ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常 作:コントラポストは全てを解決する
みいこが拉致されちゃった。どうしよう。みいこパパに連絡しようとしたけど何故か出ないし。かくなる上はこのみいこスタンガンで相手を蹴散らすしか。教えてくれゼロ、こんな時俺はどうすればいい。ゼロは何も言ってくれない。
相手の要求が分からないし、みいこの方がお金持ってる以上金を持っていっても意味が無い。みいこの排除が目的ならもうみいこはこの世にはいないことになる。竹下財閥が目当てならとっくの昔に声明を出してるはずだ。ということは、目的は俺?わざわざこんな置き手紙を残して誘ってるんだから、俺を殺したい誰かの策略。ちょうどまほろ君死亡エンドのCGが欲しかったところだ。乗ってやろう。
そんなわけで手紙の指示時刻、指示場所にやってきた。
「なんだこの豪邸は……」
めっちゃでかい家。表札がどこにあるか分からない。正面から行っても捕まるだけだよな。裏の壁を登ろう。しのぶからフック付きロープを借りて来たし登るのは苦労しないはず。
「よし、侵入成功。みいこの現在位置は……」
ノーパソでみいこのスマホをハック、IPアドレスで位置を把握。屋敷のど真ん中のちょい端のどっかにみいこはいる。3階建てだから下から順に探して行くしかない。とりあえずそこの窓をガラスカッターで切り、鍵開けて入場。境まほろ君生まれて初めての不法侵入。でも相手も犯罪者だから怖くない。これで私も同業者。
「使用人がいっぱいだ……。とりあえずガスマスクつけて、即効性睡眠薬玉をぽーい。3分間待ってやる」
3分後、影から覗いたら使用人全員寝てた。薬は上々のようだ。あとは全力ダッシュ!
廊下を走ってまず1階の部屋……ハズレ。次!
「階段……上から誰か来たら終わる。1回外出て壁登るか」
ハズレの部屋の窓から外に出てしのぶ忍電7つ道具から吸着グローブを出す。なんか電気と空気の力で壁が登れるグローブ。今更だがしのぶはなんのためにこの道具を買ったんだ。
そんな事は置いておき、次は2階だ。レッツ不法侵入。
「……2階もハズレか」
それにしてもこの家、家具も絨毯も綺麗だし、使用人までいた。普通に人が住んでる金持ちの家だ。誘拐だったら廃墟とかに連れて行くものでは。みいこが金持ちに拐われた?金持ち御用達の裏オークションに性奴隷として出品とか。そういうのは金髪エルフの役目だろ。犯人は何もわかってない。みいこは美味しいご飯とポカポカお風呂にあったかい布団で寝かせるだけで良いんだ。ありふれた日常の幸せを過ごしていただけなのにどうして。
「ふざけんなよ。みいこが何したって言うんだ。みいこは幸せになろうとしただけなのに。絶対絶対性奴隷なんかにはさせないからな」
犯人がどうしようもないやつだったら殺す事も視野に入れなければ。
みいこは俺を襲おうとしてくるしわがままだけど、いくら恋愛的に見れないと振ってもずっと諦めず俺を愛してくれた人だ。みいこと暮らして、俺も家族ができたみたいで嬉しかった。みいこの家の家主として、俺はみいこを幸せにする義務がある。絶対取り戻さなければ。
「誰だ貴様!」
「やっべ。めんご!ちょわー!!!」
部屋に入ってきた使用人Aにバレた。仕方ないからスタンガンクラッシュだ。あとは廊下をBダッシュ。みいこは3階にいることが確定した。迎えに行ったらその部屋の窓からロープで降りてあとは来た道を戻れば帰れる。
廊下を走って、階段を登って、みいこがいるであろう部屋のドアを蹴破った。
「みいこ!無事か!?」
「だ、旦那様……?」
良かった。いた。あとは帰るだけだ。みいこがやたらおめかしされているが、やはり闇オークションに売られる寸前だったのだろうか。許せねぇ、犯人ぶっ殺。これだから悪趣味金持ちは嫌なんだ。どうせデブで顔は種付けおじさんでバスローブ巻きながらワイン片手に奴隷幼女に性教育してんだろ。みいこをそんな目に合わせるなど論外。
「みいこ、帰ろう。こんな場所にいたら何されるかわかったもんじゃない」
「……その、まだ帰れないの」
「なんでだ。ここは犯罪者のアジトだぞ?みいこを拉致って売って私腹を肥やすサイテーな奴らしかいなんだぞ?俺はみいこの安全を守る義務がある。行こう」
「話を聞いて欲しいの!」
話……話などあるのだろうか。売られることを受け入れたとか?俺と結ばれないからと諦めて性奴隷√を選んだとか?さすがにみいこでも殴って止めるけど。俺はこれでも心の中ではみいこを大事に思ってたんだ。諦めないでくれ。
「みいこは……旦那様を騙したの……」
「騙した?何を」
「これはテストなの。旦那様がみいこをどこまで想ってるかの」
「テスト。そのためにわざわざこんな会場を?」
こんな御屋敷と使用人まで用意して俺をテスト。みいことの親愛度チェック。なんの為に。
「まずね、ここはみいこの家なの」
「なるほど」
「旦那様がみいこのところまで来れたら合格。相手を想いそれを力に困難を乗り越えられるか。そういうテスト。旦那様は試されてたの」
「うちの玄関に置いてあった手紙は?」
「旦那様がどうやったら本気になるかを考えた結果なの」
なるほど。俺のマジを見たくてこんな事をしたと。みいこも趣味が悪いなぁ。言ってくれればいくらでも身体測定したのに。わざわざこんな手の込んだ事をしなくても。
「わざわざ自分の家に帰って来てまですることか?別にみいこを関わらせなくても気軽に絵空辺りを誘拐してくれば本気出したのに」
「みいこだって好きで帰ってきたわけじゃないの。メイドさんに無理やり車に乗せられて……」
「そこは本当に拉致されたんだ」
絵空の時みたいに家を買収すると脅されたりとかではなく、純粋に拉致と。もっといい手段でみいこを帰宅させられたと思うのだが、今更どうこう言っても遅いか。さっさとみいこを連れて帰ろう。
「さてと、要件は済んだし帰るか。みいこはもうずっとこっちにいるのか?」
「……旦那様、聞いて欲しい事があるの」
みいこが急にマジの顔になった。重大発表か。竹下家自己破産とか?縁起でもねぇ。みいこがテストで学年1位になったとかそういう話ならお祝い飯作るけど。どんな告白をされるのだろう。
「みいこ、婚約したの。前に話したみいことどうしても結婚したいって言ってた人が、みいことの婚約を強引に押し切ったの。その結果がこれ」
「式はいつ?」
「……来年の今頃とか」
「そか。御祝儀に100万持って行くからちゃんと招待状送ってくれよな。みいこの旦那様ってどんな人?」
「みいこの旦那様は旦那様だけなの」
やたらおめかししてるのはこれから相手と今後の予行演習をするとかなのだろう。そうか、みいこもついに結婚か。お兄ちゃん代わりの俺としては涙袋に来るものがある。
「相手はロリコンじゃなかったか?」
「多分、今まで会った人達と大差無いの。みいこを見る目がギラギラしてた」
「また視線ギラギラティナを引いちゃったのか。お父様はなんて?」
「相手の勢いに押されてるし向こうもお父様の前でだけ優男ぶってるからダメなの」
「お父様、恋愛的な人を見る目がないからなぁ……」
ハズレ引きまくってるし。向こうからの激アプローチに疑問は抱かなかっただろうか。抱いたけど勢いに押されたとか?みいこも難儀だなぁ、こんな父親を持って。
「うーむ…………言いたい事はあるが俺にできる事はないしなー」
「みいこ、旦那様以外とキスしたりするの嫌なの。みいこの処女は旦那様のものなのに」
「貰う予定がないんだけど」
「今ならまだ間に合うの!真秀ちゃんと二股で良いからみいこを貰って!」
みいこの顔と雰囲気から出るどうにかしてくれオーラ。まあ、俺という濃口を知っちゃったから無味のパンピーなんて食えないって前に言ってたしな。でも、俺にどうしろと。俺は一端の私立高校に通うだけの一般人。他所の金持ちの婚約を破棄する力なんてない。一体どうしろと。
「俺と新旦那様の熱烈キョーレツホモエンド」
「ふざけてないで真面目に解決策を考えるの」
手厳しい。割と名案だと思ったんだけど。
「少し待って。マジに考えてみる」
「みいこの運命は旦那様にかかってるの」
パッと思い浮かんだのはみいこレズ案。俺が女装してみいこのパートナーを演じるというもの。これだと身分証明で詰む。突拍子がなさ過ぎるから信じて貰えない可能性が高い。となると、みいこに人口受精で跡継ぎ身ごもり……人権無視だしなぁ。やっぱり前考えたプランAが1番現実的なのか?みいこがどうしようもないやつの所に嫁ぎそうになった時のために、実用的プランを一応だけど1個考えといたんだ。それならまぁ……。
「新旦那様との婚約破棄をできるかも案、ひとつだけある」
「ほんと!?」
「ただ、これが上手くいくとみいこは竹下家の跡取り夫婦にはなれない」
「旦那様とも跡取り夫婦になれない?」
「もちのロン」
そのプランを実行するか、みいこは俺との結婚を諦められるか。みいこはすごい悩んでいる。俺との結婚諦めor新旦那様との結婚。どっちを選んでもビターエンドだけど、みいこは俺以外とキスしたくないって言うし。
「旦那様がみいこと結婚するってプランは?」
「それが出来たら今頃真秀も皆も振ってみいこ専になってるはずだろ。で、どうする。プランAを実行するか、しないか」
「……旦那様と結婚できないのは嫌だけど、旦那様以外と結婚するのはもっと嫌なの。お願い旦那様、みいこを助けて」
「承った」
みいこは意思を決めた。俺も覚悟を決めてお父様に土下座しよう。このプランが失敗したら俺とみいこは詰みだ。俺以外を受け入れられない女の子が苦い顔をしながら知らない男と誓いのキッスをするバッドエンドが待っている。みいこの命運は俺の手のひらの上。俺の手腕次第。みいこの婚約を破棄できるのはただ1人、俺だ。
────────
「お父様、失礼するの」
『ああ、入っていいよ』
みいこにお父様の部屋へと案内して貰った。書斎、というやつだろうか。本がびっしり。
「君がみいこのお気に入りのまほろくんだね。テスト合格おめでとう。これで君はみいこと結婚する権利を得た」
「私は娘さんとは結婚しません。お父様には悪いですが、私には想い人がおります故」
「では、何故ここに?」
「交渉でございますよ。大切な家族を守るため、みいこの意思を守るため。そのための大事なお話し合い」
今気づいたけど、このテストって使用人には何も知らされてないっぽい。お父様とみいこしか知らない秘密のテスト。使用人からしてみれば俺はただの不審者。まあいいや、どうにでもなーれ。
「この家も跡継ぎの育成を考えなければいけない時期でね、婚約破棄のみは受け付けないよ?」
「そこで、です。私をこの家の人にしてくれませんか」
「みいこと結婚せずにかい?」
「養子縁組というやつですよ。必要書類はこちらで準備してますので」
以前役所で貰った養子縁組届け。みいこにもしもが起こった時、俺が竹下家に入るために貰って来たやつ。
「そこまでしてみいこと結婚したくない、と?」
「したくない、というよりできないのでございます。娘さんの魅力も十分に伝わっておりますが……それでも、私には結ばれたい人がいまして」
「なら、みいこはもういいのでは?好きな人と結婚すればいい。こっちはこっちでもう予定があるし」
「みいこはもう私の家族同然です。みいこを捨てるなどできないのでございます。私は……全部を受け入れたい。捨てたくない。わがままなのは承知の上ですが、この交渉、乗っていただけはございませんか?」
「みいこは君と結婚したがっていたが、もう良いのかい?」
みいこに問いかけられる。別にみいこは諦めたわけじゃない。ただ、今ある選択肢の中で最善を選んだだけ。
「お父様。みいこ、あの人とは結婚したくないの。みいこの心は旦那様のものだから。諦めたくないけど、みいこも妥協するの。これより酷い未来はごめんなの」
「……そうか。正直私も今のあの人にみいこはあげたくなかった。さすがの私でもダメな人だと分かっていたからね」
なら断れや。押しに弱くてビジネスができるんかお父様。いや、お父様も縁談を断ろうと準備はしていた。攻めるのは良くない。
「ただ、まほろくんを家に迎えて金食い虫になられたらと思うと」
「お父様!旦那様はそんな人じゃないの!!!」
「みいこ、落ち着け。……コホン。お父様も知っての通り、私は新人類でございます。能力は科学的に証明済み。家を継ぐ意志もこの胸に刻んでおります。子を成す相手も既に。あとはお父様の許可を待つだけなのです。新人類の能力が疑わしきと思うのなら、どうぞこの身を研究所でも実験施設にでも」
「……それほどまでの覚悟があると」
新人類の活かし場なんて正直ヤリチンしかないと思ってたけど、ワンチャン俺がギフテッド説あるし。経営面マナー面普通だったとしても死ぬ気で覚える。だから早よ許可をプリーズ。
「もし、君への教育が失敗し、跡継ぎも作れない状況になったら……どうする?」
「この命果てるまで、0からやり直します」
俺、恋愛以外じゃ失敗しないので。死に物狂いで事に挑めば大抵の事は何とかなるって最近わかったし。
「ふむ……君の意志はわかった。ただ、君のみいこに対する感情が分からない。こんな試験まで受け、命を賭けてみいこを救おうとしたのに。君はどうして動いた」
「みいこを……大切な家族を失うかもしれない怖さを感じたからです。みいこには幸せな日常を送っていてくれれば私は満足、それを守りたかった」
「なるほど、まほろくんの中でみいこは妹同然、と。もはや恋愛感情なぞ超越していたのだね」
「大袈裟ですよ。私はただ、守りたい世界があっただけ」
正直相手が普通のやつだったらみいこの結婚に賛成だったけど、また拗らせ変態ロリコンジャーらしいし。みいこが本当に結婚したい人を見つけるためにも、俺はみいことの幸せな生活を守らなければならない。
「……良いだろう。まほろくんの養子縁組を認めよう。みいこもそれでいいね?」
「大丈夫!」
養子縁組の条件に大学卒業まで面倒を見れるかってのがあったけど、この家なら大丈夫だろう。ていうか大学だったら俺の貯金で余裕。学費設備費その他全部いける。
そうして、俺は竹下家の養子交渉を成立させた。みいこと2人で俺の家に住む暮らしは変わらないらしい。まあ、俺もあの家を捨てるのは嫌だったし。
会談が終わってみいこ宅を出たあと、俺はパッパとマッマに連絡して2人の子供じゃなくなることを事情付きで話した。二つ返事でOKが返ってきた。ほんま、フリーダムな両親やで。
────────
一波乱あったけどみいこは無事だった。みいこが永住することになった家に帰って来たぞ。
「旦那様、その……今日はありがとうなの」
「気にしなくていいよ。みいこをロリコンに渡さずに済んだし。俺1人で何とかなった。で、養子になった瞬間から俺はみいこのお兄様だけど、心の準備できてる?」
「……そのことで話があるの」
「一応聞いて置こう」
みいこが姉になりたいとかそういう話?俺は特に拘りないぞ。
「その……正直まだみいこは旦那様を旦那様以外の立場で受け入れられてないの。きっとこれからもずっと、みいこは旦那様とお兄様の間に対するモヤモヤを抱えていくと思う……でも、気持ちに踏ん切りをつけたいとも思ってるの」
「つまり?」
「気持ちにひと段落つけるために旦那様の何かが欲しいの。そうすれば諦められるし、旦那様を本当の家族として受け入れられるから……」
「具体的に何が欲しいとかある?誓いのペンダントとか腕輪とかか?」
「旦那様からのキス……とか……。わ、わがまま言ってるのはわかってるの!でも、その……それぐらいじゃないとみいこはダメなの……」
セックスを要求されるかもと思ったけどだいぶ大人しめな要求だった。いや、みいこもかなり妥協してくれたのだろう。セックスの次に価値のありそうな俺からのキスを選んだと。まあ、これでみいこが俺を受け入れられるなら良いのかなぁ。承った。
「まったく、しょうがないお嬢様だなみいこは。ほら、目瞑って」
「ふぇ?良いの?」
「俺の気が変わらないうちに。早く」
「わ、わかったの……えと──んっ……」
みいこが目を閉じて俺の方に顔を向ける。周囲に人影なし。時は夕暮れ、ムードは……まあ、良い方だと思う。よし、行くぞ。
そして、俺はみいこにキスをした。みいこへの失恋お兄様キッスがファースト接吻になるとは思わなかったぜ。
「……まあ、こんな感じだが、良かったか?」
「……頭がふわふわしてるの。とっても心地いい……」
上手くできたみたいだ。俺からしたのは初めてだったから不安だったけど。人にキスするのってこんな感覚なのか。幸せ気分というか、ハグする時以上の幸福感。みいことするだけでこれだとすると、真秀としたらどれだけのハッピー成分を摂取できるんだ。麻薬だぜこれはァ。
「さ、早く家に入ろう。今日は何食べたい?」
「もう1回!もう1回キスして欲しいの!」
「今回だけの特別です。これで俺たちは兄妹じゃけぇ。帰ってレモンすすろうや」
「旦那様はケチなの」
俺のファーストキスはあげたんだから文句言わないで欲しい。真秀にあげる予定だったものをみいこに譲渡したんだぞ。男のファーストキスとか10円の価値もないけど、俺にとっては金に変え難い大事なものだったんだ。これで俺は完全にファーストキスを失ったとさ。真秀にバレたら殺される。南無さん。
◇
まほろがみいこちゃんにキスしてた。家の前でキスしてたし私の部屋からバッチリ見えた。なんでよりによって私の見えるところでするかな。当てつけ?なに、まほろはみいこちゃんと付き合うことを選んだってこと?
「こんな事ならさっさと誤解を解いとくんだった……」
失恋……なのかな。なんでみいこちゃんなんだろ。やっぱり両親公認だから?所詮私みたいな婚約者モドキは許嫁には勝てないと?
こうなったらまほろを私の家に監禁して、誤解を解いて、今度こそまほろの子を…………なんだろう、やる気が起きない。いつもみたいな行動力が出ない。心が辛い。
「はぁ……寝よ……」
おかしいな、涙が出てきた。まほろはみいこちゃんのものになっちゃったし、最近はまほろの傍にいなかったし、私も幼なじみ離れする時が来たのかな。辛。