……なんでまたパーンと増えてるんでしょうね。割とマジで怖いです。
そしてAitoyukiさん、東方好きさん、拙作を評価及び再評価してくださって誠にありがとうございます。こうして評価をいただけるのは光栄の至りに存じます。
では檜山達にスポットの当たったお話の後編です。あ、割と今回結構下世話な感じです。では本編をどうぞ。
「頼む檜山、助けてくれ」
休み時間、トイレに礼一と連れションしに行った帰りの事である。大介達の目の前に斎藤と中野が頭を下げていた。
わざわざハジメや光輝といった面子がいない状態で会いに来た辺り、かなり参っているであろうことを察した大介は礼一と一緒に二人を無視した。
「オイ待てお前ら! 人が頭下げてんだぞ!!」
「無視するとか人の心ってモンがねーのかよ!」
わめきながらも追いすがってくる二人にうんざりした様子で大介と礼一は答える。
「いや
「俺らはちゃんと止めたんだからな。感謝されても恨まれたりののしられる筋合いなんてねーぞ」
「そんなこと言わないでくれぇー!! あんな目に遭うってわかってたらやらなかったんだよぉーー!!」
「頼むからマジで助けてぇー!! 神様仏様檜山様近藤様ぁーーーーー!!!」
冷たくあしらわれた斎藤と中野はギャン泣きしながらも大介と礼一にすがりつき、必死の形相で頼み込む。
二人が人目をはばからず、大声を上げて泣いているせいで自然と自分達に注目が集まり出す。どうしてこうなった、と思いつつ大介達は“あの日”のことを思い返していた――。
それは大介達がハジメに手を出そうとして
「おい檜山、近藤。ちょっと来い」
この時点ではまだハジメ達と親しい間柄になったどころか遠巻きに警戒されている状態であったため、まだ斎藤達も声をかけやすかったのであろう。怒り、憎しみ、そして恐怖の混じった表情の二人に見つめられ、軽くビビった大介達は二人に連れられてまたも校舎裏に行くことになった。
途中、何度も何度も斎藤達が周囲を見渡し、ようやく目的の場所にたどり着くと、二人は大介と礼一の両肩を潰さん勢いで掴み、あることを言いだした。
「オイお前ら、もう一度南雲のヤツをシメに行くぞ」
斎藤の言葉に大介も礼一も即座に首を何度も何度も横に振った。絶対に嫌であった。前回はあっちの気まぐれか何かのせいで大恥をかいただけで済んだが、次は確実に恐ろしい目に遭うと大介達は理解していたからだ。
「何バカなこと抜かしてんだよこのヘタレが!」
「お前ら悔しくねぇのかよ!! あんな寄生虫がヘラヘラしててよ!」
斎藤達の声が怒りと恐怖で震えている。自分達と同様にトラウマは抱いているものの、まだケンカを売る気力はあったようである……ここで言及しているのがハジメだけな辺り、流石に光輝や雫相手に立ち向かう度胸はもう無いらしい。
だがそんなことは大介と礼一からすれば関係ない。もう大人しくしているから勘弁してください、というのが本心である。
「お、俺らはもう真っ当に生きるって決めたんだよ!」
「そ、そうだそうだ! べ、別にビビってもう無理とかじゃねぇからな!」
だから必死になって拒否する。自分たちの心の平穏のために。ヤバいのに襲われてしまわないために。すると斎藤達は舌打ちをしながら大介達を放し、恨みの籠った目でにらみつける。
「わかったよこのチキン野郎どもが……南雲の次はテメーらだからな」
「思いっきりボコボコにしてやるからな。覚悟しとけよ」
そう捨て台詞を吐いて斎藤と中野は去っていく。遠ざかっていく二人の背中を見て一息吐くと、またしても聞き覚えのある声が大介と礼一の耳に入った。
「よく断ってくれたわね。偉いわ」
八重樫雫である。気配も何も感じさせず、突然ふらりと現れた事で一瞬で大介と礼一は恐慌状態に陥った。
「ひぇぇ~~!! や、八重樫ぃぃいぃいいぃ!?」
「お、俺らは何もしてねぇ! マジで本当だから! なんで許してください! 何でもやります!!」
腰を抜かして思いっきり後ずさる二人を見て『ちょっとやり過ぎたかしら……?』とポツリとこぼした雫の言葉も二人の耳には入らなかった。
「二人が悪くないのはさっきのやり取りを
穏やかな笑みを浮かべながら言われたことで余計に大介達は縮こまってしまう。あの時ちゃんとNoを言ってよかった。Noを言える日本人万歳と思いながら二人はカクカクと首を何度も縦に振る。
「それじゃあ私は戻るから――悪いことはしないでね?」
切れ長の目を細めながら雫が言えば、大介達は軽く悲鳴を上げて身を寄せ合う。ほんの一瞬苦笑を浮かべた後でようやく雫は去っていった。
その後は授業も恐怖で手につかず、家に帰る時もいつ雫や彼女の家族が襲ってくるかと二人は怯えていた。“平穏無事”という四字熟語のありがたみを大介と礼一は今日ほどよく知ったことはないという。
そして翌日、斎藤と中野が欠席した。
一体何があったのかと光輝達の話を盗み聞きしてみると身の毛もよだつような恐ろしいことが断片的にわかってしまった。
――まずハジメへの襲撃は失敗したらしい。
斎藤と中野がハジメが家に行くまで尾行し、そして彼と一緒に来た中村恵里と谷口鈴と共に玄関のドアに手をかけようとした時に声をかけたようである。そこで恵里と鈴をかばおうとハジメが二人の前に立ち、斎藤が殴りかかろうとしたところで周囲にいた何人もの大人が姿を現した。
しかも殴りかかる瞬間やハジメに向けて吐かれた暴言はしっかり記録されており、ハジメが殴られる寸前に警官が割り込んだらしい……その後、二人は八重樫の道場に連れていかれ、そこで稽古*1と称して滅多打ちにされた、と。
また、口ぶりからして光輝、雫、浩介もその場にいたようである。それを聞いて大介達は心底戦慄した。もし加わっていたならあそこでどうなったかわかったものではないからである。
とりあえず斎藤達は死んだどころかケガもしていないらしいが、あんなことをされて無事でいるとは大介も礼一も到底思えず、改めて悪いことはしてはいけないと二人は本気で思った。
「もう嫌なんだよぉ! ボランティアやらされるのはぁ!!」
「アイツらのせいで放課後ロクに遊べねぇんだ! ウチに帰ったらくたくたで疲れて動きたくねぇもん!!」
「思いっきり自業自得じゃねぇか。命があるだけありがたく思えよ」
「約束破ったからこんな目に遭ってんだろうが。バッカじゃねぇの」
そして今、ズボンにすがりついては泣きわめいている二人を見て『こんなのにならなくて良かった』と大介と礼一は思いつつ、容赦なく事実を突きつける。余計に斎藤達が泣いた。
頼むからアフターケアも含めてちゃんとやってくれと大介と礼一は授業開始のチャイムを聞きながら思った。もちろん先生から後でこっぴどく叱られた。
「まぁ、相談とかはいいんだけどよ。一体何だよ?」
「そういうのはむしろ天之河がやることだろ? 俺らの出る幕じゃねぇって」
「まぁ
ハジメにケンカを吹っ掛けて、トラウマを再度刻み込まれた日から早ひと月。哀れに思ったハジメから声をかけられ、接している内にオタクの道に引きずり込まれた頃のことである。
大介達は浩介に「ウィステリア」というレストランに連れてこられ、そこで相談を受ける羽目になった。一番奥の席に通され、礼一と一緒に適当にメニューを流し読みしていると浩介が理由を話し始めた。
「いやー、その、な……斎藤と中野のことなんだよ。ホラ、俺達アイツらをシバきまくったからさ、顔合わせたら今でもビビられてな。それと、お前らの方がその……まぁ話が通じやすいかと思ったんだよ」
「いや素直に不良だなんだ言えよまだるっこしい」
「だな。俺らの事あそこまでやっといて今更そんなこと気にすんのかよ」
大介らの返しに頭をかくと、浩介は二人に向けて頭を下げた。『どうしても二人の力を借りたい』と言われて悪い気もせず、仕方がないと思った大介も礼一も浩介に話の続きを促した。
「ありがとな、二人とも」
「別にいいぜ。ちゃーんと
「俺らの分、しっかりオゴってくれよー――あ、すんませーん。注文いいッスかー?」
「……マジで一品だけな? 守ってくれよ?」
“何でも一品オゴる(ドリンクは自腹で)”という文言で釣られた大介達がそこそこ高いものを頼むのを見て懐が寒くなるのを浩介は覚悟した。
こうして注文が終わり、全員分の品が届くまでの間、浩介は二人に説明を始める。
斎藤と中野を道場まで連れだし、KEIKOをつけた後、大人達は二人が再度悪事に走らないようボランティアに従事させて他人に感謝されることで意識を変えようと考えたとのことだ。
しかし無理矢理やらされているということもあって二人のモチベーションは依然として低いままであり、嫌々やっているのが見て取れた。たまに道行く人に感謝されることはあるものの、大人たちの顔色をうかがいながらそれに返事するだけで心変わりした様子も見られないらしい。それでどうしたものかと考えあぐねていたようであった。
「そりゃまぁ俺だって上手くいくとは思ってなかったよ。でもここまで想像通りだとは思わなくってさ……アイツらの不満が溜まってさ、また爆発して俺らが出張って鎮圧するのも可哀想でよ」
そして一足先に届いたサーモンサンドを食べながら浩介はボヤく。絶対に叩きのめすのかと八重樫の奴らの本気を感じ取って軽く背中が寒くなった大介は、今しがた届いたボンゴレロッソを巻き取りながら浩介に言った。
「まぁ、そりゃあ当たり前だろ。ボランティアを好きでやるような奴だったら頼まれなくったってやるだろうが。怖くて仕方ねぇから従ってるのぐらいわかるだろ?」
「それはそうだけどさ……なぁ近藤、お前はどう思う?」
「そんなん檜山と同じだわ。おっかねぇ奴らに囲まれて嫌々やってるだけなんだし、どっかで爆発しても仕方ねぇだろ――あ、あざーす」
注文したパエリアを受け取りつつ浩介にそう返すと、相談を持ち掛けてきた本人は一度サーモンサンドを皿に置いてから大きくため息を吐いて背もたれによりかかる。そんな浩介を見て大介もつられてため息を吐いた。こうして奢ってもらった以上、飯を食ってそのまま帰るのもいくらか気まずくなったからだ。大介は思っていた以上に美味いボンゴレを食わせてもらったことに軽く感謝しつつ、頭をかきながら浩介に問いかけた。
「まぁ、遠藤がやってほしいのはアイツらを心変わりさせるか、それかストレスをどうにかするかってことだろ?」
「あー、うん。でも反省とか心を入れ替えるのはやっぱり正直無理そうだし、それはもう頼まないよ……でも中野達のストレスだけはどうにかしたいし、何かいい案はないか?」
大介が趣旨を確認し、浩介がそれに答えた辺りで二人はうんうんとうなり出す。あの二人の人となりを誰も知らないため、普段やっていることもわからず解決の糸口は中々見えてこない。マンガを読んでたりゲームをしているならハジメを起点にどうにかなると大介も礼一も考えたものの、そうだという確証はない。
どうすればいいのかと悩んでいると、礼一があることを閃いた。そこで大介と浩介を手招きし、あることを耳打ちする。すると大介はなるほどと目を見開き、浩介は納得しながらも少ししどろもどろになった。
「オイオイオイ、これイケるんじゃね? なぁ遠藤、お前んトコの道場の人に声かけて買ってもらうのは――」
「いやいやいやマジかよ!?――た、確かに買う人もいるだろうし、譲ってもらうのは……あー、でもアイツら
浩介の発言に大介と礼一は思わず食べる手を止め、空いた手を顔に当てた。大人達からではダメとなると、他に
「だったらよ、南雲だったらどうなんだ? アイツなら何かしら持ってるんじゃねぇの?」
「あー、確かにな。アイツオタクっぽいし、
礼一の発言に浩介は腕を組んでうなり声を上げる――大介達が突破口になりうると考えたのは
あの二人が自分達と同類ならこういったものは欲しがるのではないかと踏んだのである。ハジメにケンカを売る前は香織のことを大介共々いかがわしい目で見ていたこともあってか斎藤達もそういうことに興味があるんじゃないかと礼一は考えていたのである。
なお、このひと月で彼女の普段のあれこれを見ていたらそんな気が起きるどころか、振り回されている龍太郎に対して軽い憐れみを二人は覚えていたが。
ともあれ、大介と礼一が解決の糸口として見出したのはコレであった。すると、うなっていた浩介が難しい顔で大介達の方を見やった。
「……多分ないと思うぞ。前にも聞いたんだけど、こっそり買ってたエロ同人とかが恵里と鈴にバレて二人がカンカンになったってハジメが言ってたんだ。しかも今この場で捨てるよう迫られた、って前に嘆いてたし。あれからもうそういった話は聞かないからもう手元には無いんじゃないか?」
それを聞いた大介達は思わずハジメに軽く同情する。いくら二人も女がいるといえど、エロ本を捨てるよう迫られて、しかも実際に捨てる羽目に遭ったというのは流石に哀れに思ったのだ。まぁ九割がた『ざまぁみろ』といった具合でもあったが。
ハジメ以外の面子で他に誰が持っているかと考えるも、目の前にいた浩介は兄と妹がいるからそういったものは買えないし、かといって兄から借りるのもどこか気恥ずかしくて無理だとか。心底使えねぇと思いながらも別の候補――光輝や龍太郎について二人は考える。
だがあの天才や筋肉バカがそういったものを見るんだろうかと大介達は疑問に思った。そこで浩介に『やっぱアイツらも隠れて読んでるんだろ』と下衆の勘繰りを働かせたものの、そういったものを見たことはさっぱりないという。
「光輝はなぁ……雫と一緒にいるだけで幸せそうな顔するし、無駄に責任感強いからそういうのに手を出す気はしないぞ? あと龍太郎は……龍太郎は基本体動かしてる方が好きな奴だし、そっちで発散させてるんじゃないか? それか香織のことでも……うん、ないな」
浩介の返しにケッ、と二人は大きく舌打ちをする。そういうところがあったら面白いのに、と思いながらもそうでなかったことが気に食わなかったからである。ちなみに浩介はそれを咎めなかった。なんだかんだでモテてる二人に嫉妬していたからである。
「そうなると……清水はどうなんだよ?」
「あの秀才もどっかオタクっぽいし、持ってねぇのかよ?」
「近藤お前なぁ……まぁ確かにアイツもそうだけど」
やっぱりかと二人は思いつつこちらはどうなのかと尋ねてみる。しかし明確な返事は返ってこなかった。
「どうだろうな。幸利も弟がいるし、親もいるけどあんまり無断で部屋に入る、って事もないみたいだしな。でもそういう話をした事はなー……まぁもしかすると、だな」
結局わからない。が、賭ける価値がない訳ではないということでもあった。イケるかも、と考えた大介は礼一と一緒に身を乗り出して浩介に迫った。
「だったら聞いてみようぜ! 頼み込めば一冊ぐらい貸してくれるだろ!」
「なんだよ驚かせやがって。とりあえず聞くだけ聞いてくれよ。事情を説明すれば大丈夫だって!」
「お、おい! 二人とも近いって! と、とりあえず幸利に聞いてみないと――」
「お客様?」
二人に迫られ、とりあえず幸利に連絡しようと浩介が携帯を取り出した瞬間、冷たく威圧感のある声が響く。一体誰だと思って顔を向ければ、百点満点の営業スマイルに青筋が添えられた顔の優花がそこに立っていた。
「ウチも客商売やってるんで――これ以上騒いだりエロだなんだ大声で言うなら出禁にするわよ」
店主の娘の放った怒りの正論に誰も逆らう事は出来ず、三人は揃って平身低頭になったのであった。
「とりあえず上がってくれ。話はそれからだ」
そして翌日の放課後、浩介と一緒に幸利に事情を話した大介達は、当人の了解を受けてから彼の自宅へ向かう事になった。もちろん浩介も付き添いで来ている。
そして彼の家に上がり、自室へと向かう。初めて幸利の家に訪れただけでなく、エロ本の受け渡しを行う事もあってか、よく彼の家に訪れているはずの浩介や家の人間である幸利でさえも緊張していた。
「ここが俺の部屋だ。とりあえず空いてるスペースに腰を下ろしてくれ」
そうして通された幸利の部屋は大介らの予想以上に雑然としており、『本物のオタクってヤベぇな』と二人は驚きを隠せなかった。
「……で“アレ”、だよな?」
「ああ。もし、二人にも見せてもいいなら頼めるか?」
「別にいいぜ。
幸利の言葉に一瞬大介と礼一は首をかしげるも、そこまで気にすることでもないと考えて幸利の一挙一動を見守ることに。
部屋の右奥にある本棚まで幸利が行くと、彼は一番下の棚から本をどかし、奥にあった冊子に手をかける。そして二十冊近くものそれを三人の目の前に置いた。
「とりあえず
幸利の言葉に浩介も『おぉ……』と感嘆の声を漏らした。そこで各々が冊子を手に取り、
「どうよ? 檜山達とつるんでた奴らの趣味はわかんねぇし、読むかも知らねぇけど……ソソるだろ?」
その言葉に大介も、礼一も、浩介であってもうなずかずにはいられなかった。そして大介と礼一はたかが漫画と侮っていたことを後悔する。描かれているキャラはわからないものの、持って帰って
「……って言っても、コレの大半はハジメから譲ってもらったもんだけどな……よく
そう感慨深げに幸利がそうつぶやくと、大介と礼一は大いに驚き、同時に納得を示した。付き合いが浅いながらもハジメの物を見る目に関しては認めており、オススメされた本の中で単純に興味が沸かなかった数冊を除けば外れがなかったこともあって大いに信頼していた。
「じゃあ、この中でウケそうなのを持ってけば……」
「多分イケると思うぞ。あ、でもお前らも
幸利の言葉にうなずくと、大介も礼一もそして浩介も目の前のお宝の山から一冊一冊手に取り、中身を吟味していく。
……『アイツらに貸すのコレでいいか』だの『え、檜山お前ロリコンかよ』だの『うるせぇ! 八重樫のバ……親のせいでそういうのがダメになったんだよ!!』だのと本来の目的そっちのけになっている感はあるが問題はないのだろう。きっと。
この一件で大介、礼一、浩介、幸利の心の距離は大きく縮まった。そして――。
「よっす幸利」
「おう大介」
「オッス浩介。そういや今日も道場だっけか?」
「おはよう礼一。あー、そうだな。日曜ぐらいしか休みの日なんて中々ないし。ゲーセンはその時でいいか?」
エロ同人を通じて四人の絆は深まり、よくつるむことが多くなった。その事を光輝と雫は少し嘆いたものの、休日に一緒に彼らと遊んだこともあってか
「えー、マジかよ。お前もいねぇとやる気下がんだけど」
「ホントだよなぁ~。俺ら親友だろぉ? あんだけ
実は斎藤良樹と中野信治も幸利、浩介の友人となっていたのである。きっかけはもちろん例の同人誌である。二人に色々と説明をし、あまり納得がいっていない彼らにどうにか貸しつけたその翌日、ちょっと悔しそうな顔をしながらもどこかスッキリとした顔で借りた同人誌を持ってきたのである。そこで清水を紹介すると、他には何があるのかを尋ね、そこから色々あって仲良くなったのだ。
ちなみに“先生”とはハジメのことである。幸利を筆頭に彼の属するグループの皆と交友を深めていく内にハジメが漫画家の息子であることを知った檜山があることを考えた――もしかすると頼み込めばエロ漫画を描いてくれるんじゃないか、と。
そこで幸利と浩介も巻き込んで計六人で恵里と鈴がいないのを見計らってひたすら頭を下げ続けた結果、『漫画はともかく絵だったらいいよ』と承諾してくれたのである。のちに恵里に描いている途中の絵が見つかってひと騒動起きたものの、それぞれの好みを元にしてハジメが描いた特注品が六人の手に渡ったのだ。それに六人全員――特に大介、礼一、良樹、信治の四人が
「……相変わらずくだらないことで盛り上がってるよね」
ちなみに恵里からは大介達四人はダニを見るような目で見られている。いくら頼みで描いたといえど、自分と鈴以外の女性のあられもない姿をハジメが描いていたのはとてつもなくショックだった。そのため元凶である四人は心底恵里から嫌われていた。なお浩介と幸利に関してはハジメと鈴のとりなしもあってかあの四人よりはわずかにマシな扱いである。
「いやー、でもお前らだってボランティアがあるだろ? 最近はちょっと減ったらしいけどさ」
浩介の言う通り、良樹と信治のボランティアへの参加は未だ続いており、頻度こそ減ったもののまだ参加させられている。それを思い出して軽くグロッキーになりながらも良樹達はそれに答えた。
「あー、うん。まぁでもここ最近はたまーにだけど休みをもらえるしよ」
「俺らの頑張りを認めてくれたのか減らしてくれたんだよな。いやー、やっぱり俺らの頑張りを向こうも見てくれてるんでしょ」
なお実際のところは、二人が色々あってスッキリした状態で参加しているのを見た八重樫の関係者が反省したと勘違いしているのが真相だったりする。
それに雫は気づいていたが、あの二人が何度もボランティアに駆り出されるのを見て忍びなく思ったが故に口をはさんでいない。そのため真実は明るみに出ていないのである。
「……どういった理由かはわからないけど、これを機にアイツらも心を入れ替えてくれるといいんだけどな」
「さて、な。ま、何かあっても俺らでどうにかすればいい。そうだろ?」
言葉を濁しつつ、龍太郎が光輝のボヤきに答えれば、そうだなと光輝も一度息を吐いて前を向いた。そういえば今度の週末にウィステリアで新作メニューの試食会があることを思い出しながら。
かくして恵里達のグループに新たに四人の友人が加わることになった。彼らの未来は、明るいかもしれない――。
ちなみに六人のために絵を描いたのを見てヒスを起こした後、涙目になった恵里はハジメに振り向いてもらおうとエロい自撮りを送ろうとしました。もちろんハジメと鈴に阻止されました。
あ。あと今回は主要キャラの簡易まとめも同時投稿しております。
とりあえず一言。やっと、やっと原作に移れる……! マジで長かった……。