ではどうぞ!
次の日、鬼一は藍と普段より三十分ほど早く教室に来ていた。だが、おかしな点がいくつかあった……。
「全く男が女に勝つとかおかしいよね」
「本当よ、あほらしいわ」
「あの斎藤鬼一だっけ?あんな奴死ねばいいのよ」
いったい何があったというのか。クラスのほとんどの女子が鬼一達に対して敵意のある視線と陰口を言っていたのだ。
二人は訳が分からず、とりあえず本音のところに向かった。
「あ~おはよ~」
相変わらずのマイペースだが、ほかの女子と違い味方でいてくれる可能性が高いと思った藍は聞いた。
「本音、この噂はどういうことだ?なぜ鬼一が敵の認識になっている?」
「あのね~、誰かがきーちょんが邪魔に思ったらしくて~、変な噂を流したみたい~」
「何だ?その噂とは?」
「あのね~、きーちょんが無抵抗の女子に暴力を振るったっていう噂なんだって~」
「何だそれは?私がちゃんと見たいたが、鬼一は何も暴力を振るってないどころか、昨日一回もこぶしを固く握ってないぞ」
だがこの時、藍はわかってしまった。昨日鬼一に絡んできた女子が原因なのではないのかと。確かその女子は女尊男卑に染まっていたはずだ。もしかしたらそいつが流したのかもしれない。藍はそう思っていた。そして鬼一の方を見たら、鬼一の顔は少し青かった。
『藍、もうやだ……。本気で部屋に帰りたい……。こんな空間におるのがきつい……』
『鬼一……』
藍は鬼一の表情をみて本気で焦っていた。この状態では鬼一に何かきっかけがあったら鬼一が壊れてしまう。
藍は本音に真剣な表情で本音に向き合った。
本音はこの時の藍の表情で何かあると悟ったらしく、真剣なニコニコ顔をしていた。
「本音、確か楯無と知り合いだったな?」
「うん~。でも~、なんでお嬢様のこと知ってるの~?」
「あいつとは知り合いだからな。とりあえずこの噂を流した女子に心当たりがあるからこのUSBを渡してくれ。その中に噂を流したと思われる女子の顔写真が写っている」
藍は袖の中に手を入れてUSBメモリを本音に渡した。本音は見た目と反対と言えるほどの速度で走って行った。本音が走り去っていくのを見届けた後、藍は小さくつぶやいた。
「こっちがどうにかしようとしてもどうにもできないからな……。楯無に頼るしかないな……」
そしてチャイムがなる五分前ほどに本音が返ってきて、チャイムが鳴って織斑先生たちが現れてホームルームが始まった。
そして今は授業中、鬼一は周りの敵意の満ちた視線で胃がキリキリするのを我慢しなが、らボードに書かれるのを必死でノートに書き写していた。
織斑先生がISについて説明していく中、藍が鬼一に話しかけてきた。
『鬼一、大丈夫か?』
『い、一応な……』
鬼一はただひたすら耐えてシャーペンを動かし続けた。
そして昼休み、鬼一と藍は屋上に来ていた。食堂に行ってもこの嘘の噂で鬼一が酷い目に合うと思い、藍が鬼一に提案したのだ。
そしてベンチに座った後、藍は袖の中から二段になっている弁当箱を取り出した。
「藍、毎度思うんだけどさ……、なんで毎度袖の中から出すんだ?」
「ん?ただ、青い猫型ロボットが持ってるポケットみたいな感じがするからこうしてるだけだ」
なんじゃそりゃと鬼一は言って、そして弁当箱のふたを開けた。
「おお……ってこれ、昨日の夕食の残りだよな?」
鬼一が見たのは弁当箱にぎっしりと敷き詰められた天ぷらであった。
「
藍は胸を張って答えた。藍の胸はもともとから大きいから、胸を張るとさらに大きく見えるため鬼一は少し目をそらした。
「さて、冷える前に食べるか」
「お、おう」
そして二人はいただきますを言って昼食を食べ始めた。
そして食べ終わった後、ベンチの上で鬼一は藍に膝枕をして頭を撫でてもらっていた。
そのときだった。
「ん、電話か」
鬼一は起き上がった後、右ポケットの中に入っている携帯電話を取り出した。この時、藍は「あっ……」と言って少し残念そうな顔をしていた。
「おー、和麻か……。何の用だ?」
『久しぶりだな、鬼一。楯無から聞いたんだが、お前大丈夫なのか?』
電話の相手は八神和麻。公にはされていないが、鬼一、一夏と同じ男性IS操縦者にして、鬼一と同じく人格と人の姿を持つISを持つ少年だった。
電話から聞こえる声は普段の不敵な彼らしくない心配そうな声だったが、鬼一は平気そうな声で答えた。
「藍がいるから一応大丈夫だ」
『俺がIS学園に転入しようと思ったが、更識家にそれは止めろ!って言われてるからな……。ん、ちょっと藍さんに変わってくれ。シャーリーが話がしたいそうだ。』
「わかった。、藍、シャーリーがお前とお話がしたいそうだ」
「ん、わかった」
そして鬼一は藍に自分のケータイを渡した。
「変わった。藍だが、シャーリーか?」
『はい、お久しぶりですね、藍お姉さん』
「藍お姉さんはよせ」
『いえいえ。藍お姉さんはISとしても人としても私の姉ですよ。やめることなんてできません』
コロコロと笑うシャーリー――和麻のISに藍は照れくさそうな、嬉しそうな顔をする。
鬼一はそんな藍の横顔を眺めていた。そして空を見上げると、青い空に白い雲がゆっくりと流れていた。
「あ、あの雲ゴジラみたいな形しているな」
そんなつぶやきは藍の話声とともに風の音で消えて行ったのであった……。
「……でだな、そこに行くととてもいいぞ」
『藍お姉さんはいろいろ知ってますね。本当に私と同じISですか?』
「ふっ、私はISだが人間だからな……。」
約二十分経ったが、藍とシャーリーはまだ電話で話しており、鬼一は柵から下を見下ろして下に見える桜の木を見ていた。
(あぁ……、あの桜の木の下で一緒にご飯を食べるのいいな……)
「……ああ、また今度な。はい、鬼一」
そして藍は話し終わったのか、鬼一にケータイを返した。
「おーい、つながってるか?」
反応がなかったため画面を居たら、通信が切られており、鬼一は小さくため息を吐いた後、ポケットの中にケータイを入れた。
「さて、教室に戻るか……」
「そうだな……」
そして二人は重い足取りで教室に向かって行ったのであった……。
だが、その途中でケータイが震え、取り出してみると一着のメールがあった。
――何かあったら、遥香や簪に頼れ。頼りになるぜ。もちろん、俺や楯無もな。 八神和麻
少しだけ、足取りが軽くなった気がした鬼一だった。
妖刀「鬼一、大丈夫か?」
鬼一「大丈夫じゃない、問題ありだ。」
藍「それにしても『二人の生徒会長 氷霧の姫たちは叢雲と共に』の和麻とシャーリーが出るとはな。」
妖刀「竜羽さんから許可をもらったからな。竜羽さん、本当にありがとうございます!」
鬼一「これからの展開はどうなるんだ……?」
妖刀「鬼一……、これから君は結構きつい目に合うことになる。藍、鬼一を支えてやってくれ。」
藍「わかってる。」
妖刀、鬼一、藍「「「感想、誤字報告待ってます!」」」
鬼一「それじゃあ俺は部屋に帰るから。行こうか、藍。」
藍「ああ。」
妖刀「じゃあな~。」