FAZZを手に入れて一日経ち、ここは教室。鬼一は本音に問い詰められていた。
「きーちょん、なんで昨日来なかったのさ~!」
この時本音の両頬はぷっくりと膨らんでおり、鬼一をジト目で睨んでいた。
「いや~、新しく来た武器をちゃんと使えるように練習していたら、気付けば八時になっててね。それだからシャワー浴びて晩飯食ってそのまま寝ちまった。すまんな」
「も~!何なのさ~、それ~!」
本音は袖をぶんぶん振り回しながら怒っていた。
「まあ布仏、これでも食べて落ち着け」
藍は袖の中からシュークリームを出した。
「食べる~」
本音はニコニコしながら藍からもらったシュークリームを食べ始め、そして食べ終わったころには先程の怒りはほぼ忘れていた。
その時だった。
「ふん、そんな情報古いよ」
いきなり声がしたため鬼一は振り返ってみると、そこには髪をツインテールにした背の低い女子がいた。だが鬼一はそんなのはどうでもいいと思ったのか、本音たちのいる方を向いたのであった。
「あ、あんたね、もう一人の男性搭乗者ってのは」
鬼一はそんなことが聞こえたが、一夏のことと思い無視をした。
「ちょっとあんた、聞いてるの!?」
「あ?」
いきなり肩を掴まれたため鬼一は睨みながら振り返った。女子はなぜかキレたかのような顔をしており、そしてなぜ掴みかかられているのかがわからなかったから、鬼一は少しイラついた。
「いきなり何の用だ?」
「何の用って、人の話を聞きなさいよ!」
「いや、何のことだ?こっちはこっちでいろいろ話してたから、何も聞いてないんだが」
「あ、そうなの?ごめん」
女子が謝ってきたため、鬼一は睨む眼を少しだけやめた。
「私、鳳鈴音っていうんだけど……、何かあんた、そこまで強くなさそうね」
鈴は鬼一を上から下までざっと見た後、そう言った。
「さあ?強いか弱いかは勝手にに考えておけ」
鬼一はそう言って元の所に戻った。
「ん、鬼一、もうすぐチャイムなるぞ」
藍がそう言って時計を見ると、時計の針はチャイムの鳴る二分前を指していた。
「わかった」
「またね~」
本音は手を振って席に戻っていき、鬼一と藍も席に着いた。
そして織斑先生が入ってきて鈴の頭を叩いた後、鈴は何か言って教室を出て行くのであった。
時は飛んで昼休み。鬼一と藍は屋上で昼食を食べていた。この日は新しいケーキが発売されるせいか、食堂に人が溢れかえっており、それが嫌になった二人は屋上を選んだのだ。
「鬼一、あーん」
「あーん」
藍は箸でから揚げをつまんだ後、鬼一の口の中に入れ、鬼一はおいしそうな顔で食べていた。
「はい、お茶」
「ありがと」
そしてお茶を飲んで一息ついた後、空を見上げた。空は青く、スズメだろうか、小鳥が数羽仲良く飛んでおり、鬼一はそれを見て小さくため息を吐いた。
「どうした?」
「いや、鳳って言ったけ?あいつ。何か織斑関連で何かおこしそうでな……。しかもこっちも巻き込むって形で」
「大丈夫だ。その時は私が守ってやるから心配するな」
藍が胸を張って答えたため、鬼一は少し微笑んだ。
「そうか、ありがとう」
「どうってことはない……、それよりこの鯵の天ぷらだが味付けを変えてみたんだ。どうだ?」
藍は少し頬を赤らめたが、それをごまかすかのように弁当の話題に戻した。鬼一はそれを口の中に入れた。
「ん、うまい」
まあこんな風に美味しく食べていた時だった。
「……っていうことなんだ」
「へ~、それは便利だね。今度試していい?」
「いいよ」
数人の女子の話声が聞こえてきたのだ。
「ん?この声、聞いたことがあるな……」
「あぁ、あいつらか……」
そして屋上につながる階段から数人の女子が出てきた。
「あ、鬼一君、藍さん」
「あ、部長」
現れたのは将棋部のメンバーであった。どうやら全員で屋上で昼食を取るつもりなのだろう、手には手作りと思われる弁当箱を持っていた。
この時鬼一はいつの間にか名前で呼ばれてることに違和感を覚えたが、嫌いじゃない人だったらいいかと思ったのであった。
「へ~、二人もここで昼食?」
「まあ、そうですね。食堂は人が多すぎて好きじゃありませんし」
鬼一は少し苦笑い気味に答えた。
「だよね~」
部長がそう言った後、気付けば何故か円の形になって全員が座っていた。鬼一はなぜこうなったか気になったが、気にするだけ無駄と思い考えるのをやめた。
「柳田、そういえばなぜここに将棋部全員で来たんだ?」
「えっとね、今日部員でここで食べようって決めてたんだ。二人に連絡してなかったからどうしようと思ったんだけど、来たから特に問題はないね」
部長はそう言って笑っていたが、鬼一と藍は「連絡ぐらいはしろよ」と思いながらも昼食を食べるのを再開した。
そして食べている途中に藍の作った弁当の味が気になったのか、食べていいかと部員全員に聞かれ、藍は普通にいいぞと答え食べさせた。結果は全員からとても美味しいと言われた。
「鬼一君ってこんなにおいしいのを毎日食べてるんだよね?いいな~」
「藍さんがお嫁さんだったら、鬼一君は勝ち組だね」
「ちくしょう……、美味しすぎて箸が止まらない!」
「藍さん!私に料理を教えてください!」
「ちょ、いきなり全員で言うな!」
「藍、人気者だな」
藍があたふたしてる姿を見て鬼一は笑っていた。
「鬼一君!藍さんとの出会いを教えて!」
「あ、私も聞きたい!」
「私も~」
「え、いきなり!?」
鬼一も周りからいろいろ言われ、少しあたふたしていたが、その後もいろいろ楽しく会話をしたのであった。
まあ藍が鬼一に「あーん」をしているときに周りからは羨望と嫉妬等の目線を受けていたが、藍はそんなのを気にせず続けるのであった。
なお鬼一と藍との出会いの話題は、上手くどこかへと消えて行ったのであった。
妖刀「今日は鈴の登場する話だったな。最初の方しか出てないけど」
鬼一「後半は屋上で昼食を食べる話だったな」
妖刀「なあ鬼一、藍の飯ってどれくらい美味しいんだ?」
鬼一「ああ、ここに残り物があるから食べてみろ」
妖刀「いただきます……、何だこれ……、美味しすぎて何も言えねえ!!」
鬼一「だろ?」
妖刀「お前毎日こんなにおいしいのを食ってるのか!?羨ましすぎるだろ!」
鬼一「まあ和食中華は美味しいけどさ、洋食は……うん、思い出さない方がいいな」
妖刀「ど、どうした?」