ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常   作:コントラポストは全てを解決する

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UAが2万超えたよ。ありがとう。


響子お姉ちゃんとお歌の練習……なんかノア先輩がいるんだけど

 それはとある日の放課後。響子と一緒にボーカル練習をするために校舎の屋上に来た。見える校庭からは運動部が練習してる。さあ、思う存分歌おう。今日はしのぶとむにに追っかけられて大変だったんだ。

 

「咲姫ちゃん……咲姫ちゃん……」

 

 屋上の扉を開けて右下を見たら、壁に体育座りで座ったノア先輩がすすり泣いていた。何してんのこの人。

 

「ノア先輩?」

「うぅ……境まほろぉ……」

「まほろ、この人誰?」

「福島ノア先輩。Photon Maidenっていうユニットやってる人。多分レズだよ」

 

 せっかく響子と2人きりだと思ったのに。これは早いところノア先輩を鎮めて退場してもらおう。俺は響子と歌が歌いたいんだ。

 

「ノア先輩、何があったんですか?ていうか何したんですか?」

「咲姫ちゃんに……境まほろがどれだけクズで、どれだけゲスで、どれだけろくでもないクソな人間のなり損ないかを説明してたら……咲姫ちゃんが怒って口を聞いてくれなくなっちゃった……」

 

 あー……そういえばノア先輩と初コンタクトの別れ際に、俺がどれだけクズか話してみたら?的な事を言ったっけ。俺が悪人ではないことを何らかの方法で分かっている咲姫には効かないと思っていたが、まさか怒ってしまうとは。メイデン内の空気大丈夫かなー……。

 

「具体的に何日口聞いてないんですか?」

「2週間咲姫ちゃんに語り続けて、3日前に『いい加減にして……!』って怒られてからずっと口聞いてない……」

「2週間もノア先輩の話に付き合ってたとか天使かよ」

「そうよ。咲姫ちゃんは天使なのよ。今更気づくとかどれだけ目が節穴なのかしら」

「あんたほんとは元気だろ」

 

 なんだその挑発的な笑顔。俺を怒らせたいのか。

 

「で、咲姫に無視され続けて、屋上で泣いてたノア先輩はこれからどうするんですか?早く仲直りしないとただの仕事仲間に成り下がりますよ」

「そんなの分かってるわよ……。でも謝るってことは貴方をクズ男じゃないって認めるって意味でしょ?そんなの嫌」

「意地張ってないで楽になりましょうよ。もしかしたら俺はクズ男じゃないかもしれませんよ?」

「それは無いわね」

 

 ノア先輩は俺をクズ男と断定してその意思を曲げる気はないらしい。こんなんだから咲姫に怒られるんだぞ。ノア先輩は頭が可哀想。咲姫はノア先輩に絡まれて可哀想。ノア先輩の男嫌いと俺嫌いはいつまで咲姫を巻き込むのだろうか。

 

「ねえ、まほろの事クズ男っていうのやめてくれないかな」

「貴方は……山手響子ちゃん?なんでこんなやつと一緒に……まさか、境まほろは響子ちゃんの弱みを握って──」

「ねえ、まほろ。こいつ殴ってもいい?」

「ノア先輩は男嫌いなんだ。許してやってくれ」

 

 響子のノア先輩を見る目が冷たい。非常に冷えきっている。響子、こんな顔するんだ……。怖……。マイラブリーエンジェル響子たその正体は悪魔だった?

 

「響子ちゃんも境まほろに取り込まれてしまった……。どうせ咲姫ちゃんの時みたいにたらしこんでしょ?」

「女の子を口説くなんて……。俺はそんなパリピみたいな事……」

「してるでしょ。現に咲姫ちゃんを口説いて、引き込んで。あなたさえいなければ私は咲姫ちゃんに嫌われずに済んだのに」

「それは謝る……いや、ノア先輩の自業自得では?」

 

 クズトラマンまほろ列伝をしてみれば?と提案したのは俺だが、咲姫に執拗に話したのはノア先輩だし実行犯のノア先輩が悪いのでは。俺の事クズ男って呼ぶ人なんて男子かノア先輩だけだぞ。一体いつになったら俺はクズ男じゃないと伝わるのだろうか。

 

「まほろ、別の場所行こ。こんな人ほっといてさ。時間の無駄だよ」

「うーん……それも良いんだけど、ノア先輩を咲姫と仲直りさせときたい。咲姫とノア先輩、同じユニットなんだ」

「それはまほろが関わらないとダメなの?」

「ノア先輩1人じゃ絶対できない」

 

 境まほろがクズ男じゃないって認めるのは嫌って言ってたし、ノア先輩は絶対謝らないだろう。俺が介入していい感じの干渉材になってあげねば。

 

「ノア先輩を咲姫と仲直りさせないと咲姫が可哀想」

「その、咲姫って人は誰なの?」

「特別な友達」

 

 宇宙友達としてこのまま放っておくわけには行かない。

 

「ほら、ノア先輩。嘘でも良いから謝りましょう?俺も一緒に頭下げますから」

「別に、私1人でも……」

「じゃあ、今から行けますか?」

「……無理」

 

 ノア先輩が俺から目を逸らした。だから言ったじゃないか。1人じゃ無理だって。咲姫に本気で嫌われたくないって言うノア先輩の心が見える。

 

「ほら、俺と一緒に行きましょ?俺を認めたくないって気持ちは分かります。でも、咲姫に謝る時だけでいいですから俺を友達と思ってください。それで全て片付きますから。ここは我慢して、何卒1つ。咲姫と仲直りするためです」

「咲姫ちゃんと仲直りするため……」

「ほんの数分我慢すれば咲姫と仲直りです。できますね?」

「……わかった。ちょっとだけ境まほろに付き合ってあげる」

 

 よし、洗脳完了。あとは咲姫と仲直りさせて俺はスッキリだ。咲姫も救われる。

 

「響子、ちょっと寄り道に付き合ってくれ」

「いいよ。でも、ちゃんと練習時間は守ってね」

「わかった。とううわけでノア先輩、行きますよ」

 

 俺はノア先輩に手を伸ばし、ノア先輩はその手を掴んで立ち上がった。頑張れノア先輩。負けるなノア先輩。ノア先輩の自業自得だけど俺たち応援するよ。響子はずっとノア先輩をよく思ってない目で見てたけど応援してるよ。頑張ろう。

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 咲姫に連絡したら教室にいると言うので俺たちは咲姫のいる教室に向かった。そして到着した、したのだが、ノア先輩を視界に写した瞬間の咲姫の顔色が、なんというかこう……嫌いな人を見るような、それ以上の存在を見るような顔だった。ノア先輩、一体咲姫に何言ったん?

 

「ノアさん、何しに来たんですか……」

「えと……あの……」

「ノア先輩ファイト。ほら、せーので行きますよ。せーの──」

「「ごめんなさい!」」

 

 俺とノア先輩は頭を下げた。誠心誠意……とはいかないけど、ノア先輩に申し訳なさはあるだろう。伝われ、俺たちの思い。

 

「咲姫ちゃん……あの……ごめんね?私……言いすぎた。境まほろはクズ男じゃなかった……。だから、境まほろにも謝って……友達になって──」

「……嘘」

「……え?」

「ノアさん、嘘ついてる……」

 

 おおっと。どういうことだ。早速バレた。咲姫が怒なんだけど。どこかで選択肢を間違えたか?いや、謝るという選択肢のどこに間違いがあるのか。謝りたいという気持ちはちゃんとある。嘘じゃない。

 

「ノアさんから、まほろさんを憎んでる色が見える……。友達なんて、なってない……」

「ち、違うわ咲姫ちゃん!私と境まほろはまだ浅いけど友情があって……」

「そんなもの、ノアさんから見えない……。どうせ、私と仲直りしたいから、まほろさんを巻き込んだ……」

「そ、そんな事してないわ!」

 

 咲姫は何らかの力によってノア先輩と俺の間に友情がないことを見抜いている。一体咲姫には何が見えているんだ。少なくとも俺からノア先輩へは友情があると思うんだが……。最近はノア先輩の事、おもしれー女って思ってるし。

 

「また、私に嘘つくの……?まほろさんが女の子を脅してるとか、お金巻き上げてるとか、無理やり襲ってるとか言うの……?」

「あ、あれは……その……咲姫ちゃんから境まほろを遠ざけたくて……境まほろの悪いところを知れば嫌いになるかなって……」

「まほろさんはそんな人じゃない……。本当に悪人だったら、色が濁ってる……」

「で、でも、現に境まほろは色んな女の子を誑かして……」

「まほろさんは自分の生きたいように生きてるだけ……。女の子なんか眼中にない……」

 

 いや、あるっちゃあるが。人並みには。まあ、自分の生きたいように生きてるのは事実だ。俺は今までやりたい事やったもん勝ち精神で生きてきた。ああでも、DJだけは昔見たD4fesって言うのに憧れて始めたんだ。真秀と一緒に見に行った。あれはマジヤバめなステージだったと記憶している。また行きたい。

 

「ノアさん、いい加減気づいて……。まほろさんは、自分の道を生きてる人……。好きな人もちゃんといる……」

「そ、そんな事言われても……。境まほろは男子の間ではクズで有名なのよ?女の子に無理やり迫って、毎日違う女の子とエッチな事してるって……男子が言ってて……」

「それはただの噂……。まほろさんは童貞……」

「そ、そんなはずは……」

 

 ノア先輩が困惑した顔してる。ああ、ノア先輩の俺に対する情報源はどこだと思ってたけど、ほかの男から聞いてたのか。どうりで情報が偏ってるわけだ。

 それはそれとして。咲姫さん、なんか不思議な力を持ってるのはわかるけど俺の事童貞って決めつけるのは良くないぞ。いや、実際童貞だけど。え、俺ってそんなに童貞臭する?泣けるで。

 

「ノアさん。まほろさんは……ちょっとおふざけ癖のある普通の男の子……。信じてあげて……?」

「無理よ……。境まほろを信用するなんて……」

「大丈夫……。まほろさんは、私と同じだから……」

「咲姫ちゃんと……同じ……?境まほろが?」

「うん……。まほろさんも私と同じように、宇宙を持ってる……。宇宙を持ってる人はあんまりいない……」

「咲姫ちゃんと境まほろは、似たもの同士って事……?」

「うん……!似たもの同士で、宇宙友達……!」

 

 咲姫は優しそうに笑った。100点満点の笑顔だ。この笑顔を前にして、ここまで説明されて、咲姫の能力を俺より知っているであろうノア先輩は、咲姫の言うことを信じないのだろうか。これで少しはノア先輩の男嫌いと俺嫌いが良くなると良いんだけど。

 

「ねえ、まほろ。宇宙って何?」

「なんか咲姫にしか見えないオーラというか心の形。ごく稀に宇宙を持ってる人がいるらしい」

「まほろからはなんで宇宙が見えるの?」

「さあ?真秀を愛してるからじゃない?」

「……ふーん」

 

 響子に宇宙の事を説明したら、なんか意味ありげな目で俺の事見て来たのだが。やはり響子はニュータイプだから何か感じるものがあるのだろうか。もしかして響子にも何か見えてる?

 いけない。今はノア先輩が咲姫に真実を聞かされてる最中だからしっかり見ておかないと。ノア先輩が改心してくれれば皆にノア先輩を紹介できるんだけどな。俺はノア先輩と咲姫の方に再び視線を…………ノア先輩、なんか膝から崩れ落ちてない?大丈夫?

 

「ノア先輩?大丈夫ですか?」

「境まほろ……私、間違っていたのかしら…………」

「友達になったふりして咲姫と仲直りしようなんて作戦が最初から間違ってましたね。俺も反省します。やっぱり、心の底からお互いを信用しないと咲姫には敵いませんよ。なんか咲姫には特別な力があるみたいでバレてますし」

「そうね……きっと私、間違っていたのね……。私も咲姫ちゃんの力の事を忘れてたわ。それに、境まほろはクズ男じゃなかった。カツアゲも強姦もしてなかった。ライブで女の子達に媚びも売ってなかった。ただ、男子共に嫌われてるって事がわかっただけだった」

「うーん中々酷い誤解をしてましたね。怒らなかった俺を褒めてください」

 

 クズ男って言うか、ただの犯罪者では。ノア先輩の言う通りの存在だったら、俺はとっくにムショに入って獄中王者ムショキングになってるはずだ。ひっでぇ誤解をしていたもんだね。

 

「ノアさん、まほろさんと友達になれます……?」

「多分、なれると思う」

「じゃあ、今日から俺たちマブダチですね」

 

 友情が芽生えた。なんと美しい。

 

「で、でも、咲姫ちゃんと付き合うのは許さないからね?うちの事務所恋愛禁止だし……」

「私とまほろさんの間に、恋愛感情はない……。私達は、恋人以上の関係……。ね?まほろさん……?」

「まあ、そうだな。なんなら家族以上かもしれないし。俺たちのコズミックな絆は無限大だ」

「そう……。確かに、咲姫ちゃんと似てるのかもね……境まほろは」

 

 ああ、やっとノア先輩に俺たちのコズミックエナジーを分からせる事ができた。ここまで長かった……いや、ノア先輩の会ったのまだ2回目なんだけど。まあ、咲姫がいい感じに懐柔してくれたしいっか。

 

「じゃあ、事は済んだみたいだし。俺は響子と歌の練習するから。ここらで退散いたすで候。にん──」

「まほろさんと、響子さんの……歌の練習……!」

 

 え、何。咲姫の目が突然やる気に燃え始めたんだけど。

 

「学園王者と学園2位のボーカルレッスン……ぜひ、参加したい……!」

「学園2位……誰が?」

「まほろさんが……」

「え、響子、俺って学園2位なの?」

「知らなかったの?ランキングもたまには見とかないと、何かあった時損するよ?」

「ランキングなんて気にした事もなかったんだぜ……」

 

 ハピアラがまだりんくと真秀だけだった頃、真秀達がどこら辺の順位にいるのか調べるために1回だけ公式ランキングサイト開いたけど、その時は下位しか見なかったしな……。1位はどうせピキピキだと思ってたし、1位以外アウトオブ眼中だったから他は覗きもしなかった。どうりで知らないわけだ。

 

「出ようと思えばサンセットステージ出られるのか俺」

「サンセットステージは4人以上から……」

「なるほど、真面目にメンバー集めを検討した方が良いのか」

「境まほろって意外と上にいたのね」

 

 俺もてっきり下位の方でアイドルごっこしてるのかと思ってた。まさかメンバーさえいればただの上位ユニットだったとは。メンバー……俺、男子には嫌われてるし同性メンバーの希望は薄いよな。どうしよう。

 

「まほろさん……メンバーいないなら、メイデン来る……?」

「まほろはピキピキに加入予定だからスカウトなら間に合ってるよ」

「まほろさんは、ピキピキよりメイデンの方が雰囲気あってる……」

「Photon maidenは静かすぎる。まほろには暴れさせてあげないと」

「むっ、メイデンは静かなだけじゃないわよ。独自の世界観で売ってるし、情熱もある」

 

 なんか俺をどこかに加入させる話してる?まだメンバー集めるって決めたわけじゃないよ?ほら、真秀とも相談したいし。

 

「まあ、俺もぼちぼちメンバー募集のPRポスター作ってみるよ」

「そんな事しなくていいから。ほら、ピキピキにおいで?」

「ピキピキより……メイデンに……!」

「こうして見ると、境まほろが女の子を侍らせてるように見えるわね」

「俺は被害者だ」

 

 そう、いつだって俺は被害者だった。いつもいつも女絡みのいざこざの犯人は俺にされ、いっぱい叩かれてた。そういえば、基本的に俺の周りでは女の子が争ってた気がする。それで俺が犯人扱いされてたのかな。黒歴史だね。

 でも、何があっても真秀が支えてくれたんだ。幼稚園から小学校までの真秀はすごい俺にベッタリで、何かあればすぐ俺の元に駆けつけて俺を庇ってくれたりした。

 

「まほろが好きな人の事考えてる顔してる」

「まほろさんの好きな人……?」

「真面目な顔して女の子の事考えていたのね」

「ああ、マキシマムドライブ克巳の事考えてた」

 

 ここまで献身的にされて真秀を選ばないってのも、中々失礼な話なんじゃないだろうか。やっぱり俺は真秀を選ぶべき?

 俺は屋上から見える夕焼け空を見ながら、真秀と付き合った時の事を考えた。

 

「真秀を選んだら、皆はどうなるんだろ」

「別に、私は境まほろが誰と付き合おうがなんとも思わないけど。その真秀って人と付き合えばいいじゃない」

「まほろさんが幼なじみさんと付き合えば、宇宙がもっと広がると思う……」

「響子はどう思う?」

「私は……あんまりよく思わない」

 

 響子は反対。やっぱり俺には1人でアイドルしてて欲しいという事だろうか。

 

「なるほどねぇ。境まほろ、誰かを選ぶなら付き合う前にしっかりケジメはつけなさいよ」

「指を詰めろと。ケジメドライバー?」

「そういう話じゃ……いえ、あなたの癖ね。はぁ……」

「まほろさん、ふざけちゃ、めっ……」

 

 真秀を選ぶなら真秀以外をちゃんと振って、真秀以外を選ぶなら真秀を振れと。真秀を振ったら、きっと悲しい顔をするんだろうな……──なんだろう、胸がズキズキする。真秀にそんな顔させたくない。

 

「まほろさんの宇宙が、揺らいでる……」

「境まほろ、今何考えてた?」

「真秀が悲しい顔をした時の事をちょっと。そんな顔させたくないなって」

「もうほとんど答えは出ていそうだけど、頑張ってね、響子ちゃん」

「はい……」

 

 響子は響子で切なそうな顔をしている。前に俺と好きな人の話をしていた時も似たような顔をしていた。好きな人の事考えてたいたのだろうか。

 

「1回、真秀って人にも会ってみたいわね」

「真秀は音響室でハピアラの練習してるはずだから会いに行こうと思えば行けますよ?」

 

 音響室、今から行ってみようか──

 

 

「私の事呼んだ?」

 

 

 俺の背後から、真秀の声がした。いや、今さっきまで気配のけの字もなかったんだが。

 

「真秀、何故ここに」

「休憩がてら抜けて来た。盗聴機の充電がさっき切れて今どうなってるかなって。で、響子さんは良いとして、こいつら誰」

「福島ノア先輩と出雲咲姫だ。仲良くして──」

「……そう。こいつがまほろを散々罵倒してくれた女ってわけね。福島ノア、ちょっと1発殴らせてくれないかな」

「え、何この子……怖……」

「ふん!」

「ヘブ!?」

 

 ノア先輩の土手っ腹に真秀が正拳突きを入れる。そういえばノア先輩に会ったら拳で対話するって言ってたっけ。

 

「ゲホ……ちょ、ちょっと!いきなり何するのよ!?」

「本当は殺したいほど憎いけど……私は殴ることしか許されてない……」

「境まほろ!どういうこと!?」

「いえ、前にノア先輩が俺に言った悪口を全部真秀が盗聴器で聞いてまして。止めたんですけど、ノア先輩肉塊エンドを決闘エンドにするのが限界でしてね?まあその、ノア先輩には悪いんですけど耐えて貰うしか」

「今の1発でだいぶ堪えたんですけど!?やめさせなさいよ!」

 

 やめさせる……できるかなぁ……真秀の目が殺意に満ち溢れてて握る拳がプルプル震えてる。

 

「ほら、真秀。もういいだろ。聞いてくれ、ノア先輩と友達になれたんだ。だからもう殴る必要は無い」

「それはそれ、これはこれ。私は福島ノアと拳で分かり合う。それしか福島ノアを許す方法がない」

「ノア先輩にインファイトの経験はないんだ。1発殴った事だし、分かり合えたと言うことで。ほら、今日は一緒にお風呂入ろ。背中も洗ってあげるから」

「……わかった。福島ノアと分かり合えた事にする」

「よく出来ました」

 

 一緒のお風呂で止まってくれたのは真秀が俺に甘くなってるから?以前なら確実にセックスを要求されていた。真秀も成長してるんだね。やっと遠慮と言うものを覚えてくれた。ここまで長かったなぁ……。

 

「女の子とお風呂なんて、幼なじみとは言えちょっと破廉恥なんじゃない?」

「いえ、昔からですので」

「でもまほろはむにとか麗ともお風呂入ってるじゃん」

「境まほろ、どういうこと?」

「不可抗力だったんだ……!」

 

 むには無理やり入ってきたし、麗はなんかさも当たり前な顔して入ってきた。俺は何も悪くない。

 ほら、そんな事よりさ、ピキピキもメイデンもハピアラもいることだし、一緒に練習しません?俺、機材揃えますね。

 

「そろそろ真面目に練習しないと下校時間になるんじゃない?どうせなら皆一緒に練習する?響子、どうする?」

「私はまほろに任せるよ」

「皆で練習……素敵……」

「じゃあ、真秀のところにお邪魔しちゃおうかな」

「いいよ。皆も喜ぶと思う」

 

 真秀に連絡してりんく達から許可を貰った。ハピアラのいる音響室に行ったら、むにが俺の顔と響子達の顔を見比べた後、俺の腕に抱きついて来た。むに曰く、彼女アピールして皆に牽制を取っているらしい。むに、大丈夫だぞ。響子とノア先輩と咲姫は俺の事そういう目で見てないから。いつも通りでいて良いぞ。そもそも俺はむにの彼氏じゃない。

 

 

 そうしてこうして、皆と歌やダンスの練習をして、下校時間まで沢山練習した。途中ダンスの練習でハピアラのダンス組、ピキピキのダンス組、メイデンのダンス組で分かれ、俺をどこに入れるかで混沌を極めていたが、とりあえずハピアラ派に入り争いを収めた。響子に「エコヒイキはダメ」って言われたけど、今回は勘で選んだからエコヒイキじゃないよ。ああ、どうせまた明日ハピアラのサポートしたってしのぶに怒られるんだろうな。辛ぽよ。

 

 




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