おかげさまでUAも134260、お気に入り件数も794件、しおりも362件、感想数も448件(2022/9/30 23:37現在)となりました。誠に感謝いたします。
それとAitoyukiさん、アンデルナッハ子爵さん、拙作を評価及び再評価していただき誠にありがとうございます。おかげさまでまた筆を執る力が滾ってきました。本当にありがたいです。
今回の話はかなり長い(15000字程度)ので、そのことに注意してお読みください。では本編をどうぞ。
「チッ! 本当に厄介だね――“破断”!」
「“嵐帝”!――クソッ!! この程度の魔法じゃ押し負ける!」
「“裂塊”!――連射しないと駄目か! 割に合わないな!!」
恵里達はそれぞれ別の足場に着地しつつ、迫りくるマグマの塊を迎撃しながら中央の島を目指していく。だが水属性が得意な人間は一人もおらず、そこそこ出来る水属性や風属性などで迎え撃っても多少勢いを殺すのが精一杯。土属性が得意な浩介が上級魔法をぶつけても完全な相殺は出来ず、思わず歯噛みしてしまう。この場にアレーティアもしくは奈々がいれば、と全員が口惜しく感じていた。
“皆! とりあえず僕のドンナーとシュラークならどうにか出来るから! 僕が殿を務めるよ!!”
「“聖絶”!」
“ある程度なら鈴もフォロー出来るよ! 合流――ううん、やっぱり進むのを優先して!!”
だがレールガンであるドンナーとシュラークの一撃は流石にマグマの塊も負けるようであり、“聖絶”程の堅牢さがあれば問題なく弾くことが出来る。一度合流して突破することを鈴は思いつくも、相手から狙いやすくなって四方八方からマグマの弾丸を発射され続けたらにっちもさっちもいかないと考え、ハジメと同様に殿を務めようと進むペースを落とした。
“だったら――鈴、乗って!! おぶりながら行こう!”
“――うん!”
するとそこでハジメが自分の背中に乗るよう提案し、鈴もそれにうなずくとすぐに彼の方へと向かって背中におぶさった。そして銃弾と光の壁を展開しながら皆の動きをフォローしていく。
「鈴ぅううぅぅ!!! もう、もうっ!! ハ~ジ~メ~く~ん!!!」
「うわっ!?」
“痴話喧嘩してる場合か!! 早く島の近くで合流するぞ!”
ただ、恵里からすれば大好きなハジメをとられてしまったようでかなり気嫌が悪くなったが。思いっきり嫉妬しつつ絶対後であれ以上のことをやってもらおうと画策し、なおかつメルドに注意されながらも決して進むスピードは遅くなってないのは流石というべきか。
そんなこんなで恵里達四人がマグマのドームに覆われた中央の島近くの足場に飛び込もうと最後の跳躍をした時、腹の底まで響くような重厚な咆哮がこの空間に響き渡った。
「ゴォアアアアア!!!」
「ッ!?」
突如、宙を飛ぶ四人の直下から大口を開けた巨大な蛇が何匹も襲いかかってきたのである。
「――恵里っ!!! 皆!!」
全身にマグマを纏わせているせいか、周囲をマグマで満たされたこの場所では熱源感知にも気配感知にも引っかからない。また、川下りを始めてからハジメは魔眼鏡を身に着けていたのだが、その時にようやくマグマそのものに魔力が含まれていることに気付き、このマグマの海にも魔力が満ちていたがために“魔力感知”でもわからなかったのだ。完全な不意打ちとなった巨大なマグマ蛇の攻撃に思わずハジメは叫ぶ。
「やばっ――っとと!!」
「危なっ!?――だったらこいつでも食らってろ!!」
「なっ!?――礼一、浩介、恵里! 逃げるのを優先しろ!!」
「こん、のっ――はいはい! “縛魂”!!」
しかし浩介らは軽く身を捻ってかわし、恵里も“瞬光”も一瞬用いて超人的な反応速度でどうにかその顎門による攻撃を回避する。そして同時に浩介は分身を突っ込ませて自爆させ、恵里もこの蛇を支配下に置こうと“縛魂”も叩き込む……が、そちらは残念ながら不発に終わってしまう。
「ったく、油断も隙もないね!!」
「良かった……だったらこっちは僕が!!」
一瞬前まで自分がいた場所をマグマ蛇はバクンッ! と口を閉じながら恵里は通り過ぎた。“縛魂”を食らっても平気な様に苛立ちを覚えながらも恵里はすぐに島の近くの足場へと乗り移り、浩介達と合流する。一方ハジメも鈴を背負いながら自分達の方に迫って来たマグマ蛇に向けてドンナーの一撃を叩き込む。だが――。
「うそっ!?」
「は、弾け飛んだだけ!? い、生きてるよ!?」
マグマ蛇の頭を勢いよく吹き飛ばすと同時に上がった声はあちらの断末魔ではなく、ハジメ達の驚愕の声だった。
当然、その原因はマグマ蛇にある。なんと、マグマ蛇の頭部は確かに弾け飛んだのだがそれはマグマの飛沫が飛び散っただけであり、中身が全くなかったのだ。
今まで会敵してきた【グリューエン大火山】の魔物達は、基本的にマグマを身に纏ってはいたが、それはあくまで纏っているのであって肉体自体はきちんとあった。断じて、マグマだけで構成されていたわけではない。
「だったら全部吹き飛ばすよ!!」
しかしハジメは直ぐに立ち直ると物は試しにと頭部以外の部分を滅多撃ちにした。幾条もの閃光が情け容赦なくマグマ蛇の体を貫いていくが、やはりどこにも肉体はなかった。どうやらこのマグマ蛇は完全にマグマだけで構成されているらしい。
「鈴も援護するね! “聖絶”!!」
“お前ら、ハジメと鈴を援護しろ!!”
そうしてマグマ蛇の体を穴まみれにすることは出来たものの、しぶとく体当たりをしようと向かってきたのである。だがそれも鈴の“聖絶”によりあっさりと防がれ、メルドの指示を受けた恵里達の攻撃により完全に霧散していく。
無事に島の近くへとたどり着いたハジメと鈴であったが、すぐにザバァ! と音を立てながら次々とマグマ蛇が出現してくる。際限なく出てくる敵相手にうんざりしつつも恵里達は身構えた。
「ゼェ、ゼェ……ひゅー、ひゅー……お、追いつい、たぞ…………」
と、いつの間にやら魔人族の男と配下の三体の魔物も近くに来ていた。一匹はマグマを纏った熊みたいな魔物であり、もう二匹は馬の頭をした人型のものと鬼のような姿の魔物であった。こっちは誰も彼も息が上がっており、しかも馬頭と鬼っぽいのはこんな熱い空間の中でも青ざめてて今にも死にそうになっている。見てて気の毒になる具合であった。
「ハジメ、この際なんでもいいから武器を……いや、いい。今すぐ俺の手で引導を――」
“はいストップ、メルドさん。あっちは情報源として使えるからこっちの方――あの蛇を倒すよ!”
今にも手に持った剣で魔人族を切り捨てようとするメルドを恵里が諫め、視線も使って前を向かせる。島の周囲には二十体以上のマグマ蛇がその鎌首をもたげ、自分達を睥睨している。恵里達から攻撃を受けたマグマ蛇も既に再生を終えており、何事もなかったかのように元通りの姿を晒していた。
“ったく、こんな敵相手にどう戦えってんだよ! すぐ治っちまうんだぞ!”
“理不尽、ってのはこういうのを言うんだろうな。でもマトモに戦えてるだけあのヒュドラよりマシだろ礼一!”
“不定形のマグマがああして形を保ってるんだから、おそらくマグマを形成するための核になる魔石があると思う! マグマが邪魔で僕の魔眼鏡でも位置を特定出来ないけど……それを壊すしかないね――来るよ!!”
話し合いをしたのもつかの間、総数二十体のマグマ蛇が一斉に恵里達へと襲いかかってきた。
マグマ蛇達はまるで太陽フレアのように噴き上がると、自分達の頭上より口から炎塊を飛ばしながら急迫する。二十体による全方位攻撃だ。普通なら逃げ場もなく大質量のマグマに呑み込まれて終わりだろう。
「クッ……お前達、迎げ――ぐぇっ!?」
“鈴、コイツお願いね!”
「全くもう……はいはい。“封縛”それと“聖絶”!」
そんな絶望的な状況の中、魔人族の男が配下の魔物達に檄を飛ばそうとした矢先、背後に回り込んでいた恵里に首根っこを掴まれて投げ飛ばされる。直後、鈴が発動させた魔法によって男は光の檻に閉じ込められ、急遽張った“聖絶”によって逃げ込んだ恵里共々守られた。
なお馬頭と鬼みたいな魔物二匹はマグマに焼かれ、熊みたいなのは普通にマグマ蛇に食われた。しかも焼かれた二匹の遺体はすぐにハジメが宝物庫入れたため、ご飯となる運命が確定する。心底哀れであった。
「なっ!? き、貴重な戦力が――」
「はい面倒臭いから寝てて。“隆槍”」
「げふっ!?」
そして投げ飛ばされて光の檻に入れられた魔人族の男は先の丸くなった土の槍でみぞおちを突かれ、そのまま気絶。踏んだり蹴ったりであった。
“どうすんだ谷口。このままじゃジリ貧だぜ”
“うん、わかってる。でもすぐにこの結界を破壊なんてさせてあげないし、これからしっかり反撃するよ”
「“聖絶・桜花”――からの“聖絶・光散華”」
魔人族の男がぐったりするのとほぼ同時。勝ち筋も打開策も見えない現状に弱音を吐いた礼一に対し、落ち着きながらも鈴はそう答える。
そして杖を構え、すぐさま自分達を守るバリアの上から光の花弁を視界いっぱいに散らすと、煌めく花びらを一斉に爆破する。六尺玉が眼前で爆ぜたかのように光の花が咲き誇った。
「「「「「“跳礫”!」」」」」
一瞬で穴あきチーズとなった二十のマグマ蛇を確認すると同時に恵里達は結界の外から魔法を、ハジメもレールガンを叩き込む。
風通しが良くなったことで魔石と思しき結晶も肉眼で簡単に見つけられるようになり、そこでマグマの熱で蒸発しないよう水でなく土属性の中級魔法を撃ちこむことで全ての魔石の破壊に成功する。
だが大迷宮の試練はそう容易ではなかった。
“あれ? 復活してない!? 冗談でしょ!?”
“クソが! 無限に出るとか聞いてねーぞ!!”
恵里と礼一がボヤいた通り、倒して間もなくマグマ蛇が灼熱の海原から現れたのである。それも先程と同じ二十体も。この状況に誰もが戦慄するも、ハジメが目ざとくあるものを見つける。
“――待った、皆! あそこ! あそこの壁が光ってる!”
状況の打開のためにと周囲を見渡したハジメは、今自分達がいる島の岸壁の一部から拳大の光を放たれているのを見つけたのである。先程までは気がつかなかったが、岩壁に埋め込まれている何らかの鉱石からこのオレンジ色の光が放たれているようだ。
“あの光は一体……まさか、これが仕掛けか!?”
“多分そうだと思うぜメルドさん! だったら全部光らせれば――”
“結構な数があるぞ。ひーふーみー……大体百ぐらいか?”
保護色になっていてわかりづらいが、どうやら、かなりの数の鉱石が規則正しくこの島の岩壁に埋め込まれているようだとわかった。
中央の島は円柱形なので、鉱石が並ぶ間隔と島の外周から考えると、ざっと百個の鉱石が埋め込まれている事になる。そして、現在、光を放っている鉱石は二十個……ただし、一つだけ光が弱まっている
“時間経過で消えるタイプかもね! ったく、面倒な仕掛けを残してくれちゃってさぁ!!”
“ごちゃごちゃ言ってる暇があったら攻撃に移れ、お前達!!”
浩介と恵里の推測からこのマグマ蛇を最低百体撃破――ただし、時間経過によるスコアの減少も含めればそれ以上――すればいいとわかり、再度鈴が展開した“聖絶”の中で急遽作戦会議を始める。
“長いこと付き合ってたら面倒だね。ハジメくん、オルカン貸して!!”
“了解! 礼一君はシャウアーを、メルドさんは――”
“サンキューハジメ! ちょっと借りるぜ!!”
“俺もオルカンを使う! 確か予備も含めて二つはあったはずだろう!”
“わかりました! 今取り出します!!”
“なら俺は外に出て戦う! 分身も自爆させればもっと時間を短縮できるはずだ!”
“わかったよ浩介君! 結界を一部解除するからそこから出て!”
すぐに会議を終えた一行はそのまま攻撃へと移っていく。鈴は“聖絶”を一部だけ解除して浩介を出し、その直後“聖絶・桜花”を再度発動して浩介の援護をする。
一方、ハジメはすぐに宝物庫から武器を各員の手元に転送し、自身はドンナーとシュラークを使ってマグマ蛇を攻撃。恵里達もハジメからもらった武器を使って景気よくマグマ蛇を撃破していく。
「これなら“
そして外に出た浩介も分身を何度も発生させては突っ込ませ、自爆させてキルスコアを稼いでいく。倒しそびれた分は鈴が操る光の欠片が切り裂くことで解決だ。
「そこっ!」
後方に火花の尾を引きながらロケット弾が飛んでゆく。マグマ蛇或いはそれが放ったマグマに着弾し、爆音と光を放って一切合切を吹き飛ばす。その破壊力たるや直撃すれば体の大半を吹き飛ばし、マグマの弾丸に当たった場合でも爆風を以てマグマ蛇の体を大きく削る。そうすれば魔石を狙い撃つのも簡単であった。
“流石先生の作った武器だ! 楽して安全に倒せるってサイコーだな!!”
電磁加速された礫がマズルフラッシュと共に吐き出されていく。『にわか雨』の名に恥じぬ殺戮の雨は無慈悲に相対した存在を穿ち続ける。
“当然でしょ! だってハジメくんだもの!! ボクの愛する人が作ったものだもん!! “跳礫”!”
恵里もメルドと同様、ロケット弾と魔法を交えながらマグマ蛇を次々と倒していく。そんな中、礼一のハジメを持ち上げる発言を聞いて心底気分を良くしながらも攻撃の手は一切緩めなかった。
数の暴力と強力な攻撃手段による蹂躙によって、中央の島の岸壁から放たれる光が増えていく――
“恵里! 今だよ!”
「さっすが鈴!――“跳礫”! これで、ラストぉおぉ!!」
装填されたロケット弾を使い切り、恵里が放った岩の砲弾が鈴の手によってズタズタになったマグマ蛇の魔石に着弾し、砕けた欠片が煌めくと同時に最後の鉱石が光る――遂に【グリューエン大火山】の試練は終わり、出現していたマグマ蛇も瞬く間に霧散して静寂が訪れたのであった。
「いやー終わった終わった……お、見ろよ皆」
そうして大きくため息を吐きつつ、借りていたシャウアーをハジメに渡した礼一はあるものを見かけた。中央の島に張られていたマグマのドームが徐々に形を失っていく姿であった。それと同時にドームの中にあったもの――漆黒の建造物が姿を現していく。あれが【グリューエン大火山】の解放者の住処であると全員が結論づけるのに時間はいらなかった。
“よし、行こう皆。メルドさんも”
“ああ、異論はない……が、コイツはどうする? 恵里、情報を引き出せるか?”
“大丈夫。意識があってもなくても“縛魂”が効くかどうか、実験がてらやってみるよ”
そこでハジメも全員に声をかけるも、メルドは地面に転がったままの魔人族の男を一瞥し、恵里に問いかける。すると恵里も耳栓を懐にしまってからヒョイと男を担ぎ、そんなことをのたまいながら建物の方へと向かっていく。後でいーっぱい褒めてもらうんだー、とウキウキしつつ、もちろん“縛魂”を魔人族の男にかけ続けながら運んでいった。
「あ、恵里、その……そんなこと、やっちゃ駄目だよ」
「何をためらう必要がある? 奴は所詮敵だぞ。割り切れ、ハジメ」
一方、いくら自分達を襲おうと考えていたかもしれない相手であろうと洗脳するのは気が引けたし、ましてやそれが自分の愛する人にやらせるというのは正直気が進まないハジメ。だがそんな彼に軍人然とした表情で諫めると、神代魔法欲しさに一目散に駆けていく礼一の後を追ってメルドは歩いていく。
「……鈴は、優しいハジメくんが好きだよ」
「俺もさ、別にああいうところまで染まんなくていいと思う。染まっちまったらきっと終わりだ……ハジメまでああなんないでくれ」
「……ありがとう。鈴、浩介君」
そして迷いを見せたハジメの手を鈴が握り、浩介が肩を叩く。迷いを抱えながらもハジメは二人に礼を述べ、一緒に解放者の住処へと向かうのであった。
「――ここ、は……」
「あ、やっと目を覚ましたみたいだね」
ハジメに作ってもらったタウル鉱石製の鎖で雁字搦めにしていた魔人族の男がようやく目を覚ました。その頃には既に恵里とメルド以外の四人がここ【グリューエン大火山】における神代魔法である“空間魔法”を取得しており、その証である意匠を凝らしたサークル状のペンダントも回収していた。
「……気分はどう?」
「ああ。最あ、別になんとも、な気分悪くはならななな――」
「――やっぱり。“邪纏”、“隆槍”」
問いかけに答えようとした魔人族の男の様子がおかしいことにハジメ達五人は背筋に寒気が走った。一方、恵里は顔を軽くしかめながらも“邪纏”を唱えて意識を刈り取り、“隆槍”でみぞおちを突いてそのまま無理矢理気絶させる。一度大きくため息を吐くと、恵里は心配そうに見つめる五人に向き合った。
「……さっき言った通りだったよ。コイツ、ボク以外の誰かからも干渉を受けてる。それもボクなんかよりも遥かに強い」
その言葉に五人はざわめき、互いに視線を合わせるしかない。まさかこの魔人族は既に誰かの支配下にあったというのは少なくない驚きをもたらしたからだ。それはメルドであっても例外ではなかった。
「……どういうことだ? この男、魔人族の中では異端だったとでもいうのか?」
「さぁね。そんなのは本人の口から聞かなきゃわかんないよ。でもこれでハッキリしたね。コイツも多分被害者だよ」
メルドの問いに肩をすくめて返しつつも、恵里は自身がかけた“縛魂”を解除していく。
恵里がこの異変に気づいたのはこの男に“縛魂”をかけた直後であった。オルクス大迷宮二十層で現れた冒険者達やオルクス大迷宮に住まう魔物、ことあるごとに光輝達に闇魔法をかけていたからこそ気づいたのである。自身が発動した魔法の普段とは違うかかりの悪さを。魔法に対する抵抗力や知恵の高さから浸透し辛いというのでもなく、なにかこう――既にある
「どうなってんだよ。よりによってこんなとこまで神代魔法を取りに来る奴が洗脳されてるとか笑えねーぜ……」
「うん。近藤君の言う通りだよ。どうしてこんな……」
「さぁね。ボクもこればっかりは推測しか出来ないよ、鈴……とりあえず“縛魂”は今解き終わった。あのままだと精神が壊れかねなかったからね。後はコイツにかかった洗脳を解く。そのために一から魔法を組み立てるからちょっと待ってて」
「あっ、待って恵里。今パイプ椅子出すから……作業するならこっちの方がいいでしょ?」
「……ありがとう、ハジメくん。大好き」
そう言いながら恵里は床に座ろうと腰を下ろそうとするも、すぐにハジメが声をかけてにオルクス大迷宮で作ったパイプ椅子を宝物庫から取り出した。恵里もそんな彼の気遣いにえへへと笑いながら腰を下ろすと、すぐさま新たな魔法の開発に入った。
「洗脳か……この人、意外と話が通じるんじゃないか? もしかすると和平とかそういうのを考えてたのかもしれないし」
「さて、な。そういうおめでたい頭の奴だったら楽ではあるが、そうでないとも限らん。ま、警戒するに越したことはないな」
「ホント、なんでだろうな……まっさか、その方が使いやすいから、とか? ははっ、自分で言ってて笑えねぇな」
“ねぇ、ハジメくん。これって……”
“うん……やっぱり魔人族の人達もゲームの駒なんだ。前にトータスでのことを話し合ってた時にエヒトの本性を恵里の口から語ってもらったし、それとオスカーさんの語った真実とも照らし合わせれば説明がつく――絶対、助けなきゃ”
そうして気絶している魔人族の男を観察しながらもハジメ達は各々語り合う。何故神代魔法を求めたか、どうして洗脳をされていたのか。一部を除いて明確な答えが出せぬままぐるぐると。そんな話し合いを続けていた彼らであったが、ようやく恵里の方も仕上がったらしく、魔人族の男の顔に手をかざして新たに作った魔法を唱える。
「“限界突破”、“解魂”」
念のために“限界突破”まで使用して魔法を発動することおよそ六分。
「…………よし。これできっと大丈夫なはず。起こすよ」
新たに作った魔法で何の変化も起きなくなったことを確認してから恵里は纏わせていた紅の魔力を霧散させた。そしてハジメが見ている手前、あんまり乱暴なことが出来ないことから男をゆすって起こそうとする。
「ぅっ……ぁ……きさま、らぁ……」
「目は覚めた?」
「……あぁ、おかげさまでな」
心底苛立たしい様子でこちらを見上げる魔人族の男を前にハジメ達は緊張するも、恵里は特に意に介することもなく男の方を見る。そして何から尋ねようかと考えていると、いきなりあちらが決意に満ちた表情でこんなことをのたまってきた。
「私は誇り高き魔人族だ。こんなところでおめおめと恥をさらし、生き永らえるつもりはない……私も相棒の白竜も、ここで我が主のために殉ずる覚悟がある」
「白竜?……はく――ブフォッ!?」
メルドが噴き出した。
「白竜、って……ブフッ!」
「……は?…………はぁ?」
つられて礼一も噴き出した。予想だにしてない反応だったせいで魔人族の男は困惑した様子を見せ、その『白竜』の正体に一拍遅れて気付いた恵里もぷるぷると震え出す。
「は、はく、白竜……アーッハハハハハ!! む、無理むり!! し、死んじゃう! お、お腹いたくなって死んじゃうってば!! あはははははははは!!!」
そして決壊。笑いをこらえきれなくなってその場でうずくまり、腹に手を当ててひぃひぃ言うわ、『もう無理、もう駄目』と遂には涙まで流しながら床を何度も何度も叩く始末であった。
「き、貴様ら……私達を愚弄する――おい待て。何故お前らは目をそらす。どうして心底気まずそうにしている。答えろ」
一方、ハジメ、鈴、浩介は目を背けるしかなかった。もし彼の言う『白竜』がブリッツのことならいたたまれなさで死にたくなるし、心の底から気の毒に思うからだ。だからこそ視線を合わせることが出来ず、問いかけにも答えられない。たとえそのことで向こうの苛立ちが最高潮に達しようが言えないのだ。
「く、くくっ、ははは……そ、その、お前の言う白竜は、白竜は……」
「何を笑うかぁ!! 私の、私のウラノスを愚弄する気か!!!」
「だ、だってよぉ……そ、ソイツ、裏切ったぜ。お、俺らにもう懐いちまってるんだもんよ!」
「……………………は?」
なお、礼一がバラした。途端メルドも笑いがこみあげてきてその場で四つん這いになり、恵里もゲラゲラと笑いながらその場を転がる。一方、魔人族の男は何一つ理解できないとばかりに目が点となる。だって何一つ結びつきやしないのだ。自分の相棒がとっくに裏切っていたなどとは到底思えなかったからだ。
「……馬鹿を言うな。私の相棒たるウラノスは貴様ら人間族と違って下らない真似などするか!! どこまで私達を愚弄すれば気が済むのだ!! 言え! 言えぇ!!」
結果、思いっきりブチ切れた魔人族の男は今にも掴みかからんといった勢いでわめき散らし、鎖で雁字搦めになっていながらも恵里達を襲おうと全身に力を込めて立ち上がろうとしていた。
「ひーっ、ひーっ……もう無理、もうげんかいだよぉ……わ、わら、笑い死んじゃうよぉ……」
「貴様らぁあぁぁあぁあぁあ!!! 許さん……もう許さんぞ……!! 差し違えてでも貴様らは絶対に殺す……!! 集え火種よ 雷鳴の子よ――」
「あ、ごめんなさい。“聖絶”」
「――“豪炎”……ぐわー!!!」
笑い過ぎて全身がけいれんを起こしかかっている恵里やウケ過ぎてロクに反応できなくなったメルドと礼一を見て魔法を詠唱しようとする。が、すぐに鈴が“聖絶”を男の周囲に張ったことで発動した炎属性の魔法が障壁にぶつかって飛散し、あっという間に男はローストされた。
あまり抵抗できないよう鈴が事前に魔力を抜き取っていたこともあって大した攻撃にはならなかったものの、全身真っ黒こげのチリチリパーマとなってピクピクしている。すぐさま鈴は男に回復魔法をかけて死なないように処置を施すも、その様がメルドと恵里のツボに入ってしまう。
「ーっ! くっ、くくっ……なんて、なんて無様な……」
「もう、もう何、なんなの!! コイツ、生粋のエンターテイナーだよぉ!! ど、どれだけボクらのことを笑わせ……あ、あははははは!!」
「恵里、流石に僕ももう我慢出来ない――人のことを笑っちゃ駄目でしょ!! この人は真剣なんだから! 茶化すのは駄目だよ!!」
が、遂にハジメが本気でキレた。メルドに関してはあちらの世界の事情が絡むから元々部外者である自分達が言うべきではない。だが自分が愛する恵里に関しては話は別だ。
いくら相手がとんちんかんなことを言っていようともそれは自分達が原因だ。だから相手を嘲笑う資格なんてないし、好きな人がそんなことを平気でするのは耐えられない。だからこそハジメは恵里に容赦なく水を差した。
「……えー、なんでー……だって思いっきり的外れなこと言ってたもん」
「たとえ率先してブリ……ウラノスが服従しようとしてきたとしても、最終的にゴーサインを出したのは僕達だからね!!」
うっかり白竜の名前を自分達がつけたもので言おうとして慌てて言い直し、そしてハジメは容赦なく恵里にお説教する。ボク悪くないのに、と恨めしげな視線を向けてくる恵里にハジメはなおも説教を続けた。
「だってだって!! 食べられたくなかったからブリッツが降参してきたんじゃん! だから変な気を起こさないように念のためにボクが闇魔法をかけたんだよ!! それの何が悪いの!?」
「それは全然悪くないけどあの人の神経を逆なでするのがよくないって言ったの!! 僕言ったよね、恵里が光の届かない場所には行かせないって!! 大好きだから! 恵里のことをいっぱい愛してるからそんな方には行かせたくなかったの!! わかってよ!!」
「……全く、ハジメの奴め」
「あ、メルドさん。どこに向かうんですか?」
一方、そんなハジメの様子を見てちょっと笑いが引いたメルドは、うめき声を上げた魔人族の男を担いで外へと向かう。思わず声をかけた浩介だったが、振り返ったメルドはこう返す。
「いやなに、どうせだからこの魔人族の男に現実を教えてやろうと思ってな……とりあえずここは安全だろうし、ハジメと恵里の二人だけにしてやれ。念のために抑え込む人間が欲しいし、その方がハジメもやりやすいだろう。あ、浩介。ハジメから大迷宮攻略の証だけ回収しておいてくれ」
「……あー、はい。なんだかなー……」
「へいへい了解しやしたー」
「あ、はい……うん。言い訳はしたいしな。っとハジメ、もらうぞ」
そうしてメルド達は解放者の住処を後にし、建物の近く、地面から数センチほど浮いていた円盤に乗って大迷宮を脱出していく。
「うーっ……は、ハジメくんの言いたいことはわかったよ! でも、おかしくて仕方なかったからしょうがないもん!! 反省したから! ちゃんと反省したってば!!」
「いーや、まだ続けるよ! いくら反省したからってまたやっちゃうなら意味がないからね!! 恵里がずーっと僕達のそばにいてくれるためにも、僕は心を鬼にするよ!! 愛してるから!!」
「~~~~~っ!!! もう、もうっ!! ズルいよハジメくん!! そんなこと言ってボクを丸め込もうなんて最低だよ!! 大好き!! ボクだって愛してるもん!!」
「いーや僕の方が愛してる!! だから絶対に――」
そしてあとに残されたのは痴話げんかをする一組の恋人たち……浩介がしれっとペンダントを回収していることにも気づかず、結局説教してるんだか盛大にノロケあってるのかわからないやり取りをメルド達が戻ってくるまでずっとやっていた。そのことにほぼ全員が大いに呆れ、鈴は恨めし気に見ていたのは言うまでもない。
「……それで、憐れな敗残兵の私に何の用だ?」
そうして恵里とハジメが落ち着きを取り戻してすぐのこと。メルドは担いでいた魔人族の男を下ろすと、その当人はやさぐれた様子でこちらを見てきた。
髪の毛は鈴の回復魔法のおかげですすけたチリチリパーマから元の赤い髪の毛に戻り、肌もこれといった火傷のあとも残っていない。ただ、無理して行軍してきたことと先程火だるまになったせいで服のほとんどが焼け焦げてしまい、割と全裸に近い状態であった。とりあえず
「そりゃあ情報が欲しいに決まってるからだよ。それじゃあ質問。そっちの使ってる神代魔法は何?」
「…………端的に言えば生き物を魔物に作り替える魔法だ。
先程誇りがどうこう言ってた割にはアッサリと情報を吐いたことに誰もが少なからず驚きを隠せなかった。互いに目を見合わせ、どういうことかと思案しているとその男の方から心変わりした理由を述べてくれた。
「……別に命乞いをするためにわざわざ情報を吐いた訳ではない。そこは勘違いするな」
居丈高な態度なのは相変わらずであり、そのことに少しだけメルドは安心した様子を見せたが、恵里はハジメと鈴と一緒に男の様子をつぶさに観ていた。
“恵里、鈴。やっぱりこの人、なんか変わったと思う”
“ハジメくんもなんだね。鈴も今のこの人なら多分協力できる気がする”
“やっぱり。二人もそう思うんだ……よし、わかった。じゃあそういう風に引っ張ってみるね”
態度だけでなく語調からもどこか棘が抜けたようであるのを三人は感じており、すぐに“念話”で互いに確認を取る。そしてサッと話し合いをすると、すぐに恵里は次の質問を投げかけた。
「ふーん……まぁいっか。じゃあどうしてボク達の質問に答えてくれるようになったの?」
「その質問に答える前に一つ交渉したい……貴様ら、ウラノスを私に返し、その上で協力しろ」
しかし質問をするや否やすぐに男の方から交渉のようなものを仕掛けられた。未だ鎖で雁字搦めになっている癖によくもまぁそこまで上から目線でモノを言えるものだとメルド以外の全員が感心してしまう。
「……ほぅ。どちらの立場が上なのか、わかっていないようだな。別に俺は今すぐお前の首を刎ねるのもやぶさかではないのだぞ?」
なおメルドは案の定ブチギレていたが。しかし魔人族の男は涼しい顔をしながら恵里達に向けてこう告げた。
「いいのか? 私は貴重な情報源なんだぞ? 神代魔法そのものは話したが、それをどこで手に入れたか、どういった試練の内容だったのか、ガーランドの内情なども知ることが出来る。決して悪い取引ではないはずだ」
「それぐらい恵里の闇魔法で引き出せ――」
「はいメルドさん、落ち着いて。“静心”」
とりあえず恵里はメルドに威力調整なしの“静心”を叩き込んで精神をフラットにしつつ、カードを提示してきた相手を静かに見つめていた。実際メルドの言う通り、本物の情報を手に入れるんだったら今から“縛魂”を使えばいいだけの話だ。実際後で使おうと恵里も考えてはいる。だが、相手の方からいきなりこれらの交渉材料を晒してきたことにどこか引っかかるものを感じたのである。
「ふーん。そんな重要な情報、簡単にさらしていいんだ……そんなにあっちの国が信用なくなった?」
「…………………………」
そうカマをかけた途端、向こうは黙り込んだ。ビンゴである。大方、向こうの方で洗脳されていたことへのショックだろうと見当をつけていたが、やはりかと恵里は考えた。既に洗脳は自分の解ける範囲では解いているし、ここから再度洗脳をかけてもいい。ならいけると恵里が声をかけようとした時、すぐにハジメと鈴の方から“念話”が飛び込んできた。
“待って、恵里。いくらなんでも都合が良すぎるよ”
“……あんまり考えたくないけど、もしかするとこうして僕達が洗脳を解除すること前提で送られた人かもしれない。根っこから染まってる可能性もあるから慎重に、ね?”
“……ありがとう、二人とも。おかげでいい具合に頭が冷えたよ”
意見してくれた二人に礼を述べつつ、少し頭が冷えた恵里はメルド達を手で制しながら男に再度質問する。
「そう。じゃあその沈黙が答え、ってことでいいね? やっぱり洗脳されてたのが気に食わないんだ?」
「……その、通りだ」
そう苦々しげに語る男を見てハジメと鈴も思わずキョトンとしてしまう。彼の表情からして本気でそう思っている節が感じられたからだ。それはもちろん礼一と浩介も同じであり、唯一メルドだけはどういうことかと本気で困惑しているようであった。
「……私はかつて、同胞達が何に脅かされることもない、安心できる国にしたいと立ち上がった。その為に力を求めたはずだった。全ては同胞達のために、とこうして戦ってきた……だが、その考えが今の今まで塗りつぶされていたことに気付いてな。頭にかかっていたモヤを払ってもらって、ウラノスと再会して、ようやく思い出せたのだ」
その語調からは本当にそうだとしか恵里は感じられなかった。嘘をつくのならばもう少し感情の波が立つか、或いは本心を隠すために抑えるかするというのを知っていたからだ。とはいえ自分のように騙すことに慣れていて、かつ上手であることも考えて“縛魂”を使うことを選択肢から外すことはせずに話に耳を傾ける。
「……先程お前は私に闇魔法、それも洗脳や魅了の類をかけようとしていたな? 構わんぞ。私とて信じてもらえるなどとは思っていない。ウラノスを返して私に協力するというのなら、その程度甘んじて受け入れよう」
極め付きはわかった上でのこの反応であった。“縛魂”を使われることのリスクも受け入れてこう言ってくる。それなら嘘を吐いている可能性は極めて少ないと思い、恵里はハジメ達に視線を向けた。
「……貴方には悪いとは思うけど、“縛魂”は欲しいかな。いつ恵里や友達、メルドさんが襲われるかわかりませんから」
「私もハジメくんと同意見です。あなたのことは信用してもいいと思う。思う、けど……」
「俺も先生に賛成だな。嘘吐くだけなら誰だって出来る。ならそうならねぇようにしとくのは大事だろ?」
「恵里、ここは“縛魂”の使い時だと俺も思う。この人が裏切る可能性は俺の見たてでも低い。けれど“縛魂”をかけてる、ってだけで他の皆の安心感は段違いだ。だから頼む」
「やってくれ、恵里。俺もこの男を信用した訳ではないが、情報を安全に引き出すためにも必要だ」
各々が意見を投じてくれたことで恵里も決意が更に深まり、魔人族の男の方を見やる。すると向こうも静かにそれを受け入れる覚悟がその顔から感じられた。
「そこまで皆が言うなら……覚悟はいい?」
「無論だ。さあやれ」
「じゃあお望み通り――“縛魂”」
……かくして魔人族の男、フリード・バグアーは恵里の“縛魂”を受け入れ、自分達に従い、自分達に嘘を吐かないことを刻み込まれた上で情報を提供した。氷雪洞窟の位置や試練の内容、そして魔人族の国ガーランドの戦力や統治する魔王ことアルヴヘイトのことすらも。
「……メルドさん。ここを出るのはちょっと待ってもらってからでいいですか? 今のうちにちょっと作っておきたいものがありまして」
「ああ。わかった。ただ、予備も含めて幾つか数を用意しておいてくれ」
そしてフリードも空間魔法を取得したところでハジメが待ったをかけ、それに全員が応じる。
「……前に恵里が言ってました。鈴達の仲間のアレーティアさんがどこかでエヒトに奪われる、って」
「……にわかには信じがたいがな。だが確かに身体的特徴は合致している。そしてアルヴ様……じゃなかった。アルヴヘイトはエヒト様の眷属であると前に伺った記憶がある。とすれば――」
鈴の言葉にフリードも苦い表情を浮かべながらそれに答える――何故なら、かの魔王とアレーティアの容姿がよく似ていたのだから。
奇妙な一致に全員がどこか空恐ろしいものを感じながらも、ただハジメと恵里の二人が作業を終えるのを浩介達は待つだけであった……。
おまけ ウラ……ブリッツとの感動の再会の一幕
「グルゥ……」(あられもない格好をしたフリードを心配する眼差し)
「ウラノス! 生きて……生きていたんだな!!」
(思いっきり顔を背けるブリッツ)
「……ウラノス? どうした? 何故俺から顔を背ける? 俺の恰好か? それとも……待て。まさか、まさか本当に……!」
「あぁ。
「……グルゥ」
「う、ウラノス……? なあ、冗談だろう? わ、私のことは忘れたのか……?」
「……ごめんなさい。この子はさっき下に残った女の子、恵里の闇魔法の力で私達に従ってます」
「いや谷口、事実はちゃんと言ってやろうぜ。コイツ、食われたくないからって俺達に腹まで見せたから仕方なく置いてやったんだ、ってよ」
「ば、馬鹿を言うな!! わ、私のウラノスがそんなことをする訳が――」
「……グルゥ!」(寝っ転がって鈴達にお腹を見せる。クソ必死)
「ウラノスぅぅうぅうぅぅ!?」
「いやホントごめんなさい。勝手にとっちゃってすいません。後でハジメと一緒にどうにか恵里の奴を説得出来ないか相談するんで。あ、でも流石に拘束はさせてもらいます」
「ぐる? グルゥゥ……」(お願いだから『元』ご主人様を殺さないでと切なげに鳴くブリッツ)
「う、ウラノス……お、お前は私の相棒だよな……? 裏切りなどしてないよな?」
「グル――」
「さてブリッツ。昔の主人と俺達、どっちをとるか選べ」
「グルゥ♥」(フリードを死なせないため&まんざらでもないのでメルドに頬を摺り寄せ)
「ウラノスぅうううぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅうぅぅぅぅ!!!!!!!」
結果、フリードの脳は無事に破壊されました♥
フリードはかけられていた洗脳を解かれた後、恵里達に下ったウラノスと再会し、かつての記憶を取り戻したことで目を覚ましました。
つまり、「NTRで脳を破壊されて目覚めた」ということです!!!(最悪)