ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常 作:コントラポストは全てを解決する
今日も元気に登校登校。1日頑張りましょう。むににスマホ貸してるから真秀に電話出来ないけど、今凸れば行けるか?
「まほろ、おはよう」
「おはよう。なんで教室の入口なんかに居座ってるんだ?」
「まほろが真秀のところに行かないように見張るためよ」
むにさん、ほんと必死に俺と真秀の間を邪魔してくるなぁ。これを払い除けようとすると泣くし、見つかった時点で俺の負け。真秀凸は諦めて大人しく教室に入ろう。
「どう?ラップは順調?」
「とりあえずりんくの教育係になったわ。あたしが1番上手だったし」
「そっか。家で練習とかもするの?」
「まあ、陽葉祭まで時間ないし泊まりでやることも多くなるとは思う」
なるほど。つまり俺もむにの家に行くのを控えた方が良いと言うことか。邪魔しちゃ悪いし。しばらくはみいこのご飯だけ作ってれば良いと言うわけだ。
「だからうちにご飯作りに来てくれない?」
「レトルトカレーでいいじゃん。俺がいたら邪魔じゃない?」
「りんくにはちゃんとしたもの食べさせたいじゃない」
「むにとりんくで一緒にご飯作ってみれば?」
「絶対変なものできるから嫌。自慢じゃないけど、あたしは料理の下手加減なら誰にも負けないの」
まあ、料理の才があったらとっくの昔に料理してるか。画力に数値振り切っちゃったのがむにだし。仕方ない、俺が腕振るってやろう。
むに、将来はどうするつもりなんだろうか。俺もいつ以下なる時もむにと一緒って訳にはいかないし。むにのアシスタント兼家政婦として就職すればいいのか?なんか周囲が荒れそう。私の家の家政婦もしてくれって依頼がしのぶ辺りから来る予感。
「ちなみに聞くけど献立は何が良い?カレー?」
「シチューとか」
「やっぱりカレーはいつも食ってるから嫌か」
「まあ、たまには違うもの食べたいし」
むにって毎日カレー食べてるのか?今は即席食品も種類豊富だしさすがにカレーだけってことはないと思うけど。
「で、りんくが来るのはいつ?」
「今週は今日と明後日と土曜日」
「さっそく出番か。材料買ったら行くから」
「あたしも一緒に行く」
「時間がもったいないだろ。1分でも多く学ばなきゃ。今回はラップって言うセンスがいる分野をやるんだから尚更」
「……勝手に真秀のところに行ったら承知しないからね」
「はいはい」
束縛激すぃ。これで恋人じゃないってマ?なんで俺は律儀に従ってるんだ。むにの涙を見たくないからだよ(自己完結)。
もっとこう……むにを無視してでも真秀のところに行くくらいはしなきゃいけないんだろうけど、むにをぞんざいに扱うのはしたくないんだよな。これが絵空とかだったらどうにでもできるのに。やはり親心があるから自分の娘はほっとけないのだろうか。むにを養子縁組で俺の娘に。これが最適解な気がする。
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みいこから友達と勉強会をするから遅くなると連絡があった。みいこガードがないと言うことは真秀凸チャンスだと思ったのに、今度はむにのガードベントが発動。むに本人がいないのに俺は律儀に明石家を素通りしてスーパーへ向かっていた。
「ごめんよ真秀。会いに行くのはもう少し先になりそうだけど、きっとハッピーエンドが待ってるから。今は辛抱。耐えるで候」
ちゃちゃっと食材を購入してスーパーを後にする。やはり特売はいい。ぶっちゃけ金に余裕が無いわけじゃないけど、安く手に入るならそれに越したことは無いし。今更だけど、むにに無償でご飯を振舞ってていいのだろうか。これで食事をタダで作ってもらうのは当たり前という感性が身についっちゃったら俺はどうすれば。いや、むには心優しい子だからそんな事にはならないとわかっているけど。もしもの事ってあるじゃん。
「むにー、いるかー?」
「いるわよ。おかえり」
「お邪魔します」
ピンポンを押したらむにが出てきた。相変わらず俺が家に来るとおかえりって行ってくる。これでただいまって返しちゃうと関係性が変わっちゃう気がして、俺はちゃんと返事をしたことがない。
「りんくも来てるのか?」
「来てる。今は筋トレをしてるわ」
「筋トレ……」
リビングに行ったらりんくがリングフィットをしてた。ラップはどうしたんだ。いや、りんくはダンサー兼ボーカルだから鍛えるのも必要だけど。
「あ、まーくん!いらっしゃい!」
「おう、邪魔してる。それってりんくのか?」
「むにちゃんのゲームだよ?」
「むにがリングフィット……?」
「ちょっと、何よその顔。あたしだって運動くらい」
ゲームのセーブデータを見せて貰ったけど、むにはレベル1のままだった。流行りに乗って買ったとかそんなところか。
「まーくんもやる?」
「ノーコンテニューでクリアしてやるぜ」
「りんくはこっちに来てラップの練習よ」
30分ぐらいだったら暇あるし、それまでならゲームをしてて良いだろう。ご飯さえ作るなら文句は言われないはず。
「ラップって言うと、やっぱ煽りか?あんまりお下品な言葉は使うなよ」
「わかってるわよ。まほろもステージで変な曲流さないでね?まほろの曲次第で後の盛り上がりが決まるんだから」
「わーってるわーってる。無難でふつーな曲流すから安心しろって」
「まほろの普通は普通じゃないから不安なのよ」
俺は普通になることだってできるぞ。なるっていうか演じるの方が近いけど。やろうと思えば陽キャを演じることだってできる。ごめんやっぱ無理。陽キャは無理。俺は相馬みたいなキラキラにはなれない。
「まーくんはサンセットステージでどんな曲流すの?私気になる!」
「在り来りなJーPOPだよ。アイドルしてるやつ」
「チューチュートレインだ!」
「やろうと思えばできる」
「無理でしょ」
むにはなんでもかんでも否定しすぎだぞ。プロジェクションマッピングとかで何とでもなるはずだ。
「陽葉祭がやる頃にはクリスマスかー。クリスマスデートしたいって真秀が言ってたな。真秀の様子はどう?元気にやってる?」
「……あれ?そういえばまーくん、真秀ちゃんに彼氏ができたから落ち込んでるんじゃなかったの???」
「とっくの昔に復活してるけど。真秀のところに行く準備ならもうできてる」
「そっか!じゃあ明日行こ!」
「そうしたいのは山々なんだが」
行けるならとっくの昔に行ってるんだけど、このツンツン兎がそれを許さなくてなぁ……。
「なによ。言っとくけどりんくの頼みでもまほろと真秀を会わす許可は出さないわよ」
「なんで?まーくんと真秀ちゃんはずっと会ってないんだよ?相思相愛なのに会えないのは可哀想だよ!」
「それでもよ。あたしはまほろが欲しいの。だから絶対2人を会わす訳にはいかない」
「ダメだよむにちゃん!そういうの良くない!」
お、珍しくりんくが奮戦してる。ハピアラじゃりんくは光だもんな。歪んだことは許せないだろう。むにもりんくの言葉なら聞いてくれるかも。頑張れりんく。むにを説得してくれ。
「ほっといて。りんくには関係ないでしょ。まほろを好きでもないのに。りんくにはあたしの気持ちなんて──」
「好きだよ」
「……は?」
「私、まーくんのこと好きだよ。まーくんは私の初恋だもん」
ンンンンンン。雲行きが怪しくなって来ましたぞ。拙僧は退散した方がいい気配。台所に逃げすぞマスター殿。
「むにちゃんは忘れてるかもだけど、私だってまーくんの婚約者なんだからね」
「そ、それはそうだけど……でも、りんくはまほろを諦めたって前に……」
「むにちゃんがまーくんを諦めないなら、私もまーくんを諦めない。初恋は叶えたいもん。むにちゃんがしたみたいに私だってまーくんにキスするよ?それに、私は真秀ちゃんの次にまーくんと結婚の約束をしたんだよ。まーくんを奪うことだってできる。いいの?取っちゃうよ?」
「それは……嫌だけど……」
むにの目を力強く見つめるりんくと、りんくから目を逸らすむに。おぉ、さすが対むに用リーサルウェポン。むにを押さえ込んでいる。やっぱりむにのことはりんくとノア先輩に任せた方がいいな。俺の出る幕は無い。夕飯でも作りながらゆっくり観察するかぁ。
「大好きな人を盗られたくないのは皆同じ。真秀ちゃんだってそう。だから、会わせてあげるくらいは良いと思うよ?」
「……じゃあ、それでまほろが真秀と付き合ったらりんくは責任取れるの……?」
「うん!取る!」
お、キマシタワーか?
「私がむにちゃんとずっと一緒にいる!嬉しい時も寂しい時も悲しい時も一緒。むにちゃんの家にいっぱいお泊まりだってする!私、むにちゃんが大好きだもん!」
「えっ……あ……そ、そう……。りんくはその……まほろとあたし、どっちが好きなの?」
「?……どっちも好きだよ?」
ハーレム主人公みたいなこと言っちゃって。眩しいなぁ 、りんくは。むにを照らした反射光がこっちにまで飛んで来てる。陽キャってすご。これがキラキラ。青春と可能性の光。俺も誰かに照らされてー。真秀なら俺をキラキラ照らしてくれるのかなぁ。
「な、何よ、まほろみたいな事言って……あたしはその程度じゃ堕ちないわよ……?」
「じゃあ、まーくんと私達2人でずっと一緒だね」
「……りんくは娘ポジよ」
「えへへ、むにちゃんとまーくんといられるならなんだって良いよ!」
これが真のズッ友申請。俺になし得なかったもの。やはり足りないのはキラキラ。もっと輝けと。でも俺って陰キャだからなー。輝けって言われてもどうしたらいいか。もっとパリピになれば良いのか?
「むにちゃんも寂しくないからこれで安心だね」
「別に……寂しかったわけじゃ……」
俺もりんくを見習ってもっと行動を起こさなくては。なにもしないで相馬に真秀を盗られるのだけは絶対に避けなくてはならない。目標は真秀に告白。よし、やること決まった。りんく達も話の折り合いついたっぽいし飯にしよう。
「ご飯できたけど食うか?」
「食べる!お腹空いた!」
「そか。むに、準備手伝ってくれ」
「……わかった」
むにはまだ決心のついていない顔だった。りんくがここまで繋いでくれたし、俺も後で声かけなきゃな。
────────
むに達のラップ練習に付き合ってたら深夜0時を回ってしまった。むにに挨拶して帰ろう。
「泊まっていけばいいのに……」
「すまん。みいこが家で待ってるから」
「そうやってまた1人だけ贔屓して」
「シンプルタスクだから1人しか頭に入らないんだ。許せ」
みいこの事も早く片付けなきゃなぁ。今はむにだけど。
「なあ、むに」
「なに?」
「100年後暇か?」
「…………は?」
俺の言葉に眉をしかめるむに。何言ってんだこいつって顔してる。俺は変な事は言ってないぞ。
「100年後って……まあ、暇だとは思うけど……」
「そっか。じゃあ、100年経ったら俺と一緒に宇宙ステーション行こうぜ」
「またあんたはバカな事を……。だいたい、その時まであたしとまほろの付き合いが続いてるか分からないじゃない」
「100年経っても一緒にいるって事だ。そういうわけで予約取ったからよろしく。それじゃ」
これでむにも寂しくない。まあ、俺がいてもいなくても今のむにには大した差はないだろうけど。
宇宙ステーション行くの楽しみだな。りんくも誘っておけば良かったか。詳細は100年後に決めよう。
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「みいこー、ただいまー…………さすがにもう寝ちゃったか」
深夜0時30分に帰宅。みいこは寝たらしい。いつもなら26時までゲームしてるんだけど……って思ったら玄関の床に紙が落ちてる。ついでにみいこのスタンガンも落ちてた。紙切れにはなんか文字が──
『竹下みいこは預かった。返して欲しければ明日の昼12時、ここに来い』
……………………おぉっと。