あまりありふれていない役者で世界逆行   作:田吾作Bが現れた

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読者の皆様がたに惜しみない感謝を。
おかげさまでUAも110222、お気に入り件数も724件、しおりも310件、感想数も335件(2022/5/19 6:55現在)となりました。誠にありがとうございます。こうして原作とは違った√を辿りつつある拙作に目を通してくださる皆様には頭が上がりません……。

そしてAitoyukiさん、小焼夕焼さん。拙作を再評価していただき、本当にありがとうございます。また作者もモチベーションを保つことが出来ました。感謝いたします。

それで、えーと、その……まず最初にゲロっておきます。ごめんなさいガチでやらかしました(白目)

「いきなりヒュドラ君と戦うのもちょっと味気ないよなー。せや! 準備してるシーン入れたろ!! まぁどうせ2000そこらで終わるやろ(慢心)」
→「ちゃんと準備してるシーン書いて……あ、そうだ。どうせだし各キャラの心情も入れたろ!(慢心その2)」
→「なんで6000字近く行くの……ドウシテ…ドウシテ…」

……こんな経緯があったので戦闘シーンは次回、ということでお願いします(土下座)
では本編をどうぞ……。


四十七話 守護者、顕現せり

「ドンナーもシャウアーもそれと……シュラーゲンも、良し。各種手榴弾も揃っているし、皆の武器のメンテもさっき終わった。後は……」

 

 ユエといさかいを起こし、そしてオルクス大迷宮を抜けるまでの間は自分達と協力する契約を結んでから五日が経過した頃、食事を終えて皆が拠点で思い思いに過ごす中でハジメは再度武器の点検や数の確認を行っていた。

 

 蹴りウサギや二尾狼などのいた階層から次で百階目になるところまで来ており、その一歩手前の階層で作った拠点にて装備の確認と補充にあたっていたのである。

 

 百などというキリのいい数字である以上、何かあるかもしれないと一緒に降りて来た全員が考えており、ユエの賛同をもらうと一行は百階層目に続く入り口近辺に拠点を作り、そこで準備をしてから降りることとなった。

 

 更なる火力を求めて前々から着手していた対物ライフル型のレールガンことシュラーゲン――ドンナーと違って全長が一・五メートル程と長いため、組み立て式となっている――も既に完成しており、試射どころか何度も実戦運用し、改善点を洗い出してブラッシュアップを施したそれも今しがた整備を終えた。

 

 サソリモドキの外殻を覆っていた魔力との親和性の高いシュタル鉱石も素材として使用しており、魔力を込めた分だけ硬度を増す性質によって銃身も相応に頑丈である。ドンナーの十倍ほどの火力を叩き出すそれはもちろん弾も特注であり、タウル鉱石の弾丸をシュタル鉱石でコーティングしたことで撃ち出す際に弾丸が耐えられるようにしてある。フルメタルジャケットを真似たつくりのそれも錬成の派生技能である[+複製錬成]によって既に数も揃っていた。

 

 そうしてハジメが確認を終えて一息吐いたところで、恵里は水の入った二つのコップを両の手で持ちながら鈴と一緒に彼の許へと向かっていく。

 

「お疲れ様、ハジメくん。一旦作業はやめにしてお水飲みなよ」

 

「もう区切りはついたんだよね? だったらここで休もうよ。ね?」

 

「ありがとう恵里。それと鈴も。それじゃあいただくね」

 

 そして恵里がコップを手渡せば、ハジメはそれを美味しそうに一気に飲み干していった。その様子を見るだけで鈴とのじゃんけんに勝った甲斐があったものだと恵里は思っていると、ふと彼の頬を一筋の汗が伝っているのが見えた。そこで鈴と目配せをするとお互い悪戯っぽい笑みを浮かべて一緒にハジメの手を取る。

 

「さっきまでボク達のために頑張ってたハジメくんにはご褒美をあげないとね。背中、流してあげる」

 

「こうして鈴達が無事にここまで来れたのもハジメくんのおかげだもんね。じゃあ行こっか」

 

「え、ちょ、ふ、二人とも!? わ、わわっ! ひ、引っ張らないでってば!?」

 

「それじゃあボク達はお風呂に入ってるから。先に寝ててもいいからねー」

 

「あんまりハジメを振り回すなよー」

 

「ハジメ君だって疲れてるんだから、変なことしないでねー」

 

 ハジメの手を引きながらまだ眠りに就いていない面々に声をかけると、ユエ以外の面々から注意を受けてしまい恵里と鈴は頬を膨らませる。ただそんな程度で止める気は無かったため、そのままハジメを引きずって『恋人』用の風呂場へと姿をくらませた。

 

「……相変わらず五月蠅い」

 

 風呂場から聞こえる楽し気な恵里と鈴の声と時折響く喜色交じりのハジメの悲鳴に、ユエは今にも舌打ちしそうな顔でそうつぶやいた。あの三人が楽しそうにしている様子は前々から心底目障りに思っていたが、それは今でも変わっていない。眉間にしわを寄せながらシングルベッドの上で髪の毛をいじっていると、メルドも自分に同意した様子で大きなため息を吐いていた。

 

「アイツらは……まぁハジメも恵里も俺達の中では功労者だからな。あまり目くじらを立てないでやってくれ」

 

「三人とも……相変わらずというか、何というか。いや、トータスに来てからもっとひどくなってるな」

 

「本当にそうね……でもメルドさんの言う通り、ハジメ君は頑張ってくれてるし、彼に尽くしたいって思ってる恵里と鈴のことを考えると、その……私もとやかく言えないわ」

 

 この中で一番異性交遊について口やかましい光輝と雫も苦笑しながらもそれを止める気はなかった。

 

 昔から彼らを見ていたということもあるし、何より明日は例の百階層目の攻略である。いつもよりも念入りに武器や防具の整備をしてくれた手前、あまり強くは言えなかったのだ。ここまでずっと彼の頑張りのおかげで支えられてきたというのは誰もがわかっていたからである。

 

 そんな彼を支えてくれた恵里と鈴に関しても言わずもがなであり、そんな幼馴染のことを今更とやかく言う気は光輝には無い。それと彼らのおかげで立ち直ることが出来、また自分も光輝に尽くしたいと考えている雫からすればやはり悪し様に言うのは(はばか)られたのである。

 

「そっちだってそのベッド使ってるだろ? これだってハジメがいなかったら使えなかったんだからな」

 

「はいはいハジメ様々……これで満足?」

 

 龍太郎も不満気なユエを諫めるものの、投げやりな感じで返す彼女に香織共々ため息を吐くしかない――あの時ほんの少しだけ見せてくれたユエの心の内を思えば、まだ理性的になって抑えてくれているとわかってしまうからだ。

 

「……取り付く島もねぇな」

 

「うん……どうすれば、ううん、どうしたらよかったんだろうね……」

 

「なんでだよぉ……どうしてなんだよぉ……」

 

 ユエを見てどうすればいいのやらと二人が考え込んでいると、ふと彼女のベッドの近くに置かれたソファーでへこんで横になってすすり泣いていた大介の声が聞こえた。こうなったのも先程ユエに『もしここを出たとしても俺も一緒に行くから! お前を一人にはさせねぇ!!』と伝えた際、困惑も入り混じったもの凄い嫌そうな顔で首を横に振られて玉砕したからである。

 

「うぅ……いやだぁ……あきらめたくねぇよぉ……」

 

「大介の奴……しゃーない、慰めに行ってやるか」

 

「そうだね……檜山くーん、まだ多分大丈夫だよー! 檜山君じゃなかったらきっともっとひどい対応だったと思うからー!」

 

「いや香織、お前それ全然慰めになってねぇからな……」

 

 これ以上ユエのことを考えてもどうにもならないと思った二人は、ひとまず友人である大介の面倒を見ようと考えて彼の許へと向かっていった。面倒な子に惚れ込んでしまい、まだ諦めのつかない様子の彼を慰めに。さめざめと泣く大介に二人がどうにか言葉をかける中、今度は浩介がメルドに話しかけた。

 

「そういやメルドさん、またその剣見てるけど……その、飽きないんですか?」

 

「ん?……まぁな」

 

 先程からメルドは鞘から出していた剣の向きを変えては眺めており、部屋の中央にある緑光石から放たれる光に照らされる剣身を飽きずに見ている。流石に浩介から声をかけられてからはそちらの方を向いたものの、そうでなければ寝るまでずっと見ているつもりであった。

 

 この奈落では娯楽というものが基本食事ぐらいしかないため、時間つぶしにやった行動が趣味に繋がるのも珍しくはない。メルドにとっては今使っている剣を眺めることが趣味となっており、そのため先程からずっと見ていたのだ。

 

「昔からコイツを持って幾度も戦場を駆けていたからな。今はこうしてこの大迷宮で使っているが、昔のことやここ最近のことをコイツを眺める度に思い出すんだ」

 

 そう言いながらメルドはかつての戦場やこうしてオルクス大迷宮での死闘を思い出す。そのどれもが楽な戦いではなかったが、この剣と共に切り抜けてきた。元々愛着は強かったものの、ここオルクス大迷宮に来てからは一層その思いが強くなっていったのである。

 

「昔から愛着が無かった訳でもないが、こうしてハジメに何度も修繕されて改良してもらったことでコイツは一層強く、頑丈になった……それを思うとどこか感慨深くてな。わかるだろう浩介、幸利?」

 

 もう自分の半身とも言うべきそれを愛おし気に見つめ、そしてそれが理解できているであろう幸利にまでメルドは話を振った。

 

「……まぁ、その、はい。やっぱりハジメがくれた刀はよく切れるし、丈夫だし。俺も俺でよく手入れしてますから」

 

「え、ちょ、お、俺もですか!?……まぁ、ハジメからもらったコイツはすっごい大事にしてますけどね」

 

 浩介も横に置いていた刀を手に取り、幸利も機構のチェックついでにいじっていたパイルバンカーの“ベーオウルフ”――言わずもがなあの古い鉄のパイロットのテーマ曲から幸利が勝手につけた名前である。なおハジメもノリノリでOKを出した――を撫でた。

 

 つい先日、ようやくハジメも満足のいく出来として仕上がった二人の武器であったが、無論今の今まで大いに役立ってくれていた。

 

 浩介は普段からの闇討ち――と言っても割と勝手になってしまうだけだが――にも近接戦闘にも使っているし、幸利も魔物の接近を許した際の強力な切り札として運用している。流石に作った当初は初期不良が多かったり、無理な運用をしたことで発生した故障や刃こぼれといったものはあったが、それでも二人にとって助けにならなかったことは無かったのである。

 

「ならわかるだろう? お前らにとってのその武器がそうであるように、俺にとってこの剣はとても大事なものなんだ。手入れが終わっててもこうして眺めることは嫌いではないんだ――そういうことさ」

 

 微笑みながら言葉を口にするメルドに二人は共感をありありと浮かべながらうなずく。彼の言葉で自分達もまたこの武器のことを思っている以上に気に入っていることに気付けたからだ。二人もまたメルドと同じように愛おし気に自分達の武器を見つめる。

 

「……ふん」

 

 そしてそんな幸利を見ながらどこか不満気に口をとがらせたのは優花であった。

 

 彼女は今、不要な金属で作ってもらったジョウロを使ってトレントモドキに水やりをしていた最中であった。そんな折、幸利が浩介と一緒にメルドと話を聞き、それもハジメが作ったパイルバンカーを大事にしていると述べた時にどこか()()()()()と思ってしまったのだ。

 

「……どうかした、優花っち」

 

 そんな優花に声をかけた奈々もどこかうわの空の様子であった。さっきの()()とメルドのやり取りを見て、彼女も視線をちょくちょく幸利に向けながらも優花の方を見ていた。

 

「……別に。何でもないわよ、ナナ」

 

「そう?……水、もう出てないけど?」

 

「こ、これは、その、えっと……」

 

 既にジョウロの水が空になったのを指摘され、目が泳ぐ優花を見ながらも奈々はまた幸利のことを思う。

 

(どうしてなんだろ……あの武器が羨ましく感じるなんて)

 

 元々は光輝と雫がイジメから助け、その縁で友人となったぐらいでそこまで意識していなかったのだが、二尾狼の群れと初めて相対した時から彼に向ける感情がほんの少し変わった。

 

 ――だからふざけんじゃねぇってんだ!!――まだ、まだ俺らがいるだろうが!

 

 空腹にあえぎ、迫りくる魔物の姿に怯えて絶望するしかなかった時、この言葉で自分を縛っていた感情がほんの少しだけ弱くなった。だから奈々は完全に心が折れなかった。

 

 ――あの水もまだ残ってるだろ! 光輝達はまだ生きてる。ならあの水を飲ませりゃどうにかなるだろうが!! ここで動かなきゃ友達が死ぬんだぞ! わかってんのかお前ら!!

 

 二尾狼に追い詰められ、もう恐怖に怯えて泣き叫ぶしかないと思ったあの時、この言葉で気づかされた。自分達は恵里達のためにここに来たのだと。だから奈々は立ち上がれたのだ。

 

 あの時、自身も震えながらもそう言った幸利の姿を見て、友情以外の()()()()が奈々の胸に生まれた。尊敬のような憧れのような何かが。それは日を経る毎に段々と強まっているのを奈々は感じていた。

 

(……いいなぁ)

 

 そんな時にメルドとのやり取りを見て彼の手に収まっている武器に、それを贈ったハジメに対して奈々はどこか憧れを感じてしまっていた。強く思ってもらえることをどこか羨んでいたのである。

 

(……何よ、本当に。ハジメから貰った武器が大切なのはわかるけど、こう……あー、もう!!)

 

 幸利に対して友情とは別の思いを抱いているのは優花もまた同じであった。

 

 出会って間もない頃にウィステリアでハジメに対する嫉妬を浩介と一緒に話し合っていた時や、大介らとつるんで下世話な話で盛り上がっているのを見て『これだから男子ってのは……』と呆れていたりしていた。これまでずっとそういう目で見ていたものの、ここトータスに来てからはそんな彼への印象が徐々に変わっていったのである。

 

 トータスに来た日の夜、自分達の行動方針について語り合っていた時、幸利が自分の考えを言いだす辺りまではその印象は変わらなかったが、それを耳にした途端に彼の中の何かに思わず惹かれてしまったのだ。とても冷たく、けれども確かに熱がこもった言葉を発する彼の様子を見て今までと同じ印象を抱けなくなったのだ。

 

 そしてそれが顕著になったのは奈々と同じく二尾狼に襲われそうになった時のことだ。彼の言葉に、必死になって生き延びようとする様に惹きつけられてしまったのだ。以降も幸利が援護として自身の投げナイフに魔法を付与してもらうこともしばしばあり、そうしてもらう度に自分の中で何かが育っているような気がしていたのだ。

 

 よくわからないものを抱えながらも大迷宮を攻略していたが、正体の分からないそれを抱えていることは決して嫌ではなかったし、どこか自分の力にもなっていたのを優花は感じていた――特にそれが、彼と力を合わせている時に強くなるのを何度も経験しながら。

 

 だがそんな時、ハジメからもらった武器に愛着があることを幸利が語った時に何故か優花はもやもやとしたものを感じたのである。それもひどく不快なものを。だが、それを単なる不快感だと優花は()()()()()()していた――これを“嫉妬”だと認めてしまったら、彼とどう接すればいいのかわからなくなってしまうから。

 

「……こ、これから水を入れようと思ってたのよ!――って、ユグ! アンタは邪魔しないの!!」

 

 迎えて早々ユグドラシル――愛称はユグやゆぐゆぐなど――と名付けられたトレントモドキも、根腐れを起こしかねないからやめてくれと根っこを伸ばしてジョウロを明後日の方向へ向けたものの、優花は逆ギレして直接水の初級魔法である“滴垂”を発動しようとする。

 

「ふ、二人ともどうしたのぉ~? なんか変だよぉ~?」

 

「な、何でもないわよタエっ!!」

 

「え?……う、うん。なんでもないから……」

 

「え~?……えっと、その、とりあえずゆぐゆぐが嫌がってるしやめたげなよぉ~」

 

 するとそんな二人の様子を見て疑問を感じた妙子から声をかけられるも、普段とは違う二人の反応に妙子も困惑するしかなかった。そんな二人を見てどうしようと思いつつも、とりあえずユグドラシルを助けてあげようと声をかける。

 

「キュ……スゥ……」

 

「おー、ジンバブエドルライスじゃねーか……これ食いたかったんだよなー、ありがとかーちゃん……」

 

「うへへ……モテ男ってのもつれぇなー……そのままシャンパンプール行こうぜー……」

 

「よーし今日は俺のおごりだー……大介も、先生も、お前達も好きにねーちゃんとイチャイチャしようぜー……うへへ……」

 

 既に夢の世界へと旅立っていたイナバ、礼一、信治、良樹ら三人と一匹。礼一らは思い思いに夢を見て幸せそうな顔を浮かべ、イナバもどこかだらしのない顔で寝返りを打っている。かくして今日も騒々しいままに夜は更けていき――そして運命の朝を迎える。

 

「――よし。今日は遂に百階目だ。きっと何かあるかもしれないけれど、ここまでの苦境を切り抜けてきた俺達なら絶対に勝てる。それを信じてくれ!!」

 

 そして食事を終え、全員と向き合った光輝は激励の言葉をかける。何があっても自分達なら絶対に大丈夫だ、と不安を一掃するために。彼の意をくんでユエも不承不承に、恵里達も元気よく鬨の声を上げる。

 

 その後イナバとユグドラシルにお留守番を命じ、恵里達は下へと向かうのであった。

 

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中村恵里 16歳 女 レベル:54

 

天職:闇術師

 

筋力:1410

 

体力:1440

 

耐性:1420

 

敏捷:1700

 

魔力:1800

 

魔耐:1800

 

技能:闇属性適正[+闇属性効果上昇][+発動速度上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動]・闇属性耐性[+効果上昇]・気配感知[+特定感知]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

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南雲ハジメ 16歳 男 レベル:56

 

天職:錬成師

 

筋力:530

 

体力:580

 

耐性:510

 

敏捷:1670

 

魔力:1260

 

魔耐:1260

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・気配感知[+特定感知]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

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谷口鈴 16歳 女 レベル:59

 

天職:治癒師

 

筋力:1390

 

体力:1450

 

耐性:1360

 

敏捷:1740

 

魔力:1920

 

魔耐:1920

 

技能:回復魔法[+効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動]・光属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇]・高速魔力回復[+瞑想]・気配感知[+特定感知]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

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 現在の彼らの中で恵里、ハジメ、鈴のステータスはこのような具合であった。ちなみにこのメンバーの中で一番ステータスの平均値が高い光輝の場合、高い数値は1900ほどあり、低いものでも1600オーバーと中々に愉快なことになっている。

 

 各人のステータスは初めての魔物を喰えば上昇し続けているが、固有魔法はそれほど増えなくなった。主級の魔物なら取得することもあるが、その階層の通常の魔物ではもう増えなくなったようである。魔物同士が喰い合っても相手の固有魔法を簒奪しないのと同様に、ステータスが上がって肉体の変質が進むごとに習得し難くなっているのかもしれないと恵里やハジメは推測していた。

 

 閑話休題。

 

 階段を下りていき、恵里達がたどり着いた階層は無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。

 

 柱の一本一本が直径五メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。

 

 恵里達はしばしその光景に見惚れつつも足を踏み入れていく。すると全ての柱が()()()輝き始めた。ハッと我を取り戻し警戒する一行は周囲を観察すれば、柱は自分達を起点に奥の方へ順次輝いていく。

 

「……何も起きないわね」

 

「いつでも防御に移れるように俺と一緒に鈴と香織は“聖絶”の準備をしてくれ――よし、全員移動だ」

 

 つい先日使えるようになった“聖絶”をいざという時に発動するよう光輝がアナウンスをしつつも、周囲の警戒は怠らない。それは光輝だけでなく全員がやっていた。

 

 しばらく経過しても何も起きず、全員足を止めていたものの遂に先へ進むことにした。無論、感知系の技能をフル活用しながら歩みを進めてである。

 

 そうして二百メートルも進んだ頃、前方に行き止まりを見つけた。いや、行き止まりではなく、それは巨大な扉であった。全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。

 

「……あれ? どっかでああいうのを見たような……」

 

「……凄いね。もしかして……」

 

「ここが、反逆者の住処……遂に、遂にたどり着いたんだ……」

 

 信治は何か引っかかりを感じたようだが、誰もがその様相に息を呑んだ。いかにもラスボスの部屋といった感じだからである。

 

 実際、感知系技能には反応がなくとも恵里達の本能が警鐘を鳴らしていた。この先はマズイと。それはユエも感じているのか、うっすらと額に汗をかいている。

 

「……行こう、皆。どんな敵が現れても、俺達で倒す。絶対に、超えるんだ!!」

 

 本能から来る恐怖を押し殺しながら叫ぶ光輝に、恵里達もうなずいて進んでいく。たとえ何が待ち受けていようとやるしかないのだ。これは恵里の前世? のハジメも通った道なのだから、と覚悟を決めて。

 

 そして、全員で扉の前に行こうと最後の柱を超えた時であった。

 

 その瞬間、扉と恵里達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、()()()()()()()()()()()()()()()()、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

 誰もがその魔法陣に見覚えがあった。忘れようもない。あの日、自分達がオルクス大迷宮を降りる日に見たものと同じだったからだ。自分達だけでなく永山達も窮地に追い込んだトラップと目の前のそれが。

 

 だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。

 

「全員、来るぞ! 各自攻撃準備!!」

 

「光輝の言う通りだ!! ボサッとしてたら死ぬぞ!!」

 

 目の前の魔法陣に誰もが目を取られていたが、すぐに我に返った光輝が出した号令とメルドの怒号のおかげで恵里やハジメもやるべきことを思い出せた。すぐさま全員が武器を構え、番人の出現に備える。

 

 ――この時、真のオルクス大迷宮の百階層目の仕掛けは普段とは違う挙動をしていた。それはここを造ったオスカー・オルクスが“大人数でこの大迷宮を攻略した時”を想定したパターンのものだ。

 

 凶悪な魔物がひしめき合い、様々な過酷な環境で満ちたこのオルクス大迷宮だが、相応の実力を持った人間――例えば自分達“解放者”のような存在が何人もいたのならここの突破は容易であろうと彼は考えていた。それ程までに強い力の持ち主が打倒エヒトのために動いてくれるのは喜ばしいことであるが、同時に不安でもあった。簡単に勝てる番人を配置して、それが原因で足元をすくわれるのではないのか、と。

 

 そこで彼は一定以上の人数がこの最後の階層に訪れた際、専用の仕掛けを発動するように仕込んでいた――通常の守護者に()()手を加えた存在が出るようにしていたのだ。

 

 その守護者が通常のものと違う要素はまずここ、オルクス大迷宮の魔物を生み出すためのリソースである巨大な魔力溜りとのラインが繋がっている点だ。そのため()()()()を遺憾無く発揮することが出来るのである。

 

 そして最も重要なのが二つ目。()()()()()()()()()設計であるということだ。下手に力を温存してあっさりと番人が負けてしまい、踏破する者の糧とならないのは論外だとこの大迷宮の創造主は考えた。そこで強敵を相手にしてもなお勝てるかどうかを試すべきでは、と彼は考えたのである。

 

 ……もちろん他の仲間からは心底引かれていたが。

 

 魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。その場にいた誰もが咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにする――光が収まった時、遂に守護者は顕現した。体長三十メートル、()()の頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物が。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。

 

「「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」」

 

 不思議な音色の絶叫をあげながら七対の眼光が恵里達を射貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気が彼女達に叩きつけられる。

 

 ――同時に火炎が、氷の礫が、風の刃が、そして滅びの極光が放たれた。




さて、さっそく現れましたスーパーヒュドラ君(仮)ですが、いきなりネタバレすると彼にも立派な弱点はあります。なんと全部の首を倒され、胴体にも致命傷を与えられた状態で回復出来ないと死んでしまうんです!! いやー、さしものオー君もちょっぴり手抜きしたみたいですねアッハッハ(笑)

……ハイ、続きは近いうちに上げるつもりですごめんなさい(すぐ投稿するとは言ってない)
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