スピリタス   作:主義

2 / 4
放課後【前編】

そして時は流れて、今は放課後。今だったらこんな風に一日が過ぎるが三か月以上前だったらこんな風な一日は絶対になかった。

 

毎日、人を殺した。今は朝起きて、学校に来て、授業を受けて、昼食を食べて、授業を受けて、下校する。これの繰り返しを毎日、行うことが出来る事の幸せを最近は感じている。だけどこれに慣れてはダメだと自分に言い聞かせている。これに慣れてしまったらもう二度と人を殺せなくなるかもしれないから。

 

 

世良さんは待っていてと言っておきながらまだ来ない。こういうところはルーズなんだよね。まだ世良真澄を語れるほどに長い間、一緒にいるわけじゃないけどここ一か月の中では一番長く一緒にいると自分でも思っている。

 

 

 

「ごめ~ん、待った?」

 

 

教室のドアが勢いよく開けて僕を見つけると世良さんはいつものような笑みを浮かべていた。本当に僕が見るときは毎度、笑顔を浮かべている。あんなに笑えるなんて僕も見習いたい。

 

 

 

「待ったよ。自分が誘ったんだからちゃんと時間通りに来てよ」

 

 

 

「ごめん!少し用意に手間取っちゃってね」

 

 

帰る用意にそんなに時間は掛からないはずだけどな。何かあったのかもしれないな。

 

 

 

「まあ、それは良いけどそれでこれからどこに行くの?」

 

別に場所はどこでも良いけどさすがにそろそろ聞いておきたい。

 

 

 

「それはな………僕の家だ」

 

 

 

「…世良さんの家で何をするの?」

 

 

 

「ちょっと紹介したい人がいるんだ」

 

紹介したい人………僕を。僕を紹介しても何か得になるとは思えないけどな。

 

 

 

「紹介したい人?」

 

 

 

「そう。正確に言うなら君を紹介して欲しいから呼んで来いと言われたんだ」

 

 

 

「誰に?」

 

 

 

「それは会ってからのお楽しみ」

 

 

組織の関係者の可能性も少しは考えたが態態、世良さんの通す必要性が見えない。だとしたら組織絡みの可能性は低いと考えても良いかもしれない。でも、だとすると何でその世良さんに僕を呼んで来いと言った人物は僕に会いたいのだろうか。

 

 

 

いくら考えても答えが出る気配がなかったので僕は一先ず、世良さんに付いて行ってみる事にした。ここで断っても良かったけど僕を紹介して欲しいと言った人の事が気になるしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして世良さんの後を付いていくとあるホテルの一部屋の前についた。

 

 

 

「ここが僕の家だよ」

 

 

 

「世良さんもここに住んでたんだね。それでここに入れば世良さんが会わせたいという人がいるの?」

 

 

 

「いるよ。今か今かと待っていると思うよ。それじゃ外で話していても始まらないし、入ろうか」

 

 

世良さんはドアを開けて僕に入るように促した。部屋の中は明かりの一つもついていなくて暗かった。誰かが待っているんだとしたら明かりぐらいはついているものだと思っていたんだけどな。

世良さんが明かりをつけるとそこには暗くて見えなかったが小学生ぐらいの背丈の女子がベッドの上に座っていた。

 

 

 

「あ、ママ」

 

 

世良さんはベッドの上に座っている少女を見つけるとそう言って駆け寄った。

 

 

 

「遅い、約束の時間から15分は過ぎてるぞ」

 

 

 

「ごめん、ごめん、ちょっと色々とやる事があってさ………まあ、でも、連れて来たじゃないか。ママは会いたがっていたでしょ、彼に」

 

 

 

「……そうだな。それでこの男が千隼という名前である事は間違っていないんだな。真澄?」

 

 

 

「そうだよ。間違っていないよ」

 

 

「そうか……私の見立ては間違っていなかったという事だったようだな……」

 

僕がいる事すら忘れてしまっているように二人は話している。この場に僕がいる意味があるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

そんな事を考えているとベッドの上に座っていた小学生ぐらいの子が僕の目の前まで来た。

 

 

「まずは名乗るとしよう。私はそこにいる世良真澄の母親でメアリーだ」

 

 

この見た目で母親………僕もかなり非現実に生きているがこんな状態の人間にあったのは初めて。最初からすぐに信じるわけではないが態態、世良さんが自分の家まで連れてきたと言う事は嘘だとも思えない。

 

 

 

「それではこちらも名乗らせてもらいます。五宮千隼。僕をここに呼んだのは世良さんのお母様である、あなたであってるでしょうか?」

 

 

 

「ええ、あってるわ」

 

 

「それではお聞きします。何故、僕をここに呼んだのでしょうか?」

 

 

理由によってはここを立ち去る事も考える。それに友達の母親に呼ばれるなんて普通はあり得ない……と思う。高校生活が初めてだからもしかしたら、こういう事が起こるのも普通なのかもしれない。

 

 

 

「その理由を話す前に君もそこの椅子に腰を下ろしたらどうだ?」

 

 

 

「では、お言葉に甘えて座らせてもらいます」

 

僕は近くにあった椅子に腰を下ろす事にした。

 

 

 

「それじゃ、早速あなたをここに呼び出した理由を話すとしますか。何個か理由はあるが一番の理由は……君が私の友人の忘れ形見だからだ」

 

 

 

「……忘れ形見?」

 

 

 

「君は知らないだろうが私は君の世話を頼まれていた。結果的に言えば、その頼みを私は成し遂げる事は出来なかったわけだけどな」

 

 

僕の世話を誰かに頼まれていた………一体誰に……

 

 

 

「誰に僕の事を頼まれていたんですか?」

 

 

 

「君の両親にだ……」

この中で一番出番を多くして欲しいのは誰ですか?

  • 世良真純
  • 赤井メアリー
  • 服部平次
  • 毛利小五郎
  • 佐藤美和子
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。