それでは拙作を見てくださる皆様への感謝をお伝えします。
おかげさまでUAも155749、お気に入り件数も835件、しおりも384件、感想数も543件(2023/2/16 21:30現在)となりました。毎度毎度ありがとうございます。
そしてAitoyukiさん、今回も拙作を再評価してくださり本当にありがとうございます。こうして何度となく評価してくださり頭が上がらない思いです。感謝いたします。
では今回の話を読むにあたり、長く(約14000字)なっておりますのでご注意を。では本編をどうぞ。
「コホン……皆様がグリューエン大火山に行って別の神代魔法を手に入れたというところまでは伺いました。その後はどうなりましたか?」
オルクス大迷宮での暮らしぶりがバレて一悶着した後、とりあえず鈴に香織、光輝など魂魄魔法に適性のある面々が乱発した“鎮魂”によりとりあえず場の空気は一応収まった。とはいえあくまで精神を落ち着ける作用しかない魔法であるため各々が抱いている感情が消えたという訳でもなかったが。
「あ、は、はい……その、俺達はそこである人と出会ったんです」
「――やはり魔人族、ですか?」
一度せき払いをしてからルルアリアが場を仕切り直し、中央にいる恵里ら三人に声をかける。そこで説明を担っていた光輝が再度話を進めようとした時、『ある人』という単語を聞いてルルアリアは心当たりのあった相手を挙げる。因縁の存在が出てきたことで場はにわかに騒がしくなるも、すぐにルルアリアが一喝してそれを抑え込む。
「静粛に!……それで天之河様、真偽はいかほどに?」
「はい。王妃様が仰った通りです。グリューエン大火山攻略中、俺達は魔人族のフリード・バグアーさんと出会いました」
そうして再度の問いかけに光輝が答えれば先程にも増して場は混沌としていく。無理もない。永きに渡る戦争の相手が話題とはいえ出てきたのだ。王国の上層部が敵意を露わにするのも仕方なく、また座学で魔人族との因縁を知った重吾達が警戒するのも無理はなかった。
「はいはい“鎮魂”……とりあえずあっちはボクの魔法で既に手籠めにしてあるよ。」
そこで恵里が手を叩くと共に“鎮魂”を発動し、強制的にヒートアップした空気を冷却させる。その後でどう対処をしたのかを語るものの、それでも重臣らの疑惑――自分達が魔人族に内通した、もしくは支配下に置かれたという疑いは冷めることはない。
「本当だろうな? そのような真似が出来るとでも?」
「結局、どうなんだ……?」
「そ、その通りだ! やはり貴公らは魔人族と内通、否、彼奴らの配下に収まったのでは――」
「お待ちなさい! もし魔人族が彼らを従えていたというのならば私達を真っ先に滅ぼすでしょう!! それをしないということが中村様の言葉を裏付けています!」
徐々に出始めた疑いの声をまたルルアリアが抑え込もうとするも、流石に今回ばかりは分が悪く、出てきた疑惑の声や眼差しを止めることは出来なかった。
「申し訳ありません、皆様。何分魔人族は私達人間族との永年に渡る因縁の相手。彼の存在を配下にしたというのならば、その証拠を見せていただけませんか」
そこでルルアリアは頭を下げ、どうにか自分達に内通していないという証拠を見せて欲しいと頼み込んできたため、恵里達だけでなくそばにいたメルドもまた軽く思案しだした。そこで恵里は“念話”を使ってメルドにあることを頼み込む。
“メルドさん。ボクが手籠めにした証拠を見せればいいんでしょ? テキトーに人間引っ張ってきてくれない?”
“いいのか? すまん、助かる。今問題ない相手を連れてくるぞ”
「……恵里ならば可能です。今しがた罪人を連れて実験をするので少々お待ちを」
“縛魂”を披露したいと暗に伝えれば、メルドもそれに答えて“縛魂”をかけても問題ない相手を今連れてくるとこの場で述べる。無論そのことにハジメを含めた幼馴染や大介らが気づかない道理は無かった。
「……恵里、“縛魂”を見せればいいって思ったでしょ」
「え? 駄目?」
どこか頭痛を堪えている様子のハジメにそう問いかけられた恵里はキョトンとした様子で尋ね返せば、鈴達幼馴染~ズもかなり疲れた様子で恵里を見つめる。
「いや、まぁ……確かにその方が安心できるとは思うけど、その……」
「まぁ既にフリードさんにやってるから今更だけどさ……ナチュラルに目の前で洗脳するとかどう考えても悪の組織とかのやることだし」
「は? せ、洗脳?」
鈴もためらいがちにそれを認め、ハジメも仕方がないとは思いながらもやってることが到底褒められたことじゃないと伝える。それを聞いた仁村を含めた重吾達のグループも顔を引きつらせ、光輝や香織らも渋い表情を浮かべながら首を縦に振る中、罪悪感に苦しんでるであろう幼馴染に恵里は微笑みながらこう伝える。
「そんなことないよ。ハジメくん、鈴。皆。正義の味方がする洗脳はいい洗脳だから問題ないもん」
『んなワケあるかっ!!』
無論、即ひんしゅくを買った。
『え、なんで?』と恵里は心底不思議そうに小首を傾げ、別にいいじゃんとうなずいて大介達も同意してくる。もちろんアレーティアに愛子、デビッドら、鷲三に霧乃にルルアリアら王国の上層部とそれに肯首してきたため、ハジメ達は一層深くため息を吐き、重吾達は改めてヤバいワードを聞いて心の底から震えた。
「洗脳って時点で普通はアウトだよぉ……」
「せ、洗脳って言ったよね……?」
「別にいいじゃん。国家転覆やらかしかけた奴らに人権なんてないよ」
「な、中村の奴そんなこと出来たのかよ……!?」
辻に相川が恵里の恐ろしさに震える中、鈴が頭を手で押さえながら一般論を伝えるも恵里はどこ吹く風とばかりにしれっと返す。実際問題その通り過ぎて光輝達は言葉に詰まり、どう反論すればいいのかと途方に暮れてしまっていた。
「そりゃ王様や王妃様を殺そうとした人達なんだからそれぐらいやられても仕方ないし、フリードさんが僕達の味方だって証明するには一番だけどさぁ……」
「うん。だから別にいいじゃん。ねぇ?」
「う、嘘……わ、私達下手したら洗脳されてたの?」
「あ、うん。そうだよ。よかったね。ハジメくん達がお人好しでさぁ」
「恵里、めっ!! 野村君達は協力するって言ってるのにそういうこと言わないの!」
ハジメのボヤきにも当然のように返す恵里に吉野も震えあがり、更に追撃を加えてきたせいで辻と吉野は軽く悲鳴を上げて野村に抱き着く。ハジメに叱られたことで恵里がちょっとしょんぼりする中、重吾達や王国の上層部は自身の幸運に内心ただただ感謝するばかりであった。
「離せ!! 私を誰だと思っている!! こんなことをすればチェルチス家が黙ってはいない!!」
「皆様、罪人を一人連れて来ま……何があった?」
と、ここでようやくメルドが拘束していた罪人の一人を連れて戻って来たものの、場の空気が軽くカオスになっていたためいぶかしんだ。すぐにその理由をハジメ達が“念話”を使って説明してくれたことで納得し、恵里が“縛魂”を使う相手が国の上層部でなくこの罪人で良かったと思いながらメルドは女を輪の中心へと引きずっていく。
「えー、ではこの人間を相手に実演してみたいと思います。恵里、頼むぞ」
「はいはいりょーかーい。まずは“縛岩”」
「私に触れるな貴さ――もがっ!?」
「念のため“呆散”……じゃ、本命といこっか。“縛魂”」
そして実演するべく恵里はまず“縛岩”を発動してやかましい罪人の女の口を塞ぎ、岩の猿ぐつわを嚙まされた女に向けて二つの魔法を発動していく。自分が前にノイントの洗脳を弾いたことを考えると、抵抗出来ないように意識はぼんやりしてた方が都合がいいと考えたが故だ。意識さえあれば問題なく“縛魂”は効く。そこに圧倒的なステータスの差があればなおさらだ。
「はい。それじゃあお名前と何やってたか教えてくれるかなぁ~?」
「はい。私はシーナ・チェルチスです。お父様の命で神の使徒のお付きのメイドとなり、家の繁栄のために子を成そうとしてました」
「う、うぅ……」
重吾が何か言いたげな様子でこちらを見ているのに気づかないフリをしながら“縛魂”をかけること数分。完全に支配下に置いたメイドの一人に軽く質問をすれば彼女は朗々とそれに答えを返していく。なお重吾の顔が軽く青ざめたことに恵里は気づくことなく次の質問を投げかける。
「あ、あれ? 永山君?」
「重吾?……大丈夫じゃないよな重吾?」
「い、いい……俺に、構うな」
「ふーん。じゃあどうして牢屋に入ってたのさ? 何か悪さでもした?」
「いいえ。私は何も悪いことはしておりません。真なる神の使徒様が仰せになったのです。不義を討つために立ち上がりなさい、と。そこで私を含む城に務める者達でまずは神の使徒だと名乗っていた魔人族の手先でなく、奴らに加担していた王族を討ち滅ぼそうとしました……結果はこの通りです」
予測はついていたものの、ようやく昨日の暴動の原因を犯人の一人から聞くことで確かめることが出来た。そのことに恵里らはため息を吐きたくなり、実際に殺されたり殺されかけた国の上層部は戦慄する。やはりこれは人為的に仕組まれたものであり、そして自分達はもうエヒトの加護も何もないのだろうということも改めて感づく。
「お、俺は……」
「大丈夫だ、大丈夫だ重吾。俺達がついてる」
「気にしてはいけません。あの人は永山君を利用していただけの薄汚い人間です。そんな人間に振り回される必要なんてないんです」
「永山君、無理しないで」
「あの人なんてただの敵だから。だから……」
改めて愛していた人に自分のことを悪し様に言われるのはやはり辛かったらしく、口元を手で押さえて背中を軽く丸めていた重吾に親友である野村はすぐに声をかける。もちろん彼を慕う他のクラスメイト達や愛子もイスから立ち上がって彼に寄り添い、背中をさすったり言葉をかける。
「……そういやそっちの方大丈夫? さっきからなんか調子が変なんだけど」
「永山、お前のお付きのメイドだったんだな。そのことも事情もわからず連れてきてしまった。すまない」
「ごめん、永山君」
「すまなかった永山……」
「い、いえ……気に、しないでください……」
そこでようやく恵里も気づき、知らず知らずのうちに気分を害してしまったことから声をかけづらそうにしていたメルドやハジメ、光輝らもようやく重吾に謝罪を述べていく。だが重吾はそれらの言葉にも首を横に振って返し、自身の心境を語っていく。
「まだ、またシーナとやり直したいと思ってはいた……けど、俺だけじゃなくて、健太郎達までただの道具扱いして、自分のことしか考えてない……そんな女、もう俺にはいらない」
半ば自分に言い聞かせるように吐き捨てた重吾を見てハジメ達も恵里とメルド、そしてルルアリアの方に視線を向ける。これ以上は流石にダメだと全員が判断し、すぐに顔を合わせて各々行動に移った。
「じゃ、とりあえずボクが嘘を言ってないことはわかっただろうしこれでおしまいってことで。ねぇメルドさん。コイツ元の場所に戻してきて」
「あぁ。わかった。さて、今度は暴れるなよ」
「はい。わかりました」
そうして全員でメルドと元重吾お付きのメイドを見送っていく。来る時とは打って変わって大人しく歩いていく様に、重吾達や王国の上層部の面々は恵里の魔法の凄さと共に何とも言えないやりきれなさを感じていた。恵里もそんな空気を感じ取りながらも、どうしたものかと口ごもっている光輝に代わって説明を続けていく。
「まぁその後はエヒトのせいで操られた鷲三さんに霧乃さんを無力化。あと一緒に襲ってきた神の使徒も返り討ちにして皆とあと先生とも合流。後はそっちの知る通りだよ」
簡単な説明ではあったものの要点を押さえたものであったためハジメ達は特に言及はせず、また彼らの歩んできた道のりを知ってルルアリアにリリアーナは自分達の行いを恥じた。重吾達も恵里達がたどってきた道のりに同情しない訳ではなかったものの、それでもまだうらやましいと彼らは思っていた。
「……なるほど。中村さん達の経緯はわかりました」
そんな時ふと意を決した様子の愛子が立ち上がると、恵里に視線を向けながらあることを問いかけてくる。
「中村さん、皆さんが手にした力は私達でも使うことが出来るようになりますか?」
「あぁ、神代魔法のことでしょ。だったら――」
「いえ。それだけではありません」
愛子の質問に恵里は事前にハジメ達との話し合いで決めた答えを返そうとしたものの、すぐに愛子はそれにノーを突きつける。そして視線を逸らすことなく見つめたまま愛子は恵里に再度問いかけた。
「きっと皆さんは神代魔法とやらを手に入れただけじゃありませんよね? 私の見立てではそれ以外にも何かあるはずです」
一切揺れることもない瞳を見て恵里は目の前の女に対して愉快な気分になるも、それをおくびにも出さずに逆に問い返していく。
「あ、あの……せ、先生?」
「ふーん。疑うのは結構だけどさぁ、その証拠でもあるの?」
「ええ。まずは谷口さん以外の身長が伸びていたり、体付きも良くなってるように見えます。特に天之河君達男の子は。それはどう説明をつけるので?」
「ただ鍛えあがっただけだよぉ。身長はただの覚え間違いじゃなぁ~い?」
軽くうろたえ出すハジメを他所に愛子は恵里の問いかけに答えるも、恵里も想定内の回答に余裕を崩すことなく返していく。だが愛子が自分の反応を見てかすかに笑みを深めたのを見てほんの少しではあったが恵里は警戒した。
「シラを切るつもりですか……でしたら車は? あれの動力源はどうなっていますか?」
「あぁそれ、は――ッ」
出された次の質問。これには恵里すら言葉に詰まってしまう。恵里達が駆る車両の動力源は運転手が注ぎ込む魔力である。さしものオルクス大迷宮も原油を産出することはなく、また原油があっても精製するのは流石にハジメの頭を以てしても不可能だ。それに誰でも持ってる魔力を使って動かす方が燃料の心配をしなくてもいい。
そうして造り上げた車やバイクであったが、それの動力源から愛子は真実にたどり着こうとしている。そのことに恵里は今まで感じていた余裕が吹っ飛び、目の前の女に警戒心をむき出しにする。
「車なんて金属の塊ですし、そんな重いものがちょっとやそっとじゃ動くことなんてありません。それに、いくら物知りだからって高校生のあなた達が原油を精製することが出来るとも到底思いませんし――魔力を、使ってるんじゃないですか? それも莫大な量の」
「お、オルクス大迷宮を潜っていく時にステータスも上昇しましたから! そのおかげです!」
じりじりと秘密に迫ってくる愛子にハジメや鈴、光輝達も無意識に半歩後ずさりしており、どう言い訳をするべきかと大介やアレーティアらも必死に知恵を巡らせている。すぐに光輝が尤もらしい言い訳をしてみるも、愛子はにこやかに微笑むばかりであった。
「なるほど。確かにそうですね。けれども他にも疑問に思っていることはあるんですよ? 車って精密機器の塊でじゃないですか。それをコンピューターの原型すらない世界でどうやって動かしてるんですか? きっと何かからくりがあるんでしょう?」
「あ、いや、あの、その……」
(クソッ! こんなところで魔力を動力にしたことが裏目に出るなんて!!)
光輝からの回答をふんわりと受け止めながらも突きつけて来た返しの刃でハジメ達は思わず息を吞んだ。動力源のタネも悟られ、しかも“魔力操作”によって直接動かしていることすら感づかれている。色々と考えた末に造り上げたそれが今は自分達のアキレス腱と変わったことに恵里は内心歯噛みし、ハジメ達も大いにうろたえ出す。
「もちろん私も疑問を適当に並べ立ててるという訳じゃないんですよ?――魔物を食べた。きっとこれが関わっているんですよね?」
「な、なんと!?」
「確かに、オルクス大迷宮は洞窟だ……植物が自生していると、聞いたことは無い」
そして、遂に真実の一端にたどり着いた。一瞬で場は騒然となり、オルクス大迷宮を良く知る者達の口から驚きや納得が漏れ出てくる。このままじゃマズいとすぐに恵里はイニシアチブを取り返そうとこの世界の常識を使って愛子に反論しようとする。
「馬鹿言っちゃいけないよ先生。第一魔物を食べたら死ぬ。それが普通でしょぉ~?」
「ええ、そうですね。そううかがってます。ですが、出来ますよね?」
「だから出来るわけがないって――」
「治癒師の白崎さんと谷口さん。二人が全力で魔法を使い続けて治し続けたのならそれも可能じゃないんでしょうか」
その瞬間、食堂から音が消えた。ほんのわずかな間の静寂。目をむく恵里。ぽかんと口を開く鈴と香織。確信を得て笑みを深めた愛子は更に追撃をかけていく。
「永山君、正直に答えて下さい。あなた達はオルクス大迷宮を突破出来ましたか?」
「……いえ。途中で切り上げて盗賊の、討伐に」
「っ! ま、待った先生!! これ以上は――」
「「「せ、先生ちょっと待ってくだ――」」」
「お、おい待ってくれ先生!!」
いきなり重吾へと質問する愛子に誰もが首をかしげる中、恵里とハジメ、鈴、光輝、幸利だけがいち早く彼女の質問の真意に気付いて止めようとする。しかし愛子は五人の焦りを知ってより口角を上げるばかり。
「いいえ待ちません。では白崎さん、谷口さん、それと辻さんも。ステータスプレートを見せていただけませんか?――三人のステータスがどうなっているのかを確認したいんです」
そして差し込まれる愛子の一手。それを聞いて五人だけでなく雫達も敗北を確信する。これはどう転ぼうとも愛子の勝ちが揺るがない一手でしかないと理解したからだ。
オルクス大迷宮の攻略を断念した辻と突破出来た二人では間違いなくステータスが異なる。数値はもちろん技能に関してもだ。ならそれがどれだけ違うのか、その違いを以て愛子は論破しようとしたのだ。
辻を上回ったり全ての取得した技能が見えた場合は言うに及ばず、下回ったり同程度の場合は『どうしてこの数値でオルクス大迷宮を突破出来たのか』と詰め寄られる。無論潜り始めた当初はこれよりも低かったと言い返すことは出来るものの、それは自分達が生存できたことへの反論にはなりえない。故に恵里達は負けを悟ったのである。
「え、えーっと、実はオルクス大迷宮にも自然豊かなところがあったんです!! そ、そこで色々ご飯を食べてました!!」
「そうそうそうです!! ユグドラシルもそこで従えた魔物で、この子の成ってる果実も食べたりして生活してたんです!!」
それでも香織と鈴はステータスプレートを渡さずにどうにか誤魔化そうと必死になった。
実際密林のような階層だってあったし、樹海みたいなところだってあった。ユグドラシルもまた密林のような階層で支配下に置いた魔物であるし、解放者の住処に魚もいたから色々食べていたというのも噓ではない。それで何とか切り抜けようとする二人であったものの、今度は愛子があることを投げかけてきた。
「うわ、往生際が悪い」
「そうですか……それでは白崎さん、谷口さん。でしたらどうしてその魔物がいた階層で大暴れしたんですか?」
「「あっ」」
微笑みながら愛子が指をさした先にいたのはユグドラシル。それを見て香織と鈴は思い出す……そう。さっきオルクス大迷宮での暮らしを洗いざらい白状したことを。トレントモドキの果実を食べた後にヒャッハーしてた時のことも。焦りのせいで恵里達も忘れていたそのことを突きつけてきたのだ。
辻の罵倒にも気づかず、一層圧が強くなった笑みを浮かべる愛子を前に二人は脂汗が止まらない。
「あ、あはは……な、なんででしょうね~……」
「ふ、不思議だよね……うんうん」
「笑って誤魔化せるとでも? もし仮に食料に困らなかったのならどうして我を忘れて暴れたりなどしたのですか。逆に食料に困窮してたからなったということではないのですか……返事は?」
「ハァ……その通りだよ先生」
「恵里っ!」
「恵里ちゃん!?」
ここでこれ以上の悪あがきはもう無理だと見切りをつけた恵里が白状し、一切いじっていない自分のステータスプレートを愛子に投げ渡す。愛子もちょっとわたわたしながらもそれを両手でキャッチし、恵里に非難の視線を向ける。
「……中村さん、物を投げ渡すのは感心しませんが」
「いいから見て。そこに先生の欲しかった答えがあるから」
注意をしても反省した様子を見せない恵里に愛子は苛立ちを感じつつも、そばに寄ってきたデビッドらや重吾達と共にステータスプレートを見ていきなり真顔になった。信じられないものを見るような目つきでステータスプレートをながめる彼らの様を見て恵里は一歩前に出る。
「信じられない、って顔してるね。まぁ無理もないけど」
「で、ですがこの数値と技能は……」
「ど、どう考えてもいじっただろ!! こ、こんなステータスの数値と技能なんて――」
「ステータスプレートがやれるのは隠蔽だけだよ。各数値と技能のね。でしょ?」
こんな数値と山のような技能はおかしいと愛子と野村が食って掛かるものの、恵里はデビッド達に目配せをしてこの銀色の板が語るものが真実だと訴える。やはりデビッド達も目の前のものを疑ってる様子ではあったが、トータス出身であるが故に愛子達にそのことを伝えていく。
「愛子、それにお前達。これは本当のことだ」
「信じがたいことはわかっていますが、これは事実です。ステータスプレートが出来るのは隠蔽であって改ざんではありません」
「前に僕達が無力化されたことがあったけれど、ここまで高いステータスの数値なら納得しか出来ないな。それも術師の彼女でこれなんだからね」
「認めるんだ皆。これが現実だ……しかし、そうか」
愛子の護衛を務めていた四人に言われ、そしてルルアリアやリリアーナらもそれに同意する様を見せて改めて愛子達は戦慄する。人間離れしたステータスと技能を映すそれに、そしてそんなステータスを持っているであろう恵里以外の他の面々に。
「……わかりました。ありがとうございます、中村さん」
「はいはい。じゃあとっととステータスプレートを返して――」
「お願いです。私にも皆さんが食べた魔物の肉を分けていただけませんか」
そうしてステータスプレートを返してきた愛子であったが、手渡すと同時にとんでもないお願いをしてきた。またしても場はにわかに騒がしくなり、当然それを光輝達だけでなくデビッド達も止めにかかる。
「何を言ってるんですか畑山先生! そればかりは絶対に駄目です!!」
「だ、ダメだよ愛ちゃん! ものすごい痛くて苦しいんだよ!!」
「そ、そうだ愛子! いくら何でもそんなことをしたら――」
「私は!!……私は力が欲しいんです!!」
必死に止めようと反対する周囲に愛子は大声を上げるが、それもすぐに終わる。理由は彼女の目にあった。
「あ、愛ちゃ……っ!」
「せ、先生……」
その瞳はとてつもないほどの後悔と渇望が混じって濁っていた。見る人を怯えさせる程に。嘆きと欲望に満ちた眼差しをただじっと恵里に向けていたからこそ誰も何も言えなくなったからだ。そんな愛子に見つめられた恵里も目をそらすことなく、何も言わずにじっと見つめ返してただ彼女の言葉を待っている。
「あ、愛子! そんなものに手を出さなくても神代魔法を手に入れれば――」
「それだけですか」
「そ、それだけでも十分だよ愛子ちゃん!」
「そんな程度で妥協なんて出来ませんよクリスさん……鷲三さんと霧乃さんがさらわれたあの日のことを思えば、この程度で満足なんて出来ません……!」
今にも血が流れ落ちそうなまでに強く拳を握りしめながら反論する愛子にジェイドもクリスも言葉が詰まってしまう。デビッド達が自分と共に戦ってくれることを誓ってくれはしたものの、結局あの時は何の抵抗も出来ないまま終わってしまった。
その時に抱いた愛子の絶望と後悔はあまりにも根深く、彼女を苦しめている。それを痛い程理解できてしまったからだ。
「どんなリスクを負ってもいいです。どれ程苦しんだって構いません。地球で幸せに生きていけるはずだったあなた達を守れる力を手に入れられるならどうなったっていい。私は、その覚悟でお願いしています」
あまりにも強く、あまりにも悲壮な覚悟。既に自分達の知っている畑山愛子という愛らしい女性は死んでしまったのだということを否応なしに理解させられる。その言葉に光輝達も、重吾達も、デビッドらもまた閉口するしかなかった。
「うん。わかったよ先生。じゃあ条件を提示させてもらおっか」
「……わかりました。私は、その覚悟を尊重します」
「あぁ。それ程の覚悟がある人間を腐らせるには惜しい。頼めるだろうか」
ただし恵里、アレーティア、いつの間にか戻ってきたメルドを除いて。
「恵里! それにアレーティアさんもメルドさんも!! そんなの絶対ダメだってば!!」
「ひっ!」
「駄目も何もないってば、ハジメくん。どうせこの人のことだし、国中から治癒師の奴らかき集めてでもボク達の真似を絶対する。そうでしょ?」
それでも止めようと説得してくるハジメに恵里は自分の推測を語れば、愛子もまた無言でうなずいてそれに返してくる。恵里達がその願いを聞き届けてからは一段と瞳が濁っており、もう渇望を超えて妄執にまで至っているであろう。そんな意志を見せる愛子にハジメ達はうなだれるしかなかった。
「あ、あの……え、えっと……」
「……いいぜ、アレーティア。お前が正しいって思ったんだろ? だったらぶつけろ。な?」
先程ハジメが大声を上げたことで自信がなくなって大介の服の裾をちょんとつまむばかりであったアレーティアだが、その大介が自分を見ながら励ましてくれたことでアレーティアも自分の意思を伝えようと勇気を出す。
「大介……んっ! あの、中村さんの言う通り、は、畑山さんは独自に動くと思います。だ、だから、その、私達が監督した方がいいと思い、ます……」
やはり終始オロオロしながらではあったものの、それでもアレーティアは自分の意思を伝え切った。アレーティアの言葉にハジメ達や重吾は渋い表情を浮かべるものの、肝心の愛子はただ黙って聞いており、反論する様子も無い。彼女とてアレーティアの言う通り
「お前達、彼女のことが心配で仕方ないのはわかるが、そこまでにしておけ。覚悟を決めた人間はな、強いぞ」
そしてメルドの言葉にハジメ達もうなずくしかない。何せ覚悟を決めたのは自分達もそうだったから。地球に戻って騒がしくも愛しかったあの日々を取り戻す。そのために戦っているのだから。
狂気に駆られたとはいえ決意した重吾達もまた理解が出来てしまったが故に何も言えない。自分達のために、自分達のせいで、と思いながらもくちびるを噛むしか出来なかった。
「それで条件とは? 何を呑めばいいのですか?」
「大した条件でも何でもないよ。ただ、ボク達がやることにケチを今後一切つけないこと。それだけだよ」
そして話し合いが終わったところで愛子は恵里に何をすればいいのかと問いかけるも、恵里が提示してきた条件が微妙なものであることに違和感を抱く。
(……後出しジャンケンが出来ますがそれだけですね。一体中村さんは何を考えてるのでしょうか。何か適当なモノを食べさせる腹積もりでは――)
「あぁそうそう。ボク達が提供するモノの方が地上にいる魔物を食べるよりも断然、強くなるよぉ~。どうするぅ~?」
「……っ」
何とも言えない条件を提示してきた意味を愛子は考えようとし、恐らく適当なモノを与えようとしているのではないかと思い至ったその瞬間を恵里に突かれてしまう。執念は抑えきれない程に肥大化し、愛子の中に迷いが生じた。
(ここで探るのも否定するのも簡単です。しかし、向こうが嘘を吐いている道理も無い訳では……)
「いいのぉ~? 疑うのは簡単だけどさぁ、ボクの提案を突っぱねたら強くなるチャンスが消えちゃうよぉ~。蹴りウサギの肉、あげようと思ったんだけどなぁ~」
疑い、迷い、どちらを採るかを決めあぐねていたその時、恵里がわざとらしく口にした『蹴りウサギ』という聞きなれない単語を聞いた時、愛子の心は一層揺れた。魔物の一種と思しきそれを聞いた時、ハジメ達が一瞬だけ『イナバ』と呼んでいたウサギのような見た目の魔物に視線を向けたからである。
「デビッドさん、チェイスさん、クリスさん、ジェイドさん。さっきの単語に聞き覚えは?」
「いや、それは……」
デビッドらにすぐに尋ねてみれば彼らも聞き覚えがない様子を見せる。それは王国の人間や鷲三、霧乃も同様であり、それを見て愛子の心は決まる。この提案を逃してはいけない、と。
「……わかりました。ではその条件を呑みます。どうか、私にも力をください」
「はい、取引成立ぅ~。それじゃあ――」
「ま、待ってくれ!!」
そうして愛子が頭を下げたことに恵里は笑みを浮かべるも、待ったをかけてきたデビッドに軽く顔をしかめてしまう。
「……何? 先生のやることにまだケチをつける気なの?」
「違う……俺も、俺達にもそれを分けてくれないだろうか」
やれやれと思いながら問いただせば、デビッド達もまた覚悟に満ちた表情でそう頼み込んできた。それを聞いてハジメ達は当然、恵里も愛子も一瞬目を丸くするものの、すぐに目を細めて四人の言い分に耳を傾けることに。
「……愛子さんがああなってしまったのは私達が無力であったことにもあります」
「あの時、愛子ちゃんを傷つけてしまったことの後悔がずっと頭にこびりついて離れないんだよ……だから、だからせめて、彼女を守れる力が欲しいんだ」
「先程ステータスプレートを見せてもらった時に見つけた……“魔力操作”の文字を。たとえ俺達も魔物と同等に堕ちようとも、愛子を守るための力を手に入れたい。これは、贖罪だ」
彼らの顔にも浮かぶ深い悔恨の情にハジメ達だけでなく王国の人間達も何も言えなくなる。事情を聴いたハジメ達は元より、よく知らない王国や重吾達もまたデビッド達から漂う後悔と己への怒りをその言葉の端々から感じ取ったからだ。
「……わかったよ。じゃあそっちも文句は言わないこと。いいよね?」
予定外ではあったものの、恵里も戦力が増えること自体に異論は無い。愛子と同じ条件を出してうなずいた彼らを見てすぐに腹は決まったのであった。
「ぁぐ、がぁぁあああぁああ!!!」
「ぎぃ、いがぁああぁあぁああぁ!!!」
つんざくような悲鳴が食堂の中でこだまする。自身の肉体が内側から崩れ、食い破られるような感覚に五人の男女が悶え苦しんでいる。その様を多くの人間がただ心を痛めながら静かに見守るしか出来ず、下手なことは出来ないと誰もが理解していた。
「先生! それに皆さんも! もう少し、もう少しの辛抱ですから!!」
「お願い耐えて!! 絶対に死なせませんから!! 私と鈴ちゃんで絶対に治しますから!!」
唯一動いていたのは最上級回復魔法『聖典』を先程から発動し続けている鈴と香織だけ。反逆者と扱われた二人の少女が今この場で究極の癒しの力を振るう様に多くが驚きを感じはしたものの、それでも目の前の地獄のような光景から目も意識も離せはしない。悲鳴を上げ、頭を打ち付け、今にも体が砕け散って死にそうになっている人間達の様から誰も逃れられはしなかった。
「恵里! やっぱり“呆散”をかけよう! このままじゃ先生とデビッドさん達が――」
「お願い!! 愛ちゃんが死んじゃう! お願いだから助けて!!」
「なんでもするから!! 雑用でもなんでもやるから!! だから愛ちゃんを――」
「ごめん、ハジメくん。あとそっちの二人も。そのお願いは聞き入れられないよ。先生達も承諾したんだしね」
ハジメに掴みかかられ、必死な様子の辻と吉野が懇願してくるも、恵里は苦し気に目をそらしながらそれを聞き届けることはない。こちらの仲間入りをするんだったらこれぐらいの痛みには耐えて欲しいというワガママもあったものの、そもそもこの激痛と言うのもはばかられるような痛みに耐えることを愛子達が誓ったが故でもあった。
『皆さんが受けた苦痛を私達も背負わなければなりません。そうしなければ仲間にはなれないでしょう?』
『愛子が受けると言ったんだ。俺達が逃げる訳にはいかない。ちっぽけではあるが、意地なんだ。これは』
もちろんその申し出を聞いてハジメ達はどうにか説得しようとしたものの、そう儚げに、泣き笑いを浮かべながら言ってくる愛子を見てその意志を削がれてしまったからだ。そのため愛子達は自身が食らい尽くされていくかのようなおぞましい感覚に気が狂いそうになりながらも、それを甘んじて受け止めているのである。
(痛いいたいだいだイダイイタイ痛いいたいぁぁああぁぁあーー!!!)
だが愛子達のその決意を容易に塗りつぶす程にその痛みはあまりにも苛烈過ぎた。体から軋み、割れる音が響く程にそれは強く、容赦なく愛子らを苛んでいく。
「どうして、こんな……」
自分達もあわよくば、と考えていた野村や玉井らは二の句を告げない。中村達にやれたのなら自分達も、という浅ましい考えは既に砕け散り、のたうち回り、髪が段々と真っ白になっていく愛子らを見てただただ涙を流すしか出来なかった。
「まけ、るか……ぁ!」
だが愛子は床に爪を立て、奥歯を強く噛み締めながら苦痛に耐える。鈴と香織が回復魔法を施しているせいで気絶出来ないというのもあったが、こんなところでくじけてたまるかと執念と憎悪を今一度燃やして堪え続ける。
「そう、だ……!!」
「わたし、たちも……まけない……っ!!」
「くるしいのは、あいこちゃんもだっっ!! この"ていどっ!!」
「すべではっ、あいごのだめに"っ!!」
デビッド、チェイス、クリス、ジェイドもまた床に手や頭を叩きつけてでも正気を保たんともがき続ける。かつて愛子を精神的に追い詰め、操られたとはいえ暴力を振るってしまったことへの後悔が彼らを突き動かす。これに耐え、力を手に入れることが愛子の為になると信じて。
「皆さんあと少しです!!」
「本当にあともうちょっとだから! あとほんの少しだけ耐えて!!」
そうしている内に五人の髪は完全に白に染まり上がり、瞳の色も赤に変わった。手の甲にも赤い線が走り、超回復によって体もデビッド達の方は大きくなっている。そして――。
「ハァ、ハァ……とま、った……?」
――遂に愛子達の変生が終わった。意識を失うことも出来ず、剝がれてしまうほどに強く床に爪を立てながらも五人は耐えた。耐えたのだ。かつて自分達が感じていたように体に力が溢れるのを愛子達も感じている様子で、手を何度も握っては開き、自分の体を触ったり、お互い顔を合わせて軽くギョッとしたりとしていて恵里達は少しだけ懐かしい気持ちになった。
「終わったみたいだね。じゃ自分のステータスプレートでも見てみたら」
そう恵里が促せば、五人ともすぐに自分のステータスプレートを取り出して驚愕し、いきなり愛子ははらはらと涙を流し出した。
「……やっと、やっとなんだ」
少し湿った声でぽつりとつぶやき、顔をうつむかせて銀の板を胸にかき抱く。
「まだほんのちょっとだけだけど……私、やっと手に入れたんだ。力を。皆を守れる力を」
一匹分、それも奈落の底の一番浅いところの魔物の肉とはいえ相当ステータスは上がったのだろう。それを見てすすり泣く愛子にもらい泣きしたデビッド達がそっと寄り添い、彼女の涙をぬぐい、そして肩に手を添える。
「あぁ、そうだ愛子」
「共に戦いましょう、愛子さん」
「今度こそ、誓いをたがえはしないよ。愛子ちゃん」
「今度こそお前の剣として戦わせてくれ」
「はい……はいっ!」
見ればハジメ達も少し目が潤んでおり、もらい泣きしたのは明らかであった。皆泣き虫だなぁと思いながらも恵里は一人思う。
(ま、こうして手を貸したんだ。見返りは期待させてもらうね)
今後共に戦うであろう五人の
おまけ
本日のNGシーン
「ハァ、ハァ……とま、った……?」
――遂に愛子達の変生が終わった。意識を失うことも出来ず、剝がれてしまうほどに強く床に爪を立てながらも五人は耐えた。耐えたのだ。かつて自分達が感じていたように体に力が溢れるのを愛子達も感じている様子で、手を何度も握っては開き、自分の体を触ったり、お互い顔を合わせて軽くギョッとしたりとしていて恵里達は少しだけ懐かしい気持ちになった。
「終わったみたいだね。じゃ自分のステータスプレートでも見てみたら」
そう恵里が促せば、五人ともすぐに自分のステータスプレートを取り出して驚愕し、いきなり愛子ははらはらと涙を流し出した。
「おもったよりのびてない……」
……そう。魔物の肉を食べるだけでかなり数値が伸びるんじゃないかと実は期待してたのである。
「流石にそこまでうまい話はなかったか……」
「高望みしすぎですよ愛子さん。私達の方も100から300ぐらい数値が上がってますし、それでよしとしましょう」
「確かに愛子ちゃんとしてはすぐにそっちの子達と並ぶぐらいの強さが欲しかったんだろうけどね……これから強くなろうよ」
「食事をするだけでここまで強くなれるのだ。これ以上文句を言ったら彼らに叱られてしまう」
「そうですけどぉ……うぅ……」
魔物の肉を食べてクラスメイト達を守り切ってみせると意気込んでた上にちょっと高望みしすぎてたせいで愛子としては肩透かし気味な結末であった。なおその様を恵里達だけでなく重吾らや王国の人間も何とも言えない目で見ているばかりであった……。