ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常   作:コントラポストは全てを解決する

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カリスマとピュアが合わさったキメラメンタル女

 アタシの名前は犬寄しのぶ。ピーキーなユニットでDJをやっている美少女だ。今日はユニットメンバーであり我がユニットが誇る最強のボーカル、山手響子の家に来た。ちなみに由香と絵空はいない。アタシと響子、2人だけ。まあ、この状況にもとっくに慣れたというものだ。

 

 響子は、一言で言えば『カリスマ』というものを持っている。束ねるのも上手いし、その美顔とリーダーシップで数多くの夢女を生み出して来た。恐ろしいね。女性であるにも関わらず、ファンは同性が多い。まあ、たまに響子に筆おろしされたいとかいう変態男子が現れるが。

 しかし、そんな響子でも堕とすのに苦戦している人物がいた。

 

 それが、境まほろという男子だ。

 

 響子はまほろを前にすると恋する乙女に変貌し、頭を撫でられただけでデレるチョロインになる。持ち前のカリスマは吹き飛び、素の響子にレベルダウンしてしまうのだ。

 もちろん、響子だって好きで素を出している訳では無い。現にアタシを家に誘い、過去23回に渡って境まほろ攻略会議を開くなど対策も立てている。が、結局いくら対策や攻略演習を重ねても、まほろを前にすると全てが吹き飛んでしまう。

 響子もそれはわかっているのだが、響子自身が溢れ出るカリスマお姉さんの包容力でまほろを堕としたいう小さなプライドを叶えるため、今日もまほろを攻略する練習をするのだ。

 

 そうしてアタシは、今日行われる第24回境まほろ攻略会議のために呼ばれた。アタシもまほろを狙っている身だが、まあ、響子には負けないだろうと言う事と、響子の監視も兼ねて協力している。この間なんて抜け駆けしてまほろと2人きりでご飯食べてたからな。うらやまけしからん。

 

「しのぶ、本屋でこんな本見つけたんだけどさ、どう思う?」

 

 響子がそう言って持ってきたのは、『男子即堕ちあざと攻略術』という、まあ恋愛初心者が読みそうというのが第1感想に来る本だった。

 

「あざとさは響子に似合わないんじゃないか?あざとさって甘え上手みたいなもんだし、響子からはかけ離れてると思うが」

「私にかけ離れてる要素だからこそ、それが私と合わさったら無限の可能性を発揮するんじゃ──」

「で、それはまほろの前で実践できるのか?」

「…………」

 

 響子が落ち込んでしまった。まあ、それが出来たら苦労しないし、出来ない響子だからこそアタシは協力してるんだけど。

 

「で、でも!これに載ってる『気軽にさりげなくボディータッチ』ぐらいだったら私でも……」

「そんな事するよりまほろのちんこにタッチした方が手っ取り早いと思うぞ」

「そ、そんな事……!」

 

 響子が赤くなってしまった。アタシの自論だが、まほろの場合に限りアピール方法は下に振り切った方がいいと思っている。まほろの持ってたAVにも、相手が無理やり……というか褐色巨乳幼なじみ攻めのモノがいくつもあった。

 

「いいか響子。あいつは口では正常位でかっこよくリードしたいとか言ってるが、本能は女の子に屈服したがってるようなやつなんだぞ。だから、まほろへのアピールなんてちんこタッチ、押し倒し、既成事実セックス、この3つで十分なんだ」

「でも、それだったらまほろはもう初めてを失ってるんじゃ……」

「まほろの幼なじみが全力でまほろを守ってるからなー。幼なじみガードが硬いんだ」

「あぁ……真秀ちゃんね……」

 

 ほんと、絵空と同じぐらい明石真秀は厄介なんだよな。境まほろファンクラブがあったら会員ナンバー1番の座を巡って絵空と殴り合いしてそう。

 

「まあ、明石真秀がいる限りまほろと付き合うのは無理だろうな。そう思うとさ、ちまちま恋愛ウブみたいなアピールするのなんて無駄だと思わないか?」

「でも……地道に努力すればいつかは……」

「響子に残念な知らせがある。絵空調べでな、まほろがもう本能では明石真秀を好きになっているかもという情報が入ってきたんだ」

「そんな……。一体どうやってまほろを堕としたの?あの鈍感と茶化し癖で女の子の好意をかわして来たまほろを……」

 

 鈍感と茶化し癖。響子が絶望するには十分なスキルだ。その点アタシの好意はまほろに伝わってるからそういうところでは響子をリードしてる。

 

「まほろもよく言ってるだろ、『俺は真秀を愛してる』って。あいつは明石真秀を好きになる前からクソでかい感情を明石真秀に抱いてるんだ。それに勝つには、生半可なアピールじゃダメ。響子も直球で想いを伝えるんだ」

「でも……まほろを襲うなんて……」

「ここでカリスマリードを出さないでどうする。響子の武器で、なし崩し的におねショタ同人みたいなエロイベントを展開するんだよ」

「そ、そんな事……」

 

 響子がリードして、甘い言葉で誘惑しながら手こき、デカくしたまほろセイヴァー(意味深)を響子の壺にIN。それが1番早いまほろ攻略ルートなんだ。アタシはがっつき過ぎてまほろに警戒されてるけど、響子なら行ける。

 

「いいか響子。まほろを手に入れるには、既成事実を手に入れまほろに責任を負わせて付き合う手しかない。まほろのクソデカ思い出愛情に勝つには、処女喪失させた責任を負わせるしかないんだ」

「まほろが可哀想……」

「じゃあ、まほろを明石真秀に取られてもいいのか?」

「そ、それは嫌!」

 

 こうしてる間にも、明石真秀がAVごっことか言ってまほろとの既成事実を試みているかもしれない。明石真秀がまほろとヤったらもうゲームエンドだ。アタシ達は負けヒロイン行き。

 

「明石真秀は手こき、パイズリ、素股、その他性技をやった時点でも勝ちになる。それに比べて、アタシ達はまほろとの本番セックスからの種受けしか手札がない。まほろにアタシ達の処女の血を見せて責任感負わせて付き合うしかないんだ」

「でも、私達高校生だし……」

「そう言うと思ってピルを貰ってきた。絵空の家で貰った誰にでも効く万能薬だ。あと媚薬。まほろを興奮させるために使う」

「ピル……媚薬……まほろとえっち……」

 

 響子の目がぐるぐるしている。性的な事にここまでピュアだとまほろと付き合ったあとで苦労するんじゃないだろうか。まあ、まほろなら響子の意思を尊重して結婚するまでセックスはなしとか言いそうだけど。

 

 アタシが響子に負けるはずないが、まあ、もし響子がまほろと付き合ったらセックスする時にヘルパーとして混ざって、その後まほろに響子とアタシで二股してもらえるように頼もう。ダメって言われたらまほろのオナニーボイスを絵空に売る。まほろとの約束上そんな事はしたくないが、私も時には情を捨てる。

 

 なんなら、これからまほろを響子の家に誘って、そのまままほろに媚薬を飲ませて3Pセックスに持ち込んでもいい。こういう事は早いうちにやった方がいいんだ。善は急げ。

 

 

 

 ──ピンポーン。

 

 

 

 そうして、響子の家のインターホンがなったのはアタシがそんなことを考えていた時だった。

 響子が来客モニターの元に行くと、そこにはまほろがいた。あんな話をした手前、響子はモニターの前で真っ赤になっていて。しょうがないからアタシが出てやった。

 

「まほろか。ちょうどいいところに来たな。上がってけよ」

『いや、街で見つけた美味そうなハンバーガー買って来ただけだから、上がるほどの事じゃ──』

「そのハンバーガー、何個ある?」

『響子の親御さんと響子の分で3個。パーティーサイズのポテトもあるよ』

「アタシと響子とまほろ、3人で食うぞ。決定事項な」

『え、ちょ──』

 

 アタシはモニターの通話終了ボタンを押した。

 境まほろ攻略会議の日にまほろが訪れた。これは対策内容を試せとの神のお告げだ。チャンス到来。

 

「響子、いいか?まほろの飲み物に媚薬を混ぜて、まほろがその気になったら一気に押す。今日こそ響子のカリスマお姉さんをまほろに見せてやるんだ」

「こ、心の準備が──」

「善は急げ。行くぞ」

 

 

 そしてアタシ達はまほろを響子の家へと招き入れた。ようこそ、アタシと響子しかいない魔の巣窟へ。今日こそまほろのちんこを見てやる。

 

 

「ほんとに上がってよかったの?響子がなんか複雑な顔してるけど。あと、なんで響子の家なのにしのぶが仕切ってるの?」

「細かいことは気にすんな。飲み物入れるから待ってろ」

「響子、ほんとに迷惑じゃなかった?」

「あ、え、まほろならいつでも来てくれていいし、私も嬉しいし……あはは」

「まあ、響子がそういうなら」

 

 まほろが響子に気を取られてる内にアタシは台所で飲み物を準備する。カルピス原液と清水家製即効性の最強力媚薬を半分ずつ入れ、炭酸で割った。絵空の家の媚薬は便利なもので、何故か無味無臭なのだ。完全に相手に内緒で盛る事を前提に作られているように感じるのは気のせいだろうか。まあ、今は助かってるけど。

 

「はい、まほろの分。こっちは響子な」

「あ、ありがとしのぶ」

「なんか俺のだけ色違くない?なにこれ」

「まほろのだけミックスジュースとカルピスを混ぜた。美味いかどうかの実験だから気にしないでくれ」

「俺はモルモットじゃないんだぞ」

「アタシの入れた飲み物は飲めないとでも?」

「パワハラで草」

 

 これが響子の入れたジュースだったらなんの警戒もなく飲むんだろうな。なんだか悔しい。響子に負けた気分だ。

 

「まあ、ただのジュースには変わりないんだから」

「それもそうか。じゃあ、いただきます」

 

 ついにまほろが特性カルピスを飲んだ。一気に半分。これでアタシ達の勝ちだな。でも、肝心の響子はまほろが買ってきたハンバーガーに気が逸れていて集中できていない様子だ。響子、ハンバーガーなんて後でいくらでも食えるんだから今はほっとけ。

 

「まほろ、これはどれがどれ?それとも全部同じ?」

「えっとな、これがテリヤキバーガーで、こっちがチーズ増し増しチーズバーガー、これがロコモコバーガー」

「なるほど……しのぶはどれにする?」

「え、いや……余ったやつでいいが」

 

 なんか、普通にハンバーガー試食会が始まろうとしてる。響子がチーズバーガーを選んで、まほろがロコモコバーガーで、アタシは余ったテリヤキバーガーを貰った。

 まあ、そのうちまほろに盛った媚薬が効いてくるしそれまで様子見……というわけで、アタシはまほろの様子を伺いながらハンバーガーを食べた。

 

「うん、美味しい。まほろ、これどこの店?」

「中央通りのデパートの中に出来た店なんだ。結構店の見た目も気合い入ってたから買ってみた」

「なるほど……今度私も行ってみるよ」

 

 響子、これからまほろを襲うんだけどさ、そのこと頭に入ってる?完全にハンバーガーに気を取られてない?いや、結構美味しいんだけどさ。

 

「しのぶ、さっきからずっと考え事してるっぽいけど、どした?新曲の構想か?」

「あー……まあそんなとこ」

 

 気持ちまほろの顔が赤くなってきたか?まほろの股間は……これはズボンの膨らみ?それとももう勃ってる?

 即効性と言うからにはすぐ効くんだろうし、もう効き始めてると見ていいだろう。

 

「で、まほろはなんで響子の家に?わざわざハンバーガー届けに来たのか?」

「え、そうだけど。ハンバーガー屋見た時に響子の顔が浮かんで」

「私のために……ふふっ……」

 

 おい響子、なにときめいてるんだ。ラブコメは後にしてくれ。いや、ハンバーガー買ってきただけでなんでラブコメが始まるんだよ。響子ちょろすぎだろ。

 

「はい、ごちそうさまでした。結構美味かった」

「もう食べたのか。しのぶ、腹減ってた?」

「まあ、やらなきゃいけないことがあるんでな。それよりまほろ、なんか変わったことないか?身体が熱いとか」

「ッ!」

「そういえば、なんか身体がポカポカする」

 

 アタシの言葉で響子も察したようだ。一瞬で顔を赤らめ、食べていたハンバーガーを1度置いた。そしてまほろもさっきより明らかに顔が赤くなっている。まほろのナニがズボン越しでも分かるぐらい膨れ上がっていた。頃合だろうか。

 

「響子、あとは頑張れ」

「え、し、しのぶも一緒にやってくれるんじゃないの?」

「混ざっていいのか?」

「後の事は後で考えればいいし……」

「2人ともなんの話してんの?俺だけのけものフレンズなんだけど」

 

 何も理解していないまほろを他所に、アタシと響子はまほろの両サイドを陣取った。だが、まほろは動じない。普段数多の美少女を傍に置いてるせいか体を密着させた程度じゃビクともしなかった。まあ、アタシとAV見ても襲ってこなかったしな。

 

「ね、ねぇ、まほろ、なんかさ、その……え、えっちな事したくない?」

「いや別に」

「でも、まほろの“ここ”は準備万端にしてるが?ほら、怒らないから正直に言えよ。ムラムラしてるって。アタシ達はなんとも思わないからさ」

「そういえばなんかムラムラする。1週間抜かなかったツケが回って来たのかもしれん」

 

 まほろのちんなちんを触ろうとしたら、まほろの手に止められてしまった。なんか、まほろ自身のガードが前より硬くなってる気がする。硬いのはちんこだけで十分なんだけど。前にアタシが襲った時は逃げたのに、今回はその素振りすら見せない。

 

「アタシ達が抜いてやろうか?」

「ま、まほろ、私、頑張るよ……?」

「落ち着け2人とも。こんな真っ昼間にしたら絵空と真秀が突っ込んでくるぞ」

「「……」」

 

 おかしい。まほろは興奮しているはずだ。なのに何故か理性がある。理性があるように見せてるのか、なにか境地に至ってしまったのか。まほろの言うこともご最もなのだが……いや、どうすんだこれ。

 

「まほろ、我慢しなくていいんだぞ?響子かアタシ、どちらかでもいいからさ。顔も赤いし、ちんこだってこんなに大きくなってるし。セックスしたいだろ?」

「性欲に身を任せるとろくな事にならないって最近school daysで学んだばっかだからなぁ」

「お前……この状況で襲わないのはさすがに引くぞ……ヘタレめ……」

「昔っからそうだし、今更じゃね?」

「し、しのぶ……こう言う時ってどうすればいいの?」

 

 まずい、まほろのヘタレと謎のガードの硬さが計画を阻んでいる。何とかしなければ。

 

「それよりさ、ひとついい?」

「なんだ、やっとその気になったか?」

「いや、なんかさ、めっちゃ眠い」

「は?」

 

 まほろが急に眠たそうにしだした。いや、どういうことだ。徹夜明け?徹夜明けなのか?

 絵空の媚薬があれば勝ち確だと思ってたのに、なんだこの有様。

 

「眠いから俺先帰るね。お邪魔しました……」

「ま、まほろ!待って!」

「んぇ、どうした響子」

「べ、ベッド貸すからさ、うちで仮眠してきなよ。眠たいまま帰って事故とかにあったら大変だしさ……」

「そう?じゃあお言葉に甘えようかな」

 

 

 

 響子の一言によりまほろを引き止めることに成功した。したのだが、おそらくこれから眠るであろうまほろをどう扱えと言うのか。

 とりあえず響子の部屋にまほろを連れてきたが即行でまほろだけベッドインして1分で寝てしまった。

 これは、計画失敗なのだろうか。アタシの完璧な計画が失敗した?失敗要因はなんだ。アタシがまほろの守備力を見誤った事か、まほろを襲った謎の眠気か。アタシには分からない。

 

 

 

「しのぶ、まほろに飲ませた媚薬、見せてくれない?」

「いいけど。はい」

 

 

 思うところがあるのか、響子はアタシが渡した媚薬の成分欄をまじまじと見ていた。成分を見てなにかわかるのだろうか。アタシはマムシエキスの部分以外何もわからなかったが。

 

「しのぶ、ここ見て。この成分に確か睡眠導入作用があったはず」

「媚薬に入眠するための成分が入ってるのか?なんで?」

「多分、相手を興奮させつつ眠らせて、その後襲うってことじゃないかな」

「睡姦用って事?なんでまた……」

 

 いや、よく考えたらこれは清水家……と言うか絵空がまほろを襲うために作ったと言っていた気がする。絵空もハニートラップじゃまほろが襲ってこないことを予期して、睡姦に方向性をシフトしたって事か?合理的だがまほろの反応の楽しめないからアタシには向いてないな。

 

「それにしてもよくその成分がわかったな。響子も絵空と同じことしようとしてたのか?」

「そ、そんなわけないじゃん。ただ、おじいちゃんが不眠症でよく飲んでた眠剤がこれと同じ成分だっただけだよ。結構強力な薬だったはず」

 

 そういう眠剤って病院でもらうやつだよな。ガチ薬物をまほろを襲うためだけのものに入れたのか……絵空怖……。

 

「ふーん……そっか。まほろはしばらく起きないって事だし、そうだな……ちょっとだけまほろの身体を借りちゃおっか」

「え、響子……?」

「今なら何しても良いってことだよね」

「睡姦はつまらないと思うぞ……」

 

 響子の『ふーん』はカリスマモードの時に出る口癖だ。なにかカリスマ的で性的な事を思いついたのだろうか。今襲ってもハメ撮りしない限りまほろに責任を負わせることは出来ないが、はたして……。

 

 

 

 

 そして、響子はまほろの上に覆いかぶさって、まほろを押し倒してるような体勢になった。いや、何してるんだ。

 

「これが……まほろを押し倒す感覚……。腕細いな……」

「響子……?」

「まほろの首……いつ見ても綺麗だね……」

「響子?おーい?」

 

 え、何、急に響子がまほろに語りかけ始めたんだけど。本当に何してるの?あぁ……響子が他所には見せられない顔してる……。

 

「まほろが起きてる間は恥ずかしくてこんなこと出来ないけど、まほろが寝てる今なら……こんなチャンスもう二度とないから……」

「響子、落ち着けって。そういう事はまほろが起きてる時に──」

「止めないで。私は、こうでもしないとまほろへの想いを言葉に出来ないから」

 

 もしかして、まほろが起きてる時の響子ってセーフモード的なあれだった?まほろは響子の事をマイラブリーエンジェルって呼んでたけど、その本性はヤンデレにも引けを取らないまほろへのクソデカ愛情を持った危険人物なんじゃ。

 

「まほろ、いい匂い……けど、ダメだよ。こんな高揚しちゃう匂い出しちゃ。たくさん女の子を誘惑して来たんでしょ?私だってしのぶだって、こんな事になっちゃったんだから」

 

 響子、カリスマモードが暴走してる。アタシもまほろに魅了された1人だし、理性が切れた時はまほろに酔わされたように荒ぶっちゃうけど、アタシも今の響子みたいになってるのかな。さすがに響子みたいな顔をまほろに晒してると思うとこれからは控えようって思ってしまう。

 

「真秀ちゃんにつけられたまほろの首の傷跡……私だって……」

 

 うわ……響子がまほろの首にマーキングした。ガリって音が聞こえたし、血が出てるし。しかもご丁寧に明石真秀がつけた傷の位置とちょうど正反対の位置につけてる。戦う気満々で怖い。

 響子、攻略会議してる時のウブさはどこへ行ったんだ。まほろの記憶にさえ残らなければなんでもするのか?響子もアタシと同じでスイッチ入ると人が変わる系?

 

「キス……はまほろが起きてる時にしたいから。だから、今はこっちに──」

 

 響子がまほろのおでこにキスした。今の響子、カリスマお姉さんの雰囲気が出てて同性のアタシでもエロいって思ってしまう。それをまほろが起きてる時にやればイチコロだろうに。

 

「はぁ……まほろ……好き……大好き……。安い言葉しかかけられないけど、愛してる……。まほろのものになりたいし、まほろを私のものにしたい……」

 

 切なそうな顔でまほろの胸に顔を擦り付ける響子。急に甘えん坊になった。響子ってこんな甘え方するんだ……。今更だけど、アタシ見てていいのかな。

 

「まほろはさ、私の気持ちなんて知らないだろうけどさ、私はあの時から……私の作った曲を好きって言ってくれた時からずっとずっと好きだったんだよ?まほろが初めてだったんだ。私の曲でノってくれる人」

 

 あぁ、自分の曲を好きって言って貰えるのは嬉しいよな。しかも、響子の作る曲はかなりピーキーだからついて行ける人が少ないし、男で初めて趣味が合ったのがまほろだったのか。そりゃ気に入っちゃうよなぁ。

 

「中3のリミコンで2位になって、勝手に女の子のファンを増やしたの私嫌だったよ?このままじゃまほろを取られるって思って、ピキピキに引き込もうと思った」

 

 アタシはピキピキを更に上へ進化させるためかつまほろの彼女の座を手に入れるためにピキピキに誘ってたけど、響子はちょっと違ったんだな。てっきり響子もアタシと同じ目的なのかと思ってた。

 

「女の子のファンだけじゃない。どんどん増えてくまほろの婚約者も、あの子供っぽい許嫁も……まほろはああいう子が好みなの?私じゃダメ?」

「……許嫁?」

 

 まほろの……許嫁……?初耳なんだが。まほろ、エセ婚約者に飽き足らず許嫁まで作ったのか。ハーレム目指してんの?

 

「まほろを好きになった理由を新人類のフェロモンのせいにされかけたの……悲しかったよ?……でもしょうがないよね……まほろは鈍感だから自分が好かれてる理由なんて分からないよね……」

「新人類……?フェロモン……?」

 

 響子は何を言ってるんだ。

 

「ねえ、しのぶ」

「え、急に何?」

「私がまほろにつけたこのマーキング、しのぶがつけた事にしてくれない?」

「え、なんで?まほろに私がつけましたって言えよ」

「恥ずかしい……。まほろにこんな事したって知られたら私生きていけない……」

 

 響子の論理感どうなってるんだ。アタシがいなかったら自分でまほろに弁明する羽目になってたと言うことだぞ。もっと後先考えて…………いや、考えられないほどまほろへの鬱憤その他積もり積もった想いがあったということ?響子もラブリーエンジェルやめてヤンデレになれば?

 

「響子、あの本に載ってた『気軽にボディータッチ』、できたじゃん」

「まほろが寝てる間ならね。まほろに見られると……あの優しい顔で見つめられると……うぅ……」

「ウブなのか大胆なのかどっちかにしろよ……」

「私もしのぶみたいにまほろとえっちなビデオ見たい……そのまま雰囲気に任せて押し倒したい……まほろの自慰ボイスでイってみたい……」

 

 響子、だいぶ拗らせてるな。もうダメみたいだ。幸い、まほろが覚醒してる間なら響子はピュアなままでいるからいいけど。ピュアとカリスマの二面性、心が疲れそうだ。

 

「しのぶ、もうひとついい?」

「なんだ」

「まほろに許嫁がいること、絵空には黙ってて欲しい。ていうか誰にも言わないで欲しい」

「逆に誰が知ってるんだ?」

「私の知ってる範囲では、私と真秀ちゃんだけ」

「一応聞くけど、その許嫁の名前は?」

「竹下みいこ。有栖川女子学院に通ってる。まほろのお父さんが社長でさ、社長友達の娘らしいよ。それで縁談が上がったらしい」

「ガチめな許嫁じゃん……」

 

 まほろと明石真秀の結婚の約束が子供の口約束に聞こえるぐらい本物の、大人の婚約だ。絵空にバレたらきっとまほろのお父さんに入りよって絵空もまほろの許嫁になるんだろうな。そりゃ黙ってて欲しいわけだ。

 まあ、響子の本性とか許嫁とか知りたくないことが沢山あったが、響子がスッキリしたような顔で何よりだ。まほろが目覚めないうちに引きはがそう。

 

「響子、満足したか?そろそろ引かないと後が大変だぞ」

「……まほろと添い寝したい……まほろの温もり、もっと感じたい……」

「やめとけって。マジで後悔するぞ」

「ダメ……無理……眠い……。まほろが起きそうになったら起こして……。おやすみ……」

「あ、ちょ──」

 

 

 響子、入眠。アタシは知らないからな……と言いたいところだが、響子のメンタルを守るためだ。そもそもアタシは響子の見張り役。あんな響子を見てしまった手前万が一が起こった時のためにちゃんと監視を──

 

「……ん?じいちゃんからLINE?『しのぶに作曲の依頼が入ったから今すぐ見て欲しい。資料が家に送られて来たから帰ってこい』?」

 

 ……。

 

 響子の見張り……仕事の資料……。うわ、多分この仕事は断れないし遅れも許されないやつだ。今すぐ帰ってやった方がいい。響子もまほろもいつ起きるか分からないし……だがしかし……──

 

 

 

「響子、ごめん!」

 

 

 

 仕事が気になりすぎる。それに、まほろは響子が隣で寝ていようが気にしないだろう。響子がメンタルブレイクしてしまう可能性があるが、まほろと響子の程よい進展になるだろうしコラテラルダメージだ。たまには響子に肩入れしないとライバルの名が廃る。

 

 というわけで、帰宅!がんばれ響子!

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 目が覚めたら響子が隣で寝ていた。いや、どういう状況。確か、響子にハンバーガーを届けて、しのぶと3人で食べて……あとなんだっけ。眠気が襲って来たのは覚えている。

 

「ここは響子のベッドか。なんかいつもと違う感じがすると思ったら」

 

 もう日が暮れる。帰らなければ。なので俺は急いでベッドから下りて……あれ、なんか響子が服の裾掴んでる。

 

「響子?」

「……ん……まほろ……行かないで……」

「は?可愛よ」

 

 さすがマイラブリーエンジェル響子。寝てても隙がない。まあ、このままでは俺が帰れないので響子を起こそう。

 

「響子ー朝だよー」

「ん……まほ、ろ……?」

「起きた?」

「うん……起きt…………──ッ!?!?!?」

 

 ゲットアップ響子。何故か慌てている。どうしたのだろうか。

 

「ま、まほろ!?なんで起きて──しのぶは!?」

「しのぶなら急用が出来たって手紙が置いてあったから帰ったと思うぞ」

「そ、そっか……。あ、あの!これは違くて!まほろの寝顔見てたら眠たくなっただけで決してやましいことは!」

「あはは、そんな慌てなくても大丈ぶい。響子がしっかりした子だって事は俺が1番知ってるから」

「あっ……うん、そうだよね……あはは……」

 

 響子の残念そうで安心しきった顔。よく分からない心境だが、まあ、響子のことだし大した事はなかったのだろう。それにしても、響子としのぶに誘惑された夢を見たがやたらリアルだった。もしかしたら現実──まあ、リアルであれ夢であれ、俺は2人を襲ってないからセーフ。

 

 さてと、いい時間だし帰るか。

 

 

 最後に響子の頭を人撫でし、頬を赤くする響子にお別れを告げたあと俺は山手家を出た。なんか首筋がヒリヒリするが虫にでも刺されたんだろうか。

 

 

 

 ────────

 

 

 

 帰宅……したのだが、玄関で当たり前のようにエプロンを来てお出迎えした真秀に俺は正座をさせられていた。Why and ジャパニーズピーポー。

 

ねえ、まほろ。その首のあざ何?

「首の……あざ……?」

「とぼける気?はい、手鏡」

 

 激おこ真秀ちゃんから手鏡を受け取り首を見る。確かにあざがあった。なんだこれは。僕のデータにはないぞ。

 

「マジで覚えがない。真秀の盗聴でも記録ないの?」

「生憎、今修理に出しててね。でさ、そのあざ、どう見ても私がしたマーキング痕と同じだよね。まほろ、どこ行ってたの?」

「響子の家。しのぶもいた」

「犯人はしのぶさんか……」

 

 なるほど、俺と響子が寝てる間にマーキングを。しのぶもそこまで病んじゃったんだなぁ。おいたわしや。

 俺は一瞬無罪になったがなぜ響子が気づかなかったのかを真秀に触れられ、結局全てを話し有罪になってしまった。でも、響子と添い寝出来た思い出は絶対忘れないし悔いはない。我が人生に一遍の悔いないのだ。

 

 この後普通に真秀にもマーキングされた。キスマークだから痛くなかったぜ。真秀も優しくなったなぁ(しじみ)




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