「世界は書き換えられた。さぁ、アフィモウジャス将軍よ、君は改変された世界に何を望むんだい?」
「金だ。持てる限りの富を、ワシは手に入れるのだ」
「……金、か。いつの時代にも金の亡者はいるものだ。まさか、侵略戦争でも始めるのかい?」
「戦争、か。武力による争いなど、旧世紀の争い成り! 現代の戦争とはすなわち情報戦! そしてまた、情報は武器にも富にも成る! それ故の、秘密結社アフィ魔Xである‼︎」
「……なるほど。見た目によらず、君はインテリのようだ。でも、約束を忘れてもらっては困るよ?」
「分かっておる。アレを手に入れればいいんだろう? 既に部下が動いておる」
「確か、忍者……ステマックスだったかな。いつ紹介してくれるんだい?」
「あやつはワシの命にしか従わん。故に、お主に合わせるつもりはない。それに、お主にも部下がいただろう? 我が計画の最大の懸念であったプラネテューヌの女神補佐官を足止めした例の男が」
「彼、ねぇ……こっちが任せたことはちゃんとやってくれるんだけど、世界改変が起こった後、探しているものがあるって言ってどっか行っちゃったんだよね。一応後で連絡を取ろう思ってるけどさ」
「ふん、そうか」
「まぁいいさ。君たちが例の物さえ手に入れてくれればね。長年待ちわびたんだ、あまり待たせないでくれよ?」
*
「この次元のギャザリング城到着っと! さぁ、俺の求めるものはあるかな?」
「…………」
「はぁ……ない、か。この次元もハズレ臭えな。ま、念のためこの次元の隅から隅まで探してみっかなぁ……」
\ ppppppp /
「あ? 着信? おぉん、クライアント様か……めんどくせえー……もしもし?」
『どこをほっつき歩いているんだい、ルギエル? 君に頼みたいこ「電波が悪いから聞こえませーん。一旦切りまーす」……え? ちょっ』
「さて、俺の探し物が終わるまで着拒しとくか! ワークライフバランスってあるだろ? 今はライフの方優先ってね!」
*
例の世界改変後、場所は変わらずスタジアムで目を覚ました私は、同じくスタジアムで意識を失っていたらしいネプギア様、ユニ様、ロム様、ラム様と合流しました。
「突然みんな会場から消えちゃうし、おまけに誰も私たち女神のことを覚えてないし、何がどうなってるの?」
「皆様、いきなりこのようなことを言われても信じられないかも知れませんが、今この世界は改変されているようです」
「改変……?」
「どういうことですか?」
「私も詳しいことは分かりません、ですが、この現象を仕掛けたであろう敵の一人と先ほど交戦し、そいつが確かに言ったのです。『女神(様)の存在を排した新世界の幕開け』……と。結局その敵には逃げられてしまいましたが……」
「新世界……」
「なんかこわい……」
「とりあえず、あたしはラステイションに戻ってお姉ちゃんと合流します!」
「わたしもルウィーに戻ってお姉ちゃんと合流するわ!」
「うん……!」
「私は今すぐネプテューヌ様を探しに行きたいのですが、まずは教会に戻り、イストワールに今の世界がどう改変されているのかを聞こうと思います」
「わかりました! じゃあ、お姉ちゃんは私が探します!」
「では、ひとまずここで解散ですね。皆様、抜かりなく!」
「「「「はい!」」」」
そのままユニ様はラステイションに、ロム様とラム様はルウィーに向かわれました。ネプギア様はネプテューヌ様の捜索に向かわれ、私はプラネテューヌ教会に戻ります。
「……ん? 何ですかあの下品な金色は……?」
スタジアムを出て、見通しが良くなると、見慣れない塔のようなものが四つほど目に入りました。それに、見た感じシェアエネルギーが集められているようです。気になりますが、詳細はイストワールに聞きましょう。
*
「ただいま戻りました」
「おかえりなさいませ、ゴールドサァド補佐官殿」
「……は?」
「……え?」
「あ、いえ、何でもありません」
教会職員の一言に驚き、つい素が出てしまいました。彼が言ったゴールドサァド……そして金色の塔……イストワールに聞かずとも、今のゲイムギョウ界の現状が少しずつ分かってきましたね。
「あ、おかえりなさい! ギンガさん!」
「ただいま戻りました。イストワール。早速で悪いのですが、数秒ほど合体しましょう」
「……なるほど、確かに私たちなら言葉を交わすよりそっちの方が手っ取り早いですね」
イストワールは私の意を汲み取ってくれました。話が早くて助かります。
私とイストワールの合体とは、前作12話で見せた『ギンガイストワール』のことです。イストワールが私の頭にしがみつくようにして合体し、私とイストワールの意識をリンクさせます。私の身体とイストワールの頭への負担が大きいので乱用はできませんが、数秒程度の合体ならその負荷を大幅に軽減できるでしょう。
「では……」
「「合体‼︎」」
合体によって私たちの記憶の一部が共有され、
「「……大体わかりました」」
イストワールとの合体を解除し、頭に流れ込んできた情報を整理します。
まず、ゲイムギョウ界から女神様の情報が消し去られてしまったのは事実。そして、改変後の世界は女神様ではなく、 G-1グランプリ決勝に乱入し女神様を倒した例の四人組『ゴールドサァド』が治めるゲイムギョウ界へとなっているようです。
改変の主な影響は二つ。一つは新たなモンスターの出現。改変前まで確認されたことのなかった凶暴なモンスターたちが徐々に増えている、また突如モンスターが凶暴化する現象が報告されているようで、他者に対して見境なく猛威を振るうことから教会は『猛争化』と呼称し、原因を調査しているとのことです。
二つ目の影響は、世界改変や猛争化に託けた団体や組織が小競り合いを始めたこと。まだ国家間の戦争とまでは行っていないものの、規模や戦火は徐々に大きくなっているようです。
そして、今最も深刻なのが、それらを裏で操っていると言われている『秘密結社アフィ魔X』。企業の技術や情報を盗み出し、それらを他者に売り捌き戦火を広げている文字通り悪の秘密結社の存在ということです。
……はぁ、女神様がいなくなった途端このザマですか。やはり、人間どもは醜いですね。うーん、ゴールドサァドと秘密結社アフィ魔Xとやらを皆殺しにすれば、この改変は直るのでしょうか?
何はともあれ、情報は集まりましたし、私もネプテューヌ様の捜索に行きましょう。
\ ppppppp /
……着信? どうやら、あいちゃんからですね。
「もしもし、どうしましたあいちゃん?」
『あ、師匠! ネプ子見つけました! 今から教会に連れて帰ります!』
……流石我が愛弟子。
*
「ただいま戻りました、イストワール様、師匠」
「ただいまです!」
「もー大変だったよ! 起きたら街の外だし! 街の人はみんな私のこと覚えてないし! でも、あいちゃんとコンパはわたしのことをちゃんと覚えててくれてて、それだけは嬉しかったなぁ」
「私もよくわからないんだけど、何故かネプ子のことは覚えてたのよね……」
「私たちがねぷねぷのことを忘れるわけないです」
女神様の情報が消えている今のゲイムギョウ界において、何故あいちゃんとコンパさんがネプテューヌ様のことを覚えているか疑問だったのですが、そういうことですか。世界改変に耐えるほどの想い……本当に良い友を持ったようですね、ネプテューヌ様。
「ギンガもちゃんとわたしのことを覚えてくれてくれたんだよね!」
「……それに関してですが。私がネプテューヌ様のことを覚えているのは、あいちゃんとコンパさんとは違い、私の体質だと思われます」
「えっ……そっか……わたしへの想いじゃ……なかったんだ……」
「ちょっと師匠! 事実とはいえ、それはあんまりじゃないですか!」
「……私だってネプテューヌ様が大好きだから忘れなかったって言いたかったですよ! でも女神様に嘘はつけませんもん!」
「え、あ、はい。すみません師匠……」
(……あ、今のギンガさんの一言でねぷねぷの表情がみるみる明るくなっていくです)
「……こちらこそすみません、取り乱しました。あいちゃんとの通話が終わった後、ネプギア様にも連絡を取ったのでそろそろ教会に戻ってくる頃かと……」
\ ただいまー! ……じゃなくて、今はお邪魔します……なのかな? /
「あ! ネプギアが帰ってきたよ!」
「これで、プラネテューヌの女神が二人とも揃いましたね」
「ギアちゃん、おかえりです」
「はい、ただいまです」
「ネプギア様、あれからユニ様やロム様、ラム様はどんな感じでしょう?」
「んー……私も大したことは知らないんですけど、ノワールさんはラステイション教会に捕まって、今はユニちゃんが救出作戦を実行している頃ですし、ロムちゃんとラムちゃんはついさっきルウィーに着いてブランさんを探してるみたいですけど、中々会えないようです。リーンボックスに関しては、魔王が復活したとかどうとかで騒ぎになってたような……」
「ちょ、ちょっと待ってネプギア! あんた、なんでそんなに詳しいのよ⁉︎ 諜報部の私だって知らない情報ばっかりよ⁉︎」
「仕方ありませんよあいちゃん。どうやら今のゲイムギョウ界は世界改変の影響で各国の情報網が分断されているようで、改変前ほど諜報部が情報を手に入れにくいのです。ネプギア様がここまでの情報を手にしているのは、他の候補生の皆様と無線で連絡を取り合っていたからなのでしょう」
それに、ネプギア様は零次元でのネット環境に依存しすぎていたことを痛感したようで、いざという時のために候補生の皆様の携帯端末を改造していました。私の携帯端末も目を話した隙に勝手に改造されてました。まぁ、結果オーライってやつですね。
「リーンボックスの件は少しハッキングしましたけど……」
「リーンボックス……ですか」
「ベールさん、一人で大丈夫かなぁ?」
「そうですね。リーンボックスに限っては、女神候補生もいないですし……」
「今直ぐにでもベールのところに飛んでいってあげたいけど、流石にプラネテューヌを空けるわけには行かないしなぁ……んー……そうだ!」
ネプテューヌ様が何かを思いついたようで私の方を見てきます。何か、ではなくもう何を言われるのか分かりましたけど。
「ねえ、ギンガ」
「かしこまりました」
「……わたしまだ何も言ってないよ?」
「言わずともわかりますよ。リーンボックスに出張、ですね?」
「そう! ベールは強いけど、誰も頼れる人がいないってのは寂しいだろうからさ! ネプギアに行ってもらうか悩んだんだけど、ネプギアだとベールの毒牙にかかりかねないから……」
「ど、毒牙⁉︎」
「そうそう、もしネプギアを行かせちゃうと、次会ったらネプギアがベールの妹になってる可能性があるんだよねー……」
「ベール様なら……ありえるわね」
「ありえるです……」
……確かにベール様ならやりかねないというのは、否定はできませんね。
「では早速、リーンボックスに向かいます」
「あ、ちょっと待ってギンガ!」
私がリーンボックスに向かおうとするとネプテューヌ様に呼び止められました。
「ギンガに渡したいものがあるんだ!」
「渡したいもの……とは?」
「ギンガは私の加護を受けられないでしょ? でも、私の加護をたっくさん込めたアイテムを渡せば、間接的にギンガに私の加護をかけてあげられるってことで、いーすんと協力して作ったんだ! 名付けて、わたし特製指輪型アイテム『ネプテューヌリング』だよ!」
「これを……私に?」
「うん! 本当は、 G-1グランプリで優勝したら渡そうと思ってたんだけどねー……とりあえず付けてあげるから、左手出して!」
「はい!」
(うわっ、ネプ子ったら薬指に付けてるわ……!)
(ねぷねぷ、大胆です……!)
(惜しむべきはギンガさんが左薬指に指輪をつけるって意味を全く理解していないであろうことですね……)
(ネプ子からのプレゼントで嬉しい、ぐらいしか思ってなさそうよね)
(まぁでもそれでこそギンガさんです……)
ネプテューヌ様からのプレゼント……心が躍ります。魂が叫びます。あ、やべ、泣きそう……
「ええと、この指輪には……わたしの加護以外にどんな効果が有るんだっけ? ……忘れちゃった」
「私から説明します」
「あ、いーすん! いいところに!」
「この指輪には、ギンガさんの魔法やシェアリングフィールド展開の補助、専用プロセッサユニット『リミテッドパープル』装備時の負担の大幅な軽減、そして……」
「あ、思い出した! ええと、ギンガがピンチになった時、この指輪に想いを込めると良いことがあるよ!」
「良いこと……とは?」
「それはやってみてのお楽しみかな! わたしがいなくても、その指輪をわたしだと思って肌身離さず付けててね!」
「はい!」
(ネプ子……それはいくらなんでも愛が重すぎじゃ……)
(でも、ギンガさんも嬉しそうだからいいんじゃないですか?)
(うーん、二人とも嬉しそうなんだけど、二人が喜んでる内容がなんかちょっとすれ違ってるような……)
ネプテューヌ様とイストワールが私のために作ってくれた強化アイテム……以前装備していたNPカタールとNPガンブレイドが零次元最終決戦でダークメガミの攻撃をまともにくらった時に破損してしまったので、新しい強化アイテムによって戦力を増強できるという意味でも助かります。
「では、ギンガさん。お気をつけて」
「行ってらっしゃい! ギンガ!」
「はい、行って参ります!」
早速リミテッドパープルを装備展開し、リーンボックスに向けて空を駆けます。本当にリミテッドパープル装備時の負担が軽減されてますね……しゅごい。
……というわけで、リーンボックス出張編、スタートです!
原作であいちゃんがネプテューヌのことを覚えてなかったのがなんか嫌だったので覚えてることにしました。
超次元編のノワール編ブラン編は原作から変えようがないのでカットされます。ネプ編もぎあちゃんがいますが、ほとんど変わらないのでカットされます。