「いやぁーーっ⁉︎なんでーー⁉︎おろしてーー‼︎」
イリヤは蓑虫のように吊るされて、ぶらんぶらんと暴れている
「ふっ…完璧ね!」
『そうでしょうか…』
遠坂凛たちは近くの茂みから潜んでいる
なぜこんな不思議なことをしているのか
それは……
「というわけで…作戦会議よ!」
数時間前のルヴィアの豪邸で作戦会議をする。しかし
「美遊も紅茶の淹れ方がわかってきたようですわね。今日のはなかなかですわ」
「ありがとうございます」
「僕ってそんなに無防備なのかな?」
「…さ、さあ?わたしもヨクワカラナイヨ?」
ルヴィアは美遊の紅茶の品評しその評価を聞く美遊
ルビーとイリヤは遠坂凛のメイド服姿への解説
そしてニクスは褐色イリヤに言われたことについて考える
『身近の狼に食べられちゃうわよ♪』
身近の狼…狼…そういえば昔、母さんがイリヤに…
『ちゃんと気をつけるのよ?男の子はみんな狼なんだから?』
『え、ママ。じゃあ、ニクスと
『ん〜〜そうねーニクスはまだかもしれないけど…シロウは、どうかしらね?』
過去の記憶が木霊する
『お兄ちゃんも狼なの?』
『シロウは、どうかしらね?』
まさか……狼って、兄さーー
バンバン!
「ちゃんと聞けー!」
「ッ!びっくりした…」
凛さんが教卓を叩く音で肩がビクッとなり、思考がかき消された
「悠長に構えてられないわよルヴィア!
「……わかってますわ」
ルヴィアさんも真面目な表情になり、やっと会議が始まる
「で、差し当たっての問題は黒イリヤの目的がイリヤの命…でも危機的状況なのに当のイリヤは弱体化してる……と」
「う〜〜〜…」
「身体的な異常は一切なくて、ただ魔力容量と出力が下がるなんて…」
黒イリヤの出現と関係ある…と見るのが自然ね。イリヤたちとの戦闘時に何か知ってるような素振りだったらしいし…やっぱりこの子にも何かある?仁久須とは違って本人も知らない何かが…
まじまじと自分の手をみているイリヤを見ながら考察を繰り広げる
いやーー今は情報が足りなすぎるわ、ここは…
「作戦を決めましょう。現状の情報だけで考えも答えは出ないわ。かといって事態の放置・引き伸ばしも無意味よ。イリヤの命が狙われている以上やることはひとつ……黒イリヤを捕獲する!」
一同、これには納得する
「それじゃあ、あれだね。
みんなでアイツをボコボコにして弱らせて、罠に嵌めて麻酔玉で捕獲するんだね!」
「イリヤ…多分それ、違う…」
何をいってるのかしら…この子は
「情報の少ないけどヤツの目的はわかってるわ!」
イリヤをみてその作戦を宣言する
「で……これが作戦って…」
囮になって吊るされているイリヤは暴れ疲れてガックリとしている
「ヤツの狙いがイリヤならたとえ罠とわかってても無視出来ないはず。あと二重トラップという意味で豪華な料理を…」
いや、餌で釣るって、虫捕まえるんじゃないんだから…それは…
自信満々の2人を横目に不安に感じていると枝を踏む音がした。
その方向を視線を向けると褐色イリヤのご登場
ほっ…ほんとにきたーッ⁉︎
褐色イリヤは蛇行しながらイリヤに眼を離さずに徐々に近づく
「バカ!黙ってたら怪しいでしょ!もっと餌らしく抵抗する素振りとか…」
「そうですわ!少しは誘惑や動揺を誘ってごさんなさい!」
特に何のアクションも起こさない2人に遠坂凛とルヴィアは指向性メガホンで指示をする
イリヤが冷や汗を垂らし硬直してしまっているけど…
もしかしたら…これは…いけるのでは…?
「んー、なんかあからさまに罠すぎてリアクション取りづらいわー」
「「ちいぃっバレたか‼︎」」
「「当然です!(だよ!)」」
やっぱりダメでした…
「まぁいっか。いじらしく台本考えてたんでしょう?
乗ってあげるわ!」
罠ではあるのだがイリヤ殺害の絶好の機会である事には変わりないということなので武器を手にし襲い掛かろうとする
「
凛さんは帯で一本釣りをする。
イリヤを拘束していた帯がイリヤを解放し、褐色イリヤを蛇が絡みつくように拘束する。
ただそれだけで済むような相手ではない。
あっさりと短剣で切り裂いて無力化してしまう
「
ルヴィアがつかさず詠唱をし拘束系の魔術を起動
褐色イリヤの足元に魔法陣が浮かび上がり、押しつぶすように重力がのしかかる。
地面に手足をつく体勢になり、動きの妨害はできてるようだが…
「重力系の捕縛陣ね…でもバーサーカーの時のに比べたら、随分と……
無理矢理右手を動かし、魔力の球を創り地面へ叩きつけ、地面の破壊し魔法陣を無力化した。
「地面ごと魔法陣を…」
「イリヤ!」
「とりあえず今の全力の…散弾‼︎」
上空から散弾を褐色イリヤの周りに放ち土煙を舞い上がらせる。
「ふむ、散弾で煙幕か〜ということは当然……」
煙幕により視界が阻まれていたはずの褐色イリヤは背後からの美遊の不意打ちを読み避ける
「不意打ちに、
「くっ」
美遊の奇襲を躱し、その手を掴み関心する褐色イリヤ。
美遊はすぐにキャスターの
「なんなんですのこの対応力は⁉︎」
「ムカつくぐらい完璧に対処されたわね」
黒化英霊とは違い、まるでこちらの手を読まれている気味悪さを一同感じている
ただイリヤに関しては少し異なるようだ
昨日からずっと続いているこの感覚・違和感は……わたしと同じ顔の敵が襲ってくる…これってやっぱり…
「すっごいキモい!」
「キモいとはなんだー‼︎」
「びゃーッ⁉︎」
イリヤの感想に対して、褐色イリヤはブチギレて短剣を投げるがイリヤの側にいた仁久須が短剣を叩き斬る
「あ、ありがとう」
「なによ…イリヤなんて守る価値なんてないのに…」
罪悪感というか何というかよくわからない感情により戦いに積極的にはなれずイリヤの護衛に回っている。
すると、褐色イリヤの前に遠坂凛とルヴィアが立ち塞がりそれぞれ短剣や宝石を構える。が…
「外野はちょっと、引っ込んでて!」
走りながら先程切り裂いた拘束帯を再利用し凛さん達をあっさり拘束してしまった。
「えー!速攻やられてるじゃん!」
『相変わらず使えない人たちですねぇ』
「なら…
イリヤから近づけさせない為に美遊が連射するが駆け抜けながら避けられる
「んー、
褐色イリヤは駆け抜けるのをやめ
「
「とりあえず…ごり押しーー」
その岩を切り抜いたような斧剣を盾とし美遊に突っ込もうとすると斧剣がへし折れたのだ。原因は低空飛行で接近した仁久須が踵おとしでへし折ったのである。
贋作とはいえ宝具を破壊された衝撃は斧剣から伝わり体勢が崩れる。隙を逃さずに仁久須は褐色イリヤの両腕を両脚で掴み押し倒す。
褐色イリヤは地面に大の字に抑え付けられる
「あ、やば…え?」
「お願い……捕まって…」
強靭な脚に拘束され、身の危険を感じたが仁久須を見ると泣きそうな顔で震えた声でお願いされた。
短剣を創り出し投擲。魔力の塊をぶつける。脱出する手段はあるけど…
「はぁ…わかったわ、悔しいけど降参するわ」
そんな顔されたら…戦えないじゃない
「ほ、本当なの?」
「ええ、本当よ、降参するわ。ほら凛、ルヴィア、さっさと拘束したら?」
捕縛帯から脱出した凛さん達が縛り上げられそうな長さの帯を持って近づく
「そうね……でも何か企んでるかもしれないから仁久須、まだ離しちゃダメよ」
「そんなに警戒しなくていいわよ。まあやりようは幾らでもあるけど、そんなことしてないでしょ?……ムフっ押し倒されてるっていうのもなんかいいわね」
「ほぉ〜ん」
「へー」
背後から2つほど黒い視線と凍りつくような声により背筋が凍るような悪寒がし、離そうと思うが
「まだダメよ。あともうちょっとだから」
「我慢しなさいな」
「は、早くしてよ〜」
それから拘束が完了するまでこの味方陣営からの精神攻撃は続いた
投影品の斧剣ってどれくらいの強度なんだろう