でも まぁ 投稿が早いに越したことは無いから良しとするって事でさ…… こらえてくれ(SOBNHRN並の感想)
では拙作を見てくださる皆様への感謝を。おかげさまでUAが47000越え、お気に入り件数も488件(21/10/7 08:08分現在)になりました……どうして投稿にしばらく間が空いたのにここまで増えてるんですか(戦慄)
Aitoyukiさん、アクルカさん、星野優季さん、サバ捌きさん、タイヨーさん、真藤陽人さん、拙作を評価及び再評価していただきありがとうございます。おかげでモチベーションを維持し続けることが出来ました。ありがとうございます。
今回も言い訳は後書きで。では本編をどうぞ。
十二月の半ばに差し掛かる頃の昼休み。数日前に中学二年の期末テストを無事に終え、ようやく人心地がついた恵里達は今日もいつものように教室で談笑をしていた。
「やっと期末の方も終わったけどよ、手応えはどうだった? 俺はまぁ、国語と数学はギリギリだったけど、それ以外は平均より上だぜ」
龍太郎が早速テストについて話を切り出すと他の面々も自分の結果を口にしていく。
「俺の方はいつも通りだな……龍太郎には後で俺がついてやるとして、幸利はどうだった? 大丈夫か?」
「あぁ、問題ねぇよ。専属の家庭教師さん達の腕がいいおかげでな」
今回も全教科ほぼ満点であったと光輝が暗に述べ、後で一緒に勉強しなければならなくなった龍太郎がうへぇと嫌そうな顔を浮かべる。そしてそんな光輝をチラリと見てから幸利も口角を上げながら語った。
幸利と和解して以降、光輝は雫と協力して幸利に勉強を教えていた。幸利が引きこもりをやめて少し経った頃、彼が勉強で置いて行かれてないかどうか不安になった光輝がそれについて尋ねてみたことがあった。光輝が懸念した通り、追い付いていくのも億劫になったせいでおろそかになっていたのだ。
このままでは幸利のためにならないと思った光輝は、彼のためにわからないところを教えようと考えたのである。とはいえ光輝は八重樫道場に通っている身である。鷲三と両親に理由を説明し、少しの間でいいから通う日数を減らしてほしいと説得して了解を貰うことに。そして三者から認められるとすぐさま光輝は幸利に勉強を教えることとなった。
最初の内は自分と他人の地頭の良さの差を上手く認識出来なかったせいで、幸利がどうしてつまづいてしまうか理解が出来ず、悩んでいたところを雫に打ち明けると今度は雫も同伴して一緒に幸利に教えることに。時間こそかかったものの、今度は雫のサポートもあったため上手く幸利が理解出来るよう説明が出来た。そこから光輝が本領を発揮し、的確な指摘やちょくちょく励ましを入れたのもあって幸利はすぐに授業についていけるようになった。
今でも頻度こそ減ったものの幸利の方から二人に頭を下げて一緒に勉強会を開くこともある。そのため一同の中で二~三番目の成績を誇るのが幸利であったりする。本人は『まだ光輝には勝てねぇな』と少しだけ悔し気に言っており、いつかは超えてやろうと闘志を軽くギラつかせている。
「そう。でも幸利君がちゃんと頑張ってるからこうして結果が出てるだけよ」
そういう雫もまた幸利に色々と教えているおかげで理解が深まり、前より幾らか得点が高くなっている。とはいっても平均八十後半あたりの点数に一~三点上乗せされたといったものだが。
「相変わらずお前らレベルが高ぇよなぁ……平均が八十点そこらでしかないのが恥ずかしくて仕方ないんだけど」
そしてそんな成績おばけの集団を見て浩介は思わずため息を吐く。息をするようにテストで満点近くの点数をとる光輝に、彼に追い越さんとする幸利。自分と同じく八重樫の裏の顔を修めながらも高得点を出している雫に彼女と大体同じくらいの点数を稼いでいる恵里、鈴、香織。今更な話ではあるが、そんな彼らと一緒にいて浩介は気後れをしていた。
「コースケ、あんま上ばっかり見てると息が詰まるわよ。ていうかアンタだって十分高いじゃないの」
「そだね。光輝っちや恵里っち達が凄すぎるだけで浩介っちだってちゃんとやれてるじゃない」
そんな彼を優花や奈々、妙子、まどか、ミサキらの平均よりちょっと上の辺りのグループが慰める。彼女たちに慰められてばつが悪くなった浩介は『悪い』とだけつぶやき、優花達はやれやれといった様子で彼を見ていた。
「とりあえず私もまどかちゃん達も赤点はなかったし、きっと補修もないよね?」
「うん。私も恵里も点数良かったし、別に問題ないんじゃないかな」
香織の問いかけに鈴が答えた。今回も恵里と鈴の点数も平均が八十点代後半であったため、補修を受けることはない。それに香織がホッと息を吐くと今度はミサキがある疑問を口にした。
「そういえばさ、冬休みはどうするの? クリスマスはいつも通りウィステリアでパーティーなのはわかってるけど、それ以外の日はどうする?」
期末テストの話し合いがひと段落を見せたため、そろそろ始まる冬休みはどうするのかについて気になったらしい。するとその疑問にいち早く反応したのは龍太郎であった。
「俺は強化合宿もあるから会えない日もあるだろうな。あ、でもクリスマスのパーティーはちゃんと顔を出すぜ。予定表を見た感じ、その日は大丈夫そうだしな」
通っている道場の方で合宿を行うとのお達しがあり、そのため例年以上に会える日が限られていたことを明かす。それを聞いた香織は『また龍太郎くんと会える時間が減った』とボヤき、またミサキとまどかが不機嫌な香織をなだめにかかる。
「あー、コホン……俺と雫、浩介はいつもと変わらないと思う。もちろんパーティーにも出るつもり――」
「そうやってみんなと一緒に過ごしてくれるのはいいけど、ちゃんと雫っちのことも見てあげなよ」
光輝が予定を言っている最中に口をはさんだのは奈々であった。すると光輝と雫はそろって首をかしげ、先ほどまで不機嫌だった香織も何かあると感じて機嫌を即座に直し、まどかとミサキと一緒に光輝達に視線を向けた。
「そうだよね~。どうせだし今年はパーティーの後でデートでもしたらど~う?」
「た、妙子!? な、何言ってるの!?」
「あ、いいかも。二人で一緒に雪の降る中、静まった夜の街を歩きながら――キャー! どうしよう! なんかすっごくドキドキしてきた!!」
「香織!? 香織まで何を言い出すんだ!?」
「いやむしろテキトーな理由をつけてパーティーは休んでコッソリデートとか……って無理かー。雫の家って忍――」
「ざ、雑技! 雑技も修めているだけの剣術道場だから!! そ、そうでしょ光輝!! 浩介君!」
妙子がぽやぽやした様子でデートの提案をすれば雫が顔を真っ赤にし、香織がミーハーな少女モードになって妄想を口にした途端光輝も耳の先まで顔を赤くして大声を上げる。今度はミサキがバックれてデートをすることを提案しようとするも、家の事情のせいで無理だと口にしたことで、雫が慌てて光輝と浩介を巻き込んで誤魔化しにかかる。光輝は半ば勢いに押され、浩介も雫と同じ修行を受けていたため首をひたすら縦に振った。
ミサキが言いかけた通り、八重樫道場が忍者の巣窟であることはこの場にいる皆知っている。あの香織でさえ『雫ちゃんと浩介くんもそうだからいっぱいいるかも』と考えている程には。なお雫も浩介も鷲三の言いつけもあってかそれを頑なに認めていないが。
「あー、とりあえずよ、雫の道場のことは本人が言ってるんだしそれでいいだろ……でよ、幸利はどうするんだ?」
こうなってしまうと道場のことの話し合いで休み時間が消えると考えた龍太郎は空気をあえて読まずに口をはさみ、幸利を道連れにする。
「お、俺かよ!?……あー、そうだな。特に予定もないし、それこそハジメの家にでも遊びに行くぐらいだな。あ、そういや兄貴が帰ってくるかもしれないからそん時は誰でもいいから頼むわ」
巻き込まれた幸利は軽く考え込むも、特にこれといったものは浮かばず。とりあえずハジメ達と遊ぶことを口にしたところである種重要なことを思い出した。それを伝えると誰もが何とも言えない表情で幸利を見つめ、『同情すんのやめろ。泣くぞ』と幾分か不機嫌な様子で言う。
幸利の兄である克典に浩介ら三人が怒りを露にしたあの日から幸利と克典の間の溝は更に深まった。前にも増して幸利への嫌味や蔑みが出たり、幸利以外の人間がいない状況で浩介達を遠回しに虚仮にするようになってケンカが絶えなくなったことで家の中の空気が更に悪くなったのである。
克典が高校に入学してからは寮生活となったため、兄絡みでのトラブルはこの前のお盆の帰省の時ぐらいしかなかった。また弟である
そんな具合で平和ではあったものの、先日幸利の母が克典と電話したらしく、今年の暮れにも帰省すると伝えてきたのである。何でも工事の予定が入ったとかで一度寮を出なければならなくなったらしく、それで帰ってくることになったとか。
そのため四六時中顔を突き合わせるのもしんどいため、せめて昼間だけでも誰かの家で過ごしたいと考えていた。
幸利の兄のことを浩介達から聞いていた一同はそろって苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。負け惜しみであることはわかるとはいえ、自分達を平気で馬鹿にしてくる克典を全員が嫌っていたからだ。家族同士の顔合わせで上っ面を取り繕った状態で出てきても、香織すら顔を合わせようとはしないぐらいには嫌っていた。
また、克典に対して割と無関心である恵里であっても、ロクでもない身内に振り回されることに関しては苦労がわかるため幸利に大いに同情していた。
「……まぁ、なんだ。良かったら母さんに相談して一日二日ぐらいは泊められないか話してみるよ。顔、あんま合わせたくないだろ?」
「浩介……お前が神様に見えるよ」
まだ皮算用とはいえ、こうして救いの手を差し伸べてくれる浩介の背に後光が差しているように幸利には見えた。それを一同が何とも言えない表情で見つめている中、予鈴が鳴る。全員はそれぞれの教室へ、それぞれの席へと戻っていくのであった。
「はい討伐完了。お疲れ様ハジメくん、鈴、清水君」
「おうお疲れ。しっかしお前ら三人相変わらず息ピッタリだよな」
「小一の頃からのつき合いだしね。それにモン○ンもそれなりにやってるし、お互いなんとなくわかるよ」
「うん、そうだね。あ、でも幸利君も僕達のことを考えて立ち回ってくれるようになったよね」
「……おう」
終業式を終え、遂に迎えた冬休みのある一日。この日は珍しく全員が集まれる日であり、スペースの広さから南雲家に集合。そしてパーティーゲームをしばし楽しんだ後、各々が思い思いに過ごしていた。
「お、ひと段落着いたか。なぁハジメ、さっきコイツ全巻読み終わったんだけどよ、他の格闘マンガってどこにあった?」
「えっと、僕の部屋の奥にある右から二番目の棚の、それの上から二段目と三段目かな。あ、でも龍太郎君はそこにあるの全部に目を通してるかも」
「お、ありがとなハジメ。あ、それと別にもう読み終わったとかそういうのは気にしてねぇから安心しろ」
ハジメに礼を言ってリビングを一旦出ていく龍太郎と、彼を追ってついていく香織。一緒にどの本を読むかについて語り合いながら歩いていく様は紛れもなく恋人のそれであったが、やはりというか二人は明確につき合っているという訳ではなかった。
一度フラれはしたものの、こうして自分と一緒にちょくちょく行動したり、試合の応援にはいつも来てくれているため『やっぱり香織は俺のことが好きなんじゃないか?』と龍太郎は考えていた。とはいえこうして何年も過ごしたことで香織がかなりの天然であることもわかっていた。
そこで龍太郎はミサキとまどかに頭を下げ、今度ウィステリアで好きなものをおごると約束してから香織に自分のことをどう思っているかを尋ねるよう頼み込んだ。二人としても香織と龍太郎の関係にもどかしさを覚えたり、気にかけてはいたためそれを承諾。それとなく尋ねてみた結果、『一番素敵なお友達』と期待通りの答えを返してきた。
このままでは龍太郎が憐れだと思った二人は、香織に『普段の行動はどう考えても恋人のそれでしょ?』とツッコむものの、『友達ならこれぐらいやるよね?』と返してきて頭を抱える羽目に。龍太郎を他の男友達よりも大事に思っている節が見られる答えこそ返したものの、結局香織が恋心を自覚することはなかった。
そしてそれを聞いた龍太郎は見事に灰になったのは言うまでもない。
なおこのことが光輝達にもバレてしまい、『もう香織のことは諦めたらどうだ?』と光輝や雫に諭されたり、それを聞いた香織がやたらと意固地になったのはまた別の話である。
そんなことがあっても今の二人は奇妙な関係で、独特ながらも仲睦まじいものであった。
「……相変わらずだな、二人とも」
「そうね。いい加減、香織も自覚してほしいんだけれどね……」
リビングを後にした龍太郎達を見ながら光輝と雫はどっと疲れたようにつぶやく。傍から見てももどかしい龍太郎と香織との関係や『いつになったら答えを出すんだ』とやきもきさせられるハジメ達との関係とは違い、二人は今も清い交際を続けている。
光輝が雫の唇を奪ったことがあるのと今も二人っきりの時はキスをせがんでくることがある以外は割と年相応であり、たまの休みにデートや買い物をしたりするものの、それ以上の関係には未だ踏み込んではいない。最近は二人の関係を周囲が認めたのかふとした拍子の襲撃は減ったと光輝は考えている。なおなくなった訳ではない。
そんな二人は一緒にハジメの部屋から持ってきた
「ねぇエリ、『シェリー』や『ちぇしゃ』の方でもコンテストを始めたみたいだけどまた漫画描かないの?」
○ンハンを一旦ストップしてハジメ、鈴、幸利と一緒に新刊が出た小説についてアレコレ話をしていた恵里に優花が声をかけた。
実は以前、菫のすすめもあって恵里は一度『に~にゃ』の少女漫画コンテストに応募したことがある。結果は入賞ではあったものの、それを祝ってパーティーも開いた。
優花がハジメから借りた少女漫画雑誌を読んでいると、真ん中辺りのページが少女漫画コンテストの企画となっており、それを見て恵里が漫画を描いたことを思い出したのだ。それでまた漫画を描くのだろうかと気になって問いかけたのである。
「んー、別にいいかな。前にも言ったけど記念みたいなものだったし、そっちの道を真剣に目指している訳でもなかったから」
そんな恵里の反応は実にあっさりとしたものであった。
菫から直々に指導してもらったことでどれだけ腕が上がったのか、プロの世界でどこまで通用するのかを確かめるといった意味合いが強く、別に入選すら出来なくても恵里本人はそこまで気に留めていなかっただろうと考えていた。
トータスに行くまでの息抜きや菫に対する媚売りといった程度のものではあったものの、それでも手を抜いた訳では決してなかった。あくまで腕試し程度でしかなかったのである。
「……体験を元にしてるのかよくわからないけどちょっと生々しかったよね」
「そうそう。というかよく通ったねアレ……」
妙子と奈々は目を通した恵里の作品を思い出して遠くを見つめる。
……菫の手直しこそあったものの、割とドロっとしたものを恵里は描き上げていたのである。ちなみに修正前のものを見せた時は女子~ズでさえ軽く引くレベルであった。男子の中で一番反応がマシであったハジメでさえ『もうちょっと分厚くオブラートに包もうよ……』と苦言を呈するほどである。他の男子~ズは言わずもがな。
「まぁ真面目に描いた作品ではあっても本気でマンガ家を目指して作った訳じゃないからね。まどかやミサキと違ってさ」
そう言いながら恵里は、同じく少女漫画を借りて読んでいた二人に目を向けた。
まどかは恵里ら三人が菓子作りにハマっていくのを見て何か感じるものがあったらしく、中学卒業後はパティシエを目指して調理師の専門学校に入る予定とのことである。
一方ミサキは恵里やハジメに触発されたのか絵を学ぶために専門学校に行こうとしているらしい。ちなみに漫画とかでなくアート方面だとか。
「まぁ、ね」
「絵の出来はまだハジメや恵里にも全然及ばないけどね。でも二人を見てたらなんか目指してみたくなったんだ」
照れながらもまどかとミサキはそう答えた。既に道を決めた二人を少しだけうらやみ、この
「そういえばさ、皆は中学を卒業したらどうするの? 進路の方は決まってる?」
恵里がこんなことを言いだしたのも理由がある。この場にいる全員をなるべく同じ学校に集めようと考えていたからだ。
トータスに行った際、あまり面識のない人間に背中を預けるよりも気心の知れた友人がそばにいて欲しいと思ったからである。ハジメ、鈴、光輝、雫、龍太郎、香織は同じ学校であったことは記憶しており、既に打ち合わせ済みのハジメと鈴以外の面々だけでもどうしても巻き込みたかったのだ。浩介や優花らはどうだったのかまでは恵里は覚えていなかったが、いた方がいいと恵里は考えていた。
「どうしたんだ恵里。藪から棒に」
光輝がすかさず口を出してくるもそれも恵里にとっては想定内。すぐさま意識を誘導するべく言葉を紡いでいく。
「ちょっと気になっただけだよ。ちゃんと進む道を考えている二人はともかく、皆はどうするのかなー、って」
「うん。もしみんながいいなら高校も同じ場所に通いたいなー、って私も思ってたんだけどどう?」
そこで鈴もうまいこと援護に回ってくれた。既に二人に承認を取り付け、算段をつけていたことがプラスに働いてくれている。
すると先程答えた光輝が恵里と鈴の問いかけに答えた。
「俺は県の進学校に進もうと思ってる。じいちゃんみたいな弁護士になるためにもいい学校には通っておきたくてね。皆はどうなんだ?」
見事引っかかってくれたばかりか話まで振ってくれた。しめしめと恵里は思いながら各人のリアクションを見守っていると、雫が先に口を開いた。
「私も……いつかは道場を継ぎたいとは思っているけど、家族からは大学を出てからでいい、って言われてるわ。それと、その……」
チラと光輝を見れば、光輝も微笑みを雫に返した。二人を見て相変わらずキャーキャー黄色い声を上げる香織ら三人を横目に、雫が光輝と同じ学校に行くと恵里は断定する。なら次は、と今度は優花の方に視線を向けた。
「私? そうね、私もレストランを継ぐつもりだけどうーん……」
虚空に一度視線を移して考え込む優花に、奈々と妙子もやっぱりそうだよねーと返しながら自分達もどうしたものかと頭を悩ませていた。
「じゃあ浩介君と幸利君はどうするの?」
今度はハジメがキラーパス。いきなり話を振られた二人はしどろもどろになり、何度も目を泳がせながらもどうにか口を開く。
「俺らかよ!?……まだ未来の話だし、全然考えてなかったなー」
「今が十分楽しいからなー……俺も正直何も考えてねぇわ」
今のところ白紙であることを暴露し、恵里は鈴とハジメと一度顔を合わせ、迷っている皆に話しかけた。
「決まってないならさ、私達も光輝くん達と同じ学校に通うのはどう?」
そう言われると優花らはそろって難しい顔をする。学校でもトップクラスである光輝が目指すだけあって、彼が通おうとしている進学校はレベルが高い。とはいえ自分達の学力は決して低い訳でもなく、もしかすると自分達でも通えるのではないかと全員考えている。が、仮に入学してもついていけるかどうかが全員が不安であり、すぐには賛同しかねる問いかけであった。
「あー、その……なぁ光輝、今の俺の学力でもどうにかなりそうか? 教えてもらえば、入れそうか?」
するとそこで幸利がおずおずと手を挙げて光輝に尋ねた。ちょくちょく厄介になってる光輝先生から手ほどきを受ければどうにかなるのではないかと踏んだのである。
「そうだな。今でもいいところはいくかもしれないけれど、もう少し点を稼げるようになれば確実だと思う……なぁ皆。もし良かったら俺が幸利だけじゃなくて皆にも教えるぞ」
おそらくそのままでも幸利は大丈夫だろうとは思ったものの、断言は出来なかった。だからなのか、光輝は悩んでいた面々におせっかいを焼いた。光輝としてもここで皆と別れてしまうのは惜しいと感じており、それに高校から更に進学するつもりなら自分の目指す学校に入った方が皆のためになると思ったからだ。
「いやでもコウキ、アンタの負担がすごいことにならない? つきっきりならともかく、私達じゃちょっと数が――」
このままでは光輝が幸利だけでなく、自分達の分も受け持ってしまうのではないかと考えた優花はその申し出を率先して辞退しようとする。幸利一人だけならともかく、自分達まで巻き込むとなると彼自身の勉強時間がなくなってしまうのではないかと考えたからだ。そうまでして入りたいと優花は思わなかったため、断ろうとすると雫がため息を吐きながら口を出してきた。
「誰が光輝だけにやらせる、って言ったの? 私も手伝うわ。皆と離れ離れになるのは寂しいもの」
雫もまた教える役の方で名乗りを挙げたのである。光輝がやるのなら私もやる、という下心もあったものの、皆と離れたくないと思ったのもまた彼女の本心であった。
そのため自分だけでどうにかしようとした光輝を見て腹が立った雫は『私をのけ者にしないでよ』とすねてしまい、そんな雫を必死になって光輝はなだめようとする。何度も謝ったりどう詫びればいいかをいつになく真剣な様子で尋ねる光輝を見て優花らは思わず吹き出してしまい、いつの間にか空気がゆるくなっていた。
「えっと……良かったら僕もやるよ? アドバイスとかぐらいしか手伝い出来ないかもしれないけれど」
空気が変わったことで、押せばどうにかなるかもしれないと考えたハジメも雫の後に続く。“一人でもトータスでの味方を増やしておく”ということに一抹の不安を抱きながらもハジメも協力を申し出たのである。
「そうだね。じゃあ私も手伝うよ。中学でお別れしてはいさようなら、なんて寂しいしね」
「うん。私で良かったら教えるよ。頼ってくれていいから」
そしてハジメに呼応して恵里と鈴も手を挙げる。程度の差こそあれ二人もどこか後ろめたさを感じていたものの、それに屈するわけにはいかないと協力を申し出る。相手にどうやって勝ったかわからない以上、味方は一人でも多い方がいい。打算塗れの考えを隠しつつ、二人も協力することを伝える。
そうして恵里達が協力を申し出て、他の面々が考えることしばし。納得した様子の妙子が恵里達の方を見た。
「じゃあお願いしよっかなぁ~。ここで離れ離れになんてヤだしねぇ~」
「そうだね。妙子っちの言う通り。それにあの高校に入る、っていうならお父さん達も反対しないだろうし」
妙子が首を縦に振るとそれに続いて奈々も提案を受け入れてくれた。それで勢いづいたのか浩介、優花、ついでにミサキとまどかまで頭を下げてきた。こうして話が決まったところで龍太郎と香織も戻ってきたため、先程の話を説明すると、二つ返事で頼み込んできた。
――かくして恵里達の一日の過ごし方が少し変わった。平日は放課後にハジメの家や学校の図書室などで、休日は――これはあまり多く使われることはなかったが――ハジメの両親の伝手で空きスペースを借りて午前中に勉強会をすることとなったのである。
始めた当初こそ経験のない恵里達三人はあまり上手くやれなかったものの、光輝が自身の経験を交えてアドバイスをし、三人が上手くいかない分を雫がフォローをしながらやっていった結果、一同の成績はメキメキと上がっていった。
なお、そのせいで『じゃあ県外に進学してみようか』と光輝が言い出してしまうことになったが。不確定要素を抱え込む羽目になると恵里達が割と本気で焦り、どうにか当初の予定通り、県内の進学校に行くよう口八丁手八丁でなだめすかすこととなる。説得自体は成功したものの、何故そんなことを言いだしたのかで恵里達はしばし怪しまれることとなったのであった……。
本日の懺悔
やらかしました(キッパリ)
また書いてたら増えました。本当は今回の話含めて二話で終わるつもりだったんです。でも書いてたら起と承の段階でもうここまで文字数が増えました。
(状況描写も細かく)やりました…。やったんですよ! 必死に! その結果がこれなんですよ! 影が薄くならないよう多くの人数の描写をして、話をアッサリ進めないよう考えて話を組み立てて、今はこうして反省をしている! これ以上何をどうしろって言うんです!? 何を削減しろって言うんですか!?(バナージ並の感想)