〜七番道路〜 バトルシャトー
七番道路はカロス地方ー長い道路であり、其の道中には様々な施設が存在する。
中でも、通称「バトルシャトー」と呼ばれる場所は非常に有名だ。
元々は貴族や王族が狩猟時に利用していた城であったが、現在は会員制のポケモンバトル施設として使われている。
其の場所はトレーナーにとっては一種の憧れの場所であり、其の憧れは海外に存在するポケモンバトル専用の施設にも匹敵する程だ。
其の理由として、世界的にも著名な、しかもチャンピオンクラスのトレーナーと対面する事が出来る、というのが大きな理由だ。
例を上げると、シンオウ地方の考古学者や、ホウエン地方の大企業の御曹司等の人物だ。
又其の理由以外にも、世界各地の大企業の会長や富豪の目に止まれれば、ポケモントレーナーとしての地位を確立出来るから、というのもある。
しかし其処の会員になる事自体が非常に難しく、非常に高額の入会金を支払うか、各地のジムリーダーや四天王、チャンピオンからの推薦を受けて入会試験に合格しなければ会員になる事が出来ない。
仮に会員になったとしても、今度は「爵位」という階級の壁が立ちはだかり、ある程度のポケモンバトルの腕前が伴わなければ、チャンピオン等に挑戦する事は夢の又夢である。
そんな場所である「バトルシャトー」に、宮殿で少女との逢瀬を楽しんだ少年は訪れていた。
無論入場するには会員である必要があるが、其の問題は父からの推薦状という形で解決した。
入会試験にも無事に合格し、少年は最初の爵位である「
其後数人の人々とバトルし、其の全てに勝利した少年の財布は非常に重くなり、少年は周囲の人々との価値観の相違に驚いていた。
少年が旅に出る時に、少年は両親からある程度の旅費は貰っているが、此処で得た金額は其れを遥かに上回る程の額だった。
此処に来る人物ともなると、大半の人は金銭的や社会的に裕福であり、又此処でのルールに、勝者に対する礼儀として最大限の敬意を払う、という項目もあり、ポケモンバトルの賞金は通常よりも高くなっている。
そんな周囲の人々の金銭感覚に少し困惑気味の少年に、一人の女性が声を掛ける。
少年が其の声に振り向くと、ムゲン団代表と書かれた名札を身に着けた、炎タイプの四天王を務めている女性が立っていた。
女性に声を掛けられた事に少年が疑問に思っていると、彼女は少年を少し見つめた後、何かに納得した様に首を振った。
そして少年に対して、少し話がしたい、と言い、テラスの方に歩いて行った。
其の後を追って少年がテラスに出ると、女性は優雅に椅子に座り、雌のカエンジシを撫でていた。
少年が対の椅子に座ると、女性はカエンジシを撫でるのを止めて少年に目を向ける。
緊張した面持ちで座る少年に、女性は少し苦笑すると直ぐに真剣な表情をし、少年に対して謝罪した。
急な謝罪に驚いた様子を見せる少年に、女性は、チャンピオンから話は聞いた、と話す。
五番道路で少年が巻き込まれたあの出来事に対し、本当のムゲン団ではないが、少年に対して迷惑を掛ける事をして済まなかった、と。
少年に対して心底済まなそうな顔して語る女性に、少年は、気にしていない、と言って励まそうとする。
そんな少年の様子に、女性は少し荷が下りた様な表情をして卓上の飲物を飲み、少年にも何か飲物を出す様に、と使用人に言って少年の分の飲物を頼み、二人で其れを飲みながら過ごした。
そろそろ帰らないと、と呟いた女性は最後に、直接会って謝る事が出来て良かった、と少年に言って席を立ち、カエンジシを連れてテラスから出て行った。
女性が去り、一人テラスに残された少年は女性が頼んだ飲物を飲みながら、ムゲン団について考えていた。
暫くして、少年が此の場所を出ようと思いエントランスホールに来た時、其処で多くの名前が刻まれたとある銘板が目に入った。
其の銘板が気になり、少年が近くの使用人に聞いてみると、どうやら「
世界でも一流のトレーナーの名が刻まれている其の銘板を少年が少し眺めていると、其の銘板に刻まれた一つの名前が目に付いた。
其の名前の人物は少年が生まれる前に失踪した元チャンピオンであり、少年の父親の同期で好敵手であった人物だった。
そして其の名前を見た時、少年は何故か、名前が違う筈のあの少女の事を思った。
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〜ショウヨウシティ〜 ショウヨウサイクル本店
ショウヨウシティは切り立つ崖と緩やかな海岸が存在する街で、其の地形からサイクリングでの風景を楽しむ観光が有名な程の景勝地である。
其の為、此の街では一年に一度大規模なサイクリングレースが行われ、世界からサイクリングに命を懸ける選手達が集まり活気を見せる。
そんなショウヨウシティに、少年は七番道路と地つなぎの洞穴を抜け、無事に辿り着く事が出来た。
地つなぎの洞穴の出口は街の高台に位置しており、少年の目の前には夕焼けに照らされている街並みと黄金色に煌めく大海原が見えている。
故郷では直接見る事の出来無い其の光景に、少年は旅に出た事を強く実感した。
そんな少し感傷的な気持ちになった少年だが、日が暮れる前には寝台に辿り着く為に、急いで市街地に続く坂道を下って行った。
暗くなる前に無事に寝床を確保した少年は、街中で少し気になる店を発見した。
高台からの坂道を下った先に、とある自転車販売店を見つけたのだ。
其の店の宣伝旗には「チャンピオン御用達の自転車!」と書かれたおり、店の前には件の自転車らしき物が展示されていた。
是迄の旅路で、少年は少し歩くのが億劫になりつつあったので、是非とも明日には見に行こうと決め眠りに就いた。
翌朝、旅の疲れを癒した少年は其の自転車販売店に訪れていた。
まだ朝早い時間に来た為、少年の他に客の姿は見当たらない。
少年が店内を暫し物色していると、店の奥から此の店の店主である男性が出て来た。
其の男性は少年の姿を見ると、目を瞬きしてから懐かしい人を見る様な目で少年に、いらっしゃい、と声を掛ける。
其後、少年がどの自転車を買おうか迷っていると、店主である男性が少年に声を掛ける。
「君は、チャンピオンの息子さんだろう。」と。
少年が其の問いに首を縦に振ると、店主の男性は嬉しそうに少年に語り掛ける。
其の話では、少年の父親の御蔭で此の店の売上が大きく上がり、今では念願であった支店を他の街に出す事が出来る程になり、少年の父親には非常に感謝しているそうだ。
其処で御礼と言っては何だが、少年に自転車をプレゼントしよう、と話す。
店主からの思い掛けない提案に少年は断ろうとするが、店主の男性は、未来のチャンピオンへの宣伝だ、と言い、少年に好きな自転車を選ぶ様に促す。
其処迄の好意を見せられ、流石に其の好意を無碍にするのは出来なかった少年は、父親と同じ車種の自転車を店主に注文した。
店主の男性は其の注文に笑顔を見せ、少年に、ジム戦が終わった頃に取りに来る様に、と言う。
少年が店主に感謝の言葉を言うと、店主は少年に応援の言葉を贈る。
其の言葉に勢い良く返事をした少年は、店を出てショウヨウジムに向かった。
其れを見送る店主は、少年の背中にチャンピオンと其の同期達の面影を見ていた。
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〜カロスリーグ〜 会議室
少年がショウヨウジムに挑戦しようとしていた頃、息子である少年と思わぬ再会をし、其の成長した姿を見て親として満足気な表情を浮かべていた少年の父親は、リーグに戻ると真剣な表情をして会議室に向かっていた。
そんなチャンピオンが会議室に入ると、其処には四天王やリーグの運営に関わる人々が席に座って待っていた。
彼等はチャンピオンに対して一度礼をすると、既に会議の準備を整えていたのか、チャンピオンが席に就くと直ぐに会議の議題について説明する。
そして全ての議題に対し、滞り無く対応策を決定した彼等は、今後起こり得る問題に対しての協議を始めた。
「五番道路の件ですが、警察からの情報によると彼等は何者かによって雇われた様で、トレーナーからポケモンを奪う様に命令されていた様です。肝心の雇い主についてですが、其の雇い主については何故か覚えていない、と供述しております。恐らくはゴーストかエスパータイプのポケモンによって記憶を改竄、若しくは消去されたと考えられます。」
「其の雇い主という何者かが、此のチャンピオンリーグを妨害しようとしている、と言うことか…。」
息子が巻き込まれた事件が、こうも陰謀臭い物になるとは考えていなかった少年の父親は、雲行きが怪しいと感じて其の雇い主について調査する様に命じる。
其の命令を受けたリーグ職員が、関係部署に電話を掛けて、調査人員の確保をしている。
同様の事件はカロス各地で起きており、実際にポケモンを奪われたという被害も出てしまっている。
二十五年前に壊滅したフレア団と同じ規模での活動に、少年の父親は動乱の雰囲気を感じていた。
そんな少年の父親は、息子の無事を祈りながら今後の指示を出す。
そんな少年の父親であるチャンピオンは、何処か遠い目をした四天王の女性の様子に気付かなかった。
会議が終わり各々が仕事に戻る中、一人会議室に残った女性は、総帥である少女にあるメールを送った。
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〜コウジンタウン〜 ムゲン団コウジン支部
コウジンタウンは水族館と化石研究で有名な場所であり、特に化石研究においては世界有数の研究所の一つである「コウジン化石研究所」が存在する。
此処で化石研究が発達したのは複数の要因がある、一番の理由として近郊に位置する「輝きの洞窟」があげられる。
此処で化石が発掘された事で調査が進み、今では複数の種の化石が新たに発見されていた。
そんな化石と水族館の町である場所に存在するムゲン団のコウジン支部に、少女は訪れていた。
『炎獅子』から、リーグの陽動を兼ねた偽装工作が成功した、という連絡を受け、次なる工作の準備をする為である。
其後何事も無く人員の手配が終わった少女は、海岸に移動して今後の展開と未来を想像していた。
コウジンタウンの海岸は水族館があると言うだけの事があり、砂浜では色鮮やかな貝殻が数多く存在し、水平線が見える広大な海は透き通って見え、多数の水生ポケモン達の楽園となっている。
そんな海岸から眺める海の景色はとても美しい筈なのに、微塵も少女の心は動かされず、其の目は、透き通る水の向こうに存在する深海の様に、深い紅を覗かせる色をしていた。
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