ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常 作:コントラポストは全てを解決する
少し、クヨクヨ考えてもいいだろうか。
俺は真秀と結ばれると思っていた。小さい頃から一緒にいて、幼稚園でも小学校でもいじめられっ子だった俺を守ってくれた真秀。強くて優しく俺が絡まなければ大人しい女の子だった。強気も強気。当時俺が知ってる女の子の中じゃ1番気力と武力があった。そんな真秀が1回だけ俺に弱さを見せた時があったんだ。年長の頃の家出。あの時、真秀は自分が家に帰れるか不安で泣いていた。俺の腕の中で泣いていた。それを見て、俺は真秀を守らなきゃって思ったんだ。その感情が大きくなって、俺は気づいたら真秀を愛していた。好きとかそういうのじゃなく、その気持ちは正しく愛だった。
それからずっと真秀を愛して、結婚する気でいて、真秀にも恋愛感情を分からされて、俺はやっと真秀を受け入れられる頭になった。本能がやっと心に追いついた。
順風満帆になるはずだった。はずだったんだけどなぁ……。
「真秀、ほんとに相馬に気があるのかな……」
さっきからスマホとにらめっこしてる。真秀に確認を取りたいけど、「ごめん……まほろ」って言われたらと思うと怖くてなかなか連絡できずにいる。家でもみいこが万全のセキュリティになってて真秀を寄せ付けないから、俺が真秀に凸らない限りは出会う事はないし。
俺が攻めれば済む話なんだけどヘタレのせいかあと1歩が踏み出せない。異性に攻めるのって勇気いるんだなぁ。しのぶ達がどれだけすごい事をしているのかが分かった。
むにに一生独身でいると豪語したはいいけど、いざ一生独り身でいろと言われるとだいぶ枯れてしまう。孤独……ちょっと前は夜とか一人だったけど今はずっとみいこがいたから。
「幼なじみ離れをするべきか……勇気を出すべきか……」
最近は真秀離れが激しく、ついには俺が料理を覚えてしまったし。掃除も洗濯もできるから何も出来ないみいこを娶って一緒に暮らすべき?周囲が荒れそう。
「あー、わっかんねー」
このまま何もしないのはクズだ。俺が一条楽よりクズい男として名が広まってしまう。そうなる前に逃げるなりファイトするなりして決着をつけなければ。
前は真秀一択だったのにその一択を取り上げられた挙句、代わりとしてピーキーとか許嫁とかツンムニとかを差し出された。ハンバーグを頼んで完成したものを出されたと思ったら、ラーメンを食えと言われたみたいだ。どうしろと。
「真秀以外を恋愛視してなかったのが仇になるとは」
一途って悪い方に働くことがあるんだなぁ。いや、一途極めて病んだ人達もいるし、一途が絶対良いってわけじゃないけど。俺は浮気寛容派だ。父親がハッキリしてくれるなら浮気ックスも許す。でも寝取られは管轄外。よりによって苦手な寝盗られを経験する羽目になるとは。辛たん。
「はぁ……寝よ」
午後の授業とか出る気しない。午前は出たから許して。おやすみ。
────────
なんか、後頭部に柔らかい枕がある感じがする。地べたに寝そべってたはずなんだけど。なんだこの柔らかいの。さては学校に迷い込んだにゃんこちゃんが俺の枕になってくれたのか?ここ屋上だからどうやって来たのか知らんけど。
「まほろ、おはよう」
「いぇ、おはようございます」
目を開けたら響子の顔と星空が広がってた。ははーん、まほろ君察しましたよ、これは膝枕されてますね。響子ってこんな事してくれるんだ。マイラブリーエンジェルの膝枕は俺にキく。
「今何時?」
「18時。あと1時間で下校時刻だよ」
「そかそか。じゃあ帰りましょうね」
「待って。少し話そ?」
「ピーキィ響子.netの意思のままに」
響子が話したいらしい。あと1時間しかないけど。よっこらせと起きようと思ったら響子に「このままで」と言われてしまう。足は痺れたりしないのだろうか。
「まほろ、今日は午後の授業出てなかったらしいけどどうしたの?」
「失恋して落ち込んでた。愛する人を奪われた痛みに打ちひしがれてた」
「まほろは本当に真秀ちゃんが好きだったの?」
「好きだった。心の底から愛してた」
理由はセックスだったけどそれでも好きだとわかったんだ。こんなに想って想ってハッピーエンドまっしぐらだと思ってたのに、どうしてこんな事になった。俺が何もしなかったからか。
「もしかしたら勘違いかもしれないよ?その気持ち」
「勘違い……?」
「ただの家族愛。っていう可能性」
「…………そう言われるとそんな気もしてくる」
いや、家族愛もセットで抱いてたっていうのが正しいか?幼なじみが家族のどのポジにいるかはわかんないけど、確かに真秀は家族だ。
「俺はてっきり真秀と結ばれるもんだとばかり」
「真秀ちゃん、まほろ大好きっ子だもんね」
「でも、ハピアラで人気になって、ついには男ができちゃった。真秀にエロスを感じてた男子が多かったから相馬も身体目当てなのかなって……嫌だなぁ……」
「真秀ちゃんが幸せならいいんじゃない?」
真秀が性的消費されるとかちょっと受け入れられない。絵空に俺の財産と血と腎臓を売ってでも真秀にボディーガードをつける。
もし相馬が真秀の身体目合てだったら殴る。クシザコパンチでも、貧弱ナックルでも良い。殴って殴って殴ってあいつを殺す。ムショにだって行く。
「正直さ、私はまほろと真秀ちゃんは合わないと思ってるんだ」
「そう?結構相性良い気がしてたんだけど」
「真秀ちゃんが幼なじみとしてずっと一緒にいたから、まほろが真秀ちゃんに慣れただけなんだよ」
「……つまり、真秀が幼なじみじゃなかったら惚れてなかった、と」
まあ、正直幼なじみ補正もあるかもしれないけどさ。響子の言ってることも一理ある。
「まほろが真秀ちゃん以外で好きなのって誰?みいこちゃん?むにちゃん?」
「え、響子」
「そ、そっか。じゃあさ、もし私がまほろの幼なじみだったらどうしてた?真秀ちゃんはまほろを狙ってくるだけの絵空みたいな人だったとしたら、有象無象の1人だったとしたら」
「真秀への想いの大半は思い出から出来上がってるのを見ると、響子を好きになってた?」
「私との相性はどう?」
「今の響子を真秀と同じくらい愛してるから、真秀以上に相性が良い?真秀以上に愛せる?」
この世界の響子でさえこんなに好きと言うことは、幼なじみ世界の響子を俺はゾッコンで愛してるってこと?その世界では絵空に加えて、おそらく高等部で知り合った真秀がいる。胃薬の消費パなそう。
「真秀ちゃんは相性が良いって言うより、無理やり相性を合わせられた。ただそれだけのことだと思うんだ」
「やっぱり俺は調教されていたのか」
「されてたんだと思うよ。まほろを絶対逃がさないために、幼なじみっていう立場を活かしてまほろに刷り込みをした」
「俺は真秀の手のひらの上で踊らされていたのか……」
俺の水晶のような輝きに真秀は魅入ってしまったのだろうか。なるほど、真秀は俺に狂わされたと思っていたが、狂わされていたのは俺だったと。幼なじみって怖。普通の恋愛しよ。
「ちょうどいい機会だしさ、真秀ちゃん以外の女の子に目を向けてみたら?まほろの周りにはいっぱい女の子がいるし」
「むにと絵空と麗とは向き合ったけど、皆と分かり合えた気がしない。絵空とか何しでかすか分からないし」
「絵空、まほろに振られたって泣いてたよ?」
「え、あの絵空が振られたって認識した?そんなにお父様にチクるって言ったのが効いたのか」
「まだ振られてないって言っとく?」
「……いや、このままで」
決着をつけられたなら良い。絵空とはこれから程よい距離感で友達としてやっていくつもりだ。
「あとはしのぶとみいことむにかー。偶然ロリっ子が残ってしまった」
「しのぶには私から言っとこうか?」
「いや、俺から言わないと聞かないだろうし、俺が言っとく。むにはそうだなー、一生付き合い続けるって伝えられたらいいんだけど。むには寂しがり屋だし」
「ずっと一緒にいるっていう契約書でも作って、それで気持ちを証明するとか」
「書類契約か……良い文面が思い浮かんだら書いてみるよ」
なにか一生をかけてむにと一緒にいることを証明出来る約束。週3で泊まりに行くし、お出かけもするっていう約束ならしたけどインパクト弱いよなー。なんかこう、おばあちゃんになったらどっか行こうみたいな約束がいい。
「むにもしのぶもみいこも、なーんか恋愛対象として見れないんだよな」
「子供っぽい身体してるからね。ロリコンでもない限りああ言う人って難しいんじゃないかな。まほろにはリーダーシップがあって引っ張ってくれるお姉さんが似合うと思うよ」
「カリスマお姉さんか」
「そう、カリスマお姉さん。いいでしょ?」
カリスマお姉さん。俺を溢れ出る母性とカリスマでオギャられせてくる人……普通に悪くない。
「まほろに1番合うのは私みたいなカリスマ持ってる人だと思うなーって」
「響子が彼女か。結構いいかもな」
「!……じゃ、じゃあさ、付き合ってみない?私達」
響子が彼女。学園最強ユニットのボーカルが彼女。随分出来のいい話だ。確かに響子の事は好きだし、彼女にした後の想像もできる。真秀もいない今、響子と結ばれるのが最善の選択肢かもしれない。でも、響子は俺が好きなのだろうか。そんな素振り見せた事なかったが。ピキピキに俺を引き入れるための罠だったりして。
「別に同情して俺と付き合おうとしなくていいんだぞ?響子は響子の好きな人と付き合って──」
「そ、そんなんじゃない!」
響子に力強い瞳で見つめられる。そんなんじゃない、とは。もっと純情な感情があると言うことだろうか。それとも俺を支配したいとかそういう話?
俺は響子に好かれてるなんて思ってない。友達的には気に入られてるって自覚はあるけど、響子にとって俺は恋愛的に眼中にないだろうし。
「わ、私、まほろの事好きだよ?その……一人の男の子として」
眼中にないって思ってたんだけど、実際の響子にはあったらしい。嘘でしょ。今までそんな素振り見せた事なかったじゃん。割とつい最近に惚れたとか?なんで響子にまで好かれてるんだ。バグだろこれ。マイラブリーエンジェルがマイラブリーワイフになると。
「響子に好かれる事をした覚えがない」
「私の作った曲でノってくれた人……初めてがまほろだったから……それで……」
「それはまた御大層な。でも、そんな簡単に男に惚れたらダメだぞ。男子高生なんてヤリたいざかりしかいないんだから。危ない目に合うかも」
「ほ、他にも理由あるよ?盛り上がる曲の繋ぎ方一緒に考えてくれたり、音楽ショップでお互いの好きな音楽の交換デートしたり。それに……まほろは他の男子とは違うって分かるから……」
「まあ、俺新人類だから。男子どころか人類単位で他と違うし」
「そうじゃなくて!精神的っていうか、心の在り方っていうか……まほろは誰にでも優しくて、同じ目線で話してくれるし……」
……遠回しにホストみたいって言われてる?誰にでも優しくて常に相手と対等に話すってホストじゃんそれ。そうか、俺は女の人生を狂わすホストだったのか。どうりで皆狂っていくわ命のやり取り発生するわ。謎が全て解けてしまった。
「まほろも私のこと良く思ってるらしいし……その……真秀ちゃんもいないしさ、いいんじゃないかなって」
「おっ、おっ?ちょっと待って。頭の中整理させて」
人生の大事なターニングポイントな気がする。ここで選択肢ミスったら詰む。本能がそう感じてる。
響子を取った場合、しのぶになにか言われるのは確定。アタシと二股してくれって絶対言ってくる。クズ男なんかにはならないぞ。
学園の人気者と付き合うんだからそれはそれは立派な覚悟がいるだろう。もしかしたら夢女に殺されるかもしれないけど、そこは絵空に貸してもらったSPで何とかする。
あとは真秀か。やっぱり幼なじみ離れするべき?
「私は真秀ちゃんみたいにまほろを襲ったりしないし、まほろのペースに合わせるよ?まほろを束縛しないって約束する。で、でも、子供は2人ぐらい欲しいかな」
「2人で良いの?」
「まほろはえっちだね……」
「あ、いや。他の人だと俺の精力が尽きる限りヤるとか言ってくるからさ」
下の話しになった瞬間赤くなるのは響子らしいなって思った。可愛い。
響子、今まで見た女の子の中じゃ1番優しい優良物件だと思う。響子の重力に引かれて魂縛られそう。響子色に染まっちゃう。これは……響子を選ぶのが良いのか?
「真秀ちゃんのこと、忘れてもいいんじゃない?最近会ってないんでしょ?」
「真秀が忙しそうなのもあるが、俺が真秀を避けてたから。真秀に会うのが怖い」
「ちょうどいいじゃん。私にしよ?真秀ちゃんみたいに肌焼けてないけど、まほろのしたいこと全部させてあげるから」
響子に優しく頬を撫でられる。このまま堕ちてもいいかもしれない……って思ったけど、たった今ニセコイゲームの小野寺ルートを思い出してしまった。異世界で告白を受けたら帰れなくなったあれ。響子の告白を受けたらバッドエンドが待ってる気がした。
本能が教えてくれる。この選択肢にYesを返しちゃダメだと。真秀と向き合ってないのに逃げたいから響子と付き合うじゃ響子に失礼だ。そんなんじゃ絶対幸せになれない。
「まほろ、私を見て。全部……全部受け入れてあげるから」
響子は俺を欲しがっている。もしかしたらまた響子にお世話になるかもしれないが、今はその時じゃない。
「ごめん、響子。俺、やっぱり真秀と向き合いたい」
「なんで?真秀ちゃんには新しい男がいるんだよ?今更行ったって何も変わらない」
「そうかもしれない。けど、真秀から逃げたままじゃまっすぐ響子と向き合えないから」
「真秀ちゃんに振られたから私と付き合いたい。は受け付けないからね?チャンスは今だけなんだよ?」
「それでいい。響子を保険になんかしない。したくない」
いつ真秀と向き合うかは俺の精神衛生と要相談だけど、絶対絶対真秀と向き合うから。そうして俺は晴れてなんのしがらみもない独身だ。
「そんなに真秀ちゃんが大事?性欲強くて束縛激しくて、まほろは幸せになれないかもよ?」
「かもしれん。でも、10何年も俺を愛してくれた真秀を裏切りたくないから」
真秀を取られる痛みを知った。たとえ青春という群像劇の中の紛い物だとしても、この胸の痛みは本物だから。
「わかった。まほろの意思を尊重するよ。でも、その……真秀ちゃんに振られたら私と付き合って欲しいな」
「交際受け付けは今だけなんじゃなかったのか?」
「あれはその……ああ言えばまほろが焦って私と付き合ってくれるかなって……」
「あざといなー」
実際ちょっと焦ったから響子の策に溺れたんだけど。響子と付き合えるなんて夢のような話だし。
まさか告られるなんて思ってなかったけど、良い経験だった。おかげで真秀と向き合う勇気が出たし。
「さてと、帰るか。今日の夕飯何にしようかな」
「またカロリーメイト?」
「いや、最近は自炊してる。料理するとさ、真秀のありがたみがわかるんだ」
「へぇ、今度なにか作ってよ」
「任せろ」
お手製ハンバーガーをバンズから作ってやる。男飯で響子の胃袋をゲットするんだ。
「まほろ、ちょっとじっとしてて」
「ん?どうした」
「ちゅっ──」
「──ん!?」
響子の膝枕から起きて帰り支度始めたらちょっとじっとしてろと言われ、動かないでいたら不意打ちキッスされた。嘘だろ。響子とキスしてる。
「これでまほろの隣は予約したから。いつでもおいでね」
「もし真秀と付き合ったら……」
「その時は約束破棄ってことで。いつもみたいに私をマイラブリーエンジェルって呼んで可愛がってよ」
響子、ほんとに保険になる気なんだ。真秀に振られたら独身でいようと思っていたけどこれはもう響子と付き合うしかないだろ。自分から2番目の女になる人なんて初めて見た。私を可愛がってって男に言っていいセリフじゃないだろ。これだからマイラブリーエンジェルは。クッッッッッソ可愛よ。
◇
「まほろとキスしちゃった……!!!」
「は?」
「私ですらまだなのに……響子ったら……」
「おー、ついにそこまで進んだかー」
響子がまほろにキスした……?アタシを差し置いて?なんだ、何が起きてる。アタシの脳が情報に追いついてない。
「絶対まほろにえっちな子って思われた……」
「キスぐらいで大袈裟だって。まほろなんて色んな女の子にキスされてるんだから、響子もやっとスタートラインに立ったってことだよ。それでどうだった?OK貰えた?」
「真秀ちゃんに振られたら私と付き合うって約束取り付けてきた……」
「上々じゃん!」
え、そこまで行ったの?明石真秀がまほろと結ばれても彼氏作ってもアタシ負け確じゃん。はー、なんで響子なんだ。1番何もしてないぞ。やはり乳か。響子の乳目当てか。
「響子〜少しお話しましょうか♪」
「アタシも色々言いたいことある」
「え、2人とも顔怖いよ……?ちょっ……」
これは事情聴取する必要がある。響子に拒否権はない。
最終回が終わったら評価9に票ぶち込んどいて