もう一人のロクでなし魔術講師 remaster   作:宗也

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第2話

あの後、一時限目は銀髪の子、確かシスティーナ=フィーベルだったか?そいつに教科書を投げ付けられたから起きて、寝て、また起こされての繰り返しで終わったぞ。

 

「んじゃ二時限目始めま~す。お休み。」

 

グレンは二時限目の開始と共にまた教卓に突っ伏して寝始めた。よく寝るなぁこいつ。

 

「ハヤト先生、そこの変態の代わりに授業をしてください。」

 

フィーベルは俺を睨み付けながらそう言ってきた。はぁ、しゃないからやるか。

 

「俺は副講師なんだけどな。ったく、じゃあ俺が代わりに授業するからな。えーと、ふわぁ、面倒くせえ。」

 

えっと、教科書を開いて……、何だこの教科書?馬鹿なのか?こりゃグレンもやる気失うのも分かるな。

 

「ここはー、こうでー、こうなりまーす。わかったか皆さーん?」

 

適当に教科書の内容を書いていけばいいだろ。字なんか汚くても別に読めるだろうし。

 

「全然生き生きしていないねハヤト先生。私あんな人始めて見たよシスティ。」

 

生徒達が何やら呆れた感じで見てるけど気にしなーい気にしなーい。あと金髪ポニーテール、確かルミア=ティンジェルだったか?生き生きしていない奴なんてたくさんいるからな。

 

「えーと、こうでー、こうなるぞー。ここはテストで多分出されるからなー?」

 

文字の大きさは適当でいいや。何となくわかればいいだろ。

 

「字が汚くて全然読めない……。」

 

「システィーナさん、とりあえず1発殴っておけばいいんじゃないかしら?」

 

何か物騒な事聞こえたぞ?俺を殴っておぶへぇ!フィーベルの野郎め。

 

「ハヤト先生、真面目に授業をしてください。」

 

痛てえな、後頭部に教科書をぶつけられたか。これでも真面目にやってるつーの。

 

「で、多分きっと、こんな感じになりまーす。わかったかー?」

 

「さっきとなんら変わりないじゃない。もう一回ぶん殴ろうかしら?」

 

何やらフィーベルが唸ってるな。何だ?トイレに行きたいのか?

 

「はぁー、おいグレン起きろよ。」

 

お前だけぐーすか寝てるなんてズルいぞ!こっちは面倒くさい授業をしてるってのによ。

 

「あのーハヤト先生、質問よろしいでしょうか?」

 

「どしたん?」

 

茶髪の眼鏡の子、リン=ティティスが手を挙げてきたな。何だ?指摘か?

 

「さっきのルーン語の事なんですけど、黒板に書いてくれた翻訳がいまいち分からなくて。」

 

「ふーん、ほーん、へぇー、俺もわかんね。グレンはどうだ?」

 

俺はグレンを叩き起こして黒板に書いたルーン語を見せる。あっ、こりゃグレンも分かってねえな。

 

「俺もわかんねーな。すまんな、自分で調べてくれ。」

 

「もしくは、ググってくれ。」

 

サムズアップしながらティティスにそう答えると泣きそうな表情で俺達を見詰めてきた。泣いたって結果は変わらねえぞ?

 

「待ってください!!」

 

フィーベルが椅子から立ち上がってさっきよりも数倍怒った表情で俺達に向けて指を指してきた。なんなんだいったい?

 

「どした銀髪?トイレか?」

 

「私にはシスティーナという名前があります!リンに対しての貴方達のその態度、講師としてどうなんですか!?」

 

「んなこと言われてもな、わからねえもんはわからねえし、なあグレン?」

 

「ハヤトの言う通りだ。本当にわからねえんだよ。」

 

こいつら、自分で調べる方法も分からねえのか?

 

「ひょっとしてお前ら?辞書の引き型も分からねえのか?だったら調べられね『キーンコーンカーンコーン。』二時限目はここまでー♪」

 

チャイムが鳴った瞬間にグレンがスキップしながら教室の扉を開けて出ていった。あいつ、逃げやがったな!

 

「じゃ、次回までに辞書の使い方を学んでおけよ、じゃあなー。」

 

これであの空間から逃げられるぜ!ヒャッハー!

 

******

 

「ったく、講師は面倒くせえなぁ!何で好きでもない事に関して教えなきゃならねえんだよ。そう思うだろハヤト?」

 

「グレンの言う通りだな。あーあ、早く辞めて自由に過ごしたいなぁ。」

 

俺とグレンは愚痴をこぼしながら廊下を歩いている。次は錬金術の授業だから移動をしているってわけだ。

 

「特にあのフィーベルという銀髪、面倒くさいなぁ。説教が好きなんだろうな。」

 

「それは言えてるなハヤト、あーあ、本当に講師って面倒くせえなぁ!!」

 

そう言いグレンは何処かのドアを蹴り開ける。ここって何の部屋だっけ?記憶が正しければ更衣室だった気が。

 

「何で錬金術っては着替える必要が……あっ。」

 

「どうしたグレン……おっ。」

 

これは、あれだな、女の子が着替えている所に出くわしたというベタなパターンだな。数年前はここは男子更衣室だったはずだけど。

 

「ちょっと!!」

 

「「あー待て待て。俺は常日頃こんなお約束展開について物申したいことがある!!」」

 

ちなみに目は瞑ってるぞ、でも、心の目で女子達を見ればいい!ウヒョ、見える!見えるぞ俺の理想郷が!

 

「何で慌てて目を背けたり、手を引っ込めようとしたりすんだろうってな。」

 

うんうん、グレンの言う通りだ!ティンジェルは予想通りスタイル抜群、それ以外の子もスタイルいい!こんなレベルの高い女の子の着替えを覗けるなんて、いい時代になったもんだな!

 

「たかが女の裸をちらっと見るのとボコられるのが等価交換だなんて、割に合わねえだろって。」

 

「だから俺は!!この光景を目に焼き付けるんだぁぁぁ!!」

 

目を開けてこの光景を脳内と心に刻み込もうとした瞬間に紫髪の子からヤクザパンチを顔面に喰らっちまった。見た目に反してやることえげつねぇな……。

 

「おいハヤト!?お前の死は無駄にはしないからな!お前が死んでる間に俺もこの光景を目に焼き付けてやダァァァス!!」

 

こ、このクラスの女の子はいいパンチを持ってやがるぜ、ガクッ。

 

「貴方達それでも講師なんですか!?」

 

「「そうだぜ、非常勤だけどな、ガクッ。」」

 

*******

 

さて、無事に?午前の授業が終わって今は昼休みの時間だ、そういえばこの学院の食堂の飯って旨かったはず、今から楽しみだぜ。

 

「えっと、パンと麻婆豆腐と若鶏の唐揚げと海鮮サラダとキルアの豆の炒め物と牛乳をお願いします。あっ、全部大盛で。」

 

よく食うなってか?俺は旨い物はたらふく食べたい主義なんだよ。

 

「おっ!きたきた。さて、空いている席は何処かなっと。」

 

あそこの窓際の席空いてそうだな。丁度一席空いたしあそこにするか。

 

『あっ。』

 

料理をテーブルに置いて席に座って顔を見上げたらフィーベルとティンジェルと紫髪の子、確かテレサ=レイディだったはず、がいた。隣はグレンか。

 

「ああ貴方もさっきの今でよく私達の前に顔を出せたわね!?」

 

「ありゃ事故だよ事故。数年前まであそこが男子更衣室だったんだぜ?なあグレン?」

 

「ハヤトの言う通りだ。細かい所は気にしない気にしない。」

 

俺とグレンがそう言うとフィーベルは納得してませんオーラ全開でスコーンを食べ始めた。ってか昼食スコーンだけかよ。

 

「だったら謝罪とかはないんですか?普通しますよね?」

 

「「あぁ、うめぇ、やっぱりいいよなぁ、ここの飯は……。」」

 

「露骨に無視してんじゃないわよ!」

 

そうカリカリしなさんなって、昼食くらい楽しく過ごそうぜフィーベル?

 

「何言っても無駄ねルミア。」

 

一連のやりとりを見ていたレイディが呆れながら紅茶を飲んで、ティンジェルは苦笑いを浮かべていた。

 

「あはは、そういえばグレン先生もハヤト先生もたくさん食べますね。食べるのがお好きなんですか?」

 

「おお、食べることは俺の数少ない娯楽の一つだからな。なるべく食べれるだけ食べたいんだよ。」

 

「グレンの言うことも一理あるけど、俺はただ単純にこれくらい食べないと持たないからな。」

 

フィーベルみたくスコーンだけっていうのは絶対無理だな。

 

「あれ?ハヤト先生、その豆何でしょうか?」

 

「テレサも気になる?実は私も気になってたの。凄く美味しそうだよね。」

 

キルアの豆の炒め物を食べている時にレイディとティンジェルが興味深そうに今食ってる料理を見始めた。

 

「おっ、わかるか?この時期学園にキルア豆の新豆が届くんだよ。食べるなら今が旬ってわけ。」

 

「そうなんですか?それじゃあ、今度食べてみますね。」

 

「おう、マジおすすめ。なんなら、今一口食ってみるか?俺もハヤトと同じ料理を食べているからな。」

 

珍しいな、グレンが自分の食ってる料理を人に分けるなんて。いつもなら相手をおちょくってから一気に料理を口にかきこむんだが。 

 

「いいんですかグレン先生?私と関節キスになっちゃいますよ?」

 

「ふん、ガキじゃあるまいし。そんなんで一々狼狽えたりしねぇよ。ほれ。」

 

グレンがティンジェルにキルア豆の炒め物を乗せてある皿を渡す。ティンジェルはそれにスプーンを入れて嬉しそうに頬張る。

 

「んっ?レイディお前も食いたいのか?」

 

「食べてみたいですけど、またの機会にします。」

 

とレイディは口では言ってるけど、チラチラとキルア豆の炒め物の料理を見てるんだよな。

 

「子供が遠慮すんな、ほらよ。」

 

スプーンで一口サイズ程の量を掬ってレイディの前にある皿に乗せる。食い物は食いたい時に食うのが一番いいんだぞ?

 

「……ありがとうございます。」

 

若干顔を赤くしたレイディが乗せられた料理をスプーンで掬って口に入れたな。間接キス?気にしねえよ。

 

「ところでよ、そっちの銀髪はそんなんで足りるのか?食べなさすぎだろ、シスコンティ君?」

 

「システィーナです!私はあんまり食べると眠たくなるので、お昼は軽く済ませているんです。」

 

だからと言ってねぇ、そんなんだから成長するところも成長しねぇんじゃねえの?

 

「って痛!?おいレイディ、何で俺の右手を叩いた?」

 

「ハヤト先生?女性は男性の視線に敏感なんですよ?」

 

エスパーかよ。俺は別に女の子の視線は気にならないけどな。

 

「もっとも、この後先生の授業だったら、もう少し食べてもいいと思いますけど。」

 

「回りくどいな、俺に言いたいことがあるならハッキリ言えばどうだ?」

 

グレンの声が若干低くなったな。それに対してフィーベルも若干怯えたけど、すぐに表情を元に戻した。

 

「分かりました。ならハッキリと言わせて貰います。貴方は講師として「フッ、いやいい、皆まで言うな。」はい?」

 

……多分グレンの奴、フィーベルの言いたいことが分かってねえんだろうな。

 

「ほら、お前にも一口やるよ。まったく、食いたきゃ食いたいって言えよな。嫌しんぼめ!」

 

「ち・が・い・ま・す!!」

 

「その代わりに残りのスコーン貰うからな。」

 

グレンはひょいっとフィーベルの前にあったスコーンにフォークを指して口の中に放り込んだ。なんかジャムとかかけろよ。

 

「あ!ちょっと何しているんですか!?」

 

「何って?等価交換だよ。俺の料理あげたんだからお前の料理をもら「何処が等価なんですか!?」あっ、おい待て暴力反対!」

 

言い争った後、グレンとフィーベルはフォークとスコーンでチャンバラし始めた。仲がいいねぇお二人さん。

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