約束までして。

 自身の目的の障害になるであろう少年を、より強くするだけだというのに。

 或いは…。

 

 

 「私の事を、誰かに止めてほしいのかしら…?」

 

 

 そんな孤独の少女の疑問に答える声は、何時になっても聞こえなかった。

 




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