紫の星を紡ぐ銀糸N   作:烊々

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08. 取り戻す光

 

 

「向こうは派手にやってんな」

 

 ルギエルと対峙していたネプテューヌ(大人)たちだったが、女神たちの激戦とは打って変わって戦いらしい戦いはしていなかった。

 

「……気に入らんな。何故本気で戦わん?」

「女子供は無闇に傷つけないのが主義でね。俺の役割はあくまで君らの足止めだからな。君らもそんなんだろ? だったら俺たちがここで何しないだけで、お互いの役割を果たせてることになる。だったら何もしなくてもいいってことだ」

「……それもそっか!」

「おいネプテューヌ!」

「だってさ、わたしたちを傷つけるつもりのない相手と戦うのってなんか嫌じゃん? さっきからわたしたちの攻撃を防ぐだけで反撃はしてこないし」

 

 ネプテューヌは剣を降ろし戦いを止める。

 

「ねー、ルギエル。戦う気がないからさ、わたしとお喋りしない?」

「ん? いいぜ」

「どうしてルギエルはゲハバーンって剣が欲しいの?」

「理由なんかねえよ。そこに最強の魔剣があるんだったら欲しくなっちまう、そういうロマンなのさ」

「くろめに協力してるのも、ゲハバーンが欲しいから?」

「半分はな」

「半分ってことは、もう半分は違うってこと?」

「あぁ。単純にあの子を気に入ったから、かな」

「……ふーん」

 

 

 

 

 

 

 

 候補生たちの判断と行動は早かった。

 時間をかけると女神たちが回復してしまうかもしれない、と考えて最初から必殺技を叩き込もうとする。

 

「お姉ちゃん……受けて、私の新しい必殺技! 『ビットズコンビネーション』‼︎」

 

(ビットとの連携攻撃……私も知らないネプギアの新技……!)

 

 ネプテューヌはネプギアの攻撃を冷静に対応しようとするも、ギンガイストワールのシェアリングフィールドによって引き起こされた頭痛に悩まされる。

 

「ぐぅぅ……痛ぅ……ギンガぁ……!」 

 

 頭痛に思考を取られた一瞬の隙を突いたネプギアの一撃はネプテューヌの眼前に迫り切っていた。

 

(まずい……避けられな……!)

 

「きゃああああっ!」

 

 ネプギアの技が炸裂。

 

「『ドルチェ・ヴィータ』‼︎」

「『エンドレスコキュートス』‼︎」

「『氷剣アイスカリバー』‼︎」

 

 それに続き、ユニはノワールに、ロムはブランに、ラムはベールに、それぞれの新必殺技を叩き込む。

 女神たちは吹っ飛ばされ、変身が解除される。

 

「ネプギア……よくも……! 許さな……あれ? なんでわたし、ネプギアことを憎んでたの……?」

「お姉ちゃん! 正気に戻ったんだね!」

「ネプギア……ごめん、わたし、ネプギアに心ないことを言って……」

「いいんだよ。お姉ちゃんが戻って来てくれれば」

「……まだです! 今は一時的に正気を取り戻しただけで、完全に負のエネルギーを取り除けてはいません!」

「じゃあ、どうすれば負のエネルギーを取り除けるんですか?」

「おそらく、それ以上のシェアエネルギーを流し込んで打ち消す方法が確実かと!」

「わかりました! ……お姉ちゃん!」

 

 ユニは思い切りノワールを抱きしめる。

 

「え⁉︎ ちょ⁉︎ ユニ⁉︎」

「じっとしててお姉ちゃん! そして、あたしの想いと力、受け取って!」

「わ、わかったわ!」

 

 戸惑いながらも満更でもなさそうなノワールだった。

 

「私たちもやろう!」

 

 ユニに続き、ネプギアはネプテューヌに、ロムはブランに、ラムはベールに密着し、シェアエネルギーを流し込んでいく。

 

「させるか! もう一度ネガティブエネルギーで悪に染めてやろう!」

「させねえのはこっちだよ! 姉妹の感動の和解に水を刺すんじゃねえ!」

「べるっちとらむっちは姉妹じゃないだろう!」

「それはそうだがそういう問題じゃねえんだよ!」

 

 再び女神たちを悪堕ちさせようとするくろめを、うずめがなんとか食い止める。

 

「ありがとう、ネプギア」

 

 ネプギアからシェアエネルギーを託されたネプテューヌは、ネクストフォームへと覚醒しネガティブエネルギーを振り払った。

 ネプテューヌだけではなく、ノワールもブランもベールもネクストフォームへと覚醒し、ネガティブエネルギーを打ち消す。

 

「べ、ベールさん……元に戻ったなら、その、は、離して……」

「あら? だって、ラムちゃんがわたくしを元に戻してくれたのなら、ラムちゃんはわたくしの妹ということですわよね? 姉妹同士の愛の抱擁をまだ終わらせるつもりはありませんわ」

「今すぐ離さねえとお前から潰すぞベール」

「あら残念」

 

 ベールは名残惜しそうにラムを下ろす。

 

「ネプギア、下がっていて。後は私たちがカタをつけるわ」

 

 女神たちは武器を取り、くろめに向けて構える。

 

 

 

 

 

 

 

「……ん? あー、やっぱ失敗したか」

「やっぱ、ってことは最初から失敗するって思ってたの?」

「まぁな。進んで憎悪に染まったうずめちゃんならまだしも、守護女神を悪に染めるのは無理だと思ってたんだよな。人間の願いが女神の悪堕ち、とかならいけるけど、ネガティブエネルギーで強引にやるとなると、あんな風にシェアエネルギーを使って戻されちまうってな」

「それをわかっててなんでくろめのことを止めなかったの?」

「俺が言うより実際やってみてダメだった方が諦めるだろ」

「それは……確かに」

「それに、俺にとっちゃこれでオーケーなんだよな」

「何が?」

「これでようやくギンガとかいうもう一人の俺をぶち殺せる」

「……!」

「さてと、もうちょい君らと遊んでてもよかったけど、そろそろ時間だ」

 

 

 

 

 

 

 

「さて、わたくしたちを弄んでくれた借り、たっぷりと返させていただきますわ」

「言っておくけど、お釣りはいらないわよ」

 

 すっかりと調子を取り戻した女神たちだが、その声はくろめには届いていなかった。

 くろめの憎悪は、ただ一人ギンガへと向けられていた。

 

「ギンガ……オレはキミを許さない。オレを裏切ったキミを、絶対に」

「うずめ様……」

「キミだけはここで……殺す!」

 

 女神たちには目もくれず、くろめはギンガを殺しにかかる。

 

「……おおっと、今は違えだろ。うずめちゃん」

 

 しかし、突如現れたルギエルがくろめを抱き抱え、後退する。

 

「なっ、離せルギエル!」

「少し冷静になりなって。今は戦う時間じゃない」

「くぅ……」

「目的の半分は果たせなかったけど、もう半分果たせた。だろ?」

「それも……そうだな。すまなかった、少し冷静になろう。そして下ろしてくれ。抱えられたままだと格好がつかない」

「あいよ」

 

 ルギエルは抱えていたくろめを優しく降ろす。

 

「あら久しぶりね。あなたへのリベンジもここで果たしてあげてもいいんだけど」

「メガミサマと正面から正々堂々戦うわけないだろ? 逃げさせてもらう」

「逃がすと思う?」

「逃げられるさ。それに、あんたらの相手は俺じゃない。うずめちゃん、頼むぜ」

「ああ。キミたちの相手は、キミたちからいただいたエネルギーで強化されたダークメガミだ」

 

 くろめはダークメガミを起動し、ネプテューヌたちに差し向ける。

 

「そしてもう一つ。キミたちが呑気に戦っている間に、この次元の座標は超次元へと近づいた。エネルギー体でしかなかったオレも超次元で行動ができるほどにね」

「……! 次元を近づけていたのはそのためだったんですね!」

「そういうことさ。クロワール」

「お? とうとう超次元に行くんだな?」

「俺も俺も」

「わかったわかった」

 

(クロワール、キミはオレたちを超次元に送った後、心次元の最奥を守備を頼む。ねぷっちたちはやらないとは思うけど、万が一この心次元を破壊し尽くしてオレを消そうとした場合はそれを防いで欲しい)

(しょうがねえな。その代わり俺にもダークメガミを使わさせてもらうぞ)

(構わない。好きに使うといい)

 

「さらばだ後輩諸君、次に会う時は封印から解き放たれた真の姿をお見せしよう」

 

 そう言って、くろめとルギエルは心次元から姿を消した。

 

「今すぐ追いたいところだけど……今はダークメガミが先ね」

「アレは私たちで仕留めるから、ユニたちは超次元に戻ってあいつらを追って」

「うん、わかった!」

「ネプテューヌ様、私はどうすれば」

「ギンガには私のそばにいて欲しいけど、今は超次元の方が大事だから、ネプギアたちと一緒に戻りなさい」

「かしこまりました」

「クロちゃんがいればささっと次元を移動できるんだけど……もー! クロちゃんのバカー!」

「イストワールと交信し、次元のゲートをこじ開ければすぐに戻れますよ」

「大丈夫? ギンガイストワールへ変身した負担がまだ残っているんじゃないの?」

「そこは気合と根性で何とかしますし、イストワールにも何とかしてもらいます」

 

 ギンガは頭に手を置いて集中し、次元を超えてイストワールと交信する。

 

『……ギンガさん。要件は分かっていますよ。次元のゲートですね?』

「話が早くて助かります。では、早速お願いします」

『はい、では行きます!』

 

「……あの、師匠」

「どうしました、あいちゃん?」

「私はネプ子たちとここに残ろうかと」

「なんだかんだで心配ですし……」

「わかりました。お願いします!」

「はい!」「はいです!」

 

 ネプテューヌたち四女神とうずめ、海男、アイエフ、コンパ、ネプテューヌ(大人)が心次元に残り、ネプギアたち女神候補生、ギンガ、マジェコンヌが超次元へと戻ることになった。

 

「……って、どうしてマジェコンヌが⁉︎」

「それはかくかくしかじか〜というわけです」

「なるほど、よく分かったわ」

 

(え? 今のギンガの説明でネプテューヌ分かったの?)

 

「色々とあったけれど、あなたのことも頼りにさせてもらうわね、マジェコンヌ」

「……ふん」

「さて、おしゃべりはここまでよ。ネプギア、ギンガ、頼んだわね」

「うん!」

「お任せください」

 

 

 

 

 

 

 

「……久しぶりの超次元だ」

「俺はそうでもないけどな。さて、こっからどうする? なんなら俺が奪って来てもいいぜ? うずめちゃんのゲーム機」 

「いや、ここまで来ればあとはオレ自身でやれるさ。それに、キミは女神相手は役に立つけど人間相手じゃあんまり役に立たないってことがわかったしね」

「うずめちゃんがやれっていうなら女子供でも殺すけど?」

「キミじゃ邪魔者は消せても、隠されてしまった場合にゲーム機を見つけられないだろ?」

「確かに。なら俺は一旦俺のアトリエに戻っかな」

「アトリエ……?」

「俺がどっか別の次元の狭間に作った、対女神武具の保管庫さ。俺らの作戦が上手くいくにしろいかないにしろ、最後には女神たちと直接やり合うことになるだろ? そのためにはもっと対女神武具がいる。手持ちの分は女神捕獲してくんのにほとんどおしゃかにしちまったからな。使えそうなのを片っ端から持ってくる」

「持ってくるって……キミは次元移動を自力でできるのかい?」

「一応、そういうアイテムを持っててな」

「だったらさっきもクロワールに頼まずに自分でやればよかったじゃないか」

「あいつのワープの方が正確なんだもん。んじゃ、ちょっくら行ってくる」

「わかった。じゃあ後で」

「おう」

 

 ルギエルは再び次元を超えて行った。

 

「さて、オレも果たすべきを果たすとしよう」

 

 そして、永きの時を超えついに超次元へと帰還した『天王星うずめ(暗黒星くろめ)』は、プラネテューヌ教会へと歩を進めるのだった。

 

 

 





 銃で人撃ってたら投稿遅れました。ごめんちゃい 
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