スピリタス   作:主義

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仕事(黒ずくめ)

世良さんの部屋に泊まった翌日の日が落ちて寝静まった頃に廃工場にいた。ここには僕以外は誰もいない。腕時計を見ると約束していた時間よりも30分も早い。

 

 

「ちょっと早すぎましたね…」

 

それから時間を潰しながら約束の人物が来るのを静かに待った。だが約束の時間になってもその人物が姿を現すことはなかった。

 

 

「はぁ……いつも通りですか」

 

約束の相手のことはよく知っている。いつも待ち合わせなどをしても遅れるのは当たり前。

 

 

 

 

「悪いわね」

 

 

「いいですよ。あなたが遅れるのは今に始まったことではないからね。それで今日の要件はなんですか?」

 

 

「これよ」

 

ベルモットさんは僕にUSBを手渡してきた。

 

 

「これですか?詳細な説明はありますか?」

 

 

「それを見ればすぐに分かるわ。それよりもあなたはこれから何か予定はあるの?」

 

 

「予定ですか…? この後はホテルに帰って明日の高校の準備でもして寝ますかね」

 

用意だけ済ませれば寝たとしても問題ないし、今日は色々と作業をしたから少し疲れている部分もあるし。

 

 

「だぅたら私に付き合いなさい」

 

 

「え……長くなりそうですか?」

 

 

「いやなの?」

 

 

「別にいいですけど、明日は学校はあるのでそれまでに帰れれば」

 

 

「あなたも普通の日常に染まって来たわね」

 

 

「そうですかね? まあ、でも心配はいらないですよ。裏の仕事と表ではちゃんとメリハリをつけているので。仕事の質が落ちることはないですから」

 

表の日常に慣れ始めると少し怖い部分もあるが、少なくともまだ僕は染まりきっていない。表は表で日常を謳歌して裏は裏で非日常の仕事を全うする。

 

 

「そう。それじゃあ、朝の学校までは暇という訳ね」

 

 

「まあ、そういうことことですけど…」

 

 

「それじゃあ…ヘルメットを被って私の後ろに乗って」

 

 

「分かりました」

 

そしてベルモットさんの僕がバイクの後ろに乗ったのを確認して走り出した。そして走り出してすぐに気付いたけど、どうやらベルモットさんは目的もなく走っているのではなくてちゃんと目的があるようですね。だけど、ベルモットさんはいくら問いかけても目的の場所は全然言ってくれない。

 

 

 

「着いたわ」

 

 

「ここは?」

 

僕は辺りを見渡してここがどういう場所なのかを理解しようとするけど、できない。周辺は森しかない。気が生い茂っている。かなり長い時間走り続けていたから僕の知っているような場所ではないのは間違いない。

 

ベルモットさんはその問い答えることなく、森の中へと歩みを進めている。僕もその後ろに付いていった。そしてどんどん進んでいくと少し場違いな建物が見えて来る。

都会にあるような家。老朽化している感じも全くなく、逆に最近作られたような見た目。

 

 

「ここは私が潜伏している場所よ」

 

 

「そうなんですか…」

 

そしてベルモットさんと僕は家の中へと入っていく。部屋に入って改めて思ったが、本当に場違いだ。部屋の中は本当に普通の家のよう。

 

 

「適当なところに腰を下ろしといて。飲み物はなんでもいい?」

 

 

「はい。大丈夫ですよ」

 

ベルモットさんはオレンジジュースと自分が飲む用のコーヒーを持ってきた。

 

 

「ありがとうございます。でも、なんで僕をこんなところに連れてきたんですか?」

 

 

「あなたと二人きりで過ごせるような場所はここぐらいしかないわ。他のところじゃ誰かに聞かれる可能性もあるし」

 

確かに僕たちは普通の人間とが違う。いつ盗聴されているのかも分からない。いつ殺されるかも分からない。そんな風な生活を送っている僕たちにとって安心できる場所というのはあんまりない。だから、ベルモットさんは山奥の中に家を作ったのだろう。それでもここにずっと潜伏しているといずれはバレる。点々としているというのが正直なところかもしれない。

 

 

本当に他愛もないような話をした。お互いの近況だったり、これからの仕事についてなどなど。ここで僕とベルモットさんの関係性について話していこうかな。

 

 

そしてベルモットさんは僕のことを抱きしめてくれた。少し力が強い感じはするけど、それほど大切に想ってくれている。本当にベルモットさんは優しいんだ。僕はこの組織で育ってきた。そんな時に母親のように僕のことを育ててくれたのがベルモットさんだった。だから、他のメンバーと比べても接点が多い。僕をここまで育ててくれたことには本当に感謝している。この人が居なければ今の僕はいないのだから。

 

 

 

「私はあなたをいつも支える。嫌なことが合ったら私に連絡してきなさい」

 

 

「わかってるよ、ベルモットさん」

 

 

「それを分かっているならいいわ」

 

そして最終的にベルモットさんに高校まで送ってもらうということになった。それはとても嬉しいけど、一つだけ言うなら校門の目の前で僕のことを下ろしたもんだから注目を浴びてしまった。質問攻めにされたのは言うまでもない。

この中で一番出番を多くして欲しいのは誰ですか?

  • 世良真純
  • 赤井メアリー
  • 服部平次
  • 毛利小五郎
  • 佐藤美和子
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