えっとねー、何話そっかな〜!あ、そうだ!この前未来がね!■■さんの料理を再現してくれたんだ!未来なりのアレンジも入ってて…(以下省略)
は!?なに!?きゃ、キャロルちゃん!?早く進めろ!?はあい!分かりましたぁ!
では、第6話!どうぞ!
なにやら今回は後書きに…え、言っちゃダメなの!?
「久しぶりだね。錬金術師たち。」
開口一番、その人は私たちに突撃してきた。周りには取り巻きなのだろうか、ローブを着て表情を隠した人たちもいる。誰なのだろうか。そんな疑問を抱いて、私は男性と
「また…お前か!アダム!」
「ああ、私だよ、イザーク!」
この人は…まぁ昔イザークさんと
今だってイザークさんと2人で殴りあって…あ、またイザークさんが勝った。だいたいイザークさんがカウンターであの人を沈めるまでがワンセット。
「ぐ、また負けた…」
「いや、いい加減に学ぼうよ。」
風の錬金術で身体能力の補助をしてるイザークさんに生身で勝てるはずがないでしょ…あの人も学ばないなぁ。まぁ一通り殴りあったあとは相変わらず
「決めてくれたかな、君たちも。」
「「「嫌です」」」
「…だ、そうだが。」
「どうしてなんだ!」
いや、明らかに変なファッションの人がトップの組織とか入りたくないよ。誰が入るのさ…って、そうか。周りの人達はそういう人たちか。納得。
私とキャロル、サンジェにお断り3タテされた男性…アダムさん?はがっくりと膝を着いた。そのまま両手も着いてOTZみたいな格好になってしまう。それ、白の服でやっていいの?
しばらくそのまま俯いていた(なんか光るものが落ちていたような気がする)けど、私は見なかったことにしてキャロルとサンジェの前に立つ。不審者から妹たちを守るのが姉の仕事です。
「諦めるとするよ、今日のところはね。」
「いや、だからさっさと諦めてくれよ」
「では、また。」
そう言うとアダムさんは歩き去っていった。途中でチラチラとこちらを振り返るその姿は、欲しかったものを買えなかった子供のようだった。
「…行こっか。」
「うん」
定期的に、2ヶ月に一回ぐらいの割合でアダムさんはやってくる。その度に私たちを勧誘してはイザークさんと殴りあって、また去っていく。何がしたいのか全く分からない。
首を捻りながら村を出て、私たちは少し大きな街に入った。どこなんだろうか、周りを城壁に囲まれた街だ。
「あーしは何も貰ってないわよ!?」
「お前も騙されたワケダ。」
「…姉さんたち、ちょっと、私だけ別行動しても?」
サンジェがそんなこと言うなんて珍しい。内心疑問に思うけれど、可愛い妹のお願いだ。聞いてあげるのもお姉ちゃんの役目。そう思っていた。
「…というわけで、拾ってしまった。」
「カリオストロでーす!」
「プレラーティ。」
「「「なんで?」」」
人って、犬猫みたいにぽんぽん拾うものだったっけ。
●
「…キョウカ姉、いつの間に火以外の錬金術も覚えたの?」
「え、イザークさんにちょろっと習っただけだけど?」
「それにしては、随分使い慣れているように見える。」
「あーしさ、才能あるって思ったのよね…」
「ふむ、これが天賦の才能、というワケダ。」
カリオストロとプレラーティを拾ってから、私の錬金術はますます上達していった。具体的には火以外にもある程度は使えるようになった。嬉しい。キャロルには及ばないけどね。
それにサンジェたち3人も錬金術を学び始めたから、イザークさんの弟子は私たち全員で5人。時々、弟子入りしたいという人もやってくるけどその度に私たちが『試験』をしている。今まで合格した人はいない。みんなキャロルの事をイザークさんだと思ってる。
だから結局誰も弟子入りは適わない。そうした人達はどこかの秘密結社に加入して錬金術を学んでいるとか。人伝に聞いた話だと、彼らはまだ基礎の基礎。私が初めて錬金術を使ったあのレベルまで至るために頑張っているのだとか。そういえば、イザークさんって錬金術師の第一人者なんだよね。そりゃ指導も分かりやすいわけだよ…
そんなわけで私たちの家族6人は、秘密結社には加入することなく、日々お互いに研鑽を積みながら独自に錬金術についての研究を進めていった。もちろん、イザークさんも。
「あの、父さん。」
「ん?サンジェか。どうしたんだい?」
「なぜ見た目に一切変化が無いんですか?」
「それはね、錬金術だよ。」
「錬金術。」
最近パパが歳を取らないなぁと。ふとキャロルが零したその一言で私たち女性陣は目を光らせた。確かに私たちはまだ若い。
「錬金術って言ったね。」
「言ったね。」
「言ったわね。」
「確かに聞こえたワケダ。」
街の宿屋での出来事。サンジェと話すイザークさんの声を聞き取ろうと、私たちはこっそり物陰から会話を盗み聞きしていた。味わい深い表情をしたサンジェ。一体どんな答えが返ってきたの…!?
「それは、どんな手段で…」
「ははは、秘密だよ。」
うぬ、また表情が変わった!今度は悔しそう!?何の話してるの!うーん気になる!そう思ったのは私だけじゃないらしい。私、キャロル、カリオストロ、プレラーティの順番で積み上がった塔の下側。私以外の3人がさらに身を乗り出して…転んだ。
「あっ」
「…うん?」
「「「あっ」」」
「はぁ…」
このあと、しっかり怒られた。(聞くなら全員で聞きに来い、という内容だったからまだマシかな。)でもキャロルだけは相変わらず錬金術の特訓を泣きながら受けていた。
///
「…家を、作ろう。」
「「「「「え?」」」」」
「だから、家。皆が住めるような大きな家。」
ところ変わって、次の街へ向かうまでの野宿にて、私の発言。どうやら私の意図は伝わっていないらしい。だから、もう少し分かりやすく説明する。私が言いたいことを。
「今までは旅の錬金術師だったじゃない。でもそこまで余裕があるわけじゃないし、それならいっそ移動式の拠点でも作ってしまえばいいんじゃないかなって思ったの。最近、なんか錬金術師たちが襲撃してくることも増えたしさ。」
自分で言ってて、さっきの発言は短絡的すぎたなと後悔。でも反省はしない。要点を最初に言うのは大事だもんね。私は学んだのです。
「だから、家。どう?錬金術を使うためのバックアップとして使えるようなシステムを組み込んでしまえば思い出の焼却なんて考えなくてもいいし。」
「…確かに、一理ある。」
「だったら…」
イザークさんは腕組みをしながら唸るようにそう言った。その言葉に目を輝かせる私だったけれど、現実は甘くなかった。
「素材は?理論は?場所は?そこまで考えてからようやくそのプランは完成するんだ。まだまだ非現実的な物に変わりはないんだよ、キョウカ。」
「はぁい…」
そう指摘されて私は肩を落とす。確かにその通りだ。言うだけ言ってみたけど、確かに私のアイデアは机上の空論どころか脳内の希望論。プランも何もあったものじゃない。
なかなか良いアイデアだと思ったのになぁ…無念。仕方ないけど諦めて、今の旅する錬金術師を続けるしかないのね…るーるー歌いながら私は膝を抱えて座り込む。
「いいや、まだ希望はある。」
「ああ。諦めないで、上姉さん。」
キャロルとサンジェが私の前に立つ。キャロルは、その手に何かを握りしめてイザークの目を見据える。サンジェは、私に何かを差し出して私の頭を上げさせる。
「パパ、
「上姉さん、顔を上げて。」
「「これが、聖遺物。」」
「私のものは、ダウルダブラ。」
「私のは…この辺りで見つけたから分からない。」
キャロルもサンジェも、その手には何かの欠片を持っていたらしい。以前2人が挙動不審だったのはこれのせいか。私はカリオストロとプレラーティに引っ張られて身なりを整えられる。
「はい、汚れ落としまーす!」
「濡らしすぎ、なワケダ。」
慣れた手つきでカリオストロは私の汚れた場所を水ですすいでいく。びしょ濡れになった私は、カリオストロとプレラーティの使う火と風の錬金術の合わせ技で乾かされる。こんなに成長してたのね、2人とも。
「上姉さん、私の聖遺物は、正体が分からないんだ。近くの寺院に安置されていたのだけど、そこから盗まれてたらしくて。そのまま貰ってきちゃった。」
「ねぇ返してきて?それ立派な犯罪だよ?」
「パパ。私のこの聖遺物を使って『ある物』を作りたいの。」
「ある物。…それは、何かに利用ができるのかな?」
「
私の知らないところでどんどん話が進んでいく。私だけが置いていかれているような気がしたし、隣にいる2人に聞いてみた。
「もしかして、2人も…」
「もっちろーん☆」
「むしろ協力者なワケダ。」
やっぱりか。何も知らなかったのは私だけ。いつの間にこんな計画を練っていたのか。まさか、私はいらない子…?
「そうじゃないよ。キョウカ姉の考えなんてとっくにお見通しだったの。ちょくちょく口から漏れてたし。」
「え!?ほんとに!?」
「あーしの前で『家が…家が欲しい…』とか呟き始めた時には壊れたかと思ったわよ?」
「そんな…完全に無意識だった…」
「ま、みんな分かってたワケダな。」
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
渾身のアイデアが!まさか自分でバラしていたとは!キョウカ・マールス・ディーンハイム!一生の不覚!
///
ずーん…と口で呟きながら木に寄りかかって三角座りする上姉さん。あの人はしっかり者なんだけど、こういうアドリブ的な場面にはめっぽう弱い。模擬戦でも不意打ちを使えばほぼ確実に勝てる。そもそも不意打ちができないのだけれど。
姉さんは、ダウルダブラの欠片を握りしめながら父さんの説得を続けている。上姉さんの独り言は父さんだって聞いていたはず…なのにどうして反対するのだろう。
「キャロル。私は反対しようというわけじゃない。だけど、仮にキョウカの言うような『家』を作ると決めた時。私たちはその場所に留まることになるんだ。きっと、アダムはやってくる。」
「分かってるよ。」
「私に弟子入りしたいという者が多く訪れるだろう。もしかすると、いつかのように襲撃してくるかもしれない。」
「分かってる。」
「それでも、良いのか?」
姉さんは深呼吸を一つ。目を閉じて暫く何かを考えた後に、勢いよく目を見開き腰に手を当てた。
「分かってるよ!そのための対策はキョウカがしっかり立ててるもん!その為にも、私たちみんなで協力しないといけないの!」
「キャロル…」
「だから、手伝ってよ、パパ。私の、私たちの家を作るために。」
そうだ。姉さんは…上姉さんの事を妙に信頼していたんだった。いや、妙に、というのは間違っている。絶大な信頼を置いている、と言うのが正しいし、私たちにしてもそうだ。
「いいもん…どうせ私なんか隠し事できない…ブツブツ」
…少し、少しだけ拗ねるとめんどくさ…立ち直るのに時間こそかかるけど、野垂れ死ぬところだった私を拾ってくれたし、カリオストロとプレラーティだって受け入れてくれたんだ。
いつも、太陽みたいな笑顔で。なんでもそつなくこなして、錬金術だって私たちの遥か上を行ってて。それでも貴方は私たちに視線を合わせてくれる。分からなければ教えてくれる。困っていれば助けてくれる。
『家族を助けるのに、理由はいらないよ。』
そうやって笑いながら、手を差し伸べてくれる。まだ断片的にしか話してくれていない、姉さんと父さんの話だって、きっと上姉さんが関わっているのだろう。
「…父さん、私からも、お願いしてもいいかな。」
「サンジェ。」
気付けば、身体が動いていた。
「上姉さんはきっと、何も考えてないわけじゃない。生まれてから一緒でもなんでもないけど、それでも。キョウカ姉さんは、みんなの事を思ってるはずなんだ。」
だから。
「私も、みんなと一緒に住めるような大きな家が、欲しい。」
父さんはただ黙っている。当然だ。渋っていることを無理やり変えさせるのは難しいのだから。
「あーしからも、お願いしてもいいかしら?」
「…先生。私は…ああ、いや、私からも。」
ずっと上姉さんの横で慰めていたはずの2人まで。
詐欺師に騙されて、そのまま捨てられていた2人。私が拾ってからも疑心暗鬼は抜けなかったのに。どうして?
「キョウカはね、悪い人じゃないのよ。」
「だから私たちのような訳ありを受け入れられるワケダな。」
上姉さんは、どうやら冷えきった彼女達の心まで溶かしていたようだ。道理で最近、あの2人との距離が近いと思った…
「パパ。」
「父さん。」
「「先生。」」
「…ああもう。仕方ないな。」
諦めたように父さんは両手を上げた。眉を下ろし、笑みを浮かべながら。
「わかった、わかったよ。そろそろこの生活も限界だろうとは思ってたんだ。…よし。直ぐに動こう。」
「「「「やった!」」」」
「やったよ上姉さん!これで…」
「私なんて錬金術もまともに出来ないし…うぅ…」
どうやら、動き出すのはしばらく後になりそうだ。
はろはろ、シェム・ハであるぞ。
今回は珍しく作者がネットで響歌のイメージ画像を作成してみたそうだ。もし良ければ皆もやってみるといい。
【挿絵表示】
…上手くいっておるか?
では次回、第7話。「終わりと始まり」
そろそろ彼奴の出番であるか。