あまりありふれていない役者で世界逆行   作:田吾作Bが現れた

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やっと今年のエイプリルフールネタ完成しました(ひん死)

この話を読むにあたっての注意点として長め(約13000字)となっております。では上記に注意して本編をどうぞ。


四月馬鹿なもしもの話 その3(完)

「……あの男が何かしようとした時、そこで違う世界の私を自称する奴らがやって来たから」

 

「ごめん何言ってるの」

 

 風呂から上がった香織はユエと共に部屋のベッドに座り、寝る前のおしゃべりをしていた。ある時ユエが身の上話を始めたのだが、そこでひどく胡乱(うろん)な情報が出てきてしまう。話をしてすぐ、香織はツッコミを入れた。

 

「……香織がそう言いたいのはわかる。今も悪い夢としか思えないから」

 

 するとユエもひどくげんなりした様子で返事をし、深いため息を吐きながら軽くうつむく。窓から差し込む月明かりもあってどこか幻想的ではあったものの、状況が状況だけに香織はいたたまれない気持ちになってしまう。

 

「そ、そう、なの……ご、ごめんねユエさん」

 

「……ん。気にしないでいい。話、続けていい?」

 

 すぐさま香織はユエに軽く頭を下げたものの、ユエも疲弊した様子ながらも首を横に振る。その気遣いに感謝しつつ、香織はユエの申し出にうなずいて返す。するとユエもこほんとせき払いをしてから話を再開する。

 

「……あの人が何かしようとした時、そいつらはあの人の名前を呼んで止めた。それと体についた傷も服の破れも何かの力で元通りにしていた」

 

 『何人ものユエ』という未だ飲み込めない情報が香織の頭の片隅にはあった。けれどもその話を聞いて香織はひとり納得する。ユエ達が服の汚れも何も無い状態で自分達の前に現れたことはそういう経緯があったからだと理解できたからだ。

 

「そっか……でもユエさん、その人達は自分だってわかったよね。どうしてそういう言い方をするの?」

 

「……気持ち悪かったから」

 

 香織は相づちを打ちながらもあることを口にする。いくら世界が違うといえど、自分のことをどこか得体の知れないもののようにこき下ろしているのが気になったのだ。するとひどく渋い顔をしながらユエは吐き捨てたのである。驚きのあまり香織も目が点になってしまった。

 

「……だって、だって本当に気持ち悪かった。法衣をまとった私は二人いたし、香織や南雲達の名前を挙げて、『救世主である皆様のおかげで私は生まれ変わりました』って目を輝かせてうっとりしながら言ってた」

 

「えっ」

 

「……ぴしっとした上着にシャツ、ひざ上までのスカートを身につけてた私もうんうんとうなずいて『私も生涯をかけて仕えるべき方を見つけました』って言ってた。くもりのない目で香織達の名前を呼んでた」

 

「そ、そう……」

 

「……やたらとフリルのついた服を身につけた私も『安心して。あなたもいつか香織お姉様と巡り会えるから』って……なんで。私、香織と血は繋がってないのに」

 

「え、えぇ……」

 

「……それと顔立ちだけしか私と同じじゃない、髪の毛が少し灰がかってた筋肉まみれの奴もいた。あの丸太みたいな手足は何? 香織のおかげで筋肉に目覚めたって意味がわからない…………」

 

「う、うわぁ……」

 

 そして押し寄せる情報の暴力の前に、香織は相づちもロクに打つことが出来なかった。

 

「……あんなのが私だなんて思いたくない。私がたどる未来だなんて考えたくなかった。だからあの名前を捨てたかった」

 

「そ、そうだね……」

 

 どうしてユエが他人扱いしたくなったのか、よどんだ目で気持ち悪いと述べたのか、そして別の名前が欲しいと言ったのかを香織は嫌というほど理解してしまう。いくら自分であると言おうが証明してこようが、こんなのがいきなり目の前に現れたら自分だって赤の他人を装うと確信したからである。ぐずりながらつぶやくユエに香織はただ同意するしか出来なかった。

 

「……私を助けた後、そいつらは香織や南雲、知らない名前の人のことで言い争いもしてた。香織お姉様は崇拝なんて求めてないとか、信奉するエリ様がなぜいないとか、シズクは私のライバルだとか…………あんなの私、どうすればよかったの?」

 

「ゆ、ユエさん、落ち着いて。ね?」

 

 そしてユエは顔を背けながら乾いた笑いを浮かべた。その後、目から一筋の雫を垂らしながらひどくカオスな状況と困惑していたことを口にしたのである。覚えのある名前が少し気にかかったものの、ユエをひどくあわれんだ香織はすぐに彼女を抱きしめたのであった。

 

「…………ありがとう、香織。恥ずかしいけど助かった」

 

「落ち着いてくれてよかったよ……」

 

 しばらくしてユエはそっと香織を押してどかす。その後うつむいてやや声を震わせながらもユエはお礼を述べてきた。しばらく抱きしめて声をかけ続けた効果が出たことに香織は内心ホッとする。そして軽く息を吐いた後、改めて香織はユエと向かい合った。

 

「……じゃあ話は終わりでいい、かな?」

 

「……ん。まだ続ける。ちゃんと話す。がんばる」

 

 こんな出来事なんて絶対思い出したくないと思った香織は、ここで話を打ち切ったほうがいいかとおそるおそるユエに尋ねた。だがユエはふるふると首を横に振ってこの後のことも話すつもりであると返す。

 

 一抹の不安がよぎったものの、ユエの邪魔をしない方がいいと香織は考える。そして香織は軽く背筋を伸ばし、聞く姿勢をとって話してくれるのを待った。

 

「……その後、私と叔父様がそいつらに声をかけたら言い争いは止まった。けど私達に背を向けて話し合いを始めた」

 

 程なくしてユエはまた話し始めた。いきなり異世界のユエ達が彼女とディンリードを無視し、話し合いを始めたことに香織も違和感を抱く。

 

「そ、そうなんだ。それで、その、ユエさんは声かけなかったの?」

 

 あの怪しい集団とこれ以上関わり合いたくないとユエが思ったことは香織も想像は出来た。けれどもこのまま放置したらどうなるかわからないとも思い、声ぐらいはかけたのかと香織は問いかける。

 

「……かけた。けれどしばらく止まらなかった。終わった後、そいつらは香織と南雲と会えと言ってた」

 

「……じゃあ、もしかしてあの穴って」

 

「……いきなり空間が爆ぜるように光ったと思ったら、そいつらの顔が遠くなっていった。多分魔法で私とあの人をこの世界へ、穴を開けて送り込んだんだと思う」

 

 するとユエもどこか考え込んだ様子でそれに答えた。自分と南雲に会えという言葉と空にあいた穴が香織の頭の中で結びつく。もしかしてと思いつつ香織はユエを見つめると、彼女もこくりとうなずいてから地球に現れたであろう経緯を語る。それでああなったんだと香織は納得すると共に軽く圧倒されてしまう。

 

「……ごめんなさい、香織。香織と南雲の名前を聞いた時、私はあなたを疑ってしまった」

 

 違う世界のユエ達って気持ち悪いけどすごいなと香織がぼんやりと考えていた時であった。ユエが心底申し訳なさそうにつぶやいて頭を下げたことに香織はひどく驚いてしまう。

 

「う、ううん。そんなことがあったんなら仕方ないよ。私だってビクビクしてたと思うし」

 

 改めて考えてもユエがここに来たいきさつが、風邪を引いたときに見る夢のようにしか香織には思えなかった。だから香織はすぐにユエの肩に手を置くと、彼女に同情の言葉をかけた。するとユエもゆっくりと頭を上げ、どこかホッとした様子で香織を見つめ返す。

 

「……ありがとう、香織。あの時声をかけてくれたのがあなたと南雲で良かった」

 

「えっと、どういたしまして、かな」

 

「……香織と南雲のおかげで私は路頭に迷わずに済んだ。でもそれだけじゃない」

 

 ユエからお礼を言われて少しむずがゆい気持ちになったものの、香織はほほをかきながら返事をする。するとユエが気にかかることを言ってきたため、香織はそちらに意識をとられてしまう。

 

「服とかお布団のこと? それぐらいならやって当然だと思ったんだけど」

 

「……それもある。私が言いたいのはあの人と一度距離をとれたこと、恨みを忘れるようなショックを受けたこと。おかげで頭が冷えた」

 

 ちゃんと面倒を見ると言った以上、服や寝具の用意は当たり前だと香織は思い込んでいた。だがユエはそれも含めて感謝していることがあると述べたのである。

 

「お礼を言ってくれたのはうれしいんだけど、頭が冷えたってどういうこと? さっき整理がついたとか言ってたのと関係あるのかな?」

 

 『頭が冷えた』という言葉に香織は軽く困惑し、何度か目をぱちくりさせる。そこでお礼を受け取りつつもさっきそう言ったのはどういう意味なのかと香織はユエに尋ねた。するとユエは軽く視線を上げながらあることを口にする。

 

「……この世界に向かってる時、そいつらは色々なことを言ってた。なぜあの人が自分にこんな真似をしたのか。その意味を考えて、ってことも」

 

 その言葉を聞いた香織は、ユエ達が現れてからずっと思っていた疑問について考え出す。ディンリードがユエをひどく申し訳なさそうに見つめたり、声をかけたりしていることについてだ。

 

「確かに、変だよね……私が騙されてるだけかもしれないけど、ユエさんのことを邪魔だと思ってるようには見えなかったし」

 

 ユエを王様の座から下ろしたいと動いたことを考えれば、憎んでいたりうらやんでいるのが普通だと香織も考えはした。だが、ユエへ向ける言葉や視線はそういうものではないと香織は思えて仕方なかったのである。ならばそうしなければならない理由があったのではないのか。そんな中、ある推測が香織の中に浮かぶ。

 

「…………もしかして、ディンリードさんは仕方なくやったの?」

 

 ――例えばユエの身が危ないから。そういった理由でこんなことをやったのではないのか。疑問をぽつりと口から漏らせば、向かい合ってたユエはゆっくりとうなずき返してくる。

 

「……きっと。今にして思えばおかしいのがわかる。王位を簒奪するのならあの場で殺せばよかった。それが出来る力があの人にはあったし、私は驚いて何も出来なかったから」

 

 ユエはどこかいぶかしむ様子で香織の疑いに同意し、自分の考えを語ってきた。それを聞いた香織の脳裏に何か得体の知れないものが動いているのではないかという想像がよぎる。それだけで香織は軽く身震いしてしまい、思わず自分の体をかき抱いた。

 

「……香織、ごめんなさい。怖がらせてしまって」

 

「う、ううん……ごめんね。私こそ勝手に怖がっちゃって」

 

 すると今度は香織がユエに抱きしめられ、気遣いの言葉をかけられてしまう。先程まで感じていた恐怖は気恥ずかしさに変わり、香織は顔を赤くして目をそらしてしまった。やられる方はこんなに恥ずかしいんだ、と思いつつも香織はどうにか返事をした。

 

「……香織。私はちゃんとあの人と、ディンリード叔父様と向き合おうと思ってる」

 

 香織が返事をしてからしばらく後、ユエが真剣な表情でそう告げてきた。これまでかたくなに呼ばなかったディンリードの名前を出したことからユエが本気であることを香織は察する。

 

「そっか。じゃあ聞くの?」

 

「……許せるかはわからない。けれど、必要だと思う」

 

 向き合うと言ったことから襲ったことも尋ねるのかと香織は問いかけた。答えたユエの声が少しこわばってたように聞こえ、わだかまりが解けた訳ではないかもしれないと香織は推測する。だがそれでもやると決めたユエの強さを香織は少しうらやましく思ってしまう。

 

「……そう思えたのは香織、あなたが勇気のある人だったから」

 

 だからこそユエが微笑みながら言葉をかけてきたことに香織は一瞬理解が追いつかなかった。一体どんな理由でユエが自分を持ち上げたのかわからなかったからである。

 

「わ、私、勇気なんて……」

 

 戸惑いながら自分はそんな人間じゃないと香織は否定しようとした。するとユエは片手を伸ばし、そっと香織の左ほほに手を添えてきた。微笑むユエに見とれてしまい、香織は言葉を失ってしまう。

 

「……否定しないで。素性の知れない人のために香織は二度も率先して動けた。そんな人が勇気がないはずがない」

 

 そしてユエが穏やかな声で事実を指摘してきたせいで香織はもう何も言えなくなってしまった。ユエがこちらを見ながらずっと笑みを絶やさないせいで、ちょっとくらいうぬぼれてもいいのかなと香織は思ってしまう。

 

「お話、してもいいのかな。わがままじゃ、ないかな」

 

「……大丈夫。香織は相手の事情を考えて動ける人だから。私の、王様の目を信じて」

 

 目を泳がせて迷いを口にした香織をユエが言葉をかけてくる。自分を認めて後押ししてくれるせいで、自分はこんなに流されやすかったんだと香織はつい思ってしまう。

 

「ありがとう、ユエさん。私、頑張るから」

 

「……ん」

 

 一瞬だけ口の端を引きつらせた後、まぁいいかと思うと香織は改めてユエに向き直る。感謝の言葉と誓いをユエに告げれば、彼女も微笑んだままうなずく。香織もつられてしまい、部屋の中に笑い声がこだましたのであった――。

 

 

 

 

 

 白崎家がユエを保護して数日後、ほどなくして南雲家及びディンリードとの話し合いの日程が決まった。当日、白崎家総出でとあるレストランを訪れ、既に待っていた南雲家の面々とディンリードの席へと向かう。南雲家とディンリードと向き合うようにして香織達は座った。

 

「すまなかった。アレ……いや、ユエ、さん」

 

 話し合いをする前に一旦ドリンクを注文をし、全員の頼んだものが届く。そこから数分後のことだった。ディンリードが席を立ち、ユエに向かって頭を下げたのである。

 

 心底苦しげにつぶやいた様子からしてちゃんと本当の名前で呼びたいんだろうなと香織は察する。どうするんだろうと思いつつユエの方を見れば、彼女も緊張した面持ちでディンリードをじっと見据えていたのが香織にもわかった。

 

「……悪いと思っているなら私の質問に答えて」

 

「私が、謀反を起こした理由かな」

 

 真剣なまなざしでユエがディンリードに迫る。香織は南雲と一緒に固唾を呑み、ユエとディンリードに注目する。するとディンリードはどこか覚悟を決めたようなキッとした顔つきで、ややこわばった声で問い返してきた。

 

「……わかっているなら早い。私を何かから守るため、だった?」

 

「……流石だよ、アレーティア」

 

 問い返されたユエは一瞬だけ目つきをひどく鋭くし、自分の胸に手を当てながらディンリードに問いかける。ディンリードはどこか悲しげでホッとしたような表情を浮かべ、ユエの本当の名前とおぼしきものをつぶやく。

 

「私はいつも最前線で戦う君のことが心配だった。だから君が戦線を率いている間に大迷宮……いうなればとてつもない力を得る場所を訪れていたんだ」

 

『なるほど』

 

 そしてディンリードは語り始める。その際大迷宮という場所が香織にとっては聞きなじみがなく、自分達を見渡しながらディンリードは注釈を入れてくれた。すぐさま香織は南雲や両親、愁と菫共々相づちを打ち、わざわざかみくだいてくれたことに感謝して頭を下げる。

 

「その際私は大迷宮を創設した反逆者からのメッセージを聞いたんだ。エヒトはトータスをもてあそぶおぞましき存在であると」

 

「……嘘。エヒト様が、そんなこと」

 

「私が訪れた大迷宮はたった二カ所だし、どちらの話も似たようなものだった……しかしそうなると竜人族、かつてトータスで繁栄していた種族が突如歴史から消えたことにも納得がいってしまってね」

 

 ディンリードの口から語られた言葉に、香織は少し強く手を握りしめる。いうなれば本当に存在したお釈迦様や八百万の神様によって過去の偉人達はめちゃくちゃにされたようなものだとわかったからだ。チラッとユエの方を見てみれば、顔を青くして呼吸も荒くなっている。すぐさま香織は隣のユエの右手を握り、彼女に向かって声をかける。

 

「ユエさん、落ち着いて。いっしょに紅茶、飲まない?」

 

「…………ん。ありがとう、香織」

 

 ティーカップを掴んで軽くかかげながら訴えれば、ユエもこくりとうなずいて自分のものを手に取る。香織自身も緊張でのどが乾いていたため、そのことにちょっとだけホッとしつつもくちびるを湿らせる。香織がチラッと周りを見渡せば、智一に薫子、南雲と彼の両親もまた顔つきが軽くこわばっているか自分と同様にドリンクを呑んでいるのがわかった。

 

「……こんなこと、受け入れてもらえるとは思ってないよ。あまりに突拍子もな――」

 

「……信じ、ます」

 

 しばし無言だったディンリードがわずかにうつむき、手にしたコーヒーカップを両手で包みながらつぶやく。そうなるのも無理は無いと香織も思いつつ見守っていると、ディンリードの悲しげな声をユエの震える声がさえぎった。

 

「……それなら納得がいくから。私を殺さずに立方体の中に埋めようとしてたこと、あいつらの説得に耳を貸したこと、私が敬愛する竜人族がいなくなった理由も、それで説明がつくから」

 

 すぐに香織はユエの方に視線を向ける。緊張とやるせなさが入り交じったような顔をしながらもユエは信じると述べた理由を語っていた。こんな事をすぐに受け止めるのも難しいと香織は思っていたが、それでもユエはディンリードに『信じる』と言ったのだ。ユエの強さに香織はただ畏敬の念を抱く。

 

「だが、それでも……私は君をひどく傷つけてしまったんだ。それをぬぐいさることなんて……」

 

 ユエはやっぱりすごいと香織が思っていると、不意にディンリードの震える声を香織は聞いてしまう。香織がディンリードの方に目を向ければひどく後悔している姿が見えた。机の上で両手を強く握り合わせ、後悔に満ちた表情で机に視線を落としている様に香織は哀しさを覚える。

 

「わかってます。ディン叔父様」

 

 するとユエがどこか優しげな声でディンリードを、親愛のこもった言い方で呼んだ。もしかしてと思いながら香織が振り向けば、どこかこわばったような顔つきながらも微笑んでいるユエがそこにいた。

 

「……叔父様がどれだけ私を想っているか。償う意思があるかもわかりましたから」

 

 ユエの声色は先程と比べて柔らかいのが香織にもわかった。話す際に一度目を背けたのもだ。まだ完全に整理がついていないんだろうと思いつつ、香織はユエがテーブルの下に隠した手にそっと自分の手を重ねる。

 

「私を、許すというのかい?」

 

「……本当に出来るかはまだ自信がありません。けれど」

 

 ユエは香織に一度ほほえみかけてからディンリードの方に再度向き合う。そしてディンリードがどこかすがるような顔つきでユエに問いかけると、彼女も軽く目線を下げてから自信なさげに答えていく。

 

「ここから、始めましょう」

 

「――っ。ありがとう、アレー……いや、ユエ」

 

 だがユエはそこで立ち上がり、ディンリードに向けてそっと右手を差し出した。ディンリードは一瞬声を詰まらせ、軽く涙ぐみながらユエの手を握り返す。左手で顔を押さえてむせび泣くディンリードの姿を見て香織も思わずもらい泣きしそうになってしまう。

 

「よかったディンリードさん……ずっと、ずっと不安がってたから」

 

 持ってきたハンカチで目元を何度かぬぐっていると、不意に香織の耳に南雲の少し湿った声が届いた。やっぱり向こうも不安だったんだと思いながらまた香織が目元をハンカチでふこうとする。そんな時、右肩をぽんぽんと叩かれると香織はちょっと驚いてビクッとしてしまう。

 

「……香織、次はあなたの番」

 

 振り向けばいつの間にか握手を止めてこちらを優しく見つめるユエがそこにいた。そして穏やかな声で促してくるユエに香織は何度か目をしばたたかせる。

 

「いい、ですか」

 

 香織は軽くつばを呑むとこの場にいる全員を見渡す。さっきのあんな感動できる話の後でプライベートなことを頼み込むことにちょっとだけ尻込みしてしまったからだ。

 

 しかしユエにディンリード、薫子に南雲の両親も微笑みながら香織を見つめ返すばかり。智一も複雑な表情を浮かべるだけで声はかけてこないし、南雲の方はほんのりと顔を赤らめて目を泳がせていた。

 

「えっと、その」

 

「――南雲くん、私とお友達になってくれますか」

 

 自分と同様に南雲が緊張しているのは声の震えでわかった。それに少しだけ安心した香織は笑みを浮かべて南雲に問いかける。すると南雲は更にほほを赤くしながらじっと香織を見つめていた。

 

「よ、よろしくお願いします……」

 

「うん! よろしくね、南雲くん!」

 

 少しうつむいて、やや上ずった声ながらも南雲は友達になると言ってくれた。そのことが無性に嬉しくなった香織はニコニコ笑いながら彼に声をかける。

 

「よし、めでたい日だし色々食べませんか? ほら香織ちゃんとユエさんも」

 

「ふふっ。そうね。ハジメにもやっとガールフレンドが出来たんだもの。盛大にお祝いしなくっちゃ!」

 

 これもそれもユエさんとディンリードさんのおかげだと香織が思っていると、いきなりやや声のトーンの高い愁の声がこだました。メニュー表を手にしてこちらを見ながら訴えれば、菫もニマニマと南雲に笑いかけながらそれに乗っかる。

 

「や、やめてよ父さん母さん! 僕と白崎さんはそういうのじゃないってば!」

 

「おいお前。マイエンジェルのことは遊びでそういう関係に――」

 

「あなた?」

 

「お父さん?」

 

「ヒッ」

 

 南雲も顔をひどく赤くしながら愁と菫に反論したが、香織は()()()そのことにもやもやしたものを感じてしまった。また智一もハジメに因縁をつけてきたため、香織は薫子と仲良く微笑みかけて大人しくさせた。

 

「……今のは智一さんの自業自得。それと香織、お願いがある」

 

「あ、うん。どうしたのユエさん」

 

「……さっきは飲み物について教えてもらった。今度はこういった場所でよく食べるものについて教えて欲しい」

 

「ポピュラーじゃないものの方が珍しいと思うけどね。えっと――」

 

 ユエからの頼みにクスッと笑みを浮かべながらも香織はメニュー表を広げ、ひとつずつ説明していく。

 

 その後は出された料理の出来映えにユエとディンリードが驚いたり、様々な国の料理を取り込んではアレンジしている際限のなさに二人が戦慄。またディンリードも別世界のユエについて今も頭痛がするとげんなりした様子でつぶやいたり、それにユエが大いに同意したり香織達が納得したりと一行は食事と会話を楽しむ。かくして話し合いは大団円を迎えたのであった。

 

 

 

 

 

「ひどいんだよ雫ちゃん! お父さんが()()ハジメくんと一緒に夏祭りに行っちゃだめだって言うんだよ!」

 

 思いがけない出会いから香織が()()()と友達になることが出来て数年が経った。学園指定のブレザーに身を包んだ香織は、同じ格好をした幼馴染みの八重樫雫とアレコレ話をしながら歩いていた。

 

「智一おじさんも相変わらずね」

 

「本当だよ。お母さんやユエと一緒に説得したのに。もうこっそり行っちゃおうかなぁ」

 

「それ智一さんが泣くからやめてあげなさい……っと、そろそろね」

 

 雫が苦笑して相づちを打てば、香織は軽くほほを膨らませてぷんすかと怒りながら不満を口にした。雫は苦笑しながらたしなめてきたものの、何かに気づいてハッとした彼女は周囲を見渡す。そして右手で前髪とスカートをいじり出し、左手の風呂敷包みにせわしなく視線を落としていた。

 

(雫ちゃん、()()()くんの家が見えるとこうなるよね。ふふっ)

 

 今日も幼馴染みが女の子としてドキドキしてるのを確認すると、香織はクスッと笑いながら前を向いた。そして()()()()()()()南雲家の玄関にたどり着くと、香織はインターフォンをそっと押す。

 

「香織です。今日も雫ちゃんも来てます。菫さん、ハジメくんは?」

 

『はいはい。今ハジメとディンリードさん呼んでくるわ。いつも悪いわねー』

 

 何度かチャイムが鳴った後、香織は笑みを浮かべてインターフォンに軽く顔を近づけた。そうして声をかければ、いつものように菫が苦笑いしながら二人を呼んでくると返す。

 

「いいえ。私と雫ちゃんが好きでやってるだけですから」

 

 菫からのねぎらいに香織は笑みを崩さずに気にしないでほしいと伝える。そうして毛先をいじったり雫と『あとどれぐらいかな』ととりとめのない話をして待つこと数分。玄関のドアが開く音を聞いてすぐに香織はそちらに顔を向けた。

 

「おはようハジメくん!」

 

「ごめん()()さん。遅くなった!」

 

「もう。また髪の毛ハネてるよ」

 

 今日も少しよれた学園の制服を着て、髪の毛をちょっとぼさぼさにしたハジメが現れる。相変わらずだなぁと思いながらも香織は今日一番の笑顔を浮かべて彼を出迎えた。いつものようにニコニコ笑いながら香織はハジメの髪を手ぐしで整えていく。

 

「申し訳ないね香織さん。八重樫さんも……ハジメ君、君が家族思いなのはわかるけれど、寝る時間ぐらいはちゃんと確保しなさい」

 

「あ、はぃ……本当にすみません」

 

 そこから遅れて数秒、ディンリードが玄関から出てきた。しわのないシャツにチノパンとややラフな格好に身を包んだその人は人差し指を立て、あきれ顔でハジメに説教を始める。すぐさま平謝りするハジメを見て、また菫か愁の仕事を手伝ったなと香織は察した。

 

「そうだよハジメくん。お母さん達のお仕事が楽しいのはわかるけど、やり過ぎはよくないからね」

 

「で、でも……」

 

 同時に何度か菫の仕事を手伝った時はキツくも楽しかったことを香織は思い出していた。とはいえ徹夜があった日はハジメ共々学園で居眠りしそうになったのも思い出し、忍び笑いをした後で香織も軽いトーンでハジメにお説教する。するとハジメも香織の方を向いてしどろもどろになりながらも言い訳をしようとしていた。

 

「消しゴムかけとかお茶出しなら私、またやるよ。ね?」

 

 もちろん香織もハジメが粘ろうとするのは想定しており、しょうがないなぁと思いながらも手伝うことを申し出た。彼や菫の力になれるのならむしろ香織的にはどんとこいだからである。

 

「……夜の七時までなら、かなぁ。それ以上は智一さんが怖いし」

 

「むー……でもお父さんってば心配性だからなぁ」

 

 それを聞いたハジメは何度か視線をさまよわせ、ほほをかいてから妥協案を口にしてきた。すると香織は智一があれこれ口出しする様を幻視し、それでハジメに迷惑をかけるのもイヤだと思いながら軽くブーたれる。

 

「あのね二人とも。夜の七時に一人、なんて危険でしょ。智一おじさんに迎えに来てもらうにしても南雲君や菫さんが叱られると思うわよ」

 

「あぅ……さすがにそれはちょっと」

 

 するとあきれ顔の雫からすぐさまツッコミを入れられてしまい、香織はビクッとしてしまう。菫の作業場は別に近所という訳でもないし、自分ひとりで出歩くのも危険だという指摘はごもっともだと痛感したからだ。

 

「あ、はい……マチ姐さん達なら喜んで送り迎えぐらいやってくれると思うけどね。でも根掘り葉掘り聞いてきそうだしなぁ」

 

「私は別にいいけど、まち子さん達に悪いよね」

 

「いや僕のことも考えて……」

 

 ハジメからアシさんに車で送ってもらうことを提案されるも、そうしてもらうのもちょっと申し訳ないと香織は苦笑しながらこぼす。なおそこでハジメが顔を軽く赤くしながらつぶやいたが、どうしてだろうと香織は軽く首をかしげていた。

 

「まったくこの二人はもう……」

 

「本当に。見てて少し心配になってしまうよ」

 

「えー……」

 

 ハジメがどうして顔を赤くしたのかを考えていた香織であったが、ふと横にいた雫がボヤきながら半目でこちらを見つめてきた。またディンリードも額に手を当てながらため息を吐いてたため、そんなことをされる理由なんてないと香織も二人をジト目で見つめ返してしまう。

 

「ふーん。雫ちゃんだってディンリードさんのことでよくぽやぽやしてるよね」

 

「ひゅぇっ!? な、なんのことよっ!!」

 

「だって今日もお弁当の入ってる風呂敷、ちょくちょく見て――」

 

「わー!! わー!!」

 

 そこで香織は軽く仕返しをしようと意地悪げに笑みを浮かべると、わざと本人にも聞こえるようにディンリードのことについて触れる。すると雫は顔をりんごのように赤くしたため、香織は面白がって彼女が持ってる風呂敷について言及しようとする。案の定雫が大声でさえぎってきたため、香織はニヤニヤしながら雫を見つめた。

 

「ふふっ。いつもありがとう雫さん」

 

「い、いえ、その……よくしてくれたお礼、ですので」

 

 耳の先まで赤くした雫がもだえている最中、ディンリードが彼女にお礼を述べる。すると雫もぷるぷると腕を震わせながら持っていた風呂敷を彼に手渡す。中身は雫お手製のお弁当だ。今日も渡せてよかったねと香織は心の中でそうつぶやく。

 

(でも良かったよ。ディンリードさんがいてくれたおかげで雫ちゃんも大丈夫そうだし)

 

 ――ユエとディンリードがこの世界に来て和解した後、様々な手続きを経て二人は白崎家と南雲家に迎え入れられた。そこで幼馴染みにユエを迎え入れたこと、またその際にハジメと知り合ったことなどを打ち明けた。

 

 幼馴染み達はそろって渋い顔をしていたものの、雫だけは彼女のイジメのことがきっかけでディンリード達と打ち解けたのである。 

 

「前にも言ったはずだ。君がちゃんと打ち明けてくれなければ解決しなかったことだ。それに私は十分にお礼はいただいたのだと思うのだけれどね」

 

「そ、それでも! それでも、です……」

 

 中学生の頃も雫はイジメられており、時折そのことで弱音を漏らしていた。しかし香織には雫のイジメのことに下手に首を突っ込み、悪化させた経験もあったのだ。だからこそどうしたものかと香織は悩んでおり、どうすればいいかとユエとディンリードに相談したのだ。そこで二人がこっそり動いていたようで、一週間も経たない内に雫はよく穏やかな顔つきをするになったのである。

 

 またその頃からディンリードについてあれこれ口にするようになり、香織はその話や相談の相手になっていた。

 

「ディンリードさんも、そろそろ雫ちゃんにちゃーんと向き合ってほしいんだけどなー」

 

「私には過ぎた子だよ。香織さん」

 

 ……ただしユエ経由でディンリードがあまり本気で相手をしてないことも香織は聞いている。本人曰く、『優しくしただけの私に好意を示しているのも、彼女がまだ本当の恋も愛も知らないからだよ』らしい。これをユエがあきれ顔でつぶやいていたのも香織は覚えていた。

 

 目の前のイケオジに香織は抗議の視線を送りながらお願いをするも、向こうは苦笑して首を横に振るだけであった。

 

「だって雫ちゃんってば――」

 

「ち、遅刻するから行くわよ香織っ!! ほら南雲君も!!」

 

 だから香織はいけずなディンリードへのあてつけで雫の本心をバラそうとするも、指の先まで真っ赤になった雫に手をガシッと掴まれてしまう。そのまま思いっきり引っ張られ、香織はそのまま南雲家から遠ざかってしまったのであった。

 

「雫ちゃん。やっぱり告白しようよ。私とユエも手伝うから。ぜったい成功させるから!」

 

「……今日も香織が悪魔に見えるわ」

 

「いいのかなぁ、それ……」

 

 そうして学園に続く河原を香織達は歩いていく。そこでふと南雲家で話を切り上げたことへの恨みも思い出した香織は、仕返しとばかりに雫に告白するよう促す。すると消え入りそうな声で雫が恨み言をつぶやき、ハジメが待ったをかけてくる。そのことに納得がいかなかった香織は一瞬だけくちびるをとがらせた後、雫の手をがっしり掴んだ。

 

「か、香織……?」

 

「大丈夫! 何回もアタックすればディンリードさんだって根負け――」

 

「香織ー! 雫ー!」

 

 そして雫を説得しようとした矢先、聞き覚えのある声が河原に響く。三人の時間が終わったことを心の中で軽く嘆きつつ、香織は小走りでこちらに向かってくる()()達を見やった。

 

「……香織、今日はこれが限界だった」

 

「いいよユエ。おかげでハジメくんと雫ちゃんと楽しくお話できるもの」

 

 香織は真っ先に自分と同じブレザーに身を包んだユエに声をかけようとした。するとユエから先に謝られ、香織は今日も自分達のために気遣ってくれたユエに感謝を伝える。

 

 ――家にいても手持ち無沙汰であり、かといって働きに出れないユエをどうするか。彼女を引き取った後に白崎家で話し合い、香織と同じ学園に通うこととなったのである。その際誰もが異世界基準でハイレベルな学習が出来ることにユエがひどくビビッたり、それで火がついたのか香織の卒業前に中学の卒業認定試験を短期間で突破するなどもしていた。

 

「まったく、ユエには毎回困らされるよ。香織、どうにかして彼女に考えを改めさせてくれないか」

 

 ユエからの謝罪を受けてすぐ、イケメンの幼馴染みである天之河光輝が香織に声をかけてくる。勉強もスポーツも出来て正義感にあふれるが、あまり人の話を聞かない彼の言葉を香織は適当に流す。雫がいじめを受けた遠因が彼にもあるし、光輝がいると自分とハジメ、雫が気兼ねなく過ごすことが出来ないからだ。

 

「んー。考えとくね」

 

「ユエさんのことはいいだろ光輝……俺はその、別にイヤじゃ無いし」

 

 香織は人差し指を立てつつ、ユエ仕込みの受け流しを今回も披露する。どこか納得いかない様子の光輝に、もう一人の幼馴染みである坂上龍太郎が彼の肩に手を置いて話しかけた。

 

「落ち着くんだ龍太郎! ユエがあれこれ話しかけてくるせいで香織と雫は南雲に気を遣う羽目に遭ってる! そうに違いないんだ!」

 

「そうかぁ~? 南雲はちょっとだらしない奴だけど、()()ユエさんが心を許してるんだぜ? そんなことねぇだろ」

 

 話しかけられた光輝は軽く眉根を寄せて声を上げるも、龍太郎は腕を組んで反論する。昔だったら光輝に言い返さなかったのにね、と香織は思いながら二人を見つめた。よくユエを見てる辺りやっぱり恋してるのかなと思いつつ、香織は振り返る。

 

「一緒に行こ、ハジメくん。雫ちゃんとユエも」

 

 これもきっと異世界から来てくれたユエとディンリードの、強くて優しくて素敵なハジメのおかげかなと思いつつ香織は声をかけた。そしてそのままハジメの手を取り、香織は早歩きで通学路を進んでいく。

 

「あ――うん。行こう、香織さん」

 

「そうね。もう少しだけユエお姉ちゃ……さんと一緒にいたいし」

 

「……ふっ。妹()()()の面倒を見るのもお姉さんのつとめ」

 

 愛しい人達の声を背に香織は今日も歩く。こんな日々がずっと続くんだとうっすらと思いながら。




おまけその1:こっちの世界の雫ちゃんについて補足

 当初はユエもディンリードも怪しい人だと思っていたものの、それもほんの一週間程度のこと。

 ユエもディンリードも自分のことをよく見てくれる上、『本当はすごく女の子らしくて可愛らしい』と揃って評価してくれた。また香織からのタレコミありきといえどイジメにあっていたことが判明すると「よく頑張ったね」と声がけし、また解決に尽力してくれたことから二人の存在に心を奪われる。そして魂の妹として覚醒。

雫「香織と南雲くんがうらやましいわ。私だってユエお姉ちゃんと一緒にいたいもの……それと、ディンリードさんも。今日のお弁当、喜んでくれるかな」

 なおソウルシスターとなったせいで雫を慕う奴らが無事発狂。多くの奴らが光輝の妹である美月に鞍替えし、残りは解散。また美月も雫が普段自分達をどう思っていたかを知って背中が煤けてしまう。


おまけその2:ここから入れる原作ルートってあるんですか!?

 この後、菫にからかわれながらもディンリードが今日のお弁当を開けて確認しようとする。が、中身や量からして普段自分用に作ってくれるものではないと思い、もしかして弁当を間違えて渡したのではと推測。すぐさまアポをとって学園へ。

 雫もお昼休みに自分用とディンリードのためのお弁当を間違えて渡したことに気づき、どうしようと軽く頭を抱える。その後黄色い声援と共にディンリード参上。

ディンリード「はい、雫さんの方。君もそそっかしいところがあるね」

雫「あ、その……ぁぅぅ」

 少女漫画か何かとしか思えないやり取りを披露し、教室にいた女子達の黄色い悲鳴がこだまする。光輝も無事頭がおかしくなりそうになり、許可もとらずに勝手に入るなと言いがかりをつけようとした際に教室の床が光る。もちろんユエが起点となってだが。

ユエ「……間違いない。ここは、トータス」

香織「そっか……絶対地球に帰ろう、ハジメくん。ユエ、雫ちゃん。ディンリードさんも」

ハジメ「……うん」

 そして地球に戻る決意をし、原作通り晩餐会を経てステータスプレート受け取り。その後訓練やら檜山達のイジメ(ただし即返り討ち)、檜山達が嫌がらせ目的でトラップを起動させてベヒモスと遭遇。なお即撃退し、すさまじいハイスピードでオルクス大迷宮を攻略していく運びに。

 あとトータス召喚時点でアレーティアちゃんズ(エヒト討伐済)も現れるトンチキの二度付けルートも作者の頭の中におぼろげにあります(やめろ)


おまけその3:こっちの世界のクラスメイトについて

香織やハジメと一緒に入学していることもあり、クラスを掌握しているのは光輝ではなくユエだったり。そのためクラスメイトの女子はほぼユエに心酔しており、男子の方も大体ユエにほの字(死語)

そのため光輝についていくのは龍太郎と恵里ぐらいで結構孤立している。檜山達小悪党四人組は美少女三人に囲まれているハジメのことを原作以上に敵視しているが、一度手を出そうとしてユエがにらみをきかせたことから萎縮。遠巻きに嫉妬している感じに。

トータス転移後はユエをリーダーにクラスメイトはまとまり、そのせいで『わたしせんせいなのに、せんせいなのにぃ……』と愛ちゃんが凹む。光輝も原作通り勇者になるものの、ユエの天職も原作通り『神子』のせいでイシュタルからも重要視されずに荒れる。檜山達も力を手にしてイキり、逆恨みからハジメと一緒にいたユエも襲おうとするもスマッシュされてしまう。

ちなみに恵里は香織と雫の心が光輝から離れていることだけは歓迎しているものの、結局光輝は自分だけを見てくれないことから原作以上にフラストレーションが溜まってしまっている。もちろんそこをユエとディンリードは把握済みである。
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