ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常 作:コントラポストは全てを解決する
D4DJ小説で天下を捕りたい
それは、むにに向けたVJ講習の資料を1人で作っていた時だった。
「これよりッ!境まほろ被告の裁判を始めるッ!!!」
おうおうどうした急に。俺のクラスにやってきたかと思ったら響子連れのしのぶが裁判を始めた。何事だよ。俺は罪なんて犯してない。第一しのぶは警察官でも裁判官でもないんだから裁判なんてできないだろjk。
「境まほろ、アタシがどれだけ誘ってもピキピキのサポーターにならなかったくせに幼なじみがライブやるってなった瞬間ホワイト企業の福利厚生よろしく手厚くサポートしやがって!この褐色巨乳好きがッ!!!」
「はて、なにかの間違いでは」
「りんくとかいう女にダンスandボーカルレッスンした後あのデカ乳女と朝まで宣伝に向けたリミックスコンテストの曲作った事とあのぶりっ子ちんちくりんをVJに誘ったところまでリークしてるんだからな」
「そういえばそんな事もした気がする」
うーむ、何故かしのぶに全てのことがバレてる。一体誰が…………絵空の顔が過ぎるなぁ。さては俺に不利な状況を作ってまほろ君をピキピキの都合の良い道具にしようとしてるな。そうは行かないぞ。こっちにはマイラブリーエンジェル響子たそがいるんだからな。
「響子ヘルプミー。しのぶを止めてくだサーイ」
「私、エコヒイキって良くないと思うな」
「oh……」
どぼちて……どぼちて……。俺に味方はいないのか。俺は1人で戦うしかないのか。孤独だ。孤独なシルエットだ。それは紛れもなくやつさ。ヒュ〜。
「示談金いくらで納得してくれる?」
「お前の罪は金では到底償いきれない。アタシ達について来たら許してやっても良い」
「俺、むにのVJ講習で忙しいんだけど。ちょっと今手が離せないから後で良い?」
「良いから行くぞ」
「あ、ちょ、引っ張らないで。相変わらずパワーあるなぁ、体育苦手なくせに」
俺はしのぶと響子に連行されてしまった。このまま起訴されて判決貰って終身刑なのだろうか。どこに終身刑するのだろう。1番いいのは響子の家だなぁ。後は全部地獄。地下労働の方がマシだろう。どうか軽い実刑で済みますように。
──────
食堂、相変わらず混んでるなぁ。陽葉学園の学食は美味しいって評判だし、ご飯目当てで入学する人もいるらしい。
さて、しのぶwith響子に連行された俺だが、今は惨めに床に正座……などではなく、しのぶと絵空に挟まれて椅子に座っていた。響子がなんか寂しそうな顔してる。俺の隣に座りたかったのかな。そんなわけないか。響子は学園のカリスマ王者、俺に気なんかあるわけない。
「まほろはいっつも面白いそうな状況に身を置いてるね〜」
「由香、当事者になってみ。地獄でしかないから」
「ほらほらまほろちゃん、あ〜ん」
「うぅ……お腹いっぱいなのに無理やり口に詰められるよぉ……ふえぇ……」
「1口ぐらい平気でしょう?」
笹子は面白そうに、上野動物園のパンダを見るように俺を眺め、絵空は無理やり俺にオムライスを食わせる。こんな光景真秀に見られたらお前らなんかギッタンギッタンのゲッタンゲッタンなんだからな!真秀早く。早く助けに来て。
「俺はこの後どうなるのでしょうか、しのぶ様」
「そうだなぁ、とりあえずはい。これ聞いて」
「飯食わされたり音楽聞かされたり、俺は人気者だなぁ。自己肯定感が上がっちまうぜ」
「早く聞け」
「あいあいさー」
しのぶのノートPCから伸びる有線ヘッドホンを耳に当てる。そこからはまぁ、テンポの良いバランスよくMIXされた音楽が流れていた。これはしのぶが作ったものだな。音聞けば分かる。
「聞いたよ。で、何すれば良いの」
「アドバイスが欲しい」
「天下のピキピキDJ様がこんなトーシロにアドバイスなんて求めちゃいけません。しのぶちゃんの作る音楽の質が変わっちゃうでしょ。あてくしは部屋に帰らせていただきますわ」
「真面目にやれ」
「あい」
もっとリカさんみたいにノリノリで行こうぜ。人生80年。楽しくしなきゃ勿体無い。
「アドバイスかどうかは分からないが、もっと尖らせた針みたいにして欲しい。で、尖らせた先を0,01mmの鶴に加工して欲しい」
「もっと繊細さとピーキーさを増せと」
「なおかつ獣のようなスピリッツが欲しい」
「難しいこと言うな」
研ぎ澄ませ、荒ぶれ。音楽はノリと勢いだ。野獣の様に吠えろ。客とホストの魂のぶつかり合い、それがライブでありミュージックだ。とりあえずBPMを180以上にするところから始めよう。
「まほろならどうMIXする?やってみてくれ」
「この短時間じゃちょっとしか手を加えられないんだけど」
「それで良い」
「相変わらずまほろはしのぶに懐かれてるねー」
「アタシはまほろが好きだからな」
「ラブラブ〜」
由香の茶化しは置いといて、俺は軽くパソコンの編曲ソフトの音楽をいじる。あぁー、Aメロの中盤にちょっと違和感があるな。ここを半音高くして、エコーかけて……56秒のところも気になるな。後86秒から104秒のところをちょっと修正して……後は全体的なムラをエアブラシでなじませる様に編集すれば──
「はい。俺の力をちょっと注いだRemixだよ。俺のスピリッツをエンチャントしたバチくそしのぶに合う編集したから。聞いてみ」
「どれどれ…………うん、いい感じ。でも、ここのところはもうちょっと音低い方が良いんじゃないか?」
「そこはヘッドホンで聞く場合はしのぶの言う通りだが、スピーカーから流す時は俺の編集の方が違和感ないんだ。こっちの方が暴れやすい」
「ほうほうなるほど。じゃあ次はこっちの曲を──」
まだやるのか……。しのぶが俺を独占しているが、絵空が妙に大人しい。これは後で何かあるな。で、俺はいつになったら解放されるの。早く帰ってむににVJ講習したいんだけど。
「俺、そろそろ許されたでしょ。こんなピキピキのサポーターみたいな仕事いつまで続けるつもりだ」
「なんだ?帰ってあのデカ乳女と曲でも作るのか?それともぶりっ子絵描きのVJ訓練か。どっちにしろあいつらのサポーターまがいな事をするんだ。アタシ達に協力したって変わらないだろ」
「あんた達は王者でしょ。俺がいなくても頑張れるじゃん」
「あいつらだってまほろがいなくても頑張れるだろ」
「スタートダッシュアイテムとして俺がついてるんだ。人気が安定したら離れる」
皆のおかげで協力プレイの楽しさを知ったからりんくユニットのサポーターになっても良いかなとか思ったけど、やっぱり俺のサポートに頼るようならそれが例え真秀でも突き放すつもりでいた方が良いだろうと思ったんだ。誰かに頼りっきりじゃなきゃ何もできないようだとすぐ潰れちゃうし。でも、真秀達は必死に不安定な道を1歩1歩進んでる。いずれ俺から巣立って、立派なユニットになるんだ。
「まほろはあのデカ乳女達とライブの準備をして、誰かと一緒に何かを目指す喜びを学ばなかったのか?」
「学んだよ。いい経験だった。けど、俺が混ざるのは違う。俺は1人でやってきた。それが俺の魅力だ。だから、誰かと一緒には俺に似合わない」
「アタシ達ならまほろの雰囲気に合ってると思うが?」
「ピキピキに入ったら、真秀達全員から苦情が来そうだなぁ……」
真秀とむににはピキピキに入ったことを問い詰められて、りんくにはどうしてピキピキとなら一緒にステージに立つのって言われそう。ピキピキに入ったらしのぶと絵空の好感度が爆上がりするんだろうが、真秀からの好感度はダダ下がって…………なんだろう、無理やり真秀陣営に入会させられる気がする。
「俺は中立を維持するよ。誰の味方にもならない。それで十分」
「でもまほろはあの幼なじみちゃんの味方になったじゃん?そこのところはどう思ってるの?」
「由香、あれは味方になったんじゃなくてちょっと手を貸しただけなんだ」
「それを味方になったって言うんだよ」
由香は細かいところを気にするな。俺が味方になってないと言えばなってない。なったと言えばなった。それで良いじゃないか。
「まあ、まほろのエコヒイキは十分問題だよ。しのぶと私があれだけ誘っても一切私達に手を貸すことがなかったまほろが、幼なじみのいる方にはあれだけ手を貸した。それはいけない事だと思うな」
「違うんだ響子。俺はただ、りんくに頼まれただけでして。真秀も俺もりんくに買収されててだな」
「……いくら払われたの?」
「珍しい貝殻3個。真秀は5個ぐらい払われてたかな」
「私だったら、まほろちゃんにありったけの資金と設備を用意するわね。どう、まほろちゃん?こっちに来ない?」
「絵空、こういうのはお金じゃないんだ」
りんくが俺に貝殻を払って来た時のことを思い出す。すごく渡すのを渋っていた。きっとティオティオ島にしかない貴重な貝殻だったんだろう。自分の宝を譲渡してまで自分のやりたいことをやる。そういうりんくの心意気が俺を動かしたんだと思うんだ。
「まあどっちにしろ、まほろのこの贔屓具合はもはや罪だ。アタシ達にはまほろを裁く権利がある」
「こっちは弁護士もいないのに」
「まほろには、アタシ達のサポート役になってもらう。とりあえず1ヶ月だな。そこの行い次第でまほろを釈放するかどうか決める」
「しのぶさん、俺、むにのVJ指導があるんだけど」
「まほろなら両立出来るだろ」
俺のこと過大評価しすぎじゃないだろうか。そんなにハイスペックじゃないんだけど。サポート役って何するの?ダンスも作曲も歌も、全部あなた達の方が上じゃないですか。俺の出番なんてないでしょ。
「じゃあ、今日からさっそく頼むな。まず手始めにアタシの作曲の手伝いを──」
「しのぶちゃん何言ってるの?まほろちゃんはまず、私と一緒にラブリーレッスンをするのよ?」
「わ、私、まほろと一緒に歌の練習したい……」
「えー?じゃあ、私はまほろを筋トレに誘っちゃおうかなー?」
おっと、修羅場の臭いだ。名探偵コナッポインが素足で逃げ出す空気がする。逃げたいところだが、絵空としのぶの間をすり抜けて逃げるのは至難の技。ていうか無理。俺は冷や汗垂らしながら縮こまって座っていることしかできないのだ。はぁ〜、なっさけね。
「ここは公平にまほろちゃんに決めて貰いましょ〜」
おっと、修羅場の臭いだ。誰選んでも詰むじゃん。1番安全なのはマイラブリーエンジェル響子の所だが、しのぶか絵空を選ばないと後が怖い。
「じゃんけんで勝った人の元に行きます。男気でも普通のじゃんけんでも良いので決めてください。勝者には俺の自由をあげます」
「まほろちゃんったら優柔不断なんだから。まあ、そういうところも可愛いんだけど♪」
絵空はそう言いながら、バチくそに闘志を燃やして握りこぶしを構えていた。負ける気はないらしい。よく見るとしのぶも澄ました顔して震えるほどの拳を構えてる。響子は恐る恐る、由香は楽しそうに。由香を除いて、そんなに俺と一緒にいたいのかと。まあ、ここは大人しく響子を応援しよう。
『最初はグー!じゃんけんぽん!』
さあ、俺の命がかかった勝負の結果は──
「やば……勝っちゃった……」
由香の1人勝ちだった。
「筋トレかぁ……まあ、たまには身体動かすのも良いかもね」
「まほろちゃんに筋肉なんて解釈違いよ!由香にまほろちゃんは渡せないわッ!!!!」
「絵空、諦めろ。公平な勝負で決まったことだ。まあ、俺もムキムキにならないように頑張るよ」
絵空が機嫌を損ね荒ぶる中、由香は予想外の事態に困惑していた。だが、またすぐ面白そうなことを期待した笑顔に戻る。まあ、絵空としのぶに当たらなかっただけ幸いか。大人しく筋肉痛になろう。
「じゃあ由香、行こっか。どこでやる屋上?中庭?」
「屋上かなー。ビシバシ鍛えてあげるからね」
「お手柔らかに」
あんまり頑張り過ぎると俺が疲労骨折しちゃうから加減はして欲しい。でも頑張る。
──────
「じゃあまずは、腹筋10回腕立て10回スクワッド10回やってみよっか」
「あいあいさー」
屋上に来て筋トレを開始した。由香に足を抑えて貰い、腹筋を1回ずつ……1回ずつ……
「まほろ?中途半端な体制で止まってるけど、どうしたの?」
「…………これ以上腹筋が上がりません。由香大佐」
「嘘でしょ?」
腹筋の体勢で斜め45度まで上がったが、それ以上上がらなかった。どうして。前は1回ぐらいならできたのに。筋力低下……歳か?週2で走って渡月製プロテインも飲んでるのに。想像以上に俺の体は筋肉が付きにくい……ってコト?泣くよ?
「まほろに筋トレは向いてないのかもねぇ……」
「そんな……筋肉もりもりマッチョマンになる夢が……」
「そんな夢ないでしょ?」
「無きにしも非ず」
俺だって筋肉が欲しいんだ。上腕二頭筋にこぶができる体が欲しい。
「やっぱり、まほろは面白いねー。まほろみたいな人は初めて見たよ」
「俺は自分の思うように生きてるだけなんだけど」
「それで皆に慕われてるんだから大したものだと思うよ」
「慕われてるのか?」
慕われてるというより、てい良く利用されてるだけじゃ…………なんて思ったが、咲姫とかりんくとかは慕ってくれてるし、間違いではないのかな。
「隣失礼するね」
「どうぞ」
腹筋に失敗して仰向けに寝そべる俺の隣に由香が寝転んだ。顔は見えないが、良い顔をしている気がする。俺は変わらず青い空を見つめた。こうしていると、世界って平和だなって思う。こんなに静かで、穏やかで、澄み切ってる。嗚呼、世界はこんなに美しいのに、どうして俺の周りには癖の強い女友達しかいないんだ。
「で、結局のところさ、まほろが幼なじみちゃんに手を貸した理由ってなんなの?私もちょっと気になる」
「りんくに頼まれたからってのと、真秀が絡んだからかなぁ」
「そのりんくって子とはどんな関係なの」
「幼なじみ。小さい頃に結婚の約束もしたんだ。真秀ともしたけど」
「クズ男だねー」
「言うな」
意外とノア先輩に言われたクズ男判定は合っていたのかもしれない。俺は女の子を侍らせているのだろうか。ただ、皆と一緒にいたかっただけなんだけど。
「そのりんくと幼なじみちゃんだったらどっちが好き?」
「多分、真秀の方が好き」
「へぇー意外。まほろだったらどっちも好きって言いそうなのに」
「俺はただ、真秀を幸せにしたいって夢があるだけでさ」
真秀のためなら、きっとこの命だって捨てると思う。まあ、そんな事態にならないのが1番だけど。
小さい時から、真秀にはたくさんの幸せを貰った。俺のために料理や編み物をしてくれたり、遠足の昼食時間で1人ぼっちだった俺とご飯食べてくれたり、よく一緒に勉強してくれたり。俺といつも一緒にいてくれた。
「まほろは幼なじみちゃんが好きなんだ」
「まあ、まだ恋愛的に好きかどうかわかってないが、多分好きなんだと思う」
「大事にしなよ。まほろは色んな女の子にモテモテで気づいてないかもだけど、きっとその幼なじみちゃんはまほろを1番大切に思ってて、まほろが選んでくれるのを待ってる」
「わかってる」
早く真秀を好きな理由を見つけなければ。真秀も着々と学園人気が高まってきてるし、誰かに取られないように注意しないと。
「さてと、あんまり長くいると絵空としのぶに噛みつかれるし、そろそろ教室戻ろっか」
「筋トレできなくてごめんな」
「まあ、また今度やろうよ。1ヶ月もまほろを借りられることだし」
そういえばそうだった。1ヶ月間ピキピキのサポーターやんないといけないんだっけ。うわ、響子と由香だけサポートしようかな。そしたらまたエコヒイキ罪で刑期が伸びると。詰んでるじゃん。女って怖いな。早く真秀と付き合わなきゃ。