女神様、候補生様、あいちゃん、コンパさん、そして私ギンガがプラネテューヌ教会に集結し、秘密結社へのカチコミについて話し合っています。話のまとめ役はいーすんに任せましょうか。
「ゲイムギョウ界が変わってしまったあの日から、世界は秘密結社により騒乱に包まれています」
プラネテューヌでは、猛争モンスターが活発なこと以外では特に社会が変化していることはなかったそうです。ネプテューヌ様とネプギア様は、ゴールドサァドのビーシャさんとも速攻で仲良くなったようで、共同で猛争モンスター退治にあたっていたとのこと。その過程で再登場したワレチューさんが暴走してキングワレチューになったり、ビーシャさんが暴走して全てを破壊しようとしたりと色々あったようですが、ネプテューヌ様とネプギア様、そしてあいちゃんとコンパさんの力でなんとかなったっぽいですね。
その過程で秘密結社アフィ魔Xの構成員、忍者『ステマックス』に教会の備品である渦巻き型のゲームハードが盗まれたとのこと。
本体をプラネテューヌ、周辺機器を他の三国に分散させて保管していたのですが、リーンボックスのものはマジェコンヌに回収されていることを考慮すると、既に他の周辺機器も秘密結社の手に落ちていると考えるのが妥当でしょう。
渦巻き型のゲームハードがこの次元の『天王星うずめ』様を封印してあるものというのは、世界で私しか知らないはずですし、何故秘密結社がアレを狙う理由がわからないとはいえ、ぶっちゃけ割とマジでやべえ事態です。
「そのことならこっちでも把握しているわ。捕まえた傭兵組織の連中を締め上げたら吐いてくれたわ。名前は知らないみたいだけど、どうやら、そいつが世界を改変したり、傭兵組織に助言していたみたいなの」
ラステイションでは世界改変後、傭兵組織が教会を乗っ取りラステイションを牛耳っていたようです。ノワール様とユニ様と、ゴールドサァドのケーシャさんという方で傭兵組織を殲滅しつつ、その後いきなり暴走したケーシャさんを倒して、無事ラステイションを奪還したようですね。なんだかんだでノワール様とケーシャさんは親友になったようで、心なしかノワール様の機嫌が良さげです。
「ルウィーもよ。捕まえた革命家が似たようなことを言っていたわ。それで、革命家は裏でルウィーを支配するために、昔からルウィーにライセンス制度が浸透しているかのように改変してもらったそうよ。ただし、名前は知らないそうよ」
ルウィーでは、改変によりライセンス制度というものが導入されていたようです。ライセンス制度により住居や職業選択の自由が存在しなくなっていたとのこと。……私的には人間って愚かなのでライセンス制度を使って一括で管理するってのは悪くない発想だとは思うんですけどね、まぁこれを言ったらブラン様にしばかれそうなので黙っておきましょう。その後、ゴールドサァドのシーシャという方と協力し、黒幕の革命家を倒して、その後なんだかんだで闇落ちしたシーシャさんを倒してルウィーを奪還し、元の社会に戻したようですね。
なるほど、どうやらゴールドサァドという連中は悪意があって女神様から統治者の座を簒奪したわけではなさそうですね。ノワール様とブラン様の証言に出てきた名前が知られていない『その方』によって都合よく利用された存在と考えるのが良さそうです。
「あなた方もなんですの?」
「ベールさんもなんですか?」
「えぇ、秘密結社の構成員がエスーシャの目的の為に、いろいろ手を貸していたそうなんですわ。そしてその構成員というのが、マジェコンヌと……」
「……零次元で出会ったネプテューヌさんです」
その言葉を聞いたネプテューヌ様とネプギア様は目を丸くします。
「そんな……お姉ちゃんが……⁉︎」
「うそぉ⁉︎ あの時のもう一人のわたしが秘密結社の一員⁉︎ 主人公じゃないにしても、ネプテューヌだよ⁉︎ あわわわわわ……どうしよう、シリーズ多しとはいえ、まさか別次元のわたしが敵になるなんて……」
とはいえ、ネプテューヌさんは、悪事を働いていたのではなく、何か別の目的があって秘密結社に身を置いているんだと思います。が、あくまでも推測なので口にはしませんけど。
「となると、現状明らかになっている秘密結社の構成員は、ワレチューさんを除き、忍者ステマックス、マジェコンヌ、もう一人のネプテューヌさん……そして、名も知らぬ謎の少女」
「いえ、おそらくもう一人います」
「もう一人……ですか?」
私がうずめ様のこと以外でまだ皆様と共有してない情報があります。
そう、私が遭遇した『別次元の私』のことです。
「ネプテューヌ様に対するネプテューヌさんのように、別の次元の私が秘密結社の一員である可能性が高いのです」
「別の次元のギンガ……?」
「今まで言うタイミングがなかったのですが、世界改変が起こったあの日、別の次元の私の一度交戦しています」
「前にギンガさんが言ってた戦った敵って、もう一人のギンガさんだったのね……」
「はい。少しだけ戦った感覚からすると、その男は私よりも強いです」
「またまた〜。わたしたち女神以外でギンガより強い人なんているわけないじゃん〜」
「……悔しいですが、本気でその男が私を殺そうとしていれば、今この場に私はいなかったでしょう」
「そんなに……?」
考えたくはありませんが、あの男は下手したら女神様よりも強い可能性があります。
「それで、どうやってこっちから打って出るの?」
「もしかして、もう特定済みとか?」
「はい、特定できています。ハッキングなど諜報に詳しい方の力をお借りしましてね」
「ハッキング……まさか……」
「はい、そのまさかです。アノネデスさんに協力してもらいました」
「どうやってあのオカマを懐柔したのよ……」
「割と素直に頼みに乗ってくれましたよ? タリの女神の件で何か思うことがあったようで、以前のように悪事を働くこともやめたようですし」
「そう……ならいいけど……」
「さて、相手の戦力が未知数な以上、この作戦には、女神及び女神候補生のみなさん、そしてアイエフさんとコンパさんとギンガさん。以上十一名に、秘密結社の拠点となっている空中戦艦へ行ってもらいます。相手は、世界を改変する程の組織です。みなさん、お気をつけください」
「将軍のまとめサイト用のネタを探しに忍び込んだものの、えらいことを聞いてしまったでござる。これは早く戻って、将軍に知らせなくては……!」
*
「よ、久しぶり。ネプテューヌちゃんにマジェコンヌちゃん」
「あ、ルギエル。よく空中戦艦まで来れたね」
「あぁ、跳んで来た」
「ふん、何が久しぶりだ。どこで何をしていたんだ貴様は」
「野暮用さ。んなことよりネプテューヌちゃん、ちょっとクロワールと二人で話させてくれない?」
「え? うーん、まぁ良いけど……クロちゃんを逃したらダメだからね!」
「そんなことしないから安心しとけ」
「……よぉクロワール。俺が何言いたいかわかるよな?」
『知るか』
「お前がこの次元に例のものがあるっつっただろうがよ。この次元中探し回ったのにどこにもないんだが?」
『俺はこの次元に来れば手に入るかもしれねえって言っただけで、この次元にあるなんて一言も言ってねえもん』
「あ?」
『まぁでも手に入るかもしれねえのはほんとだぞ? お前がちゃ〜んとあいつの言うことを聞けばな』
「……察したわ。そういうことかよ。最初からそう言えっての」
『言おうと思ったのに勝手にどっか行ったのはお前だろうが』
「確かに。じゃあ話は終わりだ」
『その前に、俺をここから出してもらえると嬉しいんだけどな』
「そりゃ無理だ。ネプテューヌちゃんに怒られちゃう」
『けっ』
「話終わったぜ。はいこれねぷのーと」
「はーいありがとう。クロちゃんとのお話どうだった?」
「あー、俺の早とちりだった」
「なにそれ」
「そんなことはどうでもいい。ルギエルよ、合流したからには貴様にも働いてもらうぞ」
「え? やだよ」
「なんだと?」
「俺はクライアント様からの命令しか聞かねえからな。タダ働きなんてごめんだね」
「……ちっ、なんなんだこいつは」
(うーん、戻ってきたはいいものの、クライアント様がどこにもいねえな。俺が着拒してたせいで怒っちまったのか? …………ん? なんだあのロボだかおっさんだかわからない奇妙な生命体?)
「ふむ。今月の売り上げは先月の十倍、か。この調整でいけば、この戦艦のローンの返済もすぐに終わるというものよ」
「この戦艦……ローン購入だったのか……」
「羽振りが悪いなぁ。戦艦ぐらい一括で買えよ」
「個人が一括でこんな戦艦を変えるわけがないだろう。ステマックスと共に、一年以上下調べをして返済計画も立ててなんとか購入できたのだ。……む? というより、見慣れん顔だな。誰だ貴様は?」
「覚えなくていいさ。俺も男の名前を覚えんのは苦手だ」
「なるほど、貴様が奴の言っていた……ふん、聞いた通り傍若無人な男のようだな」
「そりゃどうも」
「さて、例のものの回収はどうだ? アフィモウジャスよ」
「抜かりはない。既に四つとも揃っておる」
「そうか、では約束どおりそれらをいただこうか」
「……五兆クレジット、先払いじゃ」
「貴様! 約束が違うぞ!」
「そうだよ、そんな金額、オークション違法出品者も付けないよ! 訴えて勝つよ!」
(どっかン家のぐらぐらゲームってのが1100兆円で売られてんの見たことあるけどな)
「手に入れるとは約束したが、タダで渡すとは買っておらん!」
「この、金の亡者め! ならば、力ずくで奪うまでだ! ネプテューヌ!」
「あいさ、マザコング!」
(来て早々仲間割れしてんの草。この組織おもしれー)
「ルギエル! 貴様も協力しろ!」
「んー……」
「おい! 聞いているのか⁉︎」
「……クロワール」
『あん? なんだよいきなり』
「俺はあのゲーム機みてーなのを力ずくで奪うべきか?」
『あー…………まぁ今はしなくても良いんじゃねえか? その方が面白くなりそうだし』
「おっけ。じゃあ俺はトンズラこくわ。バイビー!」
「自由だなールギエルは。クロちゃんとルギエルが働いてくれないならわたしもパスかな。わたしとしてはこの組織にもうちょっといたかったけど、こうなったらしかたないよね。ワープ!」
「ちっ! ここは退くしかないか……!」
「逃げられたか……ふん、まぁ良い」
「……将軍! 大変で御座る! ……って、マジェコンヌ殿とネプテューヌ殿はどうしたで御座るか?」
「おぉステマックスよ。奴らなら今しがた裏切って消えおったわ」
「そ、そうなので御座るか……じゃなくて! 女神たちに拙者たちの事がバレてしまい、この戦艦に向かっているので御座る!」
「ふむ……やはりこの時が来たか。しかし、信仰の力なき女神など、このワシの敵ではない! マジェコンヌたちなどの力に頼らずとも、女神たちを討ち取り、身代金を要求してやろうではないか‼︎ ハーッハッハッハッハ‼︎」
「おぉ! 流石将軍で御座る! 一生付いて行くで御座るよ!」
「笑止!」
「えっ……?」
「ステマックスよ、貴様はクビだ」
「将軍、冗談にしては心臓に悪いで御座るよ!」
「冗談などではない。ワシは知っておるぞ、貴様がラステイションの女神候補生のおなごにうつつを抜かしておることにな!」
「そ、それは……!」
「これは裏切りも同義! まさに万死に値する! 腹を切るか出て行くか好きな方を選べ!」
「拙者……将軍を信じていたのに……! うわぁぁんでござるぅぅぅぅっ!」
「……行ったか。女神たちにワシらの存在がバレた以上、ワシにできることはお主を解雇することのみ。流石のワシとて女神たちには敵わん。それに、お主を想い人と戦わせるわけにもいかぬ。ワシの分まで生きるのじゃぞ、ステマックスよ……」
「……悲しいね。アフィモウジャス。オレは悲しいよ。まさか君が裏切るとはね」
「むっ、貴様か!」
「今ならまだ許してあげる。さぁ、すぐにマジェコンヌたちにそれを渡すんだ」
「断る! これはワシが手に入れたものだ、それを求めるものに売って何が悪い!」
「金の亡者……いや、日和ってそう演じてるだけかな?」
「……」
「けど困ったな。オレは実体がないから触れることはできないし、このままでは女神たちに奪われてしまう。なら、君が奪われないように守ってくれれば良いだけの話だよね」
*
さて、カチコミの準備が終わったので、後は空中戦艦とやらに乗り込むだけです。カチコミのしおりをちゃんと作って皆様に配布しました。
「……あれ? ……あれは……」
「どうしたのよ、ユニ?」
「ごめん、お姉ちゃん。ちょっと急用を思い出したの。先に行ってて」
「あ、ちょっと、どこ行くのよ、ユニ!」
おおっと! ユニ様が単独行動に走ります! せっかくしおりで立てたカチコミ計画が早速崩れました! うーん、私が計画を立てると大体うまくいかないんですよね……
「まぁ、奴らが逃げるとは考えにくいですし、少し待ちましょうか」
「そうね、ありがとう」
「いえいえ」
待つこと数分、ユニ様が戻ってきました。
「あ、みんな待っててくれたの?」
「置いて行くほど薄情ではありませんよ」
「ありがとうございます。じゃあ、行きましょう」
*
アノネデスが特定したポイントから空中戦艦に乗り込むことに成功しました。これだけ大きな戦艦の購入履歴はどこかしらに残るものなので、特定するのは容易かったということですね。
「ここが空中戦艦の中かぁ! なんかメカメカしくてカッコイイかも!」
「その割にはあっさり侵入できたわね」
「さて、皆様、カチコミのしおり24ページを開いてください。しおりに書いてある通り、この形状の戦艦の艦橋はおそらくあちら側にあるので、そこに向かいましょう」
「はーい!」
前もって入手した戦艦の情報を元に、おそらく秘密結社の構成員がいるであろう艦橋に向かいます。
そして、我々が艦橋の方に進んでいると……
「待っていたで御座るよ、女神たち」
……物陰から、謎の声が聞こえます。聞いたところ機械音が混ざった男の声なので、マジェコンヌやネプテューヌさんではなさそうですね。
「……その声、聞き覚えがあるわね。どうせ正体はバレてるんだし、出てきたらどうなの? ステマックス」
あいちゃんの言葉を聞いて物影から出てきたのは忍者型ヒューマノイド。なるほど、こいつが例の忍者ステマックスですか。
「……うそ」
「……ユニ?」
「…………どうして、どうしてあんたがここにいるのよ!」
「何のことで御座るか? 拙者、お主のようなおなごは知らぬで御座る。誰かと勘違いしているのでは御座らんか?」
「……っ! そういうことなのね……」
ユニ様はあの忍者と知り合いな様子。となると、ラステイションやルウィーからゲーム機を盗み出したのはこいつで確定でしょう。
……舐めた真似しやがって。
「皆様、この忍者は私に任せて先にお進みください」
「ギンガ……?」
「こんな雑兵如き、私一人で充分です。皆様はその間に秘密結社の首領を」
「わかった! 任せたよ、ギンガ!」
「将軍の元へは行かせないで御座……「させません」……くっ!」
先に進もうとする女神様たちの前にステマックスが立ち塞がろうとするので、間に割って入ります。その隙をついて女神様たちは先に進みました。
「あなたの相手は私と言っているでしょう? どうやら、私がいない間、プラネテューヌで好き勝手やってくれたようですしね。それに、ネプテューヌ様に向かっていかがわしい本をばら撒いたとか……! ぶっ殺して差し上げましょう!」
「……ギンガさん! あたしも一緒に戦います!」
「ユニ様……? 皆様と向かわれた筈では……?」
「あたしなりに付けなきゃいけないケジメがあるから戻ってきました!」
ケジメ……? そして何やら訳ありの関係……? まさか……
「……こいつユニ様の彼氏とかですか‼︎⁇」
「はぁぁぁぁっ‼︎⁇ いきなり何言うんですか⁉︎ いくらギンガさんでも言って良い冗談と悪い冗談があります! 撃ち殺しますよ⁉︎」
「ひえっ、申し訳ありません」
「あたしがさっき親友と喧嘩したって言って落ち込んでたあいつを慰めたらあたしたちの前に敵として現れちゃったから、そのケジメをつけるってだけです! だから、そういう関係じゃありません! わかりましたか⁉︎」
「はいすみませんわかりました!」
先程ユニ様が離脱したのってそういうことだったんですね。納得です。
「あ、あの〜? 戦うのならもう仕掛けていいで御座るか?」
「おっと、すみません。そうですね、どこからでもかかってきてください。それに、私より弱い男に女神様の彼氏には相応しくありませんので」
「だからそういう関係じゃないって言ってるじゃないですか! 今度こそ撃ち殺しますよ⁉︎」
「ほら、ユニ様。敵が来ますよ」
「あ、はい!」
「いざ、参るで御座る‼︎」
超次元編はあと一話か二話ぐらいで終わると思います。