まずい、突然の襲撃により凛さんとルヴィアさんが切り倒されて血を流している。
流血もあるが敵との距離が近すぎる
そしてあの敵、絶対的な強者感を醸し出している。
今の仁久須ではとてもだが敵わないだろう
じゃあ、なんだ。それ程の敵を
イリヤと美遊さんが相手をするっていうのか…
魔法少女と化した2人でも勝てるとは思えない。
なら
僕がやるしかない!
覚悟を決めて黒騎士に向かっていく。
後ろでイリヤと美遊さんの静止の声が聞こえるが
もう敵に存在が発見されている。やめる事はできない。
敵は黒い霧のようなものを剣に纏わせて振り抜く
黒い霧のようなものは刃となり、仁久須に向けて放ってきた。
やばいと感じて咄嗟に横に跳び、回避する。
すると地面が豪快に切れている。
受けるより回避の方が絶対良いと判断する。
だが行動に起こす前に敵が剣を振り上げながら突進してきた。
想定よりも圧倒的に速かったため
回避は間に合わないと判断し
両翼をクロスさせて受け止めるが
翼がバキバキとヒビが入り激痛が走る
剣で押し潰すように力を入れ仁久須の身体を地面にどんどん沈ませる
このままでは不味いと感じ敵の剣を地面へ受け流し
その勢いで剣が地面に埋まる、
流れと隙をつき右脚で回し蹴りを横っ腹に入れようとするが敵が馬鹿力で剣を強引に振り抜き右脚を切り飛ばされた。
遠くから悲鳴が聞こえる
脚を切断された血が大量に垂れ流れる、鈍痛に襲われる…
そんな事関係ない、どうせ生えてくる、再生する。
切断されたことにより、貧血によりバランスが崩れ横に倒れてしまう。
敵が追い討ちをかけるように剣を振りかざそう攻撃してきた。
咄嗟に転がって回避でき…ず左の翼の半分を切断された。
意地で起き上がって切断された脚で突き刺そうとするが、
腹部を黒い剣が突き刺さる。
ゴボリと吐血するがちょっといいや…もう剣は使えないだろう
ひび割れていた右翼は再生を終え、まともに使えるようになった
右翼を再強化し、左翼が無くなったことにより、魔力が集中してさらに鋭くなる
敵の左肩から強引に刃を入れ左腕を切断した。
敵の言葉にならない獣のような悲鳴を上げながら片手で仁久須の腹部を貫通していた剣を振り抜き地面に叩きつける。
勢いを殺しきれずゴロゴロと転がり、なにかの前に飛ばされた。
戦いというよりも処刑のような残酷なものを見た
ニクスがあの敵に挑んだときほんの少し希望を抱いた。
もしかしたらニクスがライダーの時みたいに敵を倒すと思っていた。
でも実際は手も足もでずにどんどん傷つけられる。
四肢の二つがもがれ、お腹にあの黒い剣が貫通する。
唯それでもニクスは諦めていなかった。
血を吐き・流し、片翼になった翼を強引に敵に振り下ろし
敵の腕を切断した。
でもその圧倒的な暴力の塊には敵わないかのように剣を振り抜き叩きつけられた。
こちらに転がってきた。
「うぐッ…仁久須さ…ん」
『辛うじて生命反応はあります、ですが…』
「え…」
その悲惨な様子に美遊が口を押させながら安否を確認する
「カハッ…ウグッ…まだ、なのか…」
敵は片腕を失い、血を流してかなりの負傷しているが
それでもまだ動けるらしい。
『動いてはダメです!今生きていることが奇跡みたいなもんなんですから!』
「もうやめてください!
このままじゃあなたは死んでしまいます‼︎」
フラフラになりながら、血だらけになって片足で立ち上がろうとしている。
仁久須はまだ戦うとしている。
やっと傷口から炎が出始めたがとても戦える状態ではない。
敵はこっちに近づいてくる…恨みをこもった目で
殺される…変身していてもあれほどの相手には敵わない。
殺される…わたしもミユさんも。
殺される…倒れているリンさんもルヴィアさんも
殺される…瀕死の身体のニクス、これ以上攻撃されたら死んでしまう
殺される?…なんでニクスが…
いやだ…そんなの…
「いやだ…」
ニクスが死んでしまう…その事による恐怖で…
わたしの中でかちりと何かが外れる音がした。
何が起きたのかよくわからなかった。
ただニクスが殺されるのが怖くて…悲しくて…どうしようもなくて…
ニクスを失いたくない…これ以上傷つけさせない。
その思考しか今のわたしにはなかった。
そして…わたしの記憶はここで途切れる。
「な…なに…?何が起きてるの…」
イリヤから魔力の嵐が、膨大な魔力が噴出している。
美遊は転身している為、風圧には問題なく耐える事はできる
だがまだ再生途中の仁久須にはそれもダメージになってしまう。
美遊は仁久須を庇うように障壁を展開する
「
「えっ…」
「
「
「
「
「
イリヤは壊れたラジカセのように言葉を唱え出した
どうやって?
「どうやって…?
ああーーそういえば
「
『イリヤさん…一体何を…』
イリヤはポケットからアーチャーのクラスカードを取り出し、足元に謎の魔法陣を浮かべる。
「
今までクラスカードの使用方法は
だが今イリヤが行った事は自らを英霊と化している。
意識があるそれぞれは驚愕している。
カードの新たな使用方法やその手段などを
唯先程の膨大な魔力放出と英霊化によって
致命傷を受けた敵は脅威と認識し宝具を使おうとする。
「だめ‼︎逃げてイリヤスフィール‼︎」
『イリヤさん⁉︎不味いですアレは宝具を使用しようと…』
「
美遊とルビーの声に反応せず
短い詠唱と共に右手に魔力を作り出し
敵の持つ剣とは正反対のような美しい聖剣を創り出した
「
正反対の剣から放たれる宝具同士のぶつかり合いは
敵の負傷や黒化による型落ちなどといった要因が重なり
多少の拮抗はあったが敵の宝具ごと敵を消し飛ばし撃破した。
イリヤにはこの時の記憶はなく、それを目撃したのは美遊と仁久須、ルビーとサファイアだけ、この場で何が起こったのか…正しく理解している者はいない。
だが…今回は誰一人死亡者を出す事なく生き延びた。
長い夜は終わった。
今は…それだけでいい。
イリヤの中でカチンと何かが施錠された。