紫の星を紡ぐ銀糸N   作:烊々

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05. ギンガの想いがネプを呼ぶ

 

 プロセッサユニットによって飛行ができる私の機動力に、パネルを足場に跳び回るだけで追いついてくるネプテューヌさん。

 本当に人間かと思うほどの身体能力ですね、私も人のことは言えませんが。

 

「捕まーえた!」

「……っ⁉︎」

 

 マジですか! 追いつくどころか回り込んで来るとは……!

 

「とりゃああっ! 『レイジングラ「『ギャラクティカエッジ』!」……っと!」

 

 しかし、遅れをとる私ではありません。

 私のギャラクティカエッジはゲイムギョウ界において最速で当たり判定が発生する技。つまり、至近距離での技の出し合いでは、余程の実力差がなければ私が負けることはないのです。

 技を潰すための攻撃は相手へのダメージにはほとんどならないので、剣同士が弾き合う音が鳴るだけで、戦況は膠着状態が続きます。

 

「あははっ! やるね!」

 

 自身の技が潰されているにも関わらず、それに狼狽えるどころか楽しそうにしているネプテューヌさん。まるでネプテューヌ様と模擬戦をしている時のようです。別次元の同一体となるので当たり前っちゃ当たり前ですけど。

 

「やっぱ強いねギンガって!」

「お褒めいただき光栄です……!」

「足止めのつもりだったけど、本気で行くよ!」

「望むところです……!」

 

 私の方が戦闘技量とスピードは高いですが、本来は表手で持つであろう大剣を両手に携え、それぞれを片手で振り回せる彼女の方が下手したらパワーは上かもしれませんね。

 それに、剣が二本あれば手数も倍と言いますし、たとえ技の出し合いでは勝てても至近距離で斬り合うのは少し悪手です。少し距離を取りましょう。

 

「……『エリアルショット』!」

 

 距離を取って私にネプテューヌさんは脚部のホルスターから銃を抜き、私に向かって数発ぶっ放してきます。

 

「『魔粧・氷結樹』!」

 

 私は氷魔法を展開し、銃撃を防ぎ切ります。そして防ぐだけでなく、氷の木の枝を伸ばしてネプテューヌさんを包囲します。

 

「……そんな道理、わたしの無理でこじ開ける‼︎」

 

 そう言ってネプテューヌさんは氷結樹を剣で叩き壊しながら脱出し、剣を思い切りぶん投げて来ます。当然これは回避。

 

「それっ!」

 

 そのまま追撃と言わんばかりの銃による連射。ていうかあの銃、見た感じハンドガンっぽいのに連射できるんですね。

 先程は魔法で防ぎましたが、この程度の銃撃など剣でも全て切り落とせま…………っ⁉︎

 

「これは……っ⁉︎」

「油断したね!」

 

 急に後ろから飛んできたネプテューヌさんの剣によりプロセッサユニットの背部装甲を砕かれました。

 ……まさか、投げられた剣がブーメランのように戻ってくるとは……!

 

「隙ありっ!」

 

 前方からの銃撃と後方から剣により体制を崩した私の隙をついて、ネプテューヌさんは剣を拾いながら飛び込んできます。

 

「とりゃあっ! 『ネプニカルコンビネーション』ッ‼︎」

 

 そして繰り出される、ネプテューヌさんの必殺乱舞『ネプニカルコンビネーション』。

 

「……くぅ!」

 

 対応が遅れたため、私の技を先出して潰すのは間に合いません……っ! 

 

「それそれそれーっ!」

 

 絶え間なく浴びせられる大剣による連撃。

 不味い……捌き切れない……っ!

 

「ぐっ、おおおおおぉっ‼︎」

 

 斬撃を身体に喰らわぬため剣でガードしたはいいものの、ネプテューヌさんの技によるノックバックで、パネルを何層もぶち抜きながら数十メートル吹っ飛ばされます。

 ダメージを抑えられましたが、衝撃でプロセッサユニットの翼部パーツの一部が破損。これでは飛び回りながらの高速機動戦がもうできません。

 

「くっそ……」

 

 ……強い。

 わかってはいましたが、強い。

 人の身でありながらここまでの力。

 パープルハート様に匹敵するほど……いや、世界改変によるシェアの下降というデバフを負ったパープルハート様よりも強いかもしれませんね。

 

「……ふふ、ははっ」

 

 ……だからこそ、笑みが溢れてしまう。

 

(……ギンガ、笑ってる……?)

 

 嗚呼、ネプテューヌ様。そしてネプテューヌさん。

 次元が違い存在が違えど、あなたという存在はここまで私を魅了するのか。

 これが試合であれば、このままずっとあなたと戦っていたいものです。しかし、私には上に行かねばならない理由がありますので……

 

『ギンガがピンチになった時、この指輪に想いを込めると良いことがあるよ!』

 

「……このアイテム、使わせていただきます! ネプテューヌ様‼︎」

 

 右腕を掲げ、ネプテューヌ様にされた説明の通り、指輪にありったけの祈りとネプテューヌ様への愛を込めます。

 

『ネプテューヌリング、起動!』

 

 すると、指輪からネプテューヌ様の声が聞こえます。

 

(小さいわたしの声……あの指輪から……?)

 

 なるほど、音声付きアイテムだったのですね。さて、起動するとどうなるのでしょうか。

 

『……ギンガネプテューヌ!』

 

 ……はい? 私の名前の後ろにネプテューヌ様の名前って、何ですかその不敬な並び?

 そんなことを思っていたら、いきなり指輪から発生した紫色の光に包まれます。

 

「……っ⁉︎」

 

 この光、まるでネプテューヌ様とパープルハート様に包まれているかのよう……! 私の力とネプテューヌ様の力が混ざっていく感覚がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早く……上には向かわなくては……!」

「おっと、ここから先へは行かせないぞ!」

「あなたたちは……スライヌマンとスライヌレディ!」

「エスーシャちゃんのところへ行きたければ、私たちを倒していくことね!」

「あなたたちのことは嫌いではありませんでしたが、私の前に立ちはだかるなら容赦はしませんわ!」

 

 

 

「………っ⁉︎」

「……うわっ⁉︎ なんだこのプレッシャー⁉︎ 下の階層からか!」

「一体下で何が起こっているの……?」

 

(この気配は……ネプテューヌのものですわよね……? しかし、ネプテューヌはプラネテューヌにいるはず。では、このプレッシャーは一体……?)

 

 

 

 

 

 

 

 変身完了の合図するかのように光が晴れていきます。先程は不敬だと言いましたが、ネプテューヌ様が付けてくれた名前ということで、高らかに宣言しましょう!

 

「……ギンガネプテューヌ! 変身完了!」

 

(……変身しちゃった……見た目はそこまで変わらないけど、髪の毛先がちょっと紫色になって、片目が女神化みたいに電源マークが付いてるね。なるほどなるほど、これが小さいわたしとギンガの力が一つになった新形態って感じなのかな)

 

 私の剣『星晶剣・銀牙』を片手に持ち換え、もう片方の手にパープルハート様の使用している剣と同型の剣『機械剣・ネプテューヌ』を顕現させて持ちます。

 

「わたしと同じ二刀流……」

「申し訳ありませんが、あなたとの一対一はまた今度です。ここからは、ネプテューヌ様と私の二人の力で参ります」

 

 力強く足場を蹴り、ネプテューヌさんの側面に回り込みながら、左逆手で機械剣の右薙ぎを繰り出します。

 

(速い……っ⁉︎)

 

 ネプテューヌさんが跳んで回避したので、追撃のため飛び込んで縦に斬り落とします。

 

(スピードだけじゃない、さっきまでとはパワーがダンチ! これはやばいかも⁉︎)

 

 斬撃自体は剣で受け止められてしまいましたが、衝撃を殺しきることはできず、そのまま下に叩き落とし……

 

「斬り伏せる!」

 

 星晶剣で袈裟斬り、機械剣で逆袈裟斬り、そして二刀斬りの三連撃。

 

「うわぁぁぁっ!」

 

 〆の二刀斬りにより、ネプテューヌ様はパネルを突き破りながら思い切りふっ飛んで行きます。

 

「痛てて……!」

 

 ふっ飛んだ相手をそのまま追いかけ、指輪から頭に流れ込んで来るネプテューヌ様の動きと私の動きを合わせて……

 

「『クロスコンビネーション』!」

 

 ネプテューヌ様の必殺技を繰り出します。

 

「……やばっ!」

 

 これは避けられてしまいましたが、追撃の手は緩めません。今の私が使えるのはネプテューヌ様の『クロスコンビネーション』だけでなく、指輪から頭に流れ込んでくるイメージと私の身体の動きを合わせれば、ネプテューヌ様の全ての技が使用可能となります。

 

「『32式エクスブレイド』!」

 

 次に繰り出すのは、シェアエネルギーで頭上に大剣を創り出し相手に向かって射出する技『32式エクスブレイド』。多分これも避けられるでしょうが、私の狙いは別にありますので。

 

(……よっと! うーん、さっきからわたし避けてばっかだなぁ……あれ、ギンガは?)

 

「……後ろです」

「うわっ! いつの間に⁉︎」

 

(……これはまさか、射出された大剣に乗って移動したってこと⁉︎ まるでドラゴンボールで桃白白が自分の投げた柱になって移動してたみたいに⁉︎)

 

 この位置関係なら、防御も回避ももう間に合いません。私の必殺剣技をお見舞いしましょう!

 

「はぁぁぁっ! 『ギャラクティカエ……」

 

 ……いえ、共に参りましょうか、ネプテューヌ様! 

 

「……『ギャラクティカネプテューンブレイク』‼︎」

「……うん! これ以上無理! ワープ!」

「うおおぉぉ……ぉおう?」

 

 技が当たる寸前のところをワープ能力で逃げられてしまい、剣が空振った音が響きます。そのせいで少し間抜けな声が出てしまいました。

 

「……っと」

 

 そのまま空中で体制を整え、そこらへんの足場に着地します。

 

「逃げられましたか……まぁいいでしょう」

 

 むしろ逃げてくれて良かったですね。ギンガネプテューヌに変身できたことでテンションが上がりすぎて本気で技を使ったので、直撃していたらネプテューヌさんを殺していたかもしれませんし。

 

「ふーっ……」

 

 女神様の力を纏うのはやはり身体への負担が多いようで、戦闘終了後はすぐに変身解除した方が良さそうですね。もう少しネプテューヌ様の力と想いを纏ったこの姿のまま全身全霊でネプテューヌ様を感じていたかったのですが、それよりも今はベール様の元に急ぎましょう。

 

 

 

 

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