紫の星を紡ぐ銀糸N   作:烊々

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 怒涛の説明ラッシュです。



06. 真実

 

「かつて、プラネテューヌには天王星うずめ様という女神様がいました。

 そのお方は自分の妄想を現実にする『妄想力』という特異な力を持っていました。妄想力とその方の地道な努力もあり、プラネテューヌは以前よりも豊かになっていきました。

 しかし、妄想力は幸福だけをもたらすものではありませんでした。妄想力は時に不幸な事故を生むことがあり、そんなことが度々起こると、うずめ様に不信感を持つ国民が増えていきました。そして、その不信感を感じ取ったうずめ様が悪い妄想をしてしまい、悪い妄想が妄想力によって現実となって、更に国民からの不信感が増すと言う負の連鎖に陥っていきました。その際、うずめ様の命を狙う者も現れ、その者たちの行いによりうずめ様と親しかったある国民の命が失われました。

 次第に国は荒れていき、このままでは国そのものが傾きかねないと考えたうずめ様は、自らを封印させることで事態の解決を図りました。そして、封印された後に妄想力を使って超次元ゲイムギョウ界から自らの記録を全て削除したのです。私はうずめ様がこの世界の人々から忘れられることを選んだと思い、その意を汲んで私もうずめ様の存在を隠すようにしてきました」

 

 ざっくりと超次元でのうずめについて語るギンガ。それを聞いた全員は驚き言葉を失う。しかしネプギアとアイエフは驚きながらも少し納得する様子を見せた。

 

「……少し、不自然だとは思っていたんですよね。プラネテューヌの歴史についての文献などで、ネプ子の前の前の女神らへんの歴史がごっそり抜け落ちているような記述になっていたこととか」

「私も同じような違和感を持ったことがあります……あれってうずめさんのことだったんだ……」

「しかし、それは君たち世界のうずめのことだろう?」

「いいえ、海男さん。そこのうずめ様こそ、私たちの世界のうずめ様なのです。正確には、その片割れ、といったところでしょうか」

「そうなのか……」

「マジかよ……」

「最初は私もわかりませんでしたよ。私の知るうずめ様と、容姿も魂の輪郭も異なっていましたので」

「魂の輪郭ってなんだよ……」

「次はもう一人のうずめ様についての説明をしましょう。マジェコンヌ、頼みます」

「そうだな、これは私が話そう。貴様らが見た『天王星うずめ』は偽物ではない。奴はゲイムギョウ界への負の心に取り憑かれた天王星うずめだ。そして貴様が、奴が捨てた良心から生まれた天王星うずめというわけだ」

「どうしてそんなことがわかるのよ?」

「本人に聞いたからな。奴の目的はゲイムギョウ界への復讐とギンガ、貴様だ」

「私……?」

「あぁ、理由を詳しくは知らんが、奴は貴様に執着している」

「確かに、あいつギンガさんのことすっごく好きそうだったもんね」

「頭がこんがらがってきた……けど、納得もしたよ。俺がお前といて少し懐かしい気分になって落ち着くのって、そういうことだったんだな……」

「はい。今まで黙っていて申し訳ありませんでした」

 

 ギンガはそう言ってうずめに跪く。

 

「ちょ、やめてくれよ恥ずかしい! それに、今お前が仕えてる女神はねぷっちだろ? だから、そういうことはねぷっちだけにしとけ。俺にはすんな!」

「かしこまりました」

 

 そう言ってギンガは再び立ち上がり、マジェコンヌはそんな様子に呆れながら再び話し始める。

 

「話を続けるぞ。奴が封印されている間に溜まったゲイムギョウ界への憎悪が妄想力によりネガティブエネルギーへと変化し、そのネガティブエネルギーがある次元を生み出すほどになったのだ」

「その次元って……もしかして」

「あぁ、ここだ。クロワールは『心次元』と呼んでいたな」

「やはりですか……」

「そして、私たちが零次元と呼んでいたあそこは、この次元の入り口でしかないただのハリボテだったってことさ。そして、先ほども言ったが、零次元に零れ落ちた奴の良心から生まれたのが……」

「……俺……か」

 

 次々と明かされる真実。聞き手に情報を整理する時間を与えるため、マジェコンヌは少し間を置いて話を続ける。

 

「私が秘密結社に入った直後、奴から最初に受けた命令が次元で貴様を痛ぶることだ。しかし、トドメ刺すようには言われなかった。何故なら、貴様が力を増せばまた奴も力を増していく構造になっていたからだ。それに途中から気づいた私は、クロワールから得た力を使い、貴様を本当に抹殺しようとしたわけだが……」

「結局俺たちに敗れたってことか……」

「そういうことだ」

「もしかしてさ……あそこで俺がお前に殺されてりゃ、こんな事態になってなかったってことか?」

「……まぁ、そういうことになるな。だが、そんなことを言っていてもしょうがない。そもそも女神バカのこの男がそんな作戦を呑むわけなかろうし」

「それはもちろんです。私たちが零次元に迷い込んでマジェコンヌと遭遇したのは単なる偶然、事故ですが、そうしなければうずめ様はマジェコンヌに殺されていたかもしれないので結果オーライですね」

「まぁ、そういうことにしておいてやろう。あの時点でこの男に情報を全て渡すという方法も取れたが、奴の正体の確信がまだなかったのでな、そのまま潜入を続けていたわけだ」

「ネプテューヌさんにマジェコンヌが捕まった時はどうなるかと思いましたよ。だから私が細工をし、出られるようにしておいたわけですが」

「あの時まじぇっちが出てきたのってギンガのせいだったんだ……ていうかもしかして、わたし余計なことしてた感じ? 秘密結社に潜り込んで色々と妨害してたり頑張ってたんだけど、余計だった感じ?」

「いえ、余計ではありません。リーンボックスで、らん豚を二匹逃して儀式を妨害したのはネプテューヌさんですよね? その節はありがとうございました」

「……え? わたし一匹しか逃してないよ」

「となると……まさか」

 

 ギンガとネプテューヌとマジェコンヌの方を向いた。

 

「……何だその目は?」

「んーん、なんでもなーい」

「そうですね、なんでもありません」

 

 しかしそれ以上口に出すことはなく、心の中にしまうことにした。

 

「……私にとってもネプテューヌの行動は余計というわけではなかったぞ。貴様のおかげで奴からの意識を逸らせることができた。奴は貴様だけを裏切り者だと思い込んでいたからな。それに、クロワールを抑えていた功績もある」

「うぅ……まじぇっち優しい……!」

「そして、零次元での戦いが終わると、奴の計画も次の段階に入った。ゲイムギョウ界を改変し、その際に自らの魂の器を作る計画だ」

「魂の器……?」

「簡単に言えば肉体のことです」

「そうだ。ゴールドサァドどもを闇に落とし肉体を奪おうとする計画、例のゲーム機を取り戻して自身の肉体を解放する計画の二通りがあったようだ」

「例のゲーム機……って、ええっ⁉︎ もしかしてあのゲーム機って!」

「はい。実は、あれはうずめ様の身体が封印されているゲーム機なのです。詳細を知るのは私とマジェコンヌともう一人のうずめ様だけでしたが」

「そりゃ、取り合いになるわけですね……」

「じゃあ、ゴールドサァドも皆さんも、アフィモウジャスさんもステマックスさんも、みんなあの人に利用されてたってことですか?」

「そういうことでしょうね」

「そしてついに女神捕獲の直前になって、奴が私とネプテューヌに正体を明かしてきたのだ」

「うずめが……うーん、紛らわしいからあっちのうずめは黒いから『暗黒星くろめ』って呼ぼう。くろめがわたしを始末しようとマザコングに命令したのは、逆に裏切るのにいいタイミングだったってわけだね」

 

(何その安直な名前)

(でも、ネーミングセンスがねぷねぷにそっくりです。やっぱりねぷねぷはどの次元でもねぷねぷなんですね)

 

「そういうことだな」

「言ってくれれば良かったのに〜」

「私が奴を裏切ろうが貴様のことが気に食わんのは変わらん。私としては本当に貴様を殺してやっても良かったんだぞ」

「え゛っ⁉︎ そんな〜! マザコングとわたしはズッ友でしょ〜⁉︎」

「ええい! ひっつくな、離れろ鬱陶しい!」

 

 マジェコンヌに抱きつき頬擦りまでしようとするネプテューヌに対し、マジェコンヌは嫌そうに手で押しのける。

 

「おそらくあの時ネプテューヌさんが教会地下の祭壇にいたのは……」

「うん、くろめに頼まれたからだよ。あの時わたしが何も知らないでゲーム機を取ってこようとしたからこんなことになっちゃったのかも……」

「いいえ。ネプテューヌさんのせいではありません。私の知る情報うまく使えば、もっと早く『うずめ様』の正体にたどり着き、事態の解決に向かうこともできたはずでした。しかし私は『うずめ様』が世界へ復讐しようしていることなんて考えたくなかったから、目を逸らしていたんです……だからこんな事態になったのは私の……」

「『私のせい』は禁止ですよ、ギンガさん。あたしたちは仲間なんですから」

「ユニ様……」

「お姉ちゃんたちを助けて、暗黒星くろめとルギエルって奴を倒して解決すればいいのよ!」

「うん……頑張る……!」

「ラム様……ロム様……ありがとうございます」

「ていうか、俺の力で超次元から俺の記録が消されたってことなら、なんでギンガは俺のことを覚えていたんだ?」

「そうですね、皆様は私の特異体質についてご存知でしょうか?」

「ええと、なんとなくですけど。人が生まれ持つシェアエネルギーがない代わりに、人よりも強いってことですよね?」

「はい。それに加え、私は直接女神様のご加護を受けることができません。うずめ様の妄想を現実にしてしまう力は、言ってしまえば女神様のご加護のようなものなのです.つまり、私には効果がありません。だから私はうずめ様のことをずっと覚えていることができました」

「世界改変の影響も受けなかったのはそういうことだったんですね」

「はい。さて、これまでのことはある程度整理し終えたので、これからのことについて話し合いましょう」

「そうだな。奴の、暗黒星くろめの目的はゲイムギョウ界に復讐すること。そのために攫った四女神にネガティブエネルギーを注ぎ込み、悪堕ちさせようとしている」

「どうして暗黒星くろめはねぷっちたちを悪堕ちさせようとしているのだろうか……?」

「理由までは知らん」

「けど、小さいわたしたちが捕まってる場所なら知っているよ。小さいわたしたちは、ダークメガミによってこの世界の中心部に囚われているんだ」

「単純に考えると、真っ直ぐ向かえばいいだけ……ですが、そうはいかないというわけですね?」

「そう。この心次元にはくろめによって眠らされている小さいわたしたちの夢が世界に投影されちゃうんだ」

「その夢にとやらに阻まれて真っ直ぐ進まない可能性がある、ということかい?」

「そういうことになるな。だからこそギンガ、貴様の力が必要になる。シェアの影響を受けず、魂を見れる貴様にならば、投影される夢に惑わされずにこの世界の中心を目指せるだろうからな」

「なるほど、ならば任せてください」

「よし! じゃあみんな! 出発するぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

「……で、捕まえた女神どもはどうだ?」

「よく眠っているよ。そして、新たなダークメガミの良い素材になってくれている」

「素材ねぇ……女神どもの力をもとに作ってるんだっけか?」

「前のは女神を模しただけの木偶の坊だったけど、今度のは違う。オリジナルの女神を取り込むことで、彼女たちの力を吸い取らせているんだ」

「んで、それと入れ替えるようにネガティブエネルギーとやらを注入することで、あいつらが猛争の渦とやらに落ちて悪堕ちするってわけか」

「そういうことさ。クロワールにルギエル、君達は物事の理解が早いから話していてストレスが少なくて助かるよ」

「けど、ぶっちゃけこんなことするより処分した方が早いと思うけどな。同士討ちでもさせようってか?」

「それは君の知る必要はないよ」

「そうかい。あと、一つ報告だ。こちらに進行してくる気配を感じる。奴らが来るようだぜ?」

「なら、出迎えてあげよう。奴らが来る頃には女神たちの悪堕ちも済むだろうし」

 

 

 

 

 

 

 

「貴様! 生意気に私に合わせて来るんじゃない!」

「はぁ⁉︎ お前が私に合わせてきているんでしょう⁉︎ 嫌だったら私の後ろにでも下がっていればいいんじゃないでしょうか!」

「誰が貴様の後ろになど立つか! 貴様が下がれれ!」

 

 守護女神たちが囚われてる心次元の中心に向かう途中、ギンガたちに襲いかかるモンスターたち。しかし、ギンガとマジェコンヌの息のあった(本人たちは不本意だが)コンビネーションで次々と倒されていく。

 

「すごい……いがみ合いながら蹴散らしていってる……」

「なんか見てて面白いわね」

「仲良し……なのかな……?」

「うーん、どうなんだろう?」

「ほーら二人とも! 喧嘩しないの! そろそろ例の場所に着くよ!」

「そうですね……ネプギア様、ユニ様、ロム様、ラム様」

「はい?」

「ネプテューヌさんやマジェコンヌの話を聞いた限り、おそらくはお姉様方と戦うことになるでしょう。覚悟はよろしいですか?」

「大丈夫です。お姉ちゃんをぶん殴ってでも救ってみせます!」

「怖いけど……頑張る……!」

「お姉ちゃんを助けに行くのは二回目だもの! 今回も華麗に助けてあげようじゃない!」

「頼もしい限りです」

「私とネプテューヌはルギエルを抑えよう。だが、あの男はおそらく女神の力を纏ったギンガよりも強い。正直できるかはわからんな……」

「だったら私とコンパも協力するわ」

「大した力にはならないと思うですけど……」

「いや、助かる」

「だったら俺はもう一人のオレを、暗黒星くろめをぶっ倒してやるぜ!」

 

 決意を胸に、心次元の中心、暗黒星くろめの元へ向かうギンガたちだった。

 

 

 

 





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