此処は東の海のとある島。
「見つけたぞ、"色鬼・クロウ"!」
そこには海兵という白を基調とした服を身に纏う男達がおり、その男達の上司が声を張り上げた。そこにいる、異様な雰囲気を放つ男に対して。
「おうおう、何だよテメェ等。歓迎会でも始める気か?」
男は紫色の髪をしていた。そして、上半身には何も着ておらず、下には黒いズボンとそれに合わせたかのような黒いサンダル。これだけで判断するとただの変質者にしか見えない。
「"世界政府への反逆"及び"天竜人虐殺"の罪で逮捕する!」
男のボケを無視して海兵は襲いかかる。海兵の上司は男の情報を教えてはいなかった。と言うよりも、その上司は男を捕まえれば自分が出世すると言う事で興奮していて忘れていたのだ。所謂、無能な上司とはそういう奴の事をいうのだろう。まぁ、知っていた所で未来は変わらないが。
「ハァー、少しはツッコミ入れてくれてもいいじゃねぇかよ。なぁ、そこの海兵さん」
「な、なんだ!」
戦闘中に会話をするのは馬鹿のする事だ。しかし、この海兵はまだそれを知らない。新兵だからだ。まぁ、その新米をさっそく戦闘にいれるのは馬鹿のする事だからしょうがないとしか言いようがない。
「お前、色は何色が好きだ?」
男の意味の分からない質問に海兵は考える。
「あ、赤?」
新米の海兵は吃りながらも答える。
「へぇー、んじゃ"赤"でいくか」
「え?」
海兵が間の抜けた声を出しても仕方が無い。何故なら男の姿が変わったからだ。
最初、男は適度に伸びた紫色の髪をしていた筈だ。だが、今はどうだ?髪が赤く染まっている。そして、何よりも目を引くのは"尖った"爪と頭から生えた"二本の角"。
そこで海兵は理解する。男が"鬼"と呼ばれる所以を。そして、自分の死を。
「色鬼、赤。『熱恋慕-ネツレンボ-』」
男はそう言い、海兵の頭を小突く。
すると、海兵はパァンという音と共に弾けて死んでしまった。
「新米の海兵には、まだ燃えるような恋は早かったかな?」
男はそう言いながら、顔についた血を舐める。
「う、うわぁぁあああ!」
仲間が一人、無惨に死んでしまったからだろうか。残りの海兵達が隊列を乱しながらも襲ってきた。
そんな状態では男を倒す事など出来ない。故に、また一人、一人と死んで逝く。
「あぁ…あ…あぁ。い、いやだ、死にたくない!た、頼む、殺さないでくれ!」
最後に残ったのは上司のみ。そして、その上司も
パァン
─────弾けて死んだ。
そして、男は呟く。
「あぁ、無常」
───と。
男の名前はクロウ。かつて、世界政府に所属する一人の天才によって作られた人間兵器だ。