おかげさまでUAも89348、お気に入り件数も660件、しおりの数も262件、感想数も225件(2022/3/12 13:46現在)にまで上りました。誠にありがとうございます。翌日に残りを投稿したとはいえ、やっぱ二つの話をすぐ突っ込んだのスゲぇ……。
そして亀の手さん、Aitoyukiさん、拙作を再評価していただき誠にありがとうございます。毎回毎回こうして拙作を評価してくれると手ごたえを感じてホッとします。ありがたい限りです。
では今回もちょっと長めの幕間のお話です。上記に注意して本編をどうぞ。
「……ん、ぅぁ……もう、朝か?」
ハジメがならしてくれたとはいえ、硬い地面に横たわっていたためか、起きがけの龍太郎の体は軋んでいた。
腕をゆっくり回し、首を鳴らすと、地面に手をついて立ち上がって部屋の中央へと向かっていく。目的は昨日ハジメが作ったテーブルの上に置いてある時計だ。
「時刻は……まだ五時前か。ちょいと早過ぎたな」
大迷宮を降りていく際に使っていた緑光石もテーブルの上にあり、そのそばに時計を戻すと、軽くため息を吐きながら龍太郎は思案する。目覚めにはまだ早い時間であり、二度寝するにはいささか短過ぎる半端な時間帯であったからだ。
(どうすっかな……家とか城にいた時なら型の稽古でもやってたけど、音を立てちまうから全員起こしちまうな。まだ昨日の疲れが残ってるだろうし、やめとくか)
大部屋で全員が適当に雑魚寝をしているだけなのもあって下手に物音を立てれば全員の耳に届いてしまう。大迷宮を降りていた時は硬い床で寝る経験が誰しも浅かったことから誰かしら目を覚ましていたため、適当に話をしていれば済んだことだ。
しかし今はそうもいかない。下手に物音を立ててハジメを起こそうものなら後が怖いのだ……恵里の報復が。何をやってくるかわかったものじゃあない。
(――!! やめようやめよう。だったら大人しくボーっとしてた方が遥かにマシだ)
そう結論付けると龍太郎は忍び足で元居た場所へと戻っていく。しかし手持ち無沙汰なのは変わらないため、どうしたものかと思っていると、彼の脳裏にあることが浮かんだ。
(そうだな……とりあえず“魔力操作”のおさらいでもしとくか)
そう決めた龍太郎は一度腰を下ろすと、体内の魔力の流れとそれが形を成すことをイメージし、それをより具体的な形にするべくこれから発動する魔法の名前を詠唱する。
「――“火種”……よし、問題ないな」
目の前で拳大の大きさの炎が現れるのを確認すると、再度魔力の流れをイメージして水系初級魔法“滴垂”を詠唱してその火を消して息を吐いた。
(……しっかし、ぶっつけ本番の時もそうだったけど何とかなるもんだな)
昨日二尾狼を食べた時から体の中で感じる不思議な感覚のことを思いながら龍太郎は寝る前のことを思い出す。
昨晩、香織を含めた女子~ズが食事を終えた後にハジメを連れて暴走し、一体どうしたと思って自分を含めた男衆がその後を追った結果、公衆浴場モドキが出来上がった。
あくまで脱衣場と水浴びのスペース――巨大な水槽の下にかまどのようなものが部屋の隅にあり、そこで作ったお湯を浴びる空間のことだ――という簡素なつくりのそれだが、それを造るためにハジメ共々巻き込まれたのである。
その際あの赤い目で早く詠唱しろと女子に迫られたことから、とにかく逃げたい一心で龍太郎はあることを考えた。“魔力操作”で魔法を発動させれば、詠唱しなくて済む分早く終わるんじゃないか、と。
そこでぶっつけ本番で“魔力操作”を試してみた。大介達から軽く聞いた程度でやったことは無かったものの見事成功……そのせいで他の面々より魔法の発動が早くなったため、その分コキ使われることになったのである。
詠唱しろと追い立てられていた時もそうだが、成功した後に無数のあの目に見つめられながら急かされたのは記憶に新しい。その時の恐怖を思い出して思わず龍太郎は身震いしてしまった。
(……まぁそのおかげで真っ先に使わせてもらったんだ。恨むのはやめとこう)
とはいえハジメや他の奴らと尽力して“男湯”と“女湯”そして“恋人”のスペースを造った結果、一番風呂? を譲ってもらえたのである。しかも奈々と優花が魔法の連続行使で疲れているにもかかわらず、自分達の分よりも先にわざわざお湯を沸かしてくれてから譲ってくれたのだ。おかげですぐに体を洗い流すことが出来、大分癒されたのは言うまでもない。もちろんハジメは“恋人”の方へ恵里と鈴に引きずられていった。
(そういやあの後、檜山達が水槽に直に入ってたらしいが……まぁ最後だったから良かったけどよ、いくら風呂が恋しいからって直に入れば煮えるだろうに)
浴場スペースから一足先に出て、汗拭き用にリュックに入れてくれていたタオルで水気を取ってから涼んでいた時に起きた事も龍太郎は思い出した。しかもわざわざお湯を一度温めてからあの四人は入ったらしい。
確か温度の確認用に水槽の脇に階段を取り付けてあったはずだが、だからといってどうしてあんな真似をしたのやらと龍太郎は改めて呆れた。全裸で大部屋に駆け込んできた大介達がお湯浴びを終えてワイワイ話していた女子達に袋叩きにされ、散々罵倒されたのは今考えても馬鹿馬鹿しい。
技能がどうのと何か言い訳をしようとしていたが、どうせロクな事じゃなかったんだろうと思いながらなんとはなしに寝転ぶ。途端、彼の視界に星空のような光景が飛び込んできた。天井にある無数の緑光石が星のように光を放っていたのである。
「ぁ……」
すぐにその正体にたどり着けたものの、幻想的な景色に思わずため息が漏れ出てしまう。ここ最近はバタバタしていたり、何もしないでゆっくり休むという事もなかったため、一層目の前に広がる不思議な世界に目を奪われてしまっていた。
(……キレーだな)
ただ純粋に龍太郎は思った。
星空を好んで眺めるような質ではないが、この世界に来てからの娯楽というと彼にとっては食事ぐらいしかなく、また今後ここで食べ続けなければならない魔物の肉はお世辞にも美味いとは言えない。食事も苦行の一種となった事から、一切の娯楽が無くなった龍太郎にとってこの光景はひどく鮮やかに映ったのである。
ここ最近は疲れたらすぐ横になってしまっていたために見る機会も無く、こうして何気なく見かけたせいか余計に目を離せなくなっていた。
「ん……ぅ、ぁ……」
そうして飽きもせずに天井を眺めていると、不意に体に何かが当たった。すわ魔物かとすぐに起きあがろうとするも、そのうめき声で正体がわかった。香織である。
(コイツ以外と寝相悪いのか……? いや、でも床硬いしな。仕方ないのか?)
軽く体を起こして周囲を見渡せば、誰もが寝ながら誰かに抱きついてたりしていたため、こんなもんなのかと考えて再度龍太郎は視線を天井に戻そうとしたが、その時隣にいた香織がもぞもぞと動いた。
「ふぁ、あ……おはよ、りゅうたろうくん」
「悪い、起こしちまったか……まだメルドさんが俺達を起こすまで時間あるし、もうひと眠りでもしたらどうだ?」
「ううん、おきてる……この床だと、あんまり寝れなくって」
未だ夢現な状態の香織を気遣って言葉をかけるも、返す言葉に龍太郎は何も言えなくなった。そこまで繊細でないという自覚のある自分であってもこれなのだから、そういうのを気にするであろう香織や他の女の幼馴染達は余計に辛いだろうと理解できたからである。
――ふと、ハジメだったら何時ものようにサッと解決しているんだろうかという考えが龍太郎の頭をよぎった。絶対にやれるだろうという確信が浮かぶも、龍太郎はかぶりを振ってその考えを振り払う。
(……ったくいけねぇいけねぇ。何でもかんでもハジメに頼り過ぎだろうが。アイツは〇ラえもんや便利な道具じゃねぇんだぞ)
大迷宮を降りるのを考え付いたり、神結晶を見つけて食糧問題を解決したこと、そして様々な調理器具に公衆浴場モドキの作成と八面六臂の活躍をする彼に丸投げすることを恥じ、自分でも何をやれるか考えるべきだと思っていると、ふと隣で寝ころんでいた香織が声をかけてきた。
「ねぇ龍太郎くん。龍太郎くんも天井を見てたの?」
「ん?……あぁ。やることが無かったもんだからな」
そう返すと香織と一緒に視線を天井に向ける。今また見返しても今いる場所が洞窟の中だとは思えず、また緑光石が放つ光に心を奪われていると、隣にいた香織も体を起こすと天井を見ながらつぶやいた。
「そっか……奇麗だよね。何度見てもすごく幻想的で」
「あぁ……ん? 香織はよく見てたのか?」
「昨日寝付けなかった時に見たぐらいだよ。でも素敵だよね」
「そう、か……」
ふと香織の言葉が気にかかった龍太郎はこの光景をよく見るのかと問いかけると、香織はこちらを見ながらそれに答えた。何故か返事をした香織に少しの違和感とショックを受けた龍太郎であったが、ショックを受けた原因の方はすぐに思い至った。
(……そういや俺、飯食って汗流した後はすぐに寝ちまったもんな。わからなくって当然か)
空腹を押しての採掘、極限下での戦闘、それで受けた痛みとそれから来るストレスに幾度もの魔法の行使によって疲れが溜まっていたのもあってか、香織よりも早く寝てしまっていたからだ。一緒にこの光景を見る機会を一回逃したな、とそのことを残念に思い、未だ違和感の正体に気付けないながらも今こうして一緒に見れることを喜び、同じく体を起こしてじっと無言で眺めていた。
――龍太郎は未だ香織への恋心を捨てきれていなかった。
既に二度フラれ、未練がましく女々しいというのはわかっているし、香織はこういう奴であるとも理解している。大介ら四人とは普通に話をする程度でハジメや光輝、浩介、幸利とは親しい友人程度の距離の癖に自分の場合だけは無自覚に詰めてくるようなド天然の少女だということを。
フラれる度に光輝と雫の助言に従って香織と距離を離そうとしてもそれを嫌がってすぐに詰められて観念したり、どうにか通そうとしてもそれで泣かれたことだってある。
自分のことを『一番素敵な親友』と言ってる割には事あるごとにちょくちょく自分と一緒に行動してきて、そしてそれを嫌な顔をするどころかご機嫌な様子でやってくる……どう考えても恋人のそれにしか見えない態度と行動で。そのせいで考えるのを止めたいのに一々振り回して無自覚にアピールしてくるから恋心がうずいて仕方ないのだ。
「……ねぇ龍太郎くん。無理、してない?」
だがそんな時、香織が少し心配そうな顔でこちらをのぞき込んできていた。
「なんだよ藪から棒に……まぁ確かに寝床がコレだから体は痛いけどよ」
「そっか。それだけならいいんだけど……さっきから上の空な気がしちゃって。もしまだ疲れてるなら私が肩でも揉むよ?」
一体誰のせいだと思いながらも龍太郎は香織の表情の変化を見逃さなかった――彼女の表情に珍しく焦りがあることに。そこでさっき感じた違和感の正体の一つがこれであったことに龍太郎は気づく。
「そ、それとも……その、背中とかもマッサージした方がいいかな? だったら――」
「香織」
彼女の肩に左手を置き、その顔をじっと見据える。やはりその顔にはいつもの香織なら絶対に浮かべない卑屈さが混じっていた。
「何焦ってやがんだ」
「あ、焦ってなんてないよ? ほ、本当だから……」
「……見くびられたもんだな。俺がどんだけお前のことを見てきたと思ってんだよ」
そのまま有無を言わさず香織を抱きしめ、困惑する彼女の頭に手を回しながら問いかけていく。
「確かに肩揉みでもマッサージでもやってくれれば嬉しいさ。けどな」
「だ、だったら――」
「お前が心からそう思ってのもんじゃなきゃ嬉しくもなんともねぇんだよ。言え。何が怖いんだよ。いつものお前みたいに何でもかんでも言っちまえ」
龍太郎からそういわれても香織はただ彼の胸元に手を添えるだけで何も語ろうとはしない。だがその手のかすかな震えが何よりも能弁に語っていた。今の香織は何かに怯えている、と。
「なぁ、香織。お前がそんな顔してたら俺もちゃんと笑えないんだよ。だからよ、言ってくれよ。俺が見たいのはお前のそんな顔じゃない。いつもの笑顔なんだよ」
目の前の少女の心の底からの笑みが欲しかった。いつものようコロコロと表情を変えながら話をしてほしかった。それが未練がましい男のちっぽけなプライドから来るとわかっていても、龍太郎は手を伸ばしたかったのである。
しかし香織は彼の胸元に顔をうずめ、何も答えない。一緒に置かれている手はより震えを増しており、不安に苛まれていることだけはわかった。何もできない自身への苛立ちを感じながらも龍太郎は香織に言葉をかけていく。諦めてたまるか、と。絶対に言わせてやる、と考えながら。
「頼む、言ってくれ。俺じゃ駄目なのか? 俺じゃあ信用出来ないってのか?」
「――違う!」
そこで香織が大声を上げる。突然のことに龍太郎も少し驚くも、今を逃してはならないとばかりに香織を軽く引き離し、瞳を潤ませた彼女を見据える。
「違う、違うの……龍太郎くんが悪いんじゃないの。悪いのは、悪いのは全部私、だから……」
自嘲するようにつぶやく香織の顔を見て龍太郎は自責の念に駆られた。どうしてこんなになるまで放っておいたんだ、と。どうしてコイツをこんな顔にさせちまったんだ、と。
「お前の何が悪いってんだよ。香織、お前はお前なりに――」
「頑張ったよ。うん。龍太郎くんの言う通り、頑張った。その、つもりだった……」
一筋の涙が頬を伝い、心底苦しそうに香織はつぶやく。
「少しでも龍太郎くんの、皆の力になれるように、っていっぱい訓練もしたし、実戦も怖くて嫌だったけど我慢してたよ」
乾いた笑みを浮かべながら語る彼女の様子はあまりに痛ましく、龍太郎はそんな顔をする少女から目を離せずにいた。
「ここに来たのだってちゃんと覚悟して来たはずだったし、これが恵里ちゃんのためにもなるって信じてた。お家に帰るって言ったのも覚えてるし今でも本気だよ。でも、でもね……」
不安に揺れた瞳からまた涙がこぼれる。しゃくりあげる香織を見て胸が痛むのを堪えながら龍太郎は言葉をかけようとする。
「だったら――」
「でも、でも!!……怖かったの。私は本当に力になれてるのか、不安で」
だが香織は髪の毛を振り乱しながら叫び……静かに胸の内を明かした。
「私ね、辛かったんだ。皆の……龍太郎くんの力になりたいって思ってたのに、私なんにも出来てない。バリアを張っても誰も守れない。傷を治すのも私の力じゃ足りない。ハジメ君が見つけてくれた神水の方がよっぽど私より役に立ってるぐらいだもの……私、治癒師なのに、皆を治す力があるのに」
「香織……」
あまりに痛ましい叫びに龍太郎も胸が苦しくなっていく。ここに来てからずっと感じていたであろう無力感が何にでも突き進む少女をこうさせてしまったのだとようやく気付き、胸がズキズキと痛み、頭がどうにかなりそうであった。
「それにね、やっと気づけたんだ。私、ずっと龍太郎くんのことを自分の都合で振り回しちゃってた、って。恵里ちゃんが、三人が傷つくのを見たくないから、別れるのが嫌だからって、龍太郎くんを巻き込んで、それで……」
一層嗚咽が強くなり、その細い体に震えが走っていく。
香織ならきっと大丈夫だという無責任な信頼がここまで追い詰めてしまったと龍太郎は思い、本気で後悔する。自分は一体何を見ていたんだ? 光輝と喧嘩した時と何一つ変わってないじゃないか、とただただ自分を責めたくなる。だが龍太郎はそれを選ばなかった。
「ダメ、だよね……こんな、こんな私が……わたし、が……りゅうたろうくんを――」
自分の言葉で自分を傷つける少女を龍太郎は無言で抱きしめた。これ以上何も言わせない、絶対に苦しませないと決意して強く、強く抱きしめる。
「痛っ、痛い、よ……龍太郎くん……」
「……悪い。やり過ぎた。でもな、これ以上は言わせねぇぞ」
痛みに悶え、顔をしかめる香織を見て慌てて力を緩めるも、彼女を抱きしめたまま離さない。少しでも体を震わせるこの少女の力になりたいと言葉を投げかけていく。
「……それって、それってやっぱり迷惑だったんだよね? 私なんて、私なんてやっぱり――」
「違ぇ。最後まで話を聞け――もう自分を責めるな。俺はお前が来てくれて良かったと思ってんだよ、香織」
その言葉で香織の体の震えが一瞬だけ止まった。だがまたすぐに震えだし、その言葉を信じられないと彼から離れようともがこうとするも、龍太郎は決して逃しはしなかった。
「――! で、でもそんなの……そんなことないよ! 私、何も出来てないよ? 何もやれてないよ? だから、だから……」
「だったら何であの時、狼相手にケンカ売ったんだよ。何もできない、って本気で諦めてるような奴があんなことやれるか、ってんだ」
逃げようと身をよじる香織に龍太郎は言葉を紡いでいく。自分の言葉が届くように、思いが届くように、と。
「でも、でも逃げろって言ったよ! それって、私が……私が役に立てないからじゃないの!?」
「んなワケあるか!!」
それでもなおウダウダ言う駄々っ子を龍太郎は一言で黙らせた。
「う、うぅ……」
……こちらを見てきた少女の顔が恐怖に震えている辺り、怒りに任せてやり過ぎてしまった。そのことで髪をかきむしりたくなったものの、龍太郎は震える少女に更に自身の思いを伝えていく。
「……そういう意味で言ったんじゃねぇよ。俺が惚れた女が傷つくのが見たくなかっただけなんだ。ただそれだけだ」
「――えっ?」
幼い頃からずっと抱いてきた思いを口にすると、次から次へと言いたいことが洪水のようにあふれてくる。驚きで目を見開いた少女を見て、龍太郎の中でブレーキが壊れる。
「大体、俺を振り回してんのはいつものことだろうが。今更その程度屁でもねぇし、それに気づいたぐらいで何ビビッてやがる。本気で嫌ならとっくの昔にこちとらキレてんだよ。ナメんな」
「え? えっ? ほ、惚れた、ってその……えぇっ!?」
「香織、お前がああして立ち向かったあん時はな、俺は一層惚れ直したんだぞ。俺が好きになった女はこんなに度胸があっていい女だったんだ、ってな」
「ね、ねぇ、その……惚れた、って、その……私のこと、女の子として、好きってこと……?」
「あぁそうだ。それで合ってる……ったく、ちゃんと言っときゃこんなやきもきしないで済んでたな絶対」
悲しみに満ちていた彼女の表情が段々と喜色で染まっていく。それを見てとっとと言っちまえばよかった、と気の抜ける思いをしながらも龍太郎はつらつらと香織への思いを吐き出していく。
「香織、お前が好きだ。友達じゃなくて一人の男として、一人の女性としてお前が欲しいんだよ。光輝と雫、ハジメと恵里と鈴みたいな関係になりたいんだ」
「……ふぇ?」
「お前がどう思ってるかはわかんねぇ。でもな、俺は……俺はずっとずっと昔からお前のことをずっと思ってたんだよ。ずっとお前と一緒にいたい。お前とそういう関係になりたいんだ、って」
生の思いをぶつけ終えると香織の瞳は涙で揺れていた。幾度もうめき声を上げ、言葉にならない言葉を何度も何度も漏らす様を見た龍太郎は『やっぱりフラれるのかもなぁ』と理由の分からない諦めに襲われる。そうしてしばらくすると、香織もまた少しずつ言葉を吐き出し始めた。
「私ね、不安だったんだ」
「何がだよ」
「重荷に……私が皆の、龍太郎くんの重荷にしかなってないんじゃないかって思ってたから」
龍太郎の問いかけに答えを返すと、香織のほほを一筋の涙が伝った。
「私だけなんにも出来なかったのが悔しくて、龍太郎くんや皆が苦しんでたのにちゃんと助けることも出来なくて……皆と一緒に地球に帰るって約束しても、私に何が出来たのかな、って……」
ぽつぽつと自分の中にあった不安をこぼしていく内に目元から何度も涙がこぼれては地面へと落ちる。
体はより震えを増し、しゃくりあげながら心の中を香織は更に吐き出していく。
「こんな……こんな私が、一緒に……一緒でいいのかな、って。やっと、やっと私……わたし、じぶんの、じぶんのきもちがわかったのに……」
嗚咽を漏らしながら香織は龍太郎に抱き着いて涙を流す。龍太郎もハジメや光輝だったらこんな時どうしただろうかと考え……香織の頭に手を置いてそっとなでた。
「やっと……やっとわたし……ぐすっ……りゅうたろうくんが、りゅうたろうくんがすきだ、って……おんなのことして……ひっく……ずっと、ずっとすきだったんだ、って……でも、でも……えぐっ……わたしが……わたしがすきに……すきになっていいのかなって……りゅうたろうくんのじゃまになるのが……じゃまになるのは、いやだったの……」
ようやく聞けた香織の本音に龍太郎は『そうか』、『あぁ』と相槌を打ち、頭をなで続けながら腕に回す力を少しだけ強くした。
「すきで……すきでいいんだよね? ひっく……わたし……わたし、りゅうたろうくんと、りゅうたろうくんといっしょになっていいんだよね……?」
「あぁ、当たり前だろうが。お前がそばにいてくれなきゃ困るんだよ。お前にずっと隣にいてほしいんだよ――香織」
嗚咽を漏らす彼女の体を一旦引き離し、泣きじゃくる香織の目を見ながら龍太郎はそう告げる。
「――しんじて、いいの?」
「俺を信じろ。信じてくれ……言葉じゃ、足りねぇんだったら――」
不安と期待のこもったまなざしを向けられ、他に何かないかと考えた龍太郎は――ハジメと光輝の真似をした。
「――!!!」
香織のあごに手を添え、軽く持ち上げて唇同士を触れ合わせた。目の前の少女の赤い瞳は大きく見開き、とめどなく涙がこぼれ落ちていく。
「……これで、わか――ん、んぅっ!?」
「ん――ちゅ、んむ……はむっ……」
触れ合ったのはほんの一瞬。しかし香織は龍太郎の首に腕を回し、幸せな時間をもう一度とねだってきた。
体を密着させ、舌を絡ませ、そのまま一つに溶け合うかのように熱く情熱を口の中で
「ちゅ……んぅ……りゅうたろう、くん……!」
「ぁむっ……ふ、ぅぁ……か、おり……!!」
二人にはもう互いのことしか見えておらず、ただ本能に突き動かれるままにお互いの唇を貪り合っていく。
もう焦りと不安に駆られた少女の目に憂いは無く、少女を欲し続けた少年の心に迷いは無い。この広く薄暗い空間で淫らな音を響かせながら、二人は幼い頃から育み続けた愛をぶつけ合っていく。
「すき……だいすき、りゅうたろうくん……んぅ……」
「かおり……かおり、かおり!……むぅ……ふぅ」
ただ獣のように。高まりあう互いの体温を感じながら、幼少からの思いが劣情となってもなお続けていく。今この時だけは獣になった二匹は互いを求め、脳も心も甘く蕩けさせていく――。
「……ぷはっ。なぁ、香織。そろそろ止めねぇと、その……もう、我慢が出来なくなっちまう」
「……はぁっ。ガマン、しなくていいよ? 龍太郎くんのしたいこと、何でもしようよ? キスでも何でも、ね? しよ?」
熱情で潤んだ瞳を互いに向けあいながら龍太郎は香織にそう伝えるも、当の香織は妖艶さを感じさせる笑みを見せながらその先を求める。蠱惑する目の前の『女』の姿に生唾を飲みながら、龍太郎は香織の胸元と自分の下半身に一度ずつ視線を向ける。
「お前――ホントに、いいんだな?」
「うん。何でもいいよ?……おっぱい、触る? だったら――」
ゆっくりと後ろに手を回し、ブラジャーのホックを外して胸を開放させると香織は龍太郎の手を取って自分の胸元へと持っていこうとする。
「お、おい香織……い、いいのか?」
「うん、好きにしていいんだよ? それとも――エッチなこと、しちゃう?」
「……ぉぅ。したい」
柔らかげに揺れる胸を龍太郎は凝視していたものの、そこから更に踏み込んでくる香織にクラクラしながらも龍太郎はそれにうなずいた。そして香織は掴んでいた龍太郎の手を服のすそへと持っていき、視線でそこから先をねだると、龍太郎は息を荒げながら彼女の服に手をかけようとし――。
「なにボクの前で
――心底苛立った恵里の声で一緒に正気に戻った。
動きをピタリと止め、その後さび付いた機械が動くかのように首を動かして声のする方を見やれば全員がこちらを見ていた……ようやく二人は自分達のやりとりを見られていたことに気付けたのである。
「「……見た?」」
「ボクはついさっきからだけどね。ボクだってハジメくんとそこまでは最近やってないし、それ以上はまだなんだよ。ズルいじゃないか」
「鈴も同じ辺りで……ねぇ恵里、それただの八つ当たりだよ? 落ち着いてってば。でも、まぁその……おめでとうっていうかお疲れ様、かな。龍太郎君」
「エリ、アンタそれただの逆恨みじゃないの……わ、私はその……二人が初めてき、キスをした辺りから……」
「あ、うん……私も、優花っちと同じ、ぐらい……お、おめでと。龍太郎っち、香織っち」
「ぉ、ぉめでとぉ~二人とも……お、お米も無いからお赤飯たけ、たけ……炊けないけど、代わりに祝っておく、ね?」
「「~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!」」
「恵里、いつか後で叶えてあげるからもうちょっとだけ我慢して……えっと、その、二人とも。おめでとう。やっと両想いになれたね」
「おうマジでおめでとうな龍太郎。それはそれとしてリア充ども全員爆発しろ」
「浩介ぇ、お前祝うのか妬むのかハッキリしろよ……ま、良かったな龍太郎。あと香織、お前焦らし過ぎだ」
「おーマジか。坂上と白崎、遂にくっついたんだな」
「知り合って一年経ってないのにこの達成感は何なんだろうな……ま、おめでとよ」
「野獣珍獣コンビがカップルになったかー……なぁ宮崎でも菅原でもどっちでもいいからよ、俺とつき合わねぇ?」
「やっとこさそこまで持っていけたな坂上……それはともかく独り身の俺らの前でおっ始めようとしたの許さねぇからな」
そして追撃とばかりに男共も言ってきた。すさんだ目をしながら祝福と彼女持ちへの呪詛を吐いた浩介や、恨み辛みのこもった良樹の言葉も地味に効いたが、恵里をバックハグしながらハジメがちょっと恥ずかしがる感じで祝ってきたのが二人には一番キツかった。
ちなみにナンパした信治は二人からゴミを見るような目で見られ、割と本気でショックだったのかしっかり頭を下げて謝った。
「え、えっと……わ、私は何も見てないから!! 本当だからね!!」
そう言って両手で顔を隠しながら雫はそうコメントした……が、思いっきり指の間が空いており、恥ずかしさと好奇心、羞恥に満ちた瞳をこちらに向けている……ちなみに雫と浩介は香織が『違う!』と大声を上げた時から目を覚まして見ており、今の雫の脳内では自分と光輝がぐっちょぐちょのネッチョネチョになっているシーンが浮かんでいたりする。
「あ、あのな二人とも! そ、そういうのは場所を考えてやってくれ!! こ、こういうのはその……べ、ベッドの上とか、ムードのある状況で――うわぁああぁあぁあぁ何でもない何でもない!!!」
そして幼馴染二人が一線を越えようとする様を見て頭がバグった光輝は突拍子もないことを言い出してその場でゴロゴロと転がり出した。
「何やってるんだお前らは……場所と時間と状況を考えろ、まったく。それと、やるんだったら壁に手をついて立ってやれ。その場でやったら体を痛めるぞ」
そしてメルドの言葉で完全にトドメを刺された龍太郎と香織はそのまま卒倒する。二人とも全身を真っ赤に染め上げ、また龍太郎はそのシーンを妄想してしまって鼻血を垂らしながら倒れていた。
……この一件で雫と光輝は四馬鹿からムッツリ扱いを受け、龍太郎と香織はメルドを除く全員から“がっつりスケベ”と言われることになった。なお恵里達に関しては『コイツらまだ清い体なのか!?』と全員に驚かれ、メルドは六馬鹿からの評価が上がり、女子~ズから『いやメルドさんもTPO考えて発言してくれない?』と評価がそこそこ落ちたのであった。
「――それでは班分けはこれで行くとしよう。誰か質問はあるか?」
あの後龍太郎と香織はすぐさまメルドに叩き起こされ、恵里の“静心”を三回かけられて強制的に復帰させられる。そしてそのまま今後の作戦会議を行い、これからの方針が決まった。
「……ちゃんと聞いてたか坂上、白崎」
「は、はいっ!!」
「はひっ! き、聞いてましゅた!!」
……なお、“静心”の効果で落ち着かされはしたものの、こうして会議中もあの時のことをちょくちょく思い出しては恥ずかしさと何とも言えない感じに二人は襲われていてあまり集中できてなかったりするが。龍太郎はともかく香織は嚙み嚙みだった。
「……色ボケしたいなら後でやってくれ白崎」
「う、うぅ……はぃぃ……」
メルドに半目で見られて縮こまってしまう香織を見て、メルドと共にため息を吐きながら龍太郎はあることを尋ねた。
「とりあえず俺と香織、それとハジメ、恵里、鈴、浩介と幸利、それとメルドさんが同じグループになったのはわかるんすけど、でも、その……やっぱり固まって動いた方が全滅は――」
「“全滅”のリスクを考えればその通りだが、それ以外の問題も坊主が挙げただろう――恵里が述べてくれた方法が有効であれば話は別だが、俺達に残された時間は思っている以上に少ない可能性がある。やれることはやっておかねばな」
そう。今回わざわざ班分けをしたのもちゃんとした理由があった。今自分達がいる場所がオルクス大迷宮の何階層目かが不明であることだ。
四十七階層目まではマッピングがされているし、その地図も全てメルドが持っている。だが自分達は策略により二十階層でトラップにかかってしまい、六十五階層と思しき場所へと転移した。そこから三日ほど下って侵入したことを考えれば当然それより下であるのは間違いないが、そこからマッピングされている場所に戻るまでどれだけの日数がかかるかわからないのだ。
迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるのが普通らしく、それを考慮すると未知の敵とのエンカウントに注意しながらも一つの階層をマッピングしながら上がっていくのは相当時間がかかる。そこでハジメがあることを憂いたのである。
「うん。マッピングだって相応の時間がかかるだろうし、その間壊血病にかかったら怖いからね」
壊血病。三ヶ月~十二ヶ月における長期のビタミンCの不足によって発生する病気であり、粘膜の出血やそれに伴う歯の脱落、貧血などの諸症状に悩まされる代物だ。
ビタミンCを摂取する手っ取り早い方法はやはり柑橘系の果物やトマトなどを食べることだが、生憎ここは鉱脈を掘って出来ているらしい大迷宮。そういった植物が自生している可能性は絶望的なまでに低い。そのため、下手したら階層を三つ上がるだけで発症する可能性が出てくるのである。
「幸いこっちにはまだ神水があるけど、これだって出る量に限りがあるし、いつまで出るかわかったものじゃないしね。それに壊血病だけじゃなくて普通に栄養失調だって十分起こりえるしさ」
そうでなくても食べるものが現状肉しかないためこういった問題も付きまとう。無くなった血すらも容易く補充してくれることも考えれば神水を飲めば栄養失調に陥ることも無いだろう。
しかしいつまでも神水が出てくれるならいいのだが、そのことに言及した恵里はその可能性はないと見ており、それを今一度口にした。理由は前世の記憶だ。もし仮にそんなアイテムが無尽蔵にあったのなら過去のハジメが大盤振る舞いして自分達を圧倒していたであろうことは容易に想像がついたからだ……別に使わなくても倒せた、という心底泣きたくなる可能性もあったといえばあったがそれは考えないようにしている。
「僕が本来辿るはずだった未来のことを考えると、“纏雷”なら血液中の寄生虫もウィルスも無力化出来るかもしれないけれど……これ多分火を通すために焦げるまでやってただろうし、神水を飲み水代わりに使ってた可能性もあるからウィルスに関しては正直微妙かもね。それと“胃酸強化”があっても生の肉も生き血もちょっと……嫌でしょ?」
そこでハジメが口にしたことに全員が首を縦に振った……何せ壊血病含む栄養失調の解決方法が『“纏雷”で通電した魔物の生肉を食べるか生き血を飲むこと』なのだから。流石にこれはメルドも恵里も、そして提示したハジメであっても難色を示している。
――生物にとってビタミンは必須である。ならば当然生の血液の中にはビタミンCも含まれているはずである。そのため生き血そのものかそれが含まれる生肉が一番手っ取り早いビタミンの補給方法だが、それにはもちろん問題も存在する。寄生生物や未知のウィルスの存在だ。
過去にトータスに転移した際に食事などで何か栄養を得られるものはないかと色々調べていた際、ハジメは生き血、それもすっぽんのものについて調べたことがあった。滋養強壮を得られるとよくテレビなどで宣伝されていることもあってこれは使えると思ったのだが、野生のすっぽんでは寄生虫や危険なウィルスが含まれていることも知った。養殖モノならばともかく、野生のものを摂取するのは危険であるとハジメは学習したのである。
そして今回、“胃酸強化”という便利な技能があることを知ったものの、これが寄生虫や異世界のウィルスや細菌――ちなみにメルドにはごく微小の生物だと説明したものの、ピンとはきてない様子であった――にどこまで有効かは不明だ。
そこでハジメは“纏雷”でどうにかする方法を考えたのだが、ここで自分が本来辿ってた可能性を思い出して迷ってしまった。おそらくその未来の自分も魔法の適性がからっきしであったことを踏まえると、水を出すために馬鹿みたいに大きい魔法陣を作るぐらいならおそらく神水を飲んでたかもしれない、と。そうなると“纏雷”の効果は未知数であるため、二の足を踏んだのである。
「……とはいっても方法があるに越したことはない。病気にかかったとしても神水があるだろう? これを服用すれば病とてどうにかなるはずだ。お前達が無理なら俺が試す」
とそこでメルドが自ら実験台に立候補する。それを見た全員が歴戦の猛者が不調になって倒れたら困ると本気で説得に移った。
「いやいやいや!? ここでメルドさんが倒れたらマズいですってば!?」
「そうですよ! メルドさんがいないと私達瓦解しかねませんってば!!」
「ええい、ゴネるんだったらお前達の誰でもいいからやれ!! やりたくないから俺が責任を持つと言ってるんだろうが!」
そこでやいのやいのと話し合い、公平にじゃんけんで勝負を決めることに。その結果――。
「うぅ……負けちゃったぁ~」
「ごめんね妙子ちゃん。私、流石に負けたくなかったの……!」
妙子と香織が最後の二人となり、八度に及ぶあいこの果てに香織が勝利をもぎ取ったのである。ちょくちょく健康状態を尋ねることと無理をさせないことを大前提として、妙子は実験台として頑張ってもらうこととなった。
「とりあえず妙子には色々頑張ってもらうけど……それでもマッピングをするのはちょっと怖いね。二尾狼なら数次第でどうにかなるけど、蹴りウサギはね。それに他にも魔物がいるかもしれないし」
「そうだな。まぁ最悪ハジメの錬成や俺の土系魔法で穴を掘って移動しながら探せばいいんだろうが、どこら辺までが下の階の天井かわかんねぇもんな。後、気づかれたら逃げ場もねぇし」
鈴の言葉に浩介も同意し、地下通路を作って進めばどうかと考えるも、下の階層の天井がどれぐらいで崩落するかがわからない。それに魔物が地下にいる自分達の気配に気づいたらマトモに逃げられずに死ぬ可能性もある。簡単かつ安全とはそう易々とはいかないものであった。
「……わかりました。なら俺はこれ以上何も言いません」
「わ、私も……よろしくね。恵里ちゃん、鈴ちゃん、ハジメ君、浩介君と幸利君――それから、龍太郎くんも」
龍太郎も納得を示し、香織も続いてうなずくと同じ班になった面々に改めて頭を下げ――そして最後に龍太郎を見た。
そのまなざしからもう卑屈さは感じられない。龍太郎に対する曇りなき信頼と彼への恋慕がそこにあった。
「よし――とはいえそれはまだまだ先の話だ。最悪階段までの道のりさえわかればいい。そのためにもお前たちの“気配探知”が、力が必要だ。頼むぞ」
そう告げるメルドに誰もがうなずいて返す。そのための班分けである、と。人数を減らしたことで戦闘での全滅のリスクは上昇したとしても、将来的なリスクを考えると今しかないと判断したのだ。
「今、将来の問題を見つめ続けても問題は解決してくれない。だが、今から動けばそれにも十分対処出来るはずだ! さぁお前ら、今日も魔物を狩って、この階層をマッピングして、飯を作って食うぞ!!」
おー! と全員で声を張り上げると、各々それぞれの班へと分かれて向かっていく。
その際香織が差し出した手を握り、龍太郎は前にやった時とはまた違う温かみを感じながら恵里達と合流する――立ちはだかるものはすべて倒す。その決意を香織と共に抱きながら。
今の辺りじゃないと不自然になるので急遽ねじ込みました。香織が思いを吐露したり告白するとなるとここら辺でしょうからね。あ、それとまず間違いなく来ると思うので先回りして……
Q.大介達は一体何をやろうとしてたの? 入水自殺? 熱湯コマーシャル?
A.『蹴りウサギ』の技能と底が熱い巨大な水槽。あとは分かるな?
2022/3/15
修正しました。大筋は変わっておりません。