機動戦士ガンダムDRAGOON 『LAST STARDUST』 作:COTOKITI JP
《UC.0095 10/29》
サイド6より僅か離れた所にある暗礁宙域。
そこでは、誰も知らない間に小さな戦争が起きていた。
暗き宇宙を明るく彩る爆炎。
鉄が弾け、鮮血が舞うこの宇宙で1人の竜騎兵が定めに抗わんとしていた。
「アーサー!! 9時方向より更に3機!! 横っ腹を突いてくるつもりだ!!」
《オッゴ隊!!前に出すぎるんじゃねぇ!!》
スタークジェガンのミサイルの爆風がオッゴを襲う。
ロクな装甲を施していないオッゴは紙細工のようにひしゃげて爆散する。
《カシラ!!オッゴ隊が!! このままじゃ全滅しますぜ!!》
《分かっている!! オッゴ隊は弾を使い切り次第すぐに補給に戻れ!》
「連中! まさかデブリの中を突っ切って来やがるとは……!!」
暗礁宙域を回避するかと思われたクラップ級2隻はあろう事かそのまま全速力でデブリの中まで突っ込んで来たのだ。
クラップ級に追い付かれた末、敵MS隊による攻撃を受けこんな事になっている。
《も、もう駄目だ!! 数が多すぎる、これ以上は……!!》
「ツェザリ、下がれ!!」
ジェガンのビームライフルで右腕をもがれたギラ・ドーガは回避運動を試みるが今度はバックパックをミサイルで破壊され、動けなくなった隙に敵のスタークジェガンが肉薄を仕掛けた。
《ツェザリぃ!!》
「俺が行く!!アーサーはミドガルドを守れ!!」
ギラ・ドーガにビームサーベルで切り掛からんとしていたスタークジェガンにドラッツェの全速力で半ば体当たりのように突っ込んだ。
「バズーカ……直撃じゃ駄目だ!」
武装選択パネルを操作しバズーカの設定を開く。
設定でバズーカの弾頭の信管を着発から時限信管に切り替えた。
レンジファインダーが測定したスタークジェガンとの距離を元に時限信管の作動時間を自動で設定し、薬室に装填する。
「くたばれ肩パッド野郎!!」
バズーカを2発発射。
弾頭の信管は寸分違わずギラ・ドーガにビームサーベルを振り被ろうとしていたスタークジェガンの目と鼻の先で作動。
爆風と飛び散る破片によって体勢を大きく崩されたスタークジェガンは1度後退する。
「今の内だ!!ツェザリ、コックピットから脱出しろ!!」
呼び掛けるが、ツェザリはコックピットから出ようとしない。
爆煙の中から現れたスタークジェガンのビームライフルを間一髪で回避し、バズーカを乱射して追い払う。
運良く1発が当たったようで、左腕を失ったスタークジェガンが再び煙の中へと消えていく。
「何してやがる!! 早くそこを──」
《駄目だ……ハッチがグシャッて出れねぇ……》
ギラ・ドーガのコックピットハッチを見ると、あのミサイルの直撃のせいか、胸部装甲ごとひしゃげておりそこに人が通れるような隙間は無かった。
「待ってろ!! 今出してやる!!」
弾切れのバズーカを捨て、マニピュレータでギラ・ドーガのコックピットハッチをこじ開けようとすると、落ち着いた口調のツェザリが諭すように話し始めた。
《ザハール……もういい……》
「……!? 何言ってんだてめぇ!!」
無線機の故障か、ツェザリの声にノイズが走り始め、段々と彼の声が聞き取りにくくなった。
《きっと……今…で人を…し続け…来たツキが…てきただけだ……》
「馬鹿野郎!! てめぇがいなくなったら誰が中距離戦を担当するんだ!!」
この間に体勢を立て直したスタークジェガンは右手でビームライフルを構え、銃口をドラッツェに向けた。
アーサーのジムスナイパーIIは現在他のジェガンに気を取られていて援護が出来ない。
オッゴ隊は補給を終えたばかりの上に壊滅状態だった。
《いいや……お前なら出来るさ……お…と……その『ドラッツェ・ロケッター』なら……》
突然、ギラ・ドーガがドラッツェの左腕を掴み投げるように自分の後ろへ引き寄せた。
「何を……!?」
視界の端に映る光の奔流。
眩い光が迸り……
それはギラ・ドーガの胸を貫いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ハーレーン宙域。
そこに浮かぶ3隻の船。
本来ならば彼らはここで取引をする筈だった。
「連邦軍に追跡されていた為、取引は中止……か」
「カール少佐、如何致しますか?」
ブリッジに佇む男は鼻を鳴らすと副官の方を振り向いた。
「心配するな、あの小僧なら必ず生き残るだろう」
「あのパイロットをご存知なのですか?」
「知っている。 デラーズ紛争時、ウチの部隊に1人の
彼はデラーズ紛争時代からの古参兵だった。
今に至るまで様々な戦争で最前線を駆け抜け、多くの屍を越えて生き抜いて来た歴戦の猛者とも言えた。
「確か……『竜騎兵のザハール』なんて大層な渾名をよく聞いたな……」
如何にもな名前を口にした彼に、副官はどのような人物なのかと聞いてみた。
「会ったことがないから正確には分からん。 しかし、ドラッツェ1機でMS3個小隊とサラミス級8隻を相手に善戦したという話が有名だな」
「……! それは最早ただのエースパイロットでは……!」
「あの時、降伏したその連邦兵を捕虜として拘束したのは俺の部隊だ。 連邦兵乗り奴ら何て言ってたと思う?」
この場に用を無くした艦隊は回頭し、パラオへ引き返す航路へ進み出した。
「『誰も追い付けなかった。 誰も当てられなかった』だとさ。 そいつは怯えて半狂乱になってたぜ」
静寂の支配するこの宙域を3隻の船は去って行った。
今まで私のモチベを動かして来たのは一握りの感想と評価だけだ!