銀色の悪魔…4th Stage(プロジェクトD編) 作:SilviaSilvermoon
タイムリミットから逆算した日の翌日…さつきはNOTEで拓海の実家を訪れていた。
営業時間が始まって間もない頃を狙う。今日は平日…拓海は昨日の夜から仕事で九州に物を運んでいると言う。人気のない店の前に立つ…そして入り口の扉をカラカラと・・・横にスライドさせて奥に向かってご挨拶。
さつき『おはようございます!油揚げと絹ごし1丁くださ~い!』
文太「はいよ~ちょっと待っててくれい。…おっ、珍しいな。銀色の悪魔が買いに来てくれるなんて…。」
さつき『へへへ。噂には聞いてたんですけどね。豆腐と油揚げの味噌汁が好きなもんでね?どうせならおいしいモノ食べたいしね。』
文太「まあ…ホテルにウチは卸してたりするから味には自信…あるけどな。」
さつき『なら間違いないでしょうっていう前提で来てます。(ニッコリ)』
文太「言おうとしてる事も読まれちゃってるのかよ…敵わんな。それに…この前の遠征先の〇〇〇峠であいつが事故に巻き込まれたこと…もあってだろ?そんな予感はしてたけどな。」
さつき『いやぁ、俺も驚きましたよ。早上がりの日だったんで美奈子と碓氷のImpactBlueの2人を引き連れて応援に行く途中の八王子の高速の出口にそろそろ…って所で高橋 涼介から電話がかかってきて。でも、まあ2人とも、ウデを持ってるから本人は掠り傷程度で済んでるだろうけど…って正直思いましたけど、車は…俺があの後工場に見に行った感じではほぼ全損でもおかしくないと思います。それをホワイトボディーから起こそうとしてるんですから…全くすげぇっすよあの男…高橋 涼介ってヤツは。ただFDもだけど…86のパーツのストックがほぼ欠品らしくてね。俺が思いついた京都の86専門店に連絡してみたんですけど、どうしても3つパーツが揃わなくてね。その入荷が正直1か月半以上かかるかもって言われたんで…。』
文太「いや…正直それを聞いて驚いてたんだ…程度の良い中古のフレームに載せ替えるんだろう…位にしか思ってなかったのにホワイトボディーから作るなんてな。時間もないだろうに。あいつは医大生だろ?いくら金があっても国家試験や卒業論文ってもんが待ってるはずだ…。下手すりゃ冬越しちまうぞ…ってな。そしたら部品の手配に向けて頑張ってる人間が1人居るってな。その行動力には恐れ入ったぜ。」
さつき『いやいや、俺は裏方ですからね…得意だし。』
文太「いくら得意でも、86の部品作ってた金型屋を割り出して強引に頼み込んで予備も含めて作ってもらうなんて…どっからその熱意が出て来るんだ?異常だぞ?」
さつき『いやぁ、今、86の人気は拓海君の影響でまた中古車市場で盛り返しつつあるんですよ。だからね…部品を再生産してくれれば事故は起これば部品が必要になる、そうすればお宅の工場も儲かる。絶対損はさせない!って言ったら作ってくれました。』
文太「策士だな。よくそんな殺し文句を思いついたもんだぜ。」
さつき『伊達に仕入れとかの交渉してきてませんって。殺し文句で落とすのは常套手段でしょう?ま、そのお陰で86のホワイトボディーで3台分、ストックしときましたから。プロジェクトDが終わっても長く乗って行けますよ。大事な86です、俺らで守らなくちゃね^^錆とかにはこの時代の車は強くないですから組み上げる時には亜鉛メッキをして錆に強くしていくように指示してますから。』
文太「少し位なら俺が出してる所にもストックあっただろうけどな…」
さつき『ああ、鈴木さんの所にも電話して欠品してたんでストック分で送っておきました。』
文太「はぁ?昨日のうちにそんな事してたのか?まったく…仕事ちゃんとやってるのか?」
さつき『やってますよ?昼休みに金型屋と部品屋に電話して仕事が上がってから直接越谷に乗り込んだし。その場で鈴木さんに電話して送る手はず取りましたよ。』
文太「何ちゅ~行動力だよ…仕事のできるやつって~のはこう言う事を言うんだろうな。負けたよ。」
さつき『まあ…今回はちょっと不可抗力とは言え、物凄かったんでね。高橋 涼介だけじゃお手上げになってるのが目に見えてたんでこっちから動いてみました。一応隠密部隊…っていうか、ドライバー2人には美奈子とひっくるめて”プロジェクトDの暗殺部隊(アサシン)”って言われてしまったのでね。(ニヤリ)』
文太「ヲイヲイ、すげぇネーミングだな。ホントに壊滅しかねないから恐ろしいな。」
さつき『やるからには…叩き潰して2度と起き上がれない位まで行くつもりでしたから。その前に逃げて行きましたけどね…』
文太「まあ、そうだろうな…あんたが本気なのはよく解ってるしな。」
さつき『って事でご報告を兼ねて、拓海君をあんまり厳しく叱らないでやってくださいね。あ、油揚げと豆腐の代金…いくらでしたっけ?』
文太「ああ、金はいらねぇよ。今回色々してもらっちゃってるしな…」
藤原豆腐店でありがたく油揚げと豆腐を頂いて一旦帰宅…今日は休みでちょうど起きてきた美奈子にこれを渡して…仕事に向かう…
スタンドに着いてロッカーで着替えていると…ピロリンッというあんまり聞いた事の無い着信音が。
携帯を見ると…謎のメアドから来た不吉な予告。読んでも消す事は無く、高橋 涼介にも見せるつもりでいた。
下に降りると池谷君がちょうど接客が一区切りついて自販機でジュースを買ってた。
池谷「さつきさんおはようございます…って何かありました?」
プシュッと炭酸飲料の栓を開けながら聞いてきた。
さつき『あ?あぁ…おはよ?ん?何か変な顔してるって?…そりゃ、多分このせいかもな。』
さっきロッカーで着替えてた時に聞きなれない着信音で届いたメールを見せる…。
池谷「なっ、なんですかこりゃ…パッと見からして尋常じゃない…脅迫メールじゃないですか…この事は高橋 涼介には?」
さつき『いや、ついさっきこのメールが来たばかりだし…まあ見せるつもりでは居るけれど。それなりに探ってからでも良いかなって…。』
池谷「イヤイヤイヤ…これってマジで警察レベルですよ?あ、さつきさんに届くって事は美奈子さんとか沙雪さんは?下手したら真子ちゃんにも届いてるんじゃ…でも真子ちゃんはまだ入院中だし…
(※真子ちゃんの入院した経緯は3rd Stageのそれぞれの恋愛事情…2-2~2-5を参照してください。この部分にRフラグは無いので大丈夫なはず。作者注。)
2人に電話…してみますか? 」
さつき『あ~、美奈子は今日休みだから何かあれば電話か直接ここに来ると思うよ。沙雪だって電話してくるだろう…1人で溜め込むタイプじゃないし。』
池谷「ま、まあそうですけど…何か引っ掛かりません?手の込んだいたずらだけじゃないような…」
さつき『取り敢えず連絡してみるか。池谷君…悪いけど店見ててもらっても良い?裏で電話してくるわ^^;;;』
池谷「了解です。任しといてください^^」
ホント、池谷君が居ると作業もできるし、ありがたい。
さつきは裏の事務室の机にメモ紙を置き…ボールペンを持ちながら電話をかけ始める。
さつき『あ、美奈子?俺だけど…ちょっと聞くけど、携帯に変なメール来なかった?ん?あ、来てる?それって何時頃?…あ、俺にもそれ位の時間で送られて来ててさ。
沙雪と高橋 涼介にも連絡してみようようかと思ってさ…。」
取り敢えず美奈子が沙雪と真子ちゃんにメールしてくれると言うので高橋 涼介に先に電話してみる。すると1コールで出た。若干こっちが驚いたわい^^;;;
さつき『あ、高橋のお兄ちゃんかい?さつきだけどさ…変なメール来た?あ、やっぱり来てるか…え?拓海と弟にも来たってか。こりゃ本気でプロジェクトDを潰しに来てるな…しかも内容的に俺と美奈子が関わってるのが気に食わないって感じを受けないか?』
高橋 涼介「ん?まぁ…そう取れなくもないか。心当たりとか何かあるか?」
さつき『ん~、この前の〇〇〇峠でつぶし損ねてるから…ってだけじゃなさそうだしな。ホワイトボディーや他のパーツを俺が動いてかき集めてるのを知ってる感じがするからな…。金型屋を含めた部品屋の関連かあの峠の連中か…その先の神奈川の連中って事だってあり得る。俺が神奈川の人間だろ?元々は。”裏切者”扱いかもしれねぇしな。』
高橋 涼介「まあ…俺の方で出来る所から調べてはいるがな。ただ警戒するに越した事は無い。美奈子さんにも、ImpactBlueの2人にも…周囲には気を付けてくれと言っておいてくれないか?」
さつき「美奈子には真っ先に言っておいたけどな。沙雪や真子ちゃんにも周囲に気を付けるようには言ってもらってる。あの2人も美奈子に車を貸した事でこっち側に巻き込まれてるからな。それにしても…回りくどい事をしてくるんだな。心理的作戦のつもりなのかな?」
高橋 涼介「それだけプロジェクトDの周りが暗殺者軍団(アサシン)と協力者で出来てると思ってるんだろ。」
さつき『2人で”軍団”って言うのか?軍団って言ったら少なくとも数十人単位じゃないのか?』
高橋 涼介「向こうからしたらたった2人の殺気には見えなかったんじゃないのか?それこそ何百の暗殺者軍団が控えてると思ってたのかも知れないぞ?」
さつき『んなアホな^^;;;ま、お互い変なメールが来てる事だし、気を付けるに越した事は無いって…な。悪かったな、突然電話して。』
高橋 涼介「フッ…ま、いいさ。これからも何かあったら電話してくれ。こっちからも何かわかったら電話かメールする。」
さつき『おう、了解です。じゃ、またな。』
ピッ…
切った所でメールの着信。開くと美奈子で、沙雪と真子ちゃんには今の所被害は無いらしいが…念のため気を付けるように言ってあるらしい。
(※さて…敵が動くなら迎撃も兼ねての臨戦態勢を早急に…か。)
独り言をつぶやいたさつき。(先手必勝とも言うし…まずは根回しからかな?)
まず、部品屋と金型屋、板金塗装工場にプロジェクトDのメカの人達やサポート隊にも取り敢えず警戒するように連絡。
仕事の休憩中にコピー用紙数枚を抜き取ってきて俺の知ってるプロジェクトDの予定と原作をすり合わせてみる事に…。
確か原作ではヤビツでチーム246とやったり、高橋 涼介の恋敵と箱根ターンパイクでバトルしたり、最後は確か大観山からスタートの椿ライン下りで86対決だったはず…
遠征ついでに国府津の田島峠とか秦野の震生湖の辺りとか大磯の虫窪の辺りとかもホームだったし肩慣らし入れてぇな…とか色々思う所はあるのだけれど、
まずは原作に沿うところから行かないと俺だけの単独行動じゃないし…
そうすると…先ずはヤビツか。ここの攻略はネットで見る限り地形もコース幅も何ら変わりないので路面状況だけ軽く見ればドライバーには細かい所まで伝えられる。
ま、問題ないな。次に走る人物情報のチェック。う~ん…通り一遍で掴み切れねぇ~な。
( ̄▽ ̄;)
やっぱ、実際に走った方が早い事に気が付いた。明後日休みだったな…NOTEで視察してくるか。そこまで調べて仕事に戻る…と
オイル交換×2台(うわぉ…しかもこの車って営業車だから時間かけられないし、オイルエレメントが面倒な所に付いてるやつじゃん…火傷覚悟だな><;;;)
それに、LLCの抜き替えにドライブシャフトのブーツ交換…作業がてんこ盛りじゃんか
( ̄▽ ̄;)
それまでひたすら頑張ってた池谷君を休憩させて作業を黙々と頑張る。給油は高校生の
バイトと樹に任せてる。
1時間後…池谷君の昼飯休憩が終わった頃…オイル交換は終わり、LLCの抜き替えは
エア抜きしつつ、リザーバータンクに多めに入れながら暖気終了後スロットルを開けて
冷却水路のエア抜き実施。ドライブシャフトは左が終わって右の古いシャフトブーツを
剥がし終わってパーツクリーナーでグリス落として新しいシャフトブーツの片側を
固定してグリスを注入中。現状で残ってた作業の85%位終わってたので
池谷君が2度見してた^^;;;
池谷「うぇえええ!もうそこまで終わっちゃってるんですか?だって前(ドライブウェー=給油機の並んでるスペース)を見ながらでしょう?」
さつき『まあ…樹も居たし…ね^^;;;』
暫くして…残りの作業が終わると早番だった樹の上がる時間に。
池谷「樹~!お疲れ!上がっていいぞぉ!」
樹「池谷先輩、さつきさん!上がっちゃいますね^^じゃ、また明日きます!」
さつき『おう!お疲れぇ~』手を洗いながら答えた。
(※―――side change ここからはさつきsideで進行します―――)
それから2日後…公休日なので朝、美奈子と同時に家を出て神奈川に向かう。
あ、偵察だしちゃんと目立たない様にNOTEで行動してますって^^;;;
まずは秦野中井ICで降りてヤビツ峠に一直線。あ~この道変わらんなぁ…
舗装も荒れてるし道幅が一定じゃないし…^^;;;ここで走るならギリギリまでコース幅を取る事とすれ違うタイミングを間違えないこと…沙雪がこういうの得意なんだけど、
このタイミングで見えたからあと2つ先で出会う…とかね。それに昼間だと競技用の
チャリンコに乗ってる連中がやたら多くて真ん中まで出てきてコーナリングしやがるから危なくって。
ん?平日の昼間に走り屋仕様が居るんだ…へぇ…珍しい。こっちは群馬ナンバーだし、
観光客を装ってちょっと気配を消して後ろに付いてみるかな…どんな運転するんだろ?
コーナー2つ見て解りました。はっきり言いましょう!樹より下手だわ。(;^_^A
カッコ悪いねぇ。邪魔だし、譲っていただこうかな…バスも運行されてる区間なので
コーナーの出口で並んで一気に前に。
県外ナンバーのNOTEに抜かれたのが悔しいのか露骨に煽って来てるけども…
さつき『さて。ここから先の溝落としのできるS字の区間で…俺に付いて来れれば良いね…』っと呟く。
一気に溝落とし敢行。一気に離れる車間…一瞬何が起こったんだかわからないって顔で
間抜け面でポカーンとした後必死にアクセル踏んでる様だけどもライン取りはしっかり
しようね…無駄なブレーキングが増えるだけで速くはならないから。
次の道幅2mの区間で…一気に加速。ダメだなぁ…ここで70位でビビってちゃ。
俺が現役の時…美奈子と110ちょい位でここ抜けてたんだけどな…まあ、美奈子が異常なだけなんだけどさ。(←棚に上げてるけどお前もだかんな! 作者注。)
展望台まで来る頃には影も形も見えなくなった…この先…清川村側の“裏ヤビツ”に
入っていくともっとデンジャラスな光景が広がるんだよな…たまにがけ崩れがそのまま
放置されてたり、雨が続くとどこまでが道でどこからが川だか解らなくなるし…
突如、目の前を鹿が出てきて横切ったり…あ、湖にかかる橋とトンネルが見えてきた…
そろそろT字路で左が山梨の道志方面で右に行けば半原経由で厚木方面…っと。
ここでサイドターンして秦野側に戻りますかぁ!
ブォオオオオンッ!ギュキュキュッ!グオッ!グオッ!グォオオオオオ~~ンッ!
戻っていくと…あ~あ、どこのバカだよガードレールに突っ込んで”クワガタ虫”になってる奴は…って、これさっきの奴か^^;;; ここは放置! ぇ)
人物の特定は…ま、いっかぁ。とヤビツをそのまま去って無性にホームを走りたくなり…
ヤビツを降りてきてT字路を右折…渋沢に向かう途中で左折してR246を跨いでっと…
小田急線を潜り抜けてビーバー〇ザン(※神奈川ローカルなホームセンターね)のある
交差点を右折して山に入っていく。
(うっわ…この感じ懐かしいな…)思わずつぶやく独り言。
上り切ると震生湖の看板が見えるけど、ここを道なりに進んで下って上って左折して…
その先の東名高速にかかる橋を越えてT字路を右折。
さてと”広域農道やまゆりラインを一路…田島峠(通称”みかん山")に向けて走る。
ここは平日の昼間は特に車が居ないから走りやすいけど…
たまに白バイ居るんだっけか^^;;;採石場を横目に道なりに進めば最後にT字路。
ここを右折すれば田島峠。ここも曲がってすぐにネズミ捕りをやってる事がある…
って、おっとぉ~やっぱりやってるじゃないかぁ。あっぶねぇ~^^;;;
時間軸がずれててもやるのは一緒なんだねえ…
ここは自分的には二宮側から国府津側に上っていくと上りはカーブも比較的緩やかで
ハイスピードセクション。逐道を越えて下りに入ると道幅も若干狭くなるけど…
まあそこそこ出せる。
一旦、下り切った交差点を越えてUターン、元来た道を走り始める…
さつき『そう言えば…文太さん言ってたっけか。ホームのありがたさに気が付くときがある…ってな。確かにホームだからできることもあるしなあ…』
久しぶりに走ると新鮮に感じるもので…(ん~ならもう1個行ってみるか…)
…田島峠を下り切ってやまゆりラインに戻らずそのまま二宮の方向に直進…
坂呂橋の交差点を右折、次を左折して坂を上って下り切った右手に西友がある交差点を
右折して…南に少し走ると最近全然来てなかったのに変わる事の無かったタクシー会社のある交差点を左折。一路、虫窪を目指して上がっていく。ここは免許を取って初めて
走りこんだ場所…そう、俺の走り屋人生の出発点。
ホーム中のホーム。走り始めた時の思い悩んでた事まで一気に思い出しながら走っていく。頂上まで行くと路線バスが。
あ、そっか、ここって路線バスの運行区間だったね^^;;;
時間調整してるようだったので一気にパスして下り始める。
”昔、ここのS字コーナーがうまく処理できなくって悩んだ時期があったっけ…”
とか、色んなエピソードが出て来る。
ホームを回ってるうちに… 走ってて唐突にもう1度実家を見て諦めを付けたくなった。
ここからなら15分の距離…この辺りになると信号のタイミングまで知り尽くしてるから
ほとんど信号にも引っ掛からない。
到着した2008年に引っ越してくる所はまだ畑のままだった。
フッ…と納得した笑みを浮かべると車に戻り、元々住んでいた引っ越す前の家に行く。
だがそこには意外な出来事が待ち受けていた…
近所の空き地に車を止めて歩いて通りの一番奥の家を目指すと…家は無くなっていて…
綺麗に整地され、駐車スペースと思われる部分にコンクリートが打ってある。
奥の水路側の壁に寄せてトレーラーハウスが置かれていて、しっかり電気の配線もされてるし、ガスボンベに水道も完備されてる様子。
驚きを隠せないまま、その前に置かれたポストを見る…そこに書かれていたのは
”小長井さつき、沙雪、美奈子”の文字が…
さつき『は?ちょっと待て…この展開ってどういう事だ?何も聞いてないし、いつの間にこんな事になった?マジかよ…』
ブツブツ独り言を言っていると背後に人の気配。振り返るとそこに居たのは沙雪と美奈子!?やべぇ、ダメだ…頭が付いて行かない…こめかみの辺りを押さえて蹲る俺。
2人は俺を両脇から抱えるようにしてトレーラーハウスの中へ。奥のベッドに連れていかれた。
そこでベッドに座る3人。
美奈子「言わなくてごめんね。実は先月の初めにね…あたしもここに見に来てたんだ。そしたらモノの見事にさつきの家…無くなってて不動産屋さんの管理地になってたのね。で、沙雪にその場で電話をしたらね…」
視線を沙雪に送る。
沙雪「美奈子!今すぐその土地押さえて!って言ったわ。ここをあたし達のセカンドハウスにすれば良いじゃん?ってね。」
美奈子「それにね…家だと固定資産税掛かるけど、トレーラーハウスだと固定資産税掛からないから土地だけの税金で済むって。」
沙雪「費用は会社の役員手当で賄うって事で。」
さつき『は?何か色々ツッコミしたい所が満載なんだけど…???まず、先月来てたの?ここに?しかもここの土地が売りに出てるって凄いタイミング…2番目、すぐに押さえろって?役員報酬で払うって誰の役員報酬?それに…ポストの表記。まだ俺と沙雪は結婚して無いのに…?え?え?説明プリ~ズ』
沙雪「じゃあ、まああたしから説明しようかしら。1つずつ順序だててね。
まず1つ目。ここ、ダーリンの実家があった場所だけど、今から1か月ちょい前に
長女の智子さんが結婚を機にご両親も同居するって事でどいたみたい。
で、美奈子はこの世界に来てから神奈川に行った事が無いって事で
来てみたら話に聞いていた家が更地になってて不動産屋の貼り紙が出てたのを見てあたしに連絡してきた訳ね。
2つ目、役員報酬の話。あたしが代表取締役の役員報酬を給料と別に受けてるのは解るよねえ?
ついでに美奈子もカフェの店長になった時に取締役幹部を引き受けてもらってます。
だからここでも役員報酬が給料と別に出てる訳ね。で、更に再来月のあたしの誕生日に入籍…って言ってくれたじゃん?って事でおめでとう、さつき君にももれなく”高崎製菓株式会社の取締役員”の役職が追加されて役員報酬がちょこっとですけど出ます。
だからこの3人の役員報酬でローン組んじゃえば支払えなくはない…って事。」
さつき『へぇ~初耳な事がいっぱい…っていうか、美奈子って店長兼役員だったの?
マジか…その割にカッコとか全然変わらないね^^;;;』
美奈子「別に店長の職と役員を混ぜる事は無いし、年中着飾って無きゃいけないって訳でもないし。着飾ってたらパフェは作れないしね^^;;;
で、役員報酬が…引き受けてからの2か月で1年分のバイト代かな^^;;;
手つかずだったし…土地とトレーラーハウスの購入代金の頭金に入れちゃったのよ
^^;;;」
沙雪「って事なんで今後はもう1個トレーラーハウスを増設予定だから…
それを玄関を兼ねた廊下でつなげば3人が無理なく住める家が神奈川にもできたって事。これから神奈川の2戦もあるんだし…あたし達はここから向かえばOK。
車も2台止められるし。」
さつき『話の規模がデカいネ…。あ、それに俺がここに来るってよく解ったね?』
美奈子「そりゃあ…ヤビツからホーム回るなら…ここにも寄るって確信あったしさぁ…
だからあたし達は一気に朝、役員会だけ出てここに一直線で来て待ってたって事。」
さつき『はぁ…この2人凄すぎるわ…降参です。』
沙雪「だから襲った次の日の朝言ったでしょう?"他の世界から迷い込んで来ちゃった事を話した所で信用しないか、あたしが離れるとでも思った?逆よ。絶対にこの世界から離してあげない。ダーリンはあたしの愛をひたすら受け続けてれば良いのよ。"って。
覚えてない?」
さつき『うっ、そ、そ~言えば…そんな事言ってたけど、こんなに大々的だなんて…
(一般庶民に考え付くはずなかろうに^^;;;って言うか…沙雪の本気ってすげぇ~な。やっぱ、エロ・テロリスト…爆弾の落とし方がエグいなぁ。)』
沙雪「で、納得してくれたかしら?で、改めてここはあたし達3人の神奈川のおうちなんでくつろいじゃってくださ~い(^^♪
何ならあ~んな事も、こ~んな事もあたしに任せてもらえれば…」
美奈子「ヲイヲイ…何をサラッと従妹の前で言っちゃってんのよ^^;;;」
さつき『ん~さ、さすがに今日は遠慮しとく。』
沙雪「え~!!久しぶりに…フッフッフって思ってたのにぃ~。」
美奈子「あ、そうだ!思い出した。高橋 涼介から電話来てない?」
さつき『あ、電源切れてるかも…しかも車の中に置きっ放しだし。』
沙雪「…はぁ~、まったく。そんな事だろうと思ったわよ。犯人が解ったってよ。
メールを送ったのは前に埼玉で妨害工作をしたけど、後ろに付いてた暴走族が高橋 啓介の高校の時の舎弟だったから丸く収めて終わったんだけど…
他のヤクザっぽいのに依頼したらしくてね…ただプロジェクトDの暗殺部隊の尋常じゃない殺気にヤクザが怖気づいて、一旦撤退して別角度で心理戦を仕掛けてきたって訳。
で、高橋 涼介の知り合いの弁護士から手を回して県警本部のお偉いさんを使って依頼したヤツごと別件で逮捕して厳しく追求中だってさ。」
さつき『よくもまあ…短時間でそこまで調べたね…^^;;;』
沙雪「ま、すべてがクリアになったから、高橋 啓介と拓海君の車が直ればセッティングをして…間に合わなきゃ暗殺部隊で制圧する…って事になってるらしいよ。」
美奈子「だから今夜はここにS13とS15置いて行っちゃおうかって。」
さつき『ん?S13は解るけど…S15?美奈子が運転して持ってきたのか?何でも水面下で遂行するねえ…って事でS13とS15をここに置いて…NOTEで帰るって事ね?』
沙雪&美奈子「「しょ~ゆ~事ぉ」」
※で、結局NOTEに3人乗車で帰宅。神奈川決戦が終わるまで沙雪が美奈子の送迎するんだって…マジでこの2人仲良すぎ^^;;;
(まあ、真子ちゃんも入れれば仲良し3人組なんだけどさ。何か更に結束力固くなってる気がするんだよなぁ…)