今回の話はクラス対抗戦です。一夏の対戦相手は三組のクラス代表、青獅子蒼。一夏はどうやって彼女に勝つのか、お楽しみに。
今日はクラス対抗戦当日。その日、観戦席に鬼一と藍はいた。
「藍、一回戦が一組対三組だけどさ、織斑に勝機はあるのかね?」
「さあ?……まあ織斑は負けてもいいがな。そもそも蒼に織斑対策を教えたし」
藍はぼそりとつぶやいた後、アリーナの中を見た。ピットのハッチは開いているが中はまだ誰もいなかったが、観戦席のボルテージは上がっていた。その勢いはすさまじく、鬼一が周りを見渡した時に、軽く引くほどの状態になっていた。
「ん、両方出てきたか」
藍がそう言ったため鬼一はアリーナの方を見てみると、右側のピットから織斑一夏、左側のピットから青獅子蒼が現れた。蒼はラファール・リヴァイブを纏っており、一夏がいる中心部に向かっている途中にマシンガンを展開した。
「さて、これからどうなることやら……」
鬼一は少し楽しそうにつぶやくのであった。
アリーナの中心には一組の男女がいた。男は一振りの刀を構え、女は右腕にマシンガンを展開して両手で構えていた。
「さて、ここで量産型に負けるわけにはいかないんだ。鈴との決着をつけないとな」
一夏はそう言って雪片を若干突きに近い形にして構えた。だが、この時蒼が俯いて何かつぶやいていたため、一夏は構えるのをやめた。
「お、おい、どうしたんだ?」
「……かにしたね」
「え?」
一夏は蒼が何を言ったのか聞き取れなかったため聞き替えたとき、蒼が俯けていた顔を上げた。その顔は怒った顔をしており、一夏はなぜ怒ってるのかわからず、
「量産型を馬鹿にしたね!?量産型のロマンを何もわかってないくせに!」
「え、え!?」
『え?』
この時観戦席にあた全員も唖然とした。一般回線の時はアリーナにあるスピーカーで何をしゃべってるか聞こえるが、蒼の言った『量産型のロマン』が全員に理解ができず固まっていたのであった。
「もう怒った!これで倒してやる!」
そして蒼はマシンガンを格納してその武器を展開しようとしたときだった。
『試合開始!』
試合開始のブザーとともに試合が始まったため、一夏は何を出される前に決着をつけようと、一直線に突っ込んで雪片を振り上げた時だった。
「来て!ギガドリル!!」
この時蒼の右手に自身の身長も隠すのではないかともいえる円錐型の物体が現れ始めた。一夏は展開が完璧に終わる前に雪片を振り下ろすとしたが、振り下ろした瞬間に展開が完了したため、雪片は蒼に届くことはなかった。
「何だよ……これ……」
そして一夏が見たのはとても大きなドリルであった。直径は一夏の身長とほぼ変わらず、頂点から底辺までの長さはおそらく二メートル半はあるのではないのかといえるほどの特大のでかさであった
「どうよ!IS学園の倉庫に眠っていたアナハイム社特製ギガドリルは!」
「で、でけぇ……」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
そして蒼の掛け声と共にドリルが回転を始め、それにあたっていた雪片二型が大きく悲鳴を上げ始めた。一夏はそれを聞いたときに急いで離れたが、ドリルの回転数がどんどん上がっていくたびに聞こえてくる悪魔の叫び声みたいな音がどんどん大きくなっていた。
「ギガァ……」
そして左足を一歩後ろに引き
「ドリルゥ……」
左手をドリルに添えるようにし
「ブレイクゥゥゥゥゥ!!!!!!!」
そしてドリルの裏にあった全スラスター六機を一気に吹かした後に、一気に一夏めがけて突っ込んだ。その速度はドリルに搭載されているスラスターの助力(ほぼドリルの推進力だが)で
「ぐわぁぁぁぁ!!??」
ドリルの通ったところで発生した衝撃波が一夏を襲い、一夏は地面に頭から叩きつけられた。この時衝撃波でシールド・エネルギーが三割ほど削られており、一夏は直撃したときにどれほどのダメージを受けるのか恐怖した。
蒼は一夏を追うとしたが、速度を落とせずそのままアリーナのシールドという名の壁に突っ込んだ。
「きゃぁぁぁぁ!!」
蒼は壁に激突したときの衝撃でシールドエネルギーが半分以上減ってしまい、そのまま地面に落ちた。この時の衝撃で壁に一瞬大きな罅ができたが、すぐに修復されて観客に怪我人はなかった。だがあまりの衝撃にビビッている女子がたくさんいたが。
「う、うぅ……、何だよあの武器は……」
一夏は衝撃波で地面に頭から叩きつけられた後、自身のISの状態を確認して雪片弐型を構えた。蒼は壁に激突したせいで、脳震盪を起こしたのかその場からうつ伏せ状態で動かず、右手に装着していたドリルが空しく弱々しく回転していたせいで自身もその場で回っていた。
「お、おう……これってチャンスなんだよな……?」
一夏は左右を見て何もないか確認した後、雪片弐型を構えて蒼の近くに移動した。
「あ~……」
蒼はいまだ意識がはっきりしておらず、一夏は何か罪悪感に蝕まれた。
「恨むなよ、これは戦いなんだ」
そして一夏は零落白夜を発動させて上段で構えていた雪片弐型を振り下ろそうとした。
だが
「甘……いよ……」
この時蒼はそう呟き、一瞬だけニヤリと笑った。
「ギガ……ドリル……ナックル……、発射ぁ……!」
蒼がか細い声でそう言った瞬間、右手に装着してあったギガドリルが、蒼の腕から離れて猛スピードで一夏めがけて飛んで来た。
「でぇぇぇぇぇ!?」
一夏はまさかドリルが離れて自分に突っ込んでくるとは思わず、振り下ろすのをやめてスラスターを限界まで吹かしてドリルを回避した。だが
「ちょ、追いかけてきたぁぁぁぁ!!」
ドリルは狙いが外れた後、裏についてるスラスター群が方向を制御して再び一夏の方を目掛けて突っ込んできた。
一夏はスラスターを吹かして逃げるが、ドリルは一夏をしつこく追いかけ、観客からしたらドリルだけに追いかけられる一夏という奇妙な光景が広がっていた。
「はぁ……、アナハイム社もおかしいのを考えるな……」
「藍……、アナハイム社は変態企業だからしょうがないよ……」
「そもそも私の教えた対策を全く使ってないし……。マシンガンを格納するなよ……」
「うん……、どんまい……」
それを見ていた藍は頭を抱え、鬼一はそんな藍の肩を叩いてなぐさめていたのであった。
「さて……、やっとこれで立てるわ……。あと
蒼は一夏がドリルに追いかけられている間に体力を回復させてゆっくりと立ち上がった。そして
「来て……グレイヴアーム「うぉらぁぁぁぁぁぁ!!」ズ!?」
その時、一夏の雄たけび声にびっくりしてしまい、蒼の左手に十字架状に漂っていた粒子が消えてしまった。そして一夏の声がした方を見ると、ドリルが縦に真っ二つにされており、一夏がそのまま蒼に向けて高速で近づいて来ていた。
「嘘……!?」
蒼はギガドリルが破壊されたことに茫然として立ち尽くしていたのであった。
時は少し戻る。
一夏はドリルに追いかけられるという一生でもそうそうない経験をしながらもドリルから逃げていた。
「めっちゃ、怖いんだけど!何コレ!?」
途中でカーブや急停止を試みるが、一回逸れても再び戻ってくるため焼け石に水状態であった。
「だぁぁぁぁ!!もう!逃げても切りがねえなら真正面から切ってやる!」
そして急停止をしてドリルが一夏の真横を通り過ぎた後、旋回して一夏の真ん前から突っ込んできた。
一夏はドリルが迫ってくる中、雪片弐型を中段で構え、零落白夜を発動させた。
高速で迫ってくるドリル、一夏はそれがギリギリまで近づいてくるのを待った。
そして一夏はドリルに雪片弐型をぶつけた。
「うぉらぁぁぁぁぁぁ!!」
そして一夏はドリルを真っ二つにしたのだ。真っ二つになったドリルはあらぬ方向へと飛んでいき、地面にざっくりと突き刺さって動きを停止した。
そして一夏はスラスターを吹かして蒼のいる方へと向かっていった。蒼は先程の一夏を見て茫然としたままでおり、途中で意識をこちらに戻したがすでに遅く、一夏は雪片弐型を振り上げていた。
「俺の、勝ちだぁぁぁぁ!!」
そして雪片弐型を蒼に振り下ろした。
『勝者、織斑一夏』
鬼一「藍、そもそも教えた織斑対策って何だ?」
藍「ああ、ひたすらマシンガンで弾幕を張るだけだ。簡単だろ?」
鬼一「確か、学園の量産型が選べる武器一覧にガトリングシールドとかあったんだが……」
藍「そもそも学園にあるIS用の武器ってどんなのがあるんだ?」
鬼一「さあ?まあアナハイムのトチ狂った武器があるのは確定だな。あのドリルとか」
妖刀「学園にあるアナハイム製武器はギガドリル、ガトリングシールド、マスブレード、グレイヴアームズ等があるな」
鬼一「グレイヴアームズ?何それ」
妖刀「まあ十字架型のパイルバンカー兼キャノンと考えてくれ。分からなかったらググってくれ」
鬼一「わかった。ググっておく」