ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常   作:コントラポストは全てを解決する

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大鳴門家っていつもむにしかいない

『まほろ、あたしの家に来て』

 

 みいこが居候を始めて6日か7日だか経った日曜日。むにの招集がかかった。この「家に来て」とは十中八九泊まりに来いと言う合図なわけで。むにが俺の存在を欲してるということ。それならむにの方が来いという人がいるかもしれないが、こっちに来れば高確率で真秀がいる。俺と2人きりになりたいむににとっては致命的。

 

「みいこ、ちょっとむにの家に泊まりに行ってくる。ご飯は作ってあるから食べといて」

「みいこも一緒に行くの!」

「いや、出来れば留守番してて欲しいんだけど」

「むにちゃんとか言うどう見ても旦那様の貞操を狙ってる女の子の家に旦那様を1人で行かせるわけにはいかないの」

 

 ありがたいんだけど、最近のむには俺の貞操より心を欲しがってるからあんまり心配しなくていいって言うか。どうやって俺に愛して貰おうかを最近のむには考えているように見える。セックスが安易な事にやっとむにも気づいてくれた。でも多分そのうちセックスを要求してくると思う。

 

「安心しなされ。むには大丈夫だから。女の子マスターの俺の言葉を信じて」

「真秀ちゃんにレイプされた旦那様の言葉なんて信用できないの」

 

 ぐうの音も出ねぇ。そもそも俺は女の子マスターなんかじゃねぇ。

 みいこは諦めてくれそうにないので連れて行くことにした。最近は料理もちょっとだけ作れるようになったし、むにとみいこと俺で飯食って家族体勢を取ればむにも許してくれるだろう。

 

「しょうがない。みいこも連れて行くか。むにと仲良くするんだぞ?」

「それはむにちゃんの態度次第なの」

 

 正直荒れる気しかしないけど置いていっても付いて来そうだし。荒れたら俺が何とかするしかない。

 

 

 

 

 ────────

 

 

 

 

 むに家に到着した。ピンポンの音で玄関から出てきたむにはみいこを見た瞬間むくれた。争うなよ?争うなよ?フリじゃないからな?

 

「なんでみいこがいるのよ」

「見張り役なの」

「そういうわけで、みいこも上げてくれるとありがたい。みいこの分のご飯は俺が作るし、寝る時も俺とみいこが一緒にリビングで床寝するから何とか泊めさせてあげられないだろうか」

「……まほろ、料理できるようになったの?」

「みいこのために覚えた」

「…………あたしにもなにか料理を作ること。寝る時とお風呂はいつも通りあたしと一緒。それがみいこを泊める条件」

「ありがと」

 

 俺の所有権を譲渡する代わりにみいこの宿泊が許された。良かった。ここでみいこだけ入居禁止になったらみいことむにが殴り合いを始めるところだった。むにが家族愛に飢えてて、俺の料理に釣られてくれたのが幸いか。あとは家の中で争いが起こるのを防止すれば俺の胃は安泰だ。

 

「はい。みいこはゲームでもしてなさい。あたしはまほろと話してるから」

「みいこの目の届く範囲に旦那様をいさせるの。もし旦那様に何かしたら許さないから」

「あら、まるでまほろがみいこのものみたいな言い方ね」

「少なくとも旦那様の所有権はむにちゃんにはないの。それに、みいこは今旦那様と同棲してるの。所有権保有率ならわたしの方が勝ってるの」

「………………まほろ、話があるわ」

「ひぇ……」

 

 みいこもそうべらべらと俺と一緒に暮らしてることをばらさないで欲しい。俺がどんな思いで必死に隠してるか知ってる?絵空にバレた時の不安と言ったらもうおしっこちびるほどで。

 

「なんでみいこと一緒に暮らしてるの?」

「みいこに縁談が来て、なんやかんやでみいこが俺の婚約者じゃなくなって、みいこは俺との婚約関係が戻るまで家に帰らないと言い出しまして。それで行く宛てがないから俺の所に」

「なによ、ただの家出じゃない。同棲が聞いて呆れるわね。それに、もうまほろの婚約者じゃないならまほろの所有権なんてないじゃない。お疲れ様、帰っていいわよ。まほろはあたしが幸せにするから」

「家族愛目当てで旦那様と家族ごっこするために何度も家に呼ぶメンヘラ女の家になんか旦那様もいたくないはずなの」

「あっ゛?」

「旦那様見て、これが図星を突かれてキレる女の顔だよ。旦那様はこんな愛の重い女と一緒にいるの?」

「愛の重さならみいこも……」

「旦那様?」

「いえ、なんでもないです」

 

 言論統制。支配。圧政。なんで俺はこの地獄空間を乗り切れると思ったんだ。無理ポヨ。

 

「まほろはあたしの将来の夫なの。まほろとなんの関係もないモブ女は引っ込んでてくれる?」

「旦那様のズッ友申請を婚約モドキに捻じ曲げただけのくせによく言うの。旦那様が結婚するとしたらみいこか真秀ちゃんのどっちかなの。読解力のない拗らせキス魔こそ引っ込んでろ」

「家出を同棲に捻じ曲げたあなたに言われたくないわ。都合のいいように事実を曲編して恥ずかしくないの?」

「ブーメラン乙」

 

 なんか、喧嘩がレスバになった。みいこもむにと初対面した時からだいぶ煽り耐性がついたし。鍛えたのだろうか。真秀も見習って欲しい。真秀は煽られるとすぐ包丁かハサミを取り出す。止めるのがどれだけ大変か。俺がいない時ってどうしてんだろ。りんくが止めてくれてるのかな。

 

「ま、キスもしたことないお子ちゃまロリ体型なんかにこのむに様が負けるはずないけど」

「みいこだってこの間旦那様とキスしたの」

「どうせ無理やりでしょ?」

「むにちゃんだって無理やりのくせに」

「あたしはまほろの『一生一緒にいる』っていう誓いの下したから合意よ合意」

「旦那様のその約束は一生友達でいようって意味だよ。これだから頭の足りない発情兎は」

「喧嘩なら買うけど?」

「秒で黙らせてやるの」

 

 おっと、2人ともついにインファイト体勢に入ってしまった。仲裁人まほろ君行きます(カタパルト射出音)

 2人を落ち着かせるのに1時間かかった。両者目が血走ってるし、鼻息荒いし、俺が間に立って物理的に引き離そうとしても力でゴリ押して来る。女って急にゴリラになるから怖い。もう響子と付き合っちゃおうか。お淑やかだし、あんまりパワーなさそうだし。響子が殺されそうだからそんな事しないけど。

 2人はゲームで沈静化させた。そろそろご飯支度をしよう。材料の買い出しからだ。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 はぁ……まほろを独り占めしたかったのに、なんでみいこまで来るんだか。見張り役って、あたしはムードのないところではしたくないのに。まあ、前なら人前だろうと野外だろうと、まほろを襲えるなら襲おうと考えてたけど。ノア先輩に狙われるようになって、キスまで狙われて、ムードのないところで致すのがどれだけ嫌なことなのかを知った。一応まほろはあたしを受け入れてくれるし、あたしがキスしたい時はさせてくれるけど、まほろもやっぱりところ構わずキスされるのは嫌なのかなって。それに、まほろからのキスはちゃんと雰囲気あるところでしたいし……。

 

 真秀が他の男子に狙われてるし、今がチャンス。まほろも真秀と最近会ってないって言ってたし、ついに両思い幼なじみが疎遠になる時が来た。真秀が誰かと付き合えば後はまほろがうっとおしがってる清水絵空と犬寄しのぶをどうにかすればあたしはハッピーエンド。麗はまほろへの対応を改めて考えるって言ってたし、みいこは婚約破棄。勝利の道が見えて来た。響子って女は何もできないだろうし。

 

 あたしは、絶対まほろを手に入れる。

 

「はい、料理本に載ってたレシピで作った肉じゃが。結構上手でしょ?」

「見た目は悪くないわね」

 

 まほろの作ったご飯。誰かの作る手料理を食べるのは久しぶり。しかもそれが愛するまほろが作ったものだなんてあたしは幸せ者ね。ただ、まほろの作った料理を初めて食べたのがみいこっていうのがすごい癪。まほろは何度も親のいないあたしの家に来てたのに、1回もご飯を作ってくれた事なんてなかった。まほろが料理を覚えてなかったからタイミングが悪かったと言えばそれまでだけど、まほろはみいこのために料理を覚えたって言った。あたしの時に覚えればいいのにって思ってすっごく気分が斜め下。まほろはあたしよりそんなお子ちゃま許嫁の方が大事なの?

 

「……美味しい」

「そりゃ良かった」

 

 人の手作り、確かに美味しさと温かさを感じる。まほろの愛情もたくさん入ってた。素直に喜びたいけど、あたしの向かい側に座って何も考えてなさそうな顔でまほろの料理を食べてるみいこがいて、せっかくのまほろの手作りご飯の美味しさが半減した気がした。こいつさえいなけりゃ夫婦団欒の食事みたいで完璧だったのに。

 

「俺のご飯って味にオリジナリティないじゃん?レシピ通り作っただけだし。なんか感想とか欲しいんだけど、いい?」

「そうね……もう少し味が濃い方がいいわ」

「みいこは甘めな味付けの方がいいの」

「なるほど」

 

 正直まほろが作ったものならなんでも受け入れるけど。まほろだって真秀が作った茹できれてないパスタとか、芯の赤いハンバーグとか食べたって言ってたし、まほろが料理上達するまであたしが……。

 あたしはまほろの未来の妻。まほろがメシマズ属性を持ってても受け入れる。ズッ友申請なんてされた覚えはない。あたしがされたのは一生を添い遂げる約束だけ。あたしは意地なんか張ってない。

 

 まほろだってあたしが好きだからあの時声をかけて来たんでしょ?最初はあたしも警戒心とかまほろの押しに対抗して反抗的な態度を取ってたけど、まほろがあたし好き好きオーラを出し続けるから折れてあげたのよ。

 クシャっと笑って、「俺、むにと絵描くの好き」って言ってきた時はあたしのこと好きなんだなって思った。そういう顔をしてた。あんな女に惚れた顔、そうそうできるものじゃない。でも、まほろはあたしを好きじゃないって言った。きっとツンデレなんだと思う。

 まほろに「あんたとなんか一緒にいたくない」「馴れ馴れしくてキモい」「あんた嫌い」っていっぱい罵倒したけど、まほろはずっとあたしといてくれた。もちろんこの罵倒は本心じゃない。本当は新しい仲良い人ができて嬉しかった。りんくが引っ越してからあたしはずっとぼっちだったし。

 そうやって中等部3年間をずっと一緒に過ごして、高等部ではキスをする仲になった。学校では付き合ってる噂も流れ始めてる。まほろもあたしを特別扱いしてくれるし。だからあたしはまほろを諦める気はない。真秀とセックスしたらしいけど、あたしはそんな安易なものに頼らない。まあ、まほろがどうしてもって言うならしてあげても良いけど。

 まほろはこんなにあたしを愛してくれる。いつかそれが本物の夫婦愛になって結婚するんだ。

 

「そういえば寝床のことなんだけど、みいこは布団とかで寝かせられないか?」

「パパとママの部屋にシングルベッドが2つあるからそこ使いなさい」

「良かった。そういうわけだから、みいこはそこで寝るんだぞ」

「シングルベッドが2つってことは、旦那様も一緒の部屋で寝れるの」

「まほろはあたしと一緒に寝るのよ。さっきも言ったでしょ」

「1人で寝るのは嫌なの」

「あたしだって1人は嫌よ」

 

 こんな毎日毎日家で1人で、まるで孤独な1人暮し。絵を描いてなかったら寂しさを紛らわせずに死んでるところだった。

 

「むにとみいこが一緒の部屋で寝ればいいんじゃないか?」

「はぁ……これだから旦那様は……」

「まほろと一緒に寝ることに意味があるのよ。いい加減自分が必要とされることに気づきなさい」

「そう言われましても……」

 

 ホント、まほろのこういうところは早く治さないと。変なところで鈍感で、変なところで鋭敏。ラノベ主人公みたい。

 仕方ないから来客用布団を三つ出して3人で寝ることにした。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 今日は珍しく相馬君が早い時間に私を解放してくれた。やった。まほろの家に行ける。

 

「あれ、留守?」

 

 合鍵を使ってまほろの家に入ったら家は静かで誰もいなかった。出かけてる?しばらく待ってようかな。

 最近はまほろが電話とかLINEに出てくれないし、多分連絡しても出てくれないと思う。

 

 なんだか、疎遠になったみたい。

 

 

 




こっから最終回まで毎日投稿してやる。
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