「なにもいない?」
「どういうことですの?
敵はいないしカードもない…
もぬけのカラというやつですわね…」
カード集めの為に林の中で
そこには、静かさ溢れた林の中で待ち構えているであろう敵の姿がなかった。そして今回のフィールドは狭く、天井も低くなっていた。
「場所を間違えたとか?」
「まさか…それはないわ。
もともと鏡面界は単なる世界の境界…
空間的には存在しないものなの。
それがこうして存在している以上
必ずどこかに
「なるほどね、じゃあキャスターの時のように
待ち伏せされてるかもしれない?」
「…そうね、その可能性が高いわ。油断しないで周りをよく見て」
全員は四方を警戒しながら歩くが
生い茂る木々により視界を遮っているので
索敵効果は薄い
「歩いて探すしかないかな…」
『んーむ、なんとも地味な…』
飛行して探索するとかあるかもしれないが
敵が潜伏している事が分かっている状況で
視界の開けたところに立つなど、
狙撃してくれと言っているようなものである
『もっとこう、魔法少女らしく。ド派手に魔力砲をぶっ放しまくって一面焦土に変えるくらいのリリカルな探索法をですね』
「それは探索じゃなくて破壊だよ…」
ルビーは魔法少女というものをなんだと思っているのか時々不思議に思う。
モワッとくるような鈍い危機感を覚えた。
「?どうしたのニクス」
「…なんか…」
感とは言っても危険・安全ぐらいの単純な事とその強弱しかわからない。
ので何が起こるとかよくわからないのである。
説明が出来なかったので
「う〜ん…特に何かがあったわけじゃないんだけど…」
「よくわかんないけど。行こうよ置いてかれちゃうよ?」
少し遅れていたらしく、凛さん達の後を追う。
不意にイリヤの見た。
そして仁久須の視界の端から
小さな黒い物体がイリヤの首、目掛けて飛んできた
「イリヤ⁉︎チッ!」
「え……」
反射的に翼でイリヤを庇うことで
イリヤにはその攻撃は届かなかった。
そうイリヤには
「ニクス…それ…わたしを…」
泣きそうな声で心配してくる
「大丈夫だよイリヤ」
翼に刺さった短剣の持ち手を咥えて引き抜く
血は流れるがいずれ再生する。これぐらい放置でいい
「奇襲⁉︎」
「チッ!敵の位置は不明…!」
「方陣を組むわ!全方位を警戒!」
異変に気づいた3人が駆け寄って状況を把握し
全員で背中合わせに警戒、死角をなくしてどんな角度からの攻撃にも対処できる陣形を作った…
「不意打ちとはナメた真似をしてくれますわね!」
「攻撃されるまで全く気配を感じなかったわ!その上で完全に急所狙い…!気を抜かないで!ヘタすれば即死よ!」
(死…)
ただその陣形は無意味だった
姿に違いはあれど全身黒タイツの覆面を人が大量に現れ僕たちの周りを包囲されいた。
「嘘でしょう…⁉︎完全に包囲されてますわ‼︎」
「なんてインチキ…!英霊の軍勢なんて敵いっこないわよ!」
敵はそれぞれの得物を構える
まずい…仕留める気だ…
「包囲を突破するわ‼︎火力を一点集中!!!
全員立ち止まらないで!的にされるわよ」
「「はい!」」
イリヤ達は撤退しようと駆け出す
それに続くように仁久須も走り出したが数歩で
唐突に倦怠感や身体の痺れの際で倒れて動けなくなってしまった
十中八九原因は…
「ニクス⁉︎……ダメ‼︎」
凛さん達と撤退の為に走り出したら、すぐに何かが倒れる音がした。
振り返るとニクスが倒れていた。
何かが原因で倒れてしまったんだと思う…
ううん、わたしを庇った時に受けた攻撃のせいだ…
この時イリヤは思い出した…
ライダー戦の時仁久須を見捨てそうになったことを…
あの時は死に関してそこまで実感なかった…
だが今は違う、死に関して実感を持ってしまっている。
そして今度こそ見捨てたくないという意思で
イリヤは仁久須の元に駆け寄って抱き抱えて逃げようとする。
唯その隙を狙わない暗殺者はいない。
イリヤと仁久須に一斉に投擲される短剣
ただ一つ最初の一手で遅れをとった。
たったそれだけで死んじゃう
わたしもニクスも
どうすれば…どうすればよかったのかな…
あれ?
そういえばルビーがなんか言ってなかったっけ…?
『ド派手に魔力砲をぶっ放しまくって一面焦土に…』
そっか…それなら簡単だ
カチンとまたわたしの中で外れる音がした
そしてイリヤの身体から光が溢れて
イリヤの中の魔力が爆発した
その爆発の威力で投擲された短剣はおろか敵、諸共消滅させカードになった。
周りはイリヤを中心にクレーターが出来ている。
美遊が咄嗟に障壁を張ったお陰で遠坂凛達は負傷はしたが命には支障はなかった。
でも
そんな威力の爆発を至近距離でまともに受けた人がいる。
仁久須だ。
ルビーの障壁により多少威力は軽減されているだろう、
イリヤの周りだけ、周りと比べて地面が残っている。
だが仁久須は生身の身体である。
いくら身体の一部を不死鳥の身体にしたとしても
生物として英霊に比べたら脆いのだ…
「ニクス…なに寝てるの…ねぇ…ねぇ…起きてよ…」
イリヤは目を覚まさずイリヤの腕に力なく寄りかかっている仁久須を揺らして起こそうとしている。
『…イリヤさん…』
ルビーはそれ以上かける言葉がなかった。
ルビーはわかっていたのだ。
いやルビーに限らずその場のみんなはわかっていた。
イリヤだって仁久須に何が起きたかはわかっている。
でもイリヤは受け入れる事ができない、認識を拒否していた。
そして…仁久須の身体が
ファサ
と音を立てて灰になった。