紫の星を紡ぐ銀糸N   作:烊々

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 零次元編はRTAみたいな速度で進んでいくことになります。



02. 閉ざされた世界

 

 

「……ねぷぅ!」

「どうしたのお姉ちゃん?」

「ギンガが私の知らないところで他の女神にデレデレしてる気がする!」

「そ、そうなんだ……」

「まぁ冗談は置いといて、さっき拾ったこの変なゲーム機のこと、ギンガならなんか知ってるかもしれないと思ったんだけど、どこ行ったんだろう?」

「さっき調べたいことがあるって言ってどっか行ったっきり帰ってこないね」

「ギンガってわたしの忠臣! .…みたいなこと言うくせに割と自由だからなぁ……ネプギア、これ直せる?」

「見たことないゲーム機だからわからないけど、少し見てみるね」

 

\  ポチ! ゴォオオッ! /

 

「な、なにこの渦⁉︎ わたしたち、飲み込まれてる⁉︎」

「ど、どうしようお姉ちゃん! 抜け出せないよ!」

「「吸い込まれるぅー! あーれー!」」

 

 

 

 

 

 

 

「……つまり、お前が俺の名前を知っていたのは、お前の世界の俺と知り合いだからってことか。そして、お前は別の世界からここに来たってことか」

「おそらくそういうことだと思います」

 

 私の知るうずめ様とこのうずめ様とでは、容姿も性格もかなり異なっていますが……いや、本質は同じですね。

 

「そっか……まぁとりあえずありがとうな! もうちょっとで俺の仲間たちの避難も完了できそうだ」

「お役に立てて光栄です」

「なぁ、その喋り方なんとかならないか? なんかむずむずするっていうか……タメ口でいいんだけど」

「申し訳ありませんが、それはできません。女神様へタメ口をきくぐらいなら死を選びます」

「そ、そうか……(もしかしてこいつ、やばいやつ?)」

 

 ……………………っ! この感覚……ネプテューヌ様とネプギア様が近くにいる……⁉︎

 

 私ほどの信者となると、愛しの女神様が近くにいるとその尊さを察知できるのです。しかし、なぜあのお2人がこの世界に……?

 

 

 

 

 

 

 

「……えちゃん! 起きてお姉ちゃん!」

「うーん……あと10分……」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ! 起きてってば!」

 

(ぅうん……? ……広がる廃墟……割れた空……なるほど)

 

「なんだ夢か〜」

「夢じゃないよー!」

「えぇ? わたしたち部屋の中にいたよね? どうしてこんなところにいるのさ?」

「あの変な渦に飲み込まれたから……かな?」

「…………ねぷ!」

「どうしたのお姉ちゃん?」

「ギンガが近くにいる気がする!」

「どうしてわかるの?」

「私ほどの女神になると、女神補佐官が近くにいるのをなんとなく察知できるんだよ」

「(これが愛の力……なのかな?)じゃあ、ギンガさんがいる方向ってわかる?」

「なんとなくわかるよ、そっちの方に行ってみようか。それにしても、なんでこんなところにいるんだろうね?」

「もしかしてギンガさんが戻ってこなかったのって……私たちみたいにあの渦に飲み込まれたからじゃ……?」

「あー、そういうことか」

 

\ ネプテューヌ様ー! ネプギア様ー! /

 

「ギンガの声だ」

「本当にいた……」

 

 やはりネプテューヌ様とネプギア様がこの世界に来ていました。こんなに早く再開できるとは嬉しいです……が、今プラネテューヌは女神様と候補生様が不在ということ。教祖であるいーすんの胃が心配ですね……

 

 とりあえずはうずめ様にネプテューヌ様とネプギア様を紹介いたしましょう。

 

「うずめ様、こちらが私の仕える女神様、ネプテューヌ様とネプギア様です」

「プラネテューヌの守護女神、ネプテューヌだよ! よろしくね!」

「プラネテューヌの女神候補生、ネプギアです。よろしくお願いします」

「まさか、別の世界の女神に会えるなんてな……俺は天王星うずめだ。よろしくな!」

 

 女神様同士の出会いと紹介を円滑に行うことができて安心です。ほら、ニチアサの1クール目とかによくあるじゃないですか、話が噛み合わず戦いになってしまう感じ。そういう感じにならずに済んで良かったです。

 

「なぜあなたたちもこの世界に?」

「それがさぁ、変なゲーム機をいじってたらいきなりそこから渦みたいなものが出てきてそれに飲み込まれたんだよね」

「変な……ゲーム機……」

「ギンガ何か知ってる?」

 

 勿論知っています。そのゲーム機こそ、『私たちの世界の天王星うずめ』様が封印されている媒体なのです。しかし、私たちの世界のうずめ様は人々から忘れられることを選んだわけであり、私がその情報をネプテューヌ様に開示するわけにはいきません。それに『条件』もありますし、どうしたものか……とりあえずはぐらかしておきましょう。

 

「いいえ、特に何も」

「……そっか」

「おそらくは私もそのゲーム機とやらの影響でこの世界に飛ばされてしまった、ということなのでしょう」

 

 ……とはいえ、なぜそのゲーム機のせいでこの世界に飛ばされるようなことになったのかは私にもわからないんですよね。あのゲーム機にはそんな機能ないはずですし。

 

「うずめ様、先程から聞こうと思っていたのですが、この世界は一体どうなっているのでしょうか?」

「『デカブツ』のせいで、街も壊され人も消されちまってるんだ」

「『デカブツ』……?」

「……噂をすればおでましだ」

 

 その瞬間、上空から何かが飛来してきました。地面に衝突し現れたのは、巨大な人型のモンスター。そして、それが引き連れるモンスターの大群。なるほど、この世界の現状が大体わかりました。

 

「な、何あのでっかいの⁉︎ いきなりラスボス襲来⁉︎」

「そうだな……あいつを含めて、この世界の現状を簡単にお前らに説明しておく」

 

 うずめ様から説明されたことは、例の巨大なモンスターがこの世界を破壊している元凶だということ、そのモンスターには破壊したものの存在そのものを消滅させる力があること、この国に生き残っている人間がいないこと、その代わりに言葉の通じる善良なモンスターが暮らしていること、うずめ様以外に戦える者がいないこと……などですね。

 

 一応反撃の策を考えているようですが、まだ準備中とのことで詳しく聞くことはできませんでした。まぁ、おそらく反撃の策とはアレでしょうね。

 

「……俺だ、そっちの避難状況はどうだ?」

『うずめか、無事なようで安心したよ。こちらは七割といったところだ』

「わかった。引き続き頼む」

『すまない、苦労をかける。うずめも無理はしないように』

 

 うずめ様の端末にお仲間から通信が来たようですね。今の声……どこかで聞いたことがあるような……? いえ、今そんなことを気にしてもしょうがないですね。

 

「うずめ様」

「ん? なんだ?」

「見たところあの巨大なのよりも周りの雑魚の方が先にやって来ますね」

「だいたいいつもそうだな。デカブツよりもモンスターが先に来る」

「では、先にそれらを片付け、あの巨大なのとは戦わずに撤退しましょう」

「……逃げるならお前たちだけで逃げろ。俺は女神としてこの世界をこんな風にしたあいつだけは許せねえ!」

「わたしも戦うよ! あんな巨大な相手、燃えてくるね!」

「お前たちは逃げろ! これは俺の世界の問題だ!」

「戦うったら戦う! うずめを放って逃げるなんてできないよ!」

「お姉ちゃんにうずめさんも、あんなのと戦うつもりなの⁉︎ 無茶だよそんなの! ギンガさんからも何か言ってください!」

「え⁉︎ 私ですか⁉︎」

 

 まさか私に飛び火して来るとは……それどころかネプテューヌ様とうずめ様が言い争いになってしまいました。お二人とも言い出したら聞かないタイプですからどうしたものか……

 

「逃げろ!」「嫌だ! 逃げない!」

「……お二人とも少し冷静になってください。うずめ様、ネプテューヌ様がこう言い出したらもう聞きません。目の前のこの状況を黙って見過ごすことはできない性格なのです。それに、もしあなたも同じ状況なら見捨てて逃げるなんてしないでしょう?」

「けど!」

「それに、あの巨大なやつは闇雲に突っ込んで勝てる相手ではないのはあなたが一番わかっているはずです。策を練り、万全な状態で挑んでからボッコボコにしてやった方が、これまでの無念も晴らせるというもの……そうは思いませんか?」

「それは……まぁお前の言う通りだな」

「ネプテューヌ様もです。あなたはおそらくこの世界じゃ女神化をすることができません。だからあまり無茶はしないでください」

「えー⁉︎ ギンガはわたしが負けると思ってるの?」

「……ネプテューヌ様が無茶してピンチになったら私また命をシェアクリスタルに変えますからね」

「わかったから絶対にやめて。冗談でも言わないで」

「申し訳ありませんでした。けど、わかってもらえて嬉しいです」

 

(すごい……お姉ちゃんもうずめさんも納得させた。というか、ギンガさんとうずめさんって本当にさっき知り合ったばっかなのかな? うずめさんからはともかく、ギンガさんはうずめさんの性格とかをよく知っているような話し方をするけど……考えすぎかな)

 

「一先ずここは雑魚モンスターを殲滅、例の巨大なやつとは戦わずに撤退、その後避難しているうずめ様のお仲間と合流、そして休息を取りあの巨大なやつを倒す策を練る。それで行きましょう。構いませんね?」

「わかった!」「はい!」「了解だ!」

「ではうずめ様、作戦開始の合図をお願いします。リーダーはこの世界の女神であるあなたです」

「え? あー、えっと、ここから俺の仲間たちと合流するまではノンストップで行くぞ! 一度手伝ってくれるって言ったからには、途中で帰りたいって言ってもシカトするからな、覚悟しとけ! じゃあ、作戦開始だ‼︎」

「「「おー!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、海男たちの救出を祝って、かんぱーい!」

「「カンパーイ!」」

 

 というわけで、殲滅、撤退、合流、その全てが円滑に進みました。ぶっちゃけ例の巨大なやつをスルーさえできれば後は余裕でしたね。うずめ様のお仲間のまとめ役である『海男』という方が人面魚だったのは少し驚きましたが。

 

「ねぷっち、ぎあっち、ギンガ。ありがとな。最初は意地張ってお前たちは逃げろって言っちまったけど、お前たちがいてくれて心強かった」

「お礼なんていいよ。わたしたちもう友達でしょ?」

「そうですよ。それに、新しいお友達ができて嬉しいです!」

 

 色々あって、ネプテューヌ様とネプギア様とうずめ様も仲良くなれた様子。女神様たちの仲睦まじい様子……ふひひ、溜まりませんねえ。

 

 女神様を遠目で眺めながらニヤニヤしていた私に海男さんが話しかけてきました。

 

「ギンガ。楽しんでいる彼女たちに真剣な話をして水を差すわけにはいかないから、先に君だけと情報交換がしたい」

「構いません。と言いつつも、こちらから渡せる有益な情報は何もないと思いますが」

「とりあえず何でもいいから教えてほしい。君たちはどこからきたんだい?」

「おそらく別の世界ですね。私は永く生きているので、私の世界の地理をほぼ全て知り尽くしています。私の世界のどこにもこんな場所は存在しません。それと、今おそらくあなたの頭の中にある『うずめ様の力で生み出された存在』という説も違うと思います」

「……! よく俺の考えてることがわかったね。そして、うずめの力の詳細を知っているのかい?」

「自らの妄想を現実にしてしまう力ですよね。実を言うと、私の世界にもうずめ様はいましたから」

「知っているのなら話は早くて助かる。それに、『た』ということは、今はいないということかい?」

「…………海男さん、今から私が言うことをあの三人には秘密にしてもらえますか? 特にネプテューヌ様とネプギア様には」

「あぁ、構わないよ」

 

 私は海男さんに、私の世界のうずめ様が封印されたことを話しました。そして、その後世界の記録から消え、私がその情報を自分の意思だけで開示するわけにはいかないことも。

 

「……どこの世界でも、うずめは悲しい運命を辿っているんだね……俺にそれを話しても良かったのかい?」

「あなたは私の世界の者ではないのでギリギリセーフということにしておいてください。それに、誰かにこれを話せて少しスッキリしました。そして、私たちがこの世界に来た原因、それに一つ仮説を立てました」

「聞こう」

「この世界のうずめ様が無意識に助けを求め、それが私たちの世界のうずめ様に届いたことにより、うずめ様同士の力が次元を超えて共鳴し、私たちの世界なうずめ様が封印されているゲーム機が私たちの世界とこの世界を繋いでしまった、のかもしれません」

「なるほど、有力な説だ」

「この説が真実だとしても、帰る方法がわからないのには変わりませんけどね」

「そうだね……さて、この世界の現状については、うずめにどこまで聞いているんだい?」

「この世界は例の巨大なやつのせいで滅びる寸前ということですね」

「そうか……この世界が奴のせいで滅びかかっているのは本当だ。しかし、奴のせいでこの世界の人たちが全て消えたというのは、俺は違うと思うんだ」

「違う……?」

「いや、俺にも詳しい理由はわからない。そんな気がする、というだけさ」

「そうですか……まぁとりあえずは例の巨大なやつを倒すことからですね。さて、そろそろ三人とも話を交えて……」

 

 と言い、ネプテューヌ様たちの方へ視線を向けると、

 

「すぅ……すぅ……」

「ねぷぅ……」

「すやぁ……」

 

 三人とも寝てしまっていました。今日はとても頑張っていましたからね。疲れてしまったのでしょう。

 

「やれやれ、作戦会議は起きてからだね」

「そうですね、今日はお疲れ様でした。ネプテューヌ様、ネプギア様、うずめ様」

「俺たちも休むとしようか」

「では、おやすみなさい」

 

 

 

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