異世界パイルバンカー   作:Hallelujah!!

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14話 ハゲ、躍動す

「いくぞトカゲモドキ! 折角後輩が見てるんだ、格好付けさせてもらうぜ!」

 

 パッチさんがムンッと気合いを入れると、体内から魔力が溢れてくる。通常魔力の流れは魔術を修めた者にしか見えないが、あまりにも濃い魔力は可視化される事があるという。現にパッチさんから溢れ出る魔力は、バチバチとスパークを起こしながら立ち上っているのが見える。

 

「うわ凄いですねあれ、ナ〇パがスーパーサ〇ヤ人になったらあんな感じになるんでしょうか」

 

 リンカもパッチさんの魔力に驚いているようだ。……驚いているんだよな? スーパーサ〇ヤ人ってなんだ? 

 

 魔獣は魔力を知覚できているという説がある。もっとも、角うさぎ等の低級かつ知能の低い魔獣は別だが。そして逆を言えば、そこそこの強さを持つ知能の高い魔物ならば魔力を知覚しているという事だ。

 

 当然レッサーワイバーンは後者に当たる。だからだろう。レッサーワイバーンがパッチさんから迸る魔力にたじろいでいるように見えるのは。

 

「おいおいおい! 颯爽と登場したくせになぁにビビってるんだよ! こねぇならこっちからいくぜ!」

 

 ズンッ、とパッチさんが一歩踏み出しただけで圧力が増していく。後ろから見ているだけの俺がそう感じるのだから、それを正面から受けているレッサーワイバーンが感じているプレッシャーは相当なものだろう。

 

 その大きすぎるプレッシャーで目が覚めたのか、レッサーワイバーンも迎撃の態勢に移る。翼を広げ、大きく息をすいこむレッサーワイバーン。

 

「まずい! ブレスがくる! 皆衝撃と熱に備えろ! 盾持ちはカバーを!」

 

 上位種のような周囲を溶岩へと変えるほどの巫山戯た威力こそないものの、まともに受けてはひとたまりもない事には違いない。パッチさんが受けるにせよ避けるにせよ、余波がこちらに来る可能性を考えれば備えた方が良い。

 

「なるべく余波はいかないようにするから、ちょっと気張れよお前ら!」

 

 パッチさんがそう言った瞬間に、レッサーワイバーンはブレスを吐き出す。高温の炎がパッチさんを飲み込む、はずだった。

 

「せいっ!!」

 

 パッチさんが突き出した拳から魔力の奔流が放たれ、炎を掻き分けながらレッサーワイバーンに迫っていく。

 

 当然驚いたのはレッサーワイバーンだ。恐らくこれまで己のブレスを正面から受ける、いや正面から突破するような相手などいなかっただろう。

 

「グギャア!?」

 

 そして為す術もなく魔力の奔流を顔面に食らうレッサーワイバーン。そこまで大きなダメージこそ無いものの、怯ませることには成功している。

 

 もちろんその隙を逃すようなことをパッチさんはしない。恐らく足の裏から魔力を放出しているのだろう、尋常ではない速度でレッサーワイバーンに向かって踏み込む。そして大きく跳躍。位置的には丁度レッサーワイバーンの頭上辺りだ。

 

「まずは俺と同じ土俵まで堕ちてもらうぜ!」

 

 咄嗟に飛び上がろうとするレッサーワイバーンだが、それを許すパッチさんではない。先程と同じように拳を突き出し、魔力の奔流を撃ち下ろす。ブレスを突き抜けた時の一撃よりも距離が近い分威力が高いのか、まともに食らったレッサーワイバーンは地面に叩きつけられてしまった。

 

「グギャアァァァァ!?」

 

 畳み掛けるようにして攻撃を加えるパッチさんにレッサーワイバーンは完全に翻弄されていた。状況に着いていけないのか、常に対応が後手に回っている。もっとも、並の冒険者が相手では後手に回ったとしても問題はなかったのだろう。しかし今レッサーワイバーンが相手にしているのは国内有数の金等級の冒険者だ。下手をすればこのままレッサーワイバーンに何もさせず倒しきってしまうかもしれない。

 

「空を飛べないようにしてやらぁ! くらいやがれ、魔力の刃だ!」

 

 何とか起き上がろうとするワイバーンの翼膜に向かって手刀を振り下ろす。次の瞬間、右の翼膜が突然斬り裂かれ、レッサーワイバーンは悲鳴をあげる。

 

 これは推測なのだが、今の手刀は魔力を限界ギリギリまで圧縮して放っているのではないだろうか。並の魔術師ではああも簡単に魔力をあの密度まで圧縮することはできない。そこは流石金等級の冒険者、といったところだろう。

 

「反対側も貰うぜ!!」

 

 同じように手刀を放つと、無傷な方の翼膜が斬り裂かれる。レッサーワイバーンはいよいよ即座に逃げることができなくなり、いよいよ覚悟を決めたのかパッチさんに向き直る。

 

「ガァ!!」

 

 レッサーワイバーンがその巨体を活かして突進を仕掛ける。翼膜が斬り裂かれ飛行能力を制限されたものの脚力に支障は無いため、大地を爪で蹴りあげパッチさんに向かっていく。

 

「あめぇよ!」

 

 パッチさんはそう来ることを読んでいたかのように魔力障壁を展開する。両者が激突するとその衝撃波で周囲の木々が騒めく。レッサーワイバーンはなんとか障壁を破ろうと更に力を込めるが、パッチさんは涼しい頭、もとい涼しい顔でそれを受ける。

 

 そしてレッサーワイバーンが更にムキになって力を込めたその瞬間、パッチさんは障壁を消し自分は横に飛び退く。突然障壁が消えたことでレッサーワイバーンは前のめりに倒れ込んでしまう。

 

「ギャッ!?」

 

「そろそろ終わらせてもらおうか!」

 

 倒れたワイバーンの頭付近に素早く近づくパッチさん。その右手には尋常ではない量の魔力が収束している。

 

「オラァ!!」

 

 レッサーワイバーンの頭部を右手でぶん殴る。インパクトの瞬間、収束していた魔力が解き放たれて閃光が走る。それがレッサーワイバーンの最後となった。閃光を受けた部分は黒く焦げ、プスプスと煙を上げている。

 

 動かなくなったレッサーワイバーンを後目にパッチさんは右手を上げる。

 

「おら、終わったぞ! どうだヴァン! これが金等級冒険者様の実力よ!」

 

「流石パッチさんです! でも最後ちょっとパッチさんの頭に光が反射して何があったか良く見えませんでした!」

 

「ちげぇよ! あれは魔力光だわ! 殺すぞ!」

 

「凄い、凄いんですけどこれが魔術師って言われるとちょっと……」

 

 隣にいるリンカは何か納得がいっていない様な複雑な表情をしていたが、一体何が不満だと言うのか。

 

「いやぁ、ここまでとは思わなかったわね。これが金等級、まだ届かなさそうね」

 

 マリーはマリーで新たな目標となったのか静かにメラメラと燃えていた。

 

「レッサーワイバーンも怖いけどハゲはもっと怖い。わたくし覚えましたわ」

 

 一方ロゼは新たなトラウマを植え付けられてしまったようであった。どうしてそうなった。




皆様のお陰でオリジナル日刊ランキングに載ることができましたので喜びのあまり初投稿です。
これからも拙作をよろしくお願いします。
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