もう一人のロクでなし魔術講師 remaster   作:宗也

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この作品は以前に私が投稿した『もう一人のロクでなし魔術講師』のリメイク版になります。

修正しようにも修正箇所が多すぎる為、リメイク版として投稿させて頂きました。

オリ主や独自展開、オリ主強めの設定が嫌な人はブラウザバック推奨です。


第1話

「あの野郎、元気にしてやがっかな?」

 

俺、ハヤトは魔術師である。突然何言ってんだこいつ?っと思った奴、挙手しなされ、燃やしてやるから。

 

まあ説明すると俺が今いる国である『アルザーノ帝国』は魔導大国として知られ、領土はさほど広くないが、進んだ文明と優れた魔道技術・工業技術を国家の主幹とし、国全体が王家を中心に一致団結して高い政治力を持った国なんだ。

 

色々と黒い噂は絶えねえけどな!

 

「あの野郎は今日で自宅警備員に就職して1年経過するな。祝いの品でも持っていってやるか。」

 

あの野郎ってのはグレン=レーダスって言う俺の友人だ。1年前に、ある理由で前の仕事を辞めているんだ。それまでは同じ職場で働いていたけどな。

 

「俺も人の事言えないけどな!半年前に仕事辞めたし。」

 

仕事を辞めた理由?色々とあったんだよ。本当に色々とな。

 

さて、俺が仕事を辞めてからグレンに会ってなかったからな。約半年ぶりに会うわけだ。家は確かこの大陸一番と言われている魔術師の家に居候していたはず。

 

「おっ!見えてきたぞ!!」

 

家から歩いて約1時間、ようやくグレンが居候している家が見えてきた。ちなみに家の主はセリカ=アルフォネアっていう凄腕の女性魔術師だぞ。

 

超絶と呼べるほどの美女で豪奢な金髪に鮮血を想起させる真紅の瞳。身に纏っているのは丈長の黒いドレス・ローブ。解放された胸元やベルトで強調されたボディラインはまさに圧巻の一言だな!

 

見た目は二十歳程度の大人のお姉さん的な感じだけど、実際は400年くらい生きてる年寄りなんだよな。やーいロリババァ!いやロリじゃねえな。

 

「ちわーす!!三○屋でーす!!」

 

ん?インターホン押しても何の反応もないぞ、留守なのか?

 

「もしもーし!最近肌の皺が気になっているセリカさーん!?」

 

おっかしいな?普通セリカの悪口を言ったら『ライトニングピアス』だったり『ブレイズ・バースト』が飛んで来るはずなんだが?

 

『ライトニングピアス』は電撃を放つ軍用のC級の攻性呪文(アサルトスペル)。 プレートメイルを貫き、人間程度なら感電死させるくらいは容易いらしい。 超実力者が繰り出せば光速で繰り出すことも可能なんだと。

 

『ブレイズ・バースト』は収束された熱エネルギー球を飛ばして着弾と共に 強烈な爆破を巻き起こすことが出来る軍用の攻性呪文(アサルトスペル)。 人間なら消し炭も残らないほどの火力があるぞ。

 

そんな魔術を俺に対してポンポン放つセリカさん、泣きたくなるね!

 

「仕方ない、また時間を改めて「ちょ!!ちょちょ!!待ってェェェェ!!」えっ!?」

 

何か詠唱が聞こえてきたんですけど!?しかもヤバそうな詠唱だぞ!?

 

「まさか、ウギャァァァァァ!!!」

 

玄関から離れて中庭に避難しようとした時に目の前の壁が溶けて炎の魔術が迫ってきたんですけどぉぉぉぉ!?しかも何で俺目掛けて撃ってくるんだよぉぉぉ!?

 

「ゲホッ、ゲホッ、あー死ぬかと思った。」

 

「次は、外さん!!」

 

いや俺に当たってるんですけどぉ!?誰に向かって言ってんだよセリカは!?

 

「セェェェェリィィィィカァァァァ!」

 

壁が溶けた部分からセリカの家に入ると高級そうな椅子に腰掛けているセリカと、全身に脂汗を掻きながら土下座をしているグレンがいた。

 

「おやぁ、貴方は誰なのかしら?私は全身真っ黒な人間の知り合いなんかいないぞ?」

 

「しらばっくれてんじゃねえぞゴラァ!俺に向けて『ブレイズ・バースト』を放っただろ!?」 

 

セリカはクスクスと笑いながら俺を見ている。くそっ、わざとか!?わざとなのか!?わざとだな!?

 

「ハヤト、プッ、イメチェンでもしたのかブホッ!」

 

「これの何処がイメチェンに見えるんだグレン!?全身が真っ黒になるイメチェンが何処にある!?」

 

グレンの奴、土下座しながらこっち見て笑ってやがる。後でハイキック喰らわせてやるからな?

 

「それより、何で俺に向けて撃ったんだセリカ!?危うく消し炭になるところだったぞ!?」

 

「貴方なら私の魔術を喰らっても死にはしないだろうし。グレンを脅すためにな。」

 

何で俺はグレンの為に真っ黒くろすけにならなきゃならんのだ。

 

「何でグレンを脅したりなんかしたんだよセリカ?」

 

「そろそろグレンを働かせようと思ってな。職場を紹介したら嫌だと駄々捏ねたからな、ちょっとばかし脅してやっただけだ。」

 

軍用魔術がちょっとばかしの脅しなんですかねぇ?普通の人間なら即死だからな、そこんとこ分かってる?分かってねぇんだろうな。

 

ちなみに軍用魔術っていうのは、軍属魔導士が使用する戦争用の魔術だ。天変地異クラスの威力を誇る戦術・戦略レベルの複数名で行う儀式による大魔術をA級で、威力規格が下がるごとにB級、C級と名称が変わるぞ。

 

「そういえば、確かハヤトも無職だったな?」

 

「NEETという仕事があります。」

 

そう言った瞬間、俺の左頬にギリギリ掠らない所に『アイシクル・コフィン』という自在に動く高速の冷凍光線がセリカから放たれた。 命中したら相手を血液まで凍らせるというB級軍用魔術を放たなくても良いじゃないですかね?

 

「今度余計な事を言ったらその口を縫い合わすぞハヤト?」

 

「ハハッ、最近のセリカはキツイや……。」

 

「ハヤトも講師になりなさい。グレンと同じクラスでね。」

 

いきなり何言い出すんだよ!俺が講師になる?ついに頭ボケたかこのバb「其は摂理と円環へと帰還せよ・五素」すいませんでしたぁ!

 

「ハヤト、お前も綺麗な土下座しやがるな。」

 

うっせぇグレン、この世界を生き延びる為には綺麗な土下座の取得は必須スキルなんだよ。

 

「グレンだけじゃどうにも不安だからな。ハヤトが居てくれれば安心する。」

 

「俺、教育免許持ってねえぞ?運転免許しかねえぞ?」

 

「教育免許?そんなもの無くたって私の権限を使えばどうとでもなる。」

 

職権濫用って言葉知ってますセリカ?

 

「それに、講師になれば可愛い女の子がたくさんいる場所に行けるぞ?しかも常時ヘソが見えているんだぞ?」

 

「なんですと!それは本当かセリカ!?」

 

20年間女の子とほぼ関わりがなかったからな!これはいいチャンスだ!

 

「でも働きたくない、けど女の子と関わり合いたい。うーーーーん!」

 

くそっ、どうすればいい?どうすれば働かないで女の子とキャッキャウフフが出来る!?

 

「沈黙は肯定と受け取るぞハヤト。早速学院に手配しておくからな。」

 

「おい、俺まだ了承してないんだけどセリカ!?勝手に決め付けんなこの400さ「『我は神を斬獲せし者・我は始原の祖と終を知る者・其は摂理の円環へと帰還せよ・五素より成りし物は五素に』」本当にすいませんでしたぁ!マジで勘弁してください!」

 

『イクスティンクション・レイ』はもう喰らいたくない!しかも本気の殺意をぶつけながらだぞ!

 

「ハヤト、お前凄いな。よくセリカ相手にそんな悪口言えるよな。」

 

「俺、思ったことは口に出ちゃうタイプだからな!テヘェ☆」

 

「『雷精よ』。」

 

ギャァァァァ!!しーびーれーるー!?セリカ、今なんで『ショック・ボルト』を撃ったし!?

 

『ショック・ボルト』は微弱な電気を飛ばして対象を麻痺させる殺傷力のない黒魔術だばばばばぁ!?

 

「いやなんか『ムカついた』から。『ムカついた』から。」

 

「呪文改変までして『ショック・ボルト』を放つんじゃねえよ!理不尽だぁぁぁぁ!」

 

******

 

アルザーノ帝国魔術学院

 

およそ四百年前、アルザーノ帝国が時の女王アリシア三世の提唱により、巨額の国費を投じて設立した国営の魔術師育成専門学校。

 

常に最先端の魔術を学べる最高峰の学び舎で、魔術を学ぶ者にとっては憧れの聖地とも呼ばれている名門校である。

 

ちなみに、俺もグレンもここのアルザーノの出身だ。

 

「はぁ、ついに来ちまったな。嫌だなー、早く帰りたいなー。」

 

俺は講師を受け持つクラスの教室内の教壇の上に立っている。生徒からの視線がキツイなー、特に銀髪の子と紫髪の子の視線がキツイなー。

 

「先生、来たなら授業を早く始めてください。」

 

銀髪の子が不機嫌そうな表情をしながら言ってきた。はぁ、銀髪は真面目ちゃんなのか。

 

「まあ待てよ。俺以外にもう一人講師が来るからな。そろそろだと「悪い悪い、遅れたわ。」来たか。」

 

教室の前方の扉が開き、入ってきたのは服がシワシワのヨレヨレ状態になっているグレンだった。いや何してたのお前?

 

「やっと来たわね!ちょっと貴方、一体どういうことなの!?貴方にはこの学園の講師としての自覚は……。」

 

銀髪の子が声を荒げながらグレンに対して説教しようとした瞬間、何か口をパクパクさせながら体を震わせていた。何々お知り合いなのあんたら?

 

「あ、あ、貴方はッ!?」

 

「…………違います、人違いです。俺はお前みたいな銀髪なんて知りません。『ゲイル・ブロウ』を撃ってきたなんて知りません。」

 

おもくそ知ってんじゃねえかグレン。えっと、グレンの服装と銀髪の態度から見るに、グレンが銀髪に変なことをして『ゲイル・ブロウ』を喰らって噴水か何かに落とされたんだろどうせ。

 

「人違いなわけないでしょう!?貴方みたいな男がそういてたまるものですかっ!?」

 

銀髪はズビシィ!という効果音が付く勢いでグレンに向けて指を指したな。

 

「こらこら、お嬢さん。人に指を指しちゃいけませんってご両親に習わなかったかい?」

 

「まあ待てよグレン。あの銀髪の年頃なら反抗期真っ盛りだから両親の言うことなんて聞いていないだろ。」

 

「そこの貴方もうるさいわよ!」

 

「ねぇシスティ、講師のお二人はシスティの知り合い?」

 

銀髪の隣に座っている金髪ポニーテールの子が不思議そうな表情で銀髪に話し掛けているな。

 

「知り合いじゃないわよ!?今朝会った変態よ!もう一人に関しては今初めて知り合ったわよ!」

 

よく喋るねぇ銀髪、ツッコミの天才かな?

 

「ていうか、貴方、なんでこんなに派手に遅刻してるの?あの状況からどうやったら遅刻できるの!?」

 

「そんなの、遅刻だと思って切羽詰まていた矢先、時間にはまだ余裕があることがわかってほっとして、ちょっと公園で休んでいたら本格的な居眠りになったからに決まっているだろう?」

 

なんか想像以上に、ダメな理由だなおい。俺も遅刻してくれば良かったか。

 

「ということで、今日からこのクラスの担任になることになったグレン=レーダスでーす。」

 

「同じく、担任のハヤトでーす。」

 

俺とグレンは黒板に自分の名前をチョークで書きながら話すが、返事は何にも帰ってこなかった。

 

『……。』

 

あれ?無反応?俺泣いちゃうぞ?泣きわめくぞ?

 

「んじゃ、早速授業していくかぁ。面倒くさいけど、仕事だしなぁ。」

 

そう言いグレンは教科書を開いた後、すぐに閉じた。どしたんだ?

 

「ハヤト、黒板にでっかく自習って書いてくんない?」

 

「了~解。」

 

自習っと、書き終わって生徒達を見ると皆ポカーンとしていた。打ち合わせでもしたの君達? 

 

「え?じしゅ、え?じしゅう?えっ!?」

 

「一時限目は自習にしまーす。理由?俺が眠いから、んじゃお休み……。」

 

グレンは生徒達に向けてそう言った後、教卓に突っ伏してイビキをかきながら寝始めた。

 

「ハ、ハヤト先生!そこで寝ている変態を起こしてください!」

 

「面倒なんで却下しまーす。じゃ、俺も寝るから終わったら起こしてねー。」

 

「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

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